早 梅     138句

早梅や御室の里の売屋敷    蕪村

 梅一輪 梅ヶ香 梅咲く 梅寒し 白梅 紅梅 梅白し

梅月夜 梅蕾 梅匂う 梅二月 梅の花 梅日和 梅ひらく

梅ふふむ 梅祭 梅見 探梅 盆梅 老梅 野梅

梅園 梅林 枝垂梅 早梅 飛梅 観梅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
咲き増ゆる刻早梅でありしかな
稲畑汀子
ホトトギス
199901
早梅のほっと某師の旧居かな
阪上多恵子
雨月
199901
早梅や水音のする山の神
升本行洋
春耕
199903
早梅や水かげろふの照る庇
深川知子
俳句通信
199905
早梅の白さを見たり雨の中
阿部ひろし
酸漿
200002
一本の早梅のあり絵馬結ぶ
小石秀子
酸漿
200003
早梅を仰ぎて祈り同じうす
山田弘子
円虹
200004
早梅やセーター淡き一少女
中川悦子
酸漿
200004
早梅や落慶の餅くばる宮
中川冬紫子
春耕
200004
早梅や畦ごとに置く肥叺
武田孝子
春耕
200004
早梅の世間知らずの花二三
中原道夫
銀化
200101
早梅を話題にしてる帰りぎわ
安井よしこ
船団
200103
早梅を見出でし声を咲かせけり
宮津昭彦
200104
早梅や名利もとめぬ暮らしして
小澤克己
遠嶺
200105
早梅や通夜明けの茶は立って飲む
佐々木峻
船団
200108
早梅の一樹をかこみ園荒るる
能村登四郎
羽化
200110

