梅ひらく     169句

たくあんの波利と音して梅ひらく    加藤楸邨

 梅一輪 梅ヶ香 梅咲く 梅寒し 白梅 紅梅 梅白し

梅月夜 梅蕾 梅匂う 梅二月 梅の花 梅日和 梅ひらく

梅ふふむ 梅祭 梅見 探梅 盆梅 老梅 野梅

梅園 梅林 枝垂梅 早梅 飛梅 観梅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅ひらく陸より海の盛り上がり 岡部玄治 199901
ぐい呑に桂郎のこゑ梅ひらく 神蔵器 199905
ひこばえに一輪の梅開きけり 林和子 俳句通信 199905
なにもかもわすれてしまい梅ひらく 窪田丈耳 海程 199906
梅開く藁屋丸ごと保存され 吉村玲子 船団 199907
梅ひらく山回春の地鳴りして 田中藤穂 水瓶座 200002
梅ひらくスキャンダラスなことばかり 小林あつ子 火星 200005
三食の準備欠かさず梅ひらく 加藤真起子 火星 200005
曇る日や呟きのごと梅ひらく 川井政子 風土 200005
住み慣れて二世帯住宅梅開く 加藤安子 風土 200005
絵馬の願ひ発止とうけて梅開く 渡辺俊子 京鹿子 200005
講座名はかっぽれ踊り梅ひらく 児玉硝子 ヒッポ千番地 200007
骨となるまでは女よ梅ひらく 塩路隆子 精鋭選集 200008
梅ひらき生きる気魄を貰ひけり 堀田政弘 200102
改名を戒名などと梅ひらく 山田六甲 六花 200103
梅ひらく白加賀玉垣しだれとぞ 堀内一郎 あを 200103
拈華微笑城太郎ゐて梅ひらく 神蔵器 風土 200104
しぶしぶと暦に押され梅ひらく 鷲見明子 風土 200104
骨粗鬆みたいな老木梅開く 柳浩子 船団 200105
寿の墨鮮やかや梅ひらく 小滝奈津江 酸漿 200105
黒塀の弓馬道場梅ひらく 川井政子 風土 200106
雨よりも雨垂太し梅ひらく 川上昌子 200202
気の毒な真紀子まきこと梅ひらく 堀内一郎 あを 200202
老残の日々を反芻梅ひらく 干代田葛彦 馬醉木 200204
朗報に紅梅ひらく佳き日かな 門伝史会 風土 200204
一輪が一輪さそひ梅開く 大山妙子 酸漿 200204
海よりの山よりの風梅ひらく 高松由利子 火星 200205
D51の満席列車梅ひらく 佐原正子 六花 200206
梅開きマグマの始動疑はず 安達加寿子 200304
線香にはじめとをはり梅ひらく 春川暖慕 銀化 200304
花一会また人一会梅ひらく 杉谷志津子 築港 200304
一畳をとべし幅跳梅ひらく 泉由秋硯 200305
交番にダイヤル電話梅開く 高柳かつを 百鳥 200305
付睫抽出しにあり梅ひらく 中新井みつ子 200307
われは喜寿昭和も喜寿よ梅開く 坂本ミヨノ 200312
心写すカメラもがもな梅ひらく 林翔 200404
梅ひらくガラス波打つ窓浄し 森理和 あを 200404
密葬といふ生涯の梅ひらく 堀内一郎 あを 200404
一人来て又ひとり来て梅ひらく 中西道子 百鳥 200404
旅の日を丸で囲んで梅ひらく 鈴木とし子 遠嶺 200405
少しづつ白き五弁の梅開く 石井美代子 遠嶺 200405
遠嶺のけさの近さや梅ひらく 三上佳子 遠嶺 200405
裏山の淋しいところ梅ひらく 松本圭司 200405
梅ひらく力に枝の揺れにけり 平田倫子 百鳥 200405
湯けむりの龍馬の旅路梅ひらく 沼口蓬風 河鹿 200406
梅開き始めた夜の雨嵐 馬場美智子 六花 200406
月夜のやうな後楽園の梅ひらく 堀内一郎 あを 200502
川の面が町を潰して梅ひらく 堀内一郎 あを 200503
梅開く太陽に触れ風に触れ 辻本善一 築港 200504
怨念を封ずる神事梅開く 岡田滋夫 雲の峰 200504
蕊に満つる生の歓喜や梅ひらく 林翔 200504
浦風に香を乗せ野梅ひらきけり 白井剛夫 200504
こんな忙しいときに限つて梅ひらく 野路斉子 200504
はばたきて鏡の奥の梅ひらく 加藤富美子 200505
