梅 見     186句

さむしろを畠に鋪て梅見かな    蕪村

 梅一輪 梅ヶ香 梅咲く 梅寒し 白梅 紅梅 梅白し

梅月夜 梅蕾 梅匂う 梅二月 梅の花 梅日和 梅ひらく

梅ふふむ 梅祭 梅見 探梅 盆梅 老梅 野梅

梅園 梅林 枝垂梅 早梅 飛梅 観梅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黒髪にひとひら梅見帰りかな 杉本忠男 青湖 199805
湯煙に両手をかざす梅見かな 三澤福泉 俳句通信 199904
切株を椅子に吉野の梅見茶屋 志水千代子 雲の峰 200003
熱海へと梅見を誘ふ真珠かな 小澤克己 遠嶺 200004
後味のあまりよくなき梅見かな 保坂加津夫 いろり 200004
梅見ごろ誘はれるまま旅に出て 篠田三七子 いろり 200004
物忘ること言ひあひて梅見かな 小池とみを 俳句通信 200004
ころころと園児の梅見日和かな 田中呑舟 火星 200008
大それた箸を出したり梅見茶屋 山田六甲 六花 200103
梅見茶屋酒饅頭とココア豆 ロツキイ 六花 200104
道違へ思はぬ梅見してゐたり 川畑良子 200105
梅見茶屋ほあんほあんとフランス語 辻享子 シャガールの女 200108
湯気のたつもの良く売れる梅見茶屋 志水千代子 雲の峰 200204
自転車の警察官や梅見坂 小菅高雪 春耕 200204
肩越に梅見てゐたり梅見茶屋 小林れい 酸漿 200205
貸し杖を並べ日和の梅見茶屋 植木緑愁 春耕 200205
肩書の取れて梅見の気儘なる 岸はじめ ぐろっけ 200205
吊りて売るものに番傘梅見茶屋 大城まつ子 200206
夜べの雨たつぷりとある梅見かな 鹿野佳子 200206
梅見茶屋声高に人通り過ぐ 塩川雄三 潮路 200210
雨霧の谷を埋めたる梅見かな 阿部ひろし 酸漿 200303
縄文の湖へ棹さす梅見かな 浜福恵 風土 200304
うすうすと酔うたる人と梅見かな 禅京子 風土 200305
連れだちて九九を聞きやる梅見かな 松本欣子 百鳥 200305
天守閣より堂々の梅見かな 滝本香世 百鳥 200305
梅見茶屋志野の茶碗の手になじむ 吉江潤二 築港 200306
梅見茶屋ふぞろひの皿重ねをり 村田冨美子 京鹿子 200306
鶏小屋の横を通りし梅見かな 米澤光子 火星 200404
梅見衆声も立てずに甘酒飲む 松崎鉄之介 200405
病める身をしばし忘れて梅見酒 河野高明 雲の峰 200405
音も無く石燈下る梅見かな 近藤真夫 遠嶺 200405
関所跡ここから道は梅見道 木村迪子 酸漿 200504
日当ればそこに屯す梅見人 溝口遊雨子 百鳥 200505
竹串の尖焦げている梅見茶屋 小田元 六花 200505
をちかたの戦不肖の梅見かな 吉弘恭子 あを 200505
風船は梅見の人を天に向け 川越静子 200508
ほのぼのと灯す梅見の雨の茶屋 都築繁子 200508
雨男雨女ゐて梅見かな 平野無石 200508
ひとひらが梅見の泥についてきし 松村東亜未 200508
思はざる雪見となりぬ梅見茶屋 冨田みのる 200604
酒気帯びて深入りしたる梅見かな 上薗櫨夫 河鹿 200605
太閤を気取り天守に梅見かな 友田直文 200607
心よき梅見疲れを覚えたる 松尾緑富 ホトトギス 200609
古城址の歴史を偲びつゝ梅見 松尾緑富 ホトトギス 200609
石段をナンバ歩きに梅見かな 岩下芳子 200705
今昔の梅見のはなし父に聞く 松下幸恵 六花 200705
潮風の流れて来たる梅見かな 金月洋子 六花 200707
子供の国へ梅見と洒落る老仲間 平野きぬ子 八千草 200708
借景に庭に梅見の嫁の里 中山静枝 200804
風鐸の揺れて日のさす梅見かな 安藤久美子 やぶれ傘 200804
梅見坂見上ぐる空の紺深き 小林成子 200805
月々参ず牧水墓所の梅見かな 徳永辰雄 春燈 200805
梅見には少し間のある月詣 岩井ひろこ 火星 200805
梅見茶屋女ばかりで商へる 岩崎可代子 ぐろっけ 200805
天平のうつり香まとふ梅見坂 白神知恵子 春燈 200806
閉づる日は決つてゐずと梅見茶屋 嶋田一歩 ホトトギス 200807
はぐれたる友と出会へて梅見茶屋 嶋田摩耶子 ホトトギス 200807
梅見茶屋おでこに日差し受くる席 嶋田摩耶子 ホトトギス 200807
我が影の背筋伸びたる梅見かな 浅野恵美子 酸漿 200807
時折は目を閉ぢてゐる梅見かな 高崎武義 200902
掛軸の外は断岸梅見茶屋 井田実代子 雨月 200905
古めかしき戸障子梅見茶屋なりき 井田実代子 雨月 200905
農協の葱を背負ひて梅見かな 中里信司 酸漿 200905
白を愛で紅を愛でゐる梅見かな 小峯千枝子 遠嶺 200906