 祝「草蔵」創刊

早梅の綻びてすぐ日を抱く

山田弘子
円虹
200201
早梅といふ文学館だよりかな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200202
早梅に万の蕾を余したる
稲畑汀子
ホトトギス
200202
含羞の色とや言はむ早梅を
林翔
200203
画仙紙に早梅の彩零しけり
田中矢水
遠嶺
200204
早梅や絶えて人影なき門に
関章子
百鳥
200204
早梅に人のまなざしみな澄みし
武井美代子
風土
200204
早梅やもっと摘んで来いと翁
森田子月
ぐろっけ
200204
早梅や海女の桶干す石鏡郷
長田等
200207
早梅に決意の顔を上げにけり
大串章
百鳥
200303
早梅や天向いて噴く注射液
中村尭子
銀化
200303
早梅や鳥の咥へしもの動く
泉京子
帆船
200304
早梅や木戸より入る芭蕉館
遠藤和彦
遠汽笛
200312
早梅や由々しく閉す家老門
神田一瓢
雨月
200404
早梅や眼鏡かけたりはづしたり
飯塚ゑ子
火星
200404
早梅や時彦の世は終りたる
宮津昭彦
200404
早梅の谷中に逢ふて日暮れけり
宮津昭彦
200404
早梅の流れに沿ひて咲き始む
東芳子
酸漿
200404
早梅に潮の香りのありにけり
狩野朝子
対岸
200404
早梅やはるかを目指し沖を船
湯浅夏以
遠嶺
200405
早梅にいくたび変はる雲のいろ
大磯幸子
河鹿
200405
累々の絵馬と早梅日を分かつ
藤原照子
200504
早梅やなかなか起きぬ女学生
島元文
遠嶺
200504
早梅や兵の墓標にある歴史
芝生南天
河鹿
200504
早梅や広き裾野に日矢降れり
清原彰子
河鹿
200505
早梅とならむ蕾も雪の中
林翔
200604
早梅の蕾の固く風呼べり
長野純顕
対岸
200604
早梅や指の先まで父老いぬ
柴田佐知子
200702
早梅や娘に告ぐること一つ
堀志皋
火星
200704
早梅や三界つなぐ太鼓橋
青山悠
200704
早梅や遊ぶと見えて人働き
野路斉子
200704
早梅の呟くごとき紅をふと
木内憲子
200704
早梅や流水に沿ふ蔵の町
上柿照代
馬醉木
200705
早梅や日の行きわたる関ヶ原
宮津昭彦
200705
参道の早梅に皆立ち留まる
大井邦子
ぐろっけ
200705
早梅に始まる寺の庭明り
金子野生
京鹿子
200705
早梅や堂をもれくる法華経
小林眞彦
遠嶺
200705
早梅や名声高き城下町
中川すみ子
200802
早梅や張り子の神馬耳立てて
大竹淑子
風土
200804
早梅や小さき苑の嘯月楼
後藤大
春燈
200804
天網恢恢早梅に翳りあり
寺田すず江
200804
野阜の早梅に日のやはらかき
川崎良平
雨月
200804
早梅や撫で牛優し目差しに
落合由季女
雨月
200805
早梅や出て視てほしく夫へ声
嶋田摩耶子
ホトトギス
200806
早梅の輪郭留め日の沈む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200901
早梅に天より白き試練かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200901
早梅や長谷観音の門の前
阿部ひろし
酸漿
200902
早梅に結ぶ少女のみくじかな
和田政子
200903
早梅や手術予定の☆印
山崎ゆき子
炎環
200903
早梅や天神池に亀をらず
折橋綾子
200904
早梅を共に見てゐる気のしたる
前川明子
200905
早梅や熱海の茶屋の緋毛氈
文田多加
200907
南伊豆てふ早梅の褥かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201001
早梅に太平洋の風荒し
稲畑廣太郎
ホトトギス
201001
早梅の日に応へたる白さかな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201001
早梅や風になびける三輪素麺
山田春生
万象
201004
早梅や城への道の鈎曲り
泉田秋硯
201005
早梅の紅や人形供養の碑
菅野日出子
末黒野
201005
早梅に虻の飛び来るひと日あり
小山ナオ子
酸漿
201005
早梅や読み解く句碑は紅葉にて
田宮勝代
酸漿
201005
姉妹らし早梅仰ぐ顔寄せて 安立公彦 春燈 201103
早梅や庭に回りし人の声 大嶋洋子 春燈 201104
早梅に茶席しつらふ天満宮 舩越美喜 京鹿子 201104
早梅に暮色かかりて忌の近し 舩越美喜 京鹿子 201104
傍らに早梅香り無縁塚 菅野日出子 末黒野 201105
早梅のほころびに日の集まりぬ 久松和子 万象 201105
早梅や水琴窟の水ころげ 国包澄子 201203
小面の笑み早梅の蕾かな 近藤喜子 201204
早梅へ悼むこころを重ねつつ 川口利夫 ホトトギス 201207
早梅や開国の海見ゆる丘 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
一歩又一歩早梅香を寄せて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
綻びてほころびて早梅となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
反り橋に早梅の影濃く淡く 青木由芙 末黒野 201305
早梅の風にさそはれ白寿かな 原田たづゑ 春燈 201306
早梅や絵巻の仮名の墨うすれ 植田桂子 馬醉木 201401
早梅のどこか香りのただよへる 稲畑汀子 ホトトギス 201402
早梅の一輪にのる海明かり 柴田近江 201402
早梅や童子顔なる白鳳仏 山田春生 万象 201404
早梅にこころもとなき日ざしかな 武生喜玖乃 雨月 201404
谿暮れて早梅の香の仄かなり 石川個子 馬醉木 201405
早梅の二輪空恋ふ角度かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
早梅や雫を含む槍皮葺 石川かおり 201504
早梅やむさし野の空ひろびろと 山田春生 万象 201504
じゃんけんを早梅とする石を出す 佐藤喜孝 あを 201511
早梅の希有なる風にふたごころ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201603
石切場そばの早梅咲きにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201603
白早梅薄うす残る昼の月 川村亘子 末黒野 201704
早梅の紅やいつもの曲り角 江見悦子 万象 201704
早梅や朝の燭足す淡島堂 山田春生 万象 201704
早梅や猫の居座る神楽殿 山本とく江 万象 201704
早梅の人影淡き園巡る 岡田正義 雨月 201705
早梅の青ざめてゐる白さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
日溜りの早梅告ぐるものは何 金森信子 雨月 201804
早梅の虚ろを痛む御溝水 鈴鹿呂仁 京鹿子 201804
早梅に風荒き日となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201901
早梅や稚魚の影透く野の流れ 松本三千夫 末黒野 201904
早梅のただ一輪を囲みけり 黒滝志麻子 末黒野 201904
早梅や絵馬に数多の希望校 長尾タイ 末黒野 201904
早梅の咲き揃ひたる曽我の里 武田ナオミ 末黒野 201905
全きを得て早梅の二三輪 鈴鹿呂仁 京鹿子 202003
早梅の香や寿福寺を訪ねたく 熊岡俊子 雨月 202003
早梅の真白をくぐり祠まで 久米憲子 春燈 202004
早梅や送迎バスを待つ園児 増田裕司 やぶれ傘 202006
早梅の静寂日輪解きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
早梅のほころびゐしと庭に客 稲畑汀子 ホトトギス 202101
早梅の輝き白し客を待つ 稲畑汀子 ホトトギス 202101
早梅の輝く朝の来てをりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 202101
快晴といふ早梅の二三日 稲畑汀子 ホトトギス 202101
早梅に仏具磨きてをりしかな 中野あぐり 春燈 202102
早梅へ天つ光を零しをり 本郷公子 京鹿子 202105
早梅を見上ぐる先に昼の月 森美佐子 やぶれ傘 202105
早梅の右の家にも左にも 石塚清文 やぶれ傘 202105
早梅や江戸の名残の常夜灯 谷口摩耶 202204
早梅や床几に深き息をして 北村操 202204
早梅や首都の一隅引き締めて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
蒼天に早梅解れゆく早さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
枯色の中早梅の孤高かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302

 

2023年2月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。