梅ひらく身体枕研究所 平田紀美子 風土 200505
梅ひらく「紅白梅図」観るごとく 布施まさ子 風土 200505
梅開く袱紗包を目の高さ 高木智 京鹿子 200505
ひとすぢの光の先の梅ひらく 藤井智恵子 百鳥 200505
一畳を跳べし幅跳梅ひらく 泉田秋硯 黄色い風 200505
火事跡に炎に堪えし梅開く 三浦澄江 ぐろっけ 200507
風音と梅ひらく音別にあり 堀内一郎 あを 200602
履物をそろへてをれば梅ひらく 城孝子 火星 200604
やうやくに雨の後なる梅開く 鈴木幾子 酸漿 200604
青天に白を打ち上げ梅ひらく 林翔 200605
古々と梅ひらく日の覚悟かな 天野きく江 200605
手習ひは智永の千字梅開く 佐山苑子 遠嶺 200606
皇統に男子望むや梅開く 藤原りくを 八千草 200608
もう六十まだ六十と梅ひらく 須賀敏子 あを 200703
武者斬りし頃も真白ぞ梅ひらく 泉田秋硯 200705
柴垣に沿ひゆく小径梅ひらく 山口順子 200705
白は真くれなゐは情梅ひらく 上谷昌憲 200705
何事もなけれどきゆんと梅ひらく 直江裕子 京鹿子 200705
老幹にまた力あり梅ひらく 大房帝子 酸漿 200705
梅ひらく先師の句碑の文字まろし 佐原由紀子 200706
梅開く日のあたりたるひとところ 設楽唱子 酸漿 200804
遺りたる巨石信仰梅開く 坂上香菜 200805
燦々の日差しに目覚め梅ひらく 渡辺安酔 200805
梅ひらく静かな言葉待つてをり 田原陽子 200805
次の旅遠すぎるとぞ梅ひらく 青山正生 200805
五六輪までのときめき梅ひらく 布川直幸 200806
梅ひらく骨董市のブロマイド 蘭定かず子 火星 200806
老犬と老の小道に梅開く 浅野恵美子 酸漿 200806
残り香のやうな言葉や梅開く 山田弘子 ホトトギス 200807
胸深く入るる海風梅ひらく 丹羽啓子 馬醉木 200901
幹には苔枝に紅梅ひらきけり 林翔 馬醉木 200903
元旦や鉢の紅梅開き初む 友野よし子 酸漿 200903
ばらばらな顔あつまりて梅ひらく 堀内一郎 あを 200903
梅ひらくまづ一輪の日の和み 伊東和子 200904
梅ひらくまつさをな空まぢかにし 河村泰子 ぐろっけ 200905
楼門に積むこも樽や梅ひらく 森ひろ 馬醉木 200906
寄せ書きに胸熱くをり梅ひらく 近藤きくえ 200906
御礼絵馬文字大いなり梅開く 飯田角子 酸漿 201004
経筒の白磁うるほひ梅ひらく 千手和子 馬醉木 201005
曇らざる二重の玻璃戸梅開く 小川玉泉 末黒野 201005
梅開く漢二人に見詰められ 陶山泰子 ぐろっけ 201005
梅開く何かいいことありそうな 陶山泰子 ぐろっけ 201005
暁の風に誘はれ梅ひらく 和田崎増美 雨月 201005
花蕊の溢れんばかり梅開く 和田一 雨月 201005
青天や蕾もさはに梅開く 大房帝子 酸漿 201005
梅開く日の温むるひとところ 間島あきら 風土 201011
少しづつ忘れてゆく日梅ひらく 山田暢子 風土 201104
枝移る禽に寒梅ひらき初む 大橋伊佐子 末黒野 201104
あたらしき紙衣の僧に梅開く 狹川青史 馬醉木 201105
蘇る声あり白き梅ひらく 山田暢子 風土 201105
梅ひらく納骨の日となりにけり 山田暢子 風土 201105
願ひ文かたく結ばれ梅開く 齋藤晴夫 春燈 201105
梅開ききつたり猫の欠伸かな 森岡正作 201105
口数の少なき姉に梅ひらく 戸田春月 火星 201105
単線の野末山門梅ひらく 青木陽子 酸漿 201105
剪りし枝傍らにあり梅開く 飯田角子 酸漿 201105
梅開き端切れ細工の作品展 藤井久仁子 ぐろっけ 201106
進化せる百歳パワー梅開き 前川ユキ子 201204
いとほしや盆梅開く二つ花 松本桓子 ぐろっけ 201204
真先に鉢の紅梅開きけり 山田六甲 六花 201204
