梅 林 1     200句

平の裔うつぼつとして梅林   高島茂   鯨座

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅林のぬかるみ筵敷かれあり
印牧緑
築港
199805
梅林の起伏に匂ひひろごれる
福間慶子
俳句通信
199904
山が家の幸せさうに梅林に
丸川越司
円虹
199905
疳封じの神の来てゐる梅林
杉浦典子
火星
199905
梅林の四角けぶれる城の下
深澤鱶
火星
199905
筑波嶺の中途にありし梅林
西村純吉
199906
ちりばめし心の破片梅林
稲見光
船団
199909
二分咲きの梅林首をちぢめて歩く
田中藤穂
水瓶座
200002
梅林をめぐり足どり若くなる
田中藤穂
水瓶座
200002
梅林に偕老同穴尻は冷ゆ
中原道夫
銀化
200004
梅林の肥の香のする禅の寺
武田禅次
春耕
200004
杖の人杖の人ゆく梅林へ
高橋邦夫
風土
200005
死後もよき梅林に来て佇める
立岩利夫
海程
200005
梅林の山越しの富士小さかり
川村紫陽
200005
梅林に翻車魚のよな雲浮かぶ
川村紫陽
200005
春寒し梅林の中衿立てて
梅田秀子
酸漿
200006
迷路はや劇薬まわる梅林
汎馨子
海程
200006
梅林を立ち泳ぎして抜けにけり
榎本祐子
海程
200007
梅林や観音に入り菩薩に去ぬ
下山田美江
風土
200008
敷藁を鶏がついばむ梅林
鬼頭桐葉
春蘭
200010
梅林に懶惰の風の棲みつける
中原道夫
銀化
200102
梅林の土やはらかき起伏かな
川畑良子
200104
梅林へ姪より叔母の速歩き
品川鈴子
船出
200104
梅林を抜けて方角取り戻す
科野美鈴
遠嶺
200106
斜交ひにのぼる梅林鐘わたる
阿部昭子
遠嶺
200106
人入りゐる山の日の梅林
岡井省二
200106
正午とは梅林表裏入替はる
後藤立夫
ホトトギス
200107
梅林の眼の混み合ひし高さかな
鈴木順子
京鹿子
200107
先頭は町長らしや梅林
金子里美
船団
200108
梅林に墨絵のやうな月昇る
栢森敏子
あを
200202
一枝を活け梅林にある思ひ
鷹羽狩行
200203
梅林にはぐれては会ふ昼下り
志水芳秀
雲の峰
200204
梅林に触るるまで空降りてきし
湯川雅
円虹
200205
梅林の子にたんぽぽの咲きゐたり
米澤光子
火星
200205
梅林はすべて坂道鳶の笛
阿波谷和子
春耕
200205
土曜日の午後の梅林経由かな
稲垣いつを
200206
梅林をざつと見渡してより入りぬ
八木下巌
200206
梅林に似顔絵描きのハンチング
小西瑞穂
ぐろっけ
200206
梅林となりし棚田の梅祭
小西瑞穂
ぐろっけ
200207
熱き茶が欲し梅林に長居して
塩川雄三
潮路
200210
