梅ヶ香(梅匂ふ)4     200句

春の夜の闇はあやなし梅花色こそ見えね香やはかくるる   凡河内躬恒 

 梅一輪 梅ヶ香 梅咲く 梅寒し 白梅 紅梅 梅白し

梅月夜 梅蕾 梅匂う 梅二月 梅の花 梅日和 梅ひらく

梅ふふむ 梅祭 梅見 探梅 盆梅 老梅 野梅

梅園 梅林 枝垂梅 早梅 飛梅 観梅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
死の前か後か寒九の梅匂ふ 神蔵器 風土 201003
夜は夜の水音のあり梅香る 木下忠雄 酸漿 201003
梅が香や天うつくしき名古屋城 伊藤敬子 201003
梅ヶ香や毎日毎日生き返る 佐藤喜孝 あを 201003
「高砂」を謡ふ村長むらおさ梅香る 田下宮子 201004
丸彫の仏三体梅匂ふ 坂上香菜 201004
梅匂ひ人の集まる路上芸 大西八洲雄 万象 201004
梅が香や闇のふくらむ露地の雨 田中美智子 201004
その昔甲斐絹の里や梅香る 長坂ヤス子 酸漿 201004
凶みくじ結ぶ日だまり梅匂ふ 館容子 201005
梅の香の奥覗きけり当麻寺 渡邊美保 火星 201005
梅の香といはれてよりの香りかな きくちきみえ やぶれ傘 201005
手延べ玻璃御座所に梅の香り立つ 布川孝予 京鹿子 201005
一山を真白に染めて梅香る 清水美子 春燈 201005
梅が香に撫牛首をもたげけり 篠原幸子 春燈 201005
梅香る写経の女の筆なごみ 小俣剛哉 春燈 201005
電飾の里は幻梅香る 島純子 ぐろっけ 201005
主文聞き八年ぶりの梅匂ふ 河村武信 ぐろっけ 201005
梅が香や平安の世もかくあらむ 樺山翠 雨月 201005
梅の香の豊かに峡の十戸かな 和田一 雨月 201005
離れては寄りては梅が香に浸る 本多正子 雨月 201005
朝まだき湖の静けさ梅匂ふ 中川悦子 酸漿 201005
あえかなる梅が香のあり梅の席 草本洋子 201005
梅の香のとどく舞殿嫁御寮 堺昌子 末黒野 201006
梅の香にとり残されし思ひかな 千原叡子 ホトトギス 201006
本陣の跡に早咲き梅香る 中村則夫 やぶれ傘 201006
黄昏るる梅ひとひらの香りかな 奥山絢子 風土 201006
梅が香に猫幾度も背伸びして 武司琴子 ぐろっけ 201006
梅香る宮に祈願の絵馬多し 武司琴子 ぐろっけ 201006
咲き誇る梅匂やかに昼の月 小松サチコ ぐろっけ 201006
観梅の髪に梅の香移るまで 古川千鶴 201006
風向きの梅の香りを運ぶとき 今井千鶴子 ホトトギス 201007
梅が香や太極拳を試みる 北村香朗 京鹿子 201007
梅が香や一族つどふ百年忌 金子つとむ ろんど 201007
白梅よ花を散らすな香を散らせ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
日差得てより梅が香の立ち上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
梅が香にこの悲しみを解かんと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
言の葉を選ぶ術なく梅が香に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
一輪の香より梅見となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
たちまちにほころぶ梅の日向かな 稲畑汀子 ホトトギス 201102
梅の香を東に向きて風見鶏 長谷川鮎 ぐろっけ 201102
梅が香に男誘はれゐたりけり 白数康弘 火星 201103
咲き満ちて梅ヶ香うすうなりにけり ことり 六花 201103
あかときのほのと茜の梅匂ふ 坂上香菜 201104
風くれば風の匂ひて梅の花 平子公一 馬醉木 201104
白梅の手囲ひの香や風の中 海村禮子 春燈 201104
この世とも思へぬ梅の香かな 四條進 201104
梅の香のぶつかるやうに消えゆけり 黒澤登美枝 201104
廻道して梅の香に出逢ひけり 黒澤登美枝 201104
筆塚や社に梅の香りをり 設楽唱子 酸漿 201104
佇めば梅の香仄か渓の風 三川美代子 201105
梅の香や一機一台男帯 小林和子 風土 201105
万太郎旧居訪ふ梅ヶ香の女坂 鷹崎由未子 春燈 201105
傍らに早梅香り無縁塚 菅野日出子 末黒野 201105
枝折戸の開けあり梅の香り来る 澤田澄子 末黒野 201105
日が沈む梅百幹の香を残し 遠藤真砂明 201105
禅林の屋根のいろいろ梅香る 渡邉孝彦 やぶれ傘 201105