梅見山床几でそばでも食べて行こ 北畠明子 ぐろっけ 200906
駅弁の懸紙はがす梅見かな 丑久保勲 やぶれ傘 200906
散ることの多くなりしと梅見茶屋 嶋田一歩 ホトトギス 200907
梅見酒下戸に無理強ひされてゐし 布川直幸 201004
乗り継いで梅見の人となりにけり 須賀敏子 あを 201004
バス待ちに梅見の話まとまりぬ 桂敦子 201005
車椅子並べ語らふ梅見かな 笠井清佑 201005
饂飩屋に梅見て来たるひとばかり 大島英昭 やぶれ傘 201005
男ゐて寡黙またよき梅見かな 都丸美陽子 春燈 201005
古き友寄りて梅見の宴かな 大房帝子 酸漿 201005
板張りに赤き膝掛梅見茶屋 樋口みのぶ 201006
馳せ参ずいざ鎌倉の梅見頃 小張昭一 春燈 201006
梅見むと鈍行列車の一人旅 島内美佳 ぐろっけ 201006
梅見茶屋今日もあの娘に会へさうな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
梅見客歩幅小さくなつてきし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
梅見客とはちらちらと黙々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
一輪の香より梅見となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
胸元に染むる甘酒梅見茶屋 ことり 六花 201103
ふはふはの煎餅かじり梅見かな 新実貞子 201105
頬寄せてその一輪に逢ふ梅見 桂敦子 201105
渡り来し橋もどりゆく梅見かな 都丸美陽子 春燈 201105
開けられし火灯窓より梅見かな 渡邉孝彦 やぶれ傘 201106
梅見酒翁二人でもてあます 長憲一 201106
梅見酒独りの膳に据ゑしまま 長憲一 201106
寒梅てふ酒に賑はひ梅見会 鍋島武彦 末黒野 201106
靴擦れを庇ひて遠し梅見茶屋 林哲夫 ぐろっけ 201106
女坂にて時を忘るる梅見かな 松本文一郎 六花 201106
塀越しに白梅見ゆる女坂 瀬島洒望 やぶれ傘 201108
隠れん坊実梅見つける脚立班 品川鈴子 ぐろっけ 201109
湯気立つるもののよく売れ梅見茶屋 岡崎伸 遠眼鏡 201203
しばらくの閑語つつしむ梅見かな 高泉信子 末黒野句集 201203
湯気立つるもの恋しくて梅見茶屋 外山節子 末黒野句集 201203
普段着のままゆつくりと梅見かな 安藤虎酔 かさね 201204
浜風に砂の匂へる梅見かな 山田六甲 六花 201204
懐しむ為の白梅見当てけり 山田六甲 六花 201204
樽酒を振舞れけり梅見茶屋 山田六甲 六花 201204
築地塀沿ひに歩みし梅見かな 田島昭久 かさね 201205
旧悪をばらしあひたる梅見酒 山本無蓋 201205
城跡の梅見の園となりゐたり 大西八洲雄 万象 201205
木道を鴉のあるく梅見かな 坂口夫佐子 火星 201205
口内炎ひとつ持ちゆく梅見かな 藤田素子 火星 201205
老人会点呼ばかりの梅見かな 荒井千佐代 201205
梅園や梅見の滝を設へて 瀬戸悠 風土 201206
城の跡梅見の園となりゐたり 大西八洲雄 万象 201206
武蔵野の雪となりたる梅見かな 山田春生 万象 201206
紅白を織り交ぜ峡の梅見頃 小川玉泉 末黒野 201206
渡る湯を丸く囲みぬ梅見茶屋 外山節子 末黒野 201206
車より出してもらへぬ梅見かな 松田冨枝 末黒野 201206
おしながきカタカナのなく梅見茶屋 嶋田一歩 ホトトギス 201207
客ゐなくなれば今日終へ梅見茶屋 嶋田一歩 ホトトギス 201207
村の子等梅見客にもこんにちは 佐藤喜仙 かさね 201207
座蒲団の小振りもよけれ梅見茶屋 清海信子 末黒野 201207
梅見客景に吸はれてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
その中の一本のみといふ梅見 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
梅見つつ彼女の顔の浮び来る 大橋敦子 雨月 201304
月ヶ瀬の風の起伏や梅見坂 伊東和子 201305
おちこちの牛に見られて梅見かな 田中浅子 201305
梅見山声まつすぐに降りてくる 生田恵美子 風土 201305
大男の担ぐ狭むしろ梅見かな 岡野ひろ子 201305
百年の香に包まれて梅見酒 山中サク子 201305
地酒の名二三貼られて梅見茶屋 小川滋 やぶれ傘 201305
茶話に笑ひ皺増え梅見茶屋 堺昌子 末黒野 201306
杖の身の遅れがちなる梅見かな 福田房子 末黒野 201306
木戸銭はお任せの寄席梅見あと 池田久恵 ぐろっけ 201307