梅林を統べる一樹でありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200302
高速道抜けて梅林抜けて句碑
稲畑廣太郎
ホトトギス
200302
岩壁の雲が梅林に降りきたる
阿部ひろし
酸漿
200303
梅林の道のほとりの一すみれ
阿部ひろし
酸漿
200303
梅林を分け入り湖へ出でにけり
浜福恵
風土
200304
梅林に入りだんまりを決めこんで
塩川雄三
築港
200304
遠望の梅林ほのか色づけり
飯田政子
築港
200304
梅林に何千本の今を咲く
伊藤三和
築港
200304
梅林の坂自転車を押してゆく
安部桂
築港
200305
梅林にロケの一団来てゐたり
岩林勇雄
築港
200305
梅林の雨の斜面に足とられ
岩林勇雄
築港
200305
見下せる梅林密に錦なす
川口弘子
築港
200305
梅林のコース外れてより楽し
関薫子
百鳥
200305
梅林の裾にしつらふ能舞台
伊藤葉
雲の峰
200305
梅林を抜けたる風の瀬戸内へ
小林佐江子
雨月
200305
雨烟りをり梅林の花いまだ
岩花秀子
200305
梅林丸太ん棒の二人席
武司琴子
ぐろっけ
200306
鳥影や梅林すでに盛り過ぎ
隈部郁子
200307
はるかよりたなびき梅林紅ぼかし
福盛悦子
雨月
200403
梅林の紅白に句碑たたづめり
安部里子
あを
200404
神体の梅林山へ梅祝詞
禰寝瓶史
京鹿子
200405
梅林を出て粟餅の列にをり
西畑敦子
火星
200405
梅林の没日が胸の真正面
鎌居千代
築港
200405
梅林は自由気儘の散歩道
井上輝男
築港
200405
梅林に叶ふ二畳の茶室かな
桑田青虎
ホトトギス
200406
確定申告終えて梅林のぞきけり
馬場美智子
六花
200406
傘をたたみて梅林へ深く入る
永本純子
200407
梅林の一行笛で呼び戻す
永本純子
200407
梅林や立札にある厠の字
芝宮須磨子
あを
200503
梅林の四通八達坂の道
塩川雄三
築港
200504
ジェットコースターの嬌声ひびく梅林
篠田純子
あを
200504
城の天梅林の天共有す
塩川雄三
築港
200505
梅林坂外人の声登りくる
澄田玄志郎
築港
200505
梅林に空の蒼さのかぶさつて
吉村初代
築港
200505
寺の名も梅満開の梅林寺
岡久枝
酸漿
200505
梅林を行けば先立つ亡夫つまの影
松村富子
200506
梅林の容に陽射す綾部山
川崎光一郎
京鹿子
200506
梅林や目と目を見詰め語りかけ
阿部惠美子
200506
梅林見下ろし人声を聴く
大野禮子
200506
梅林の空城の空なほも空
塙告冬
ホトトギス
200507
ステッキは私の命梅林
岩上とし子
200507
梅林の丘より望む昼の町
増田八重
酸漿
200507