春雨に包まれながら梅ひらく 山田六甲 六花 201204
動き出すもぐらの土や梅ひらき 林八重子 馬醉木 201205
ふたつみつ紅梅ひらく日和かな 藤原若菜 春燈 201205
老・痩・疎や山門脇の梅開く 齋藤晴夫 春燈 201205
梅ひらく歩幅大きく男の背 鴨下昭 201205
身の丈の幸に合はせて梅ひらく 犬丸勝子 201206
妊れる日の遠くあり梅開く 平居澪子 六花 201206
梅ひらき一山雨にけむりけり 吉田きみえ 末黒野 201206
忌中の字貼られし家の梅開く 赤松赤彦 六花 201212
大願成就の御礼参りや梅ひらく 大文字孝一 春燈 201304
梅ひらく父へするどき少女の眼 宮坂恒子 201304
玉響の命臘梅開き初む 山田夏子 雨月 201304
梅ひらく何時もながらの手術前 明石文子 ぐろっけ 201305
ダイヤ婚迎へし二人梅開く 松木清川 ぐろっけ 201305
梅開く何時もどおりの手術前 明石文子 ぐろっけ 201307
山門の弾痕しるし梅ひらく 佐々木よし子 201404
あらあらと四十九日の梅ひらく 山崎靖子 201405
九体仏に九品浄土の梅ひらく 安部和子 雨月 201504
梅ひらくかつて夫との径なる 吉田きみえ 末黒野 201505
忌に添ひて庭の白梅開き初む 大橋晄 雨月 201505
梅ひらく目玉の光る閻魔さま 鈴木昌子 やぶれ傘 201506
野に還りつつある捨て田梅開く 工藤ミネ子 風土 201507
神代小橋渡れば浄土梅ひらく 水井千鶴子 風土 201507
うつくしさわがものとせず梅ひらく 丹羽武正 京鹿子 201507
忌に添ひて庭の白梅開き初む 大橋晄 ホトトギス 201508
梅ひらく米の祝の母たたへ コ田千鶴子 馬醉木 201602
寺町や卍の風に梅ひらく 鈴鹿呂仁 京鹿子 201603
莟なる闇ときほどき梅ひらく 藤丸誠旨 春燈 201604
胞衣塚の宙かたくなに梅ひらく 鈴鹿呂仁 京鹿子 201604
心地よきこの二三日梅ひらく 長崎桂子 あを 201604
あおぞらの底に郡衙や梅開く 間島あきら 風土 201605
梅ひらく子等の声する陣屋跡 上野静子 末黒野 201605
寒紅梅ひらくほど空青みけり 岸洋子 201606
四歳の児の語彙増して梅開く 神田惣介 京鹿子 201607
梅開く今日はごめんと言えそうな 南北佳昭 船団 201612
百三歳迎ふる母へ梅ひらく 稲岡みち子 雨月 201705
梅ひらく方へ寝床を引き寄する 宮井知英 201705
老梅や色無き庭に紅ひらく 黒滝志麻子 末黒野 201706
年酒酌む口中に梅ひらくごと 神蔵器 風土 201712
庭の梅待ち遠しくて雨戸開く 久保晴子 雨月 201804
一生のこのひとときの梅ひらく 北川孝子 京鹿子 201804
福耳の遣影の姉や梅ひらく 渡邊千枝子 馬醉木 201804
猫塚や山房跡の梅開く 須賀敏子 あを 201804
無位無冠無欲清貧梅ひらく 上谷昌憲 201805
好天や寺の静寂に梅開く 黒滝志麻子 末黒野 201805
梵鐘の余韻の中や梅ひらく 荒尾かのこ 京鹿子 201806
狛犬の大きな鼻孔梅ひらく 原友子 201806
梅開く暗き庭にも白濃くて 江口九星 201902
枝垂れ梅夜来の雨に開きそむ 石本秋翠 馬醉木 201905
一仏に祈ぎ事一つ梅ひらく 尾崎みつ子 雨月 201905
香煙を纏ひつつ梅開き初む 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
静かなる里の交番梅ひらく 西本花音 春燈 202004
撫で牛の鼻のつややか梅開く 内藤静 風土 202104
暁鐘の一打一打や梅開く 宮坂秋湖 202205
次々と庭の日影の梅開く 小池一司 やぶれ傘 202206
逆光にひときはつよく梅ひらく 立竹人 春燈 202207

 

2023年2月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。