分け入りて猿と出くわす梅見行 吉井潤 ぐろっけ 201307
鰻の骨ぽりぽり喰ぶる梅見酒 瀧春一 花石榴 201312
いろかたちかをり賞でたる梅見かな 小林清彦 末黒野 201406
梅見茶屋人は膨らみ憩ひをり 嶋田一歩 ホトトギス 201406
灯がつけばばたばた閉ぢて梅見茶屋 嶋田一歩 ホトトギス 201406
庭に出て梅見の心ととのひし 稲畑汀子 ホトトギス 201502
殿様になり切つてゐる梅見かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
梅見むと姉の小袖を通しけり 三木千代 201505
梅見茶屋床几の下に猫のゐて 瀬島洒望 やぶれ傘 201505
いくたびも寺に詣でて梅見かな 延川笙子 六花 201505
谷川の音のひびかひ梅見茶屋 吉田きみえ 末黒野 201506
席つめて世間話や梅見茶屋 太田良一 末黒野 201506
梅見とて蜜を賞するつがい鳥 遠野あきこ 船団 201512
聞く耳にふたつ梅見へ携ふる 伊藤白潮 201602
竹林の径を辿りて梅見茶屋 廣瀬雅男 やぶれ傘 201605
梅見バス熱海桜も見ると着く 嶋田一歩 ホトトギス 201607
梅見客めきたる猫の視線かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
梅見客めきたる猫の視線かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
延べ段を足裏に伝え梅見寺 塚越弥栄子 末黒野 201704
昼月の透くや梅見のさそひ状 村田あを衣 京鹿子 201705
加ふるに梅見の人出金鯱城 浅井青二 雨月 201705
梅見坂嶺々の向かうの富士も見え 福岡かがり 雨月 201705
奢る世に暮し梅見の旅づかれ 吉田きみえ 末黒野 201706
一人来て一人梅見て帰りゆく 今井千鶴子 ホトトギス 201707
少し足伸ばせば梅見出来さうに 稲畑汀子 ホトトギス 201802
少し足伸ばせば梅見出来さうに 稲畑汀子 ホトトギス 201802
梅見茶屋あかき前掛け前結び 柴川志津子 201803
湿布薬じんと効かせて梅見かな 岩上行雄 末黒野 201806
書きかけの原稿おきて梅見人 岩岡中正 ホトトギス 201808
心地よき風頬にうけ梅見酒 長谷川閑乙 馬醉木 201904
空濠の側の梅見をゆつくりと 加藤みき 201904
駅頭の梅見えて来て鎌倉着 秋友昌子 雨月 201905
曇天の薫りの渦の梅見かな 長崎桂子 あを 201905
目張り寿司山盛りにして梅見茶屋 上辻蒼人 風土 201906
昨日脱ぎ今日また着込み梅見月 田中藤穂 201907
恙なく髭の伸びたり梅見ごろ 安食哲朗 201910
裏返る幟の文字を読む梅見 丑久保勲 やぶれ傘 202005
日溜りより日溜りヘ行く梅見かな 森清堯 末黒野 202006
梅見茶屋小さき靴が真ん中に 佐藤あさ子 202006
梅見して小振りの皿を二枚買ひ 広瀬済 やぶれ傘 202006
木から木へ風連れてゆく梅見かな 湖東紀子 ホトトギス 202007
日だまりを動くことなく梅見かな 今橋眞理子 ホトトギス 202007
雨上り香の先駆けて梅見かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
梅見客言葉忘れて来たやうな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
日の射さぬすき間にちらり梅見かな 秋川泉 あを 202104
あの庭は紅この門は白梅見かな 坂本依誌子 春燈 202105
梅見茶屋連れの蘊蓄きりもなく 今村千年 末黒野 202105
梅見会人目気にしつマスクとる 石川東児 202105
枝々の見栄えひときは梅見茶屋 江口恵子 やぶれ傘 202105
席ひとつ空けて坐れり梅見茶屋 高橋均 やぶれ傘 202105
ほつほつといふ数をこそ梅見頃 湯川雅 ホトトギス 202107
紅に日差集めて梅見かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
その奥の奥の裏まで梅見かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
紅白に順路狭めて梅見かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
久々の友と出会へり梅見茶屋 黒滝志麻子 末黒野 202206
誘はるる儘の遠出や梅見頃 山中ミツ 末黒野 202206
桜見て梅見て廻る散歩かな 福地タカ 202207

 

2023年2月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。