 「百磴」十周年を祝して

百幹にして万蕾の梅林

鷹羽狩行
200603
梅林の人去りやらず片日影
上薗櫨夫
河鹿
200605
梅林の傾きにある猫車
戸田春月
火星
200605
梅林をすつぽり包み冬の靄
村中信子
万象
200605
梅林へ喪服の女連立ちて
江崎成則
栴檀
200605
梅林もとびとびといふ程でよし
藤井昌治
200605
人逝きて水の流るる梅林
戸村よねこ
遠嶺
200606
巡りきて真白きこころ梅林
邑橋淑子
遠嶺
200607
梅林に入りて出口を見失ふ
伊藤康子
ぐろっけ
200607
梅林の一樹一樹の一二輪
山本晃裕
ホトトギス
200610
梅林といふ幕山を拒む距離
稲畑廣太郎
ホトトギス
200702
梅林となるかは知らず地に下ろす
稲畑汀子
ホトトギス
200703
梅林に佇ちかの病窓をのぞみをり
大橋晄
雨月
200704
梅林の峡を行き交ふ車かな
本間勇
酸漿
200704
梅林や花咲く前のほの明り
吉野さと
酸漿
200704
梅林の先達女子学生の声
米山喜久子
200704
早口の雀来てをり梅林
三柴怜子
200705
梅林の奥へ奥へと手繰らるる
田原陽子
200706
梅林の人影まばら野良の犬
池崎るり子
六花
200706
梅林や歩み揃へて老夫婦
小島みつ代
200706
梅林をこごみ歩みて興じけり
西口万佐子
200706
梅林に配線まほらの天がある
伊藤希眸
京鹿子
200707
しちりんを見せ梅林のかるめ焼
金井充
百日紅
200711
梅林を去るも匂へり月瀬径
小林成子
200805
切り株に坐りて寒き梅林
吉沢陽子
200805
梅林の空悠々と鳶の影
吉沢陽子
200805
梅林抜け十万石のお膝元
竹島勝代
200805
臘梅林抜け来し人とすれ違ふ
勝野薫
ぐろっけ
200805
梅林の奥の深さの月夜かな
伊藤克子
酸漿
200805
揺れなびくしだれ梅林風さやか
松村富子
200806
梅林を出てしばらくの仰ぎ癖
次井義泰
200806
梅林も沈むがごとく暮れにけり
藤井昌治
200806
梅林を抜け榛名山まのあたり
廣瀬雅男
やぶれ傘
200806
老人ホームバスは奥まで梅林
嶋田一歩
ホトトギス
200807
梅林の白にまぎれる昼の月
黒澤登美枝
200904
梅林の香りの渦にゐて忘我
山田天
雨月
200904
瞑らば梅林か庭の紅白梅
林翔
200904
梅林へ湘南ライン加速せり
斎藤雅子
炎環
200905
梅林に母音ばかりの感嘆符
山本無蓋
200905
梅林に童女のごとく坐りゐる
渡辺数子
火星
200905
梅林の径尽き風の音ばかり
山下美典
ホトトギス
200906
梅林の中の順路の曖昧に
笠井敦子
200906
夕間暮野梅林をなせりけり
夏目満子
酸漿
200906
梅林へ小石の径のつづきけり
仲山秋岳
万象
200908
梅林の高きに啼きて山鴉
仲山秋岳
万象
200908
冴へ返る憂ひ梅林の中に捨つ
四條進
201004
梅林に金柑の実の大樹かな
芝尚子
あを
201004
梅林と松を見下す天守閣
廣瀬雅男
やぶれ傘
201005
梅林の土ふかぶかと膝癒ゆる
松井志津子
200605
梅林や毎年同じ写真撮る
塩田博久
風土
201005
梅林へためらはず跳ぶ野川あり
鈴木照子
201006
梅林に話の弾む同年輩
高橋大三
ぐろっけ
201006
梅林に遊び貴人の心地なり
中村昭子
酸漿
201006
梅林を抜けて草餅まだぬくし
柴田佐知子
201007
淀どのの天守そびらに梅林
保田晃
ホトトギス
201008
梅林の中黒猫とすれ違ふ 塩路五郎 201104
梅林を描きし画布に日の温み 鈴木照子 201104
梅林やうすくれなゐの風のいろ 中里よし子 春燈 201104
虫柱風ひるむとき梅林へ 久保東海司 201105
三年振りの筑波梅林川海老買ふ 中江月鈴子 201105
梅林しんがり役を決めにけり 中江月鈴子 201105
列出来てゐる梅林の鯛焼き屋 中江月鈴子 201105
梅林へ母の面影たどりつつ 柴田朱美 京鹿子 201105
梅林に陣取る画架のひと所 中本吉信 201106
梅林へ思ひそれぞれ人の列 小川玉泉 末黒野 201106
梅林や樹々高からず低からず 小川玉泉 末黒野 201106
梅林の白を眼下にみかん山 小川玉泉 末黒野 201106
梅林を横目に急ぐ甲子園 林哲夫 ぐろっけ 201106
梅林の奥より鶏の高音かな 松元末則 酸漿 201107
木瓜の花咲きて梅林静かなり 田島昭久 かさね 201203
梅林の奥まで見えて空のあを 松尾京子 末黒野句集 201203
梅林の暮れつつ変はる空の色 松尾静枝 末黒野句集 201203
心ふくらむ大寒の梅林 近藤きくえ 201204
梅林はほの赤らめど蕾のみ 田中藤穂 あを 201204
梅林や押し手の代る車椅子 佐津のぼる 六花 201204
梅林に来て一団の散らばれる 佐津のぼる 六花 201204
梅林のいただき街をみはるかす 佐津のぼる 六花 201204
人の世を抜け梅林の風となる 近藤喜子 201205
梅林にあふるる日ざし初神楽 新保ふじ子 万象選集 201205
梅林や筆立てて描く枝の先 笹村政子 六花 201205
梅林に靄たちこめて白襖 小林美登里 かさね 201206
水に添ひ来て梅林に突き当る 田村すゝむ 風土 201206
鍵束の音の過りし梅林 藤田素子 火星 201206
梅林へ杉の木立を抜けてゆく 田尻勝子 六花 201206
梅林の「あらあら」の声春の雪 白石正躬 やぶれ傘 201206
梅林の奥より微か初音聞く 佐藤喜仙 かさね 201207
雨水にてほころび初むる梅林 早川周三 ぐろっけ 201207
梅林に少年の声透き通る 三浦澄江 ぐろっけ 201207
声張りて梅林統る矮鶏の長 倉橋千代子 末黒野 201207
どしや降りの梅林酒を注文す 中江月鈴子 201301
梅林の跫音確と夫なりし 神田恵琳 跫音 201303
梅林の空太陽の塔の空 陽山道子 おーい雲 201304
梅林の一樹と言へるほどの梅 大橋敦子 雨月 201304
斎場を出て梅林へ脚延ばす 鈴木石花 風土 201305
海遠く見て梅林の風にゐる 立村霜衣 ホトトギス 201306
梅林を暫し忘れて屋台かな 田島昭久 かさね 201306
梅林の方から霽るる密寺かな 延広禎一 201306
石落しより梅林の風のいろ 杉浦典子 火星 201306
梅林や目白の影の池に揺れ 堺昌子 末黒野 201306
人影の切れて梅林匂ひ立つ 小林清彦 末黒野 201306
梅林に居て妻のこと父母のこと 大橋晄 雨月 201306
梅林に酔ひ甘酒に酔うてをり 大橋晄 雨月 201306
梅林を行きて渚をゆくごとし 岩岡中正 ホトトギス 201307
野梅見て来し目の続き梅林 稲畑汀子 ホトトギス 201403
梅林へ菜の咲く村を通りけり 山田六甲 六花 201403
梅林へ行かなねばならぬ予定あり 山田六甲 六花 201403
梅林の岩も割れよと冴返る 山田六甲 六花 201403
空よりも大地明るし梅林 大川暉美 末黒野 201404
梅林はまだ淡き日の中にかな 難波篤直 201404
梅林にのみ日当れる元離宮 豊田都峰 京鹿子 201404
梅林の華やぐ地下の弾薬庫 落合晃 201405
梅林のいちばん端は外反栂指 直江裕子 京鹿子 201405
梅林のたそがれて川明りかな 飛高隆夫 万象 201406
山肌を染めて紅梅林かな 稲畑汀子 ホトトギス 201503
香の届かざるは俯瞰の梅林 稲畑汀子 ホトトギス 201503
一の宮に添ひ梅林の鎮もれる 大橋晄 雨月 201506
梅林の透けて都心を遥けくす 大橋晄 雨月 201506
梅林より里の暮しのほの見えて 密門令子 雨月 201506
舂くや白さ浮き立つ梅林 石黒興平 末黒野 201506
まつすぐの歩み梅林にふと消えし 井上信子 201603
たもとほる香り十里の梅林 窪田粧子 馬醉木 201604
梅林や稲荷鳥居の奥まりて 井浦美佐子 201605
梅林や声を出さねばおぼれさう 井上菜摘子 京鹿子 201606
遠くより来て梅林の中にゐる 下平しづ子 雨月 201606
梅林を見上げる先に昼の月 広瀬済 やぶれ傘 201608
桃林も梅林も葉は緑なり 杉本薬王子 風土 201608
梅林の糸ひく雨や帆掛舟 植田桂子 馬醉木 201705
梅林を抜けて小曲り日豊線 永井惠子 春燈 201705
梅林→ 2      

 

2021年2月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。