この橋に来りひときは梅匂ふ 飯田角子 酸漿 201105
百本の梅の香に酔ひ巡りけり 井口初江 酸漿 201105
梅が香のただよひて来し座敷かな 設楽唱子 酸漿 201105
枝撥ねてにはかに梅の匂ひけり 笹村政子 初鼓 201105
梅ヶ香やじはりじはりと六腑まで 吉弘恭子 あを 201105
白梅の香り安堵の一と日かな 井田実代子 雨月 201105
梅が香やまぢかに迫る大伊吹 川崎良平 雨月 201105
梅の香や欄間に彫れる高瀬舟 池田加寿子 201106
梅暮れてうすくれなゐの香の残る 長山あや ホトトギス 201106
向拝ごはい)へと梅の香届く小昼かな 安藤久美子 やぶれ傘 201106
土地勘のなき町梅の香のはうへ 濱上こういち 201106
梅散るや身に纏ひくる匂ひあり 赤羽陽子 春燈 201106
ただにただ白梅の香をたつとびぬ 石脇みはる 201106
梅が香や紅梅亭の蕎麦啜り 小川玉泉 末黒野 201106
梅が香の仄かに揺れて追ひ越さる 福田房子 末黒野 201106
媛塚にほのと匂へる梅の花 藤田かもめ ぐろっけ 201106
結納に梅香も包み紋風呂敷 岩木眞澄 ぐろっけ 201106
雨の夜は香馥郁枝垂れ梅 河村武信 ぐろっけ 201106
梅の園一目千本香りくる 木野裕美 ぐろっけ 201106
梅が香や二合半こなからに酔ふ白昼夢 松本文一郎 六花 201106
神苑の梅が香に立つ芭蕉句碑 網野茂子 酸漿 201106
撫で牛やしだるる梅の香の仄か 岡野里子 末黒野 201107
風少しいでて匂へる月の梅 國保八江 やぶれ傘 201107
足湯せり香りあふるる梅の中 小滝奈津江 酸漿 201107
紅梅の重ねし齢香りけり コ田千鶴子 花の翼 201111
梅が香の馥郁と汝が一周忌 稻畑汀子 ホトトギス 201202
梅が香は汝がための供華なりしかな 稻畑汀子 ホトトギス 201202
一筋につらぬく心梅が香に 稻畑汀子 ホトトギス 201202
梅ヶ香をやさしう散らす瀬戸の風 久永つう 瀬戸の海 201203
小流れを跨ぐ木橋や梅匂ふ 新谷フクヱ 末黒野句集 201203
ふつと消えふつと射す日に梅匂ふ 黒滝志麻子 末黒野句集 201203
梅が香の風のさらへる朝かな 鈴木綾子 末黒野句集 201203
梅が香や日の斑を踏みて躙口 前原マチ 末黒野句集 201203
梅にほふ最晩年の朝鏡 渕上千津 201204
日の差して来し文机の梅匂ふ 都丸美陽子 春燈 201204
梅が香や風の便りといふたより 川村清子 馬醉木 201205
溪流の風噴きあげて梅にほふ 久保東海司 201205
梅が香や無明の眠り覚めやらず 西村純太 201205
梅が香を深く吸ひ込み受験生 紅谷芙美江 万象選集 201205
梅が香や鎧がさねの祈願絵馬 戸田春月 火星 201205
梅が香やゆるりと動く風見鶏 廣瀬雅男 やぶれ傘 201205
梅が香に日照雨いく度小町寺 中川すみ子 201206
雨止んで梅が香つよき明日香村 菅谷たけし 201206
梅が香にひかれて母の手を曳けり 藤井久仁子 ぐろっけ 201206
梅におう梅かおる梅いつのまに 中原幸子 船団 201206
梅匂ふ風向計は東指す 阿久澤利男 やぶれ傘 201206
万葉の世もかくありし梅匂ふ 山口キミコ 九十九島 201209
あと一日熟れ待つ笊の梅匂う 濱田ヒチヱ ぐろっけ 201210
梅が香に誘はれ窓を開けにけり 小林はじめ 六花 201212
梅が香と判る歩幅でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
一輪といふ梅が香の気品かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
荘厳な鷲の襖絵梅匂ふ 坂上香菜 201404
梅匂ふ雨後の日差しの耀ひて 大川暉美 末黒野 201404
力抜く一枝もあらず梅匂ふ 松本三千夫 末黒野 201405
梅にほふ膝を平らにゐてひとり 浜口高子 火星 201405
梅が香や士ふつくりともぐら塚 篠原幸子 春燈 201405
梅が香に太陽の塔爆発す 小瀧洋子 ろんど 201405
青空や眉の高さの梅匂ふ 岡井マスミ 末黒野 201406
礼参り梅が香りのひと日かな 北尾章郎 201406
梅が香に老の介護の車椅子 戸田澄子 末黒野 201406
梅が香や虚子の館に先師遺句 横山昭子 雨月 201407
梅が香やゆうふらてすを杳かにし 高橋龍 201410
梅が香やもう会ふことの出来ぬ君 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
梅が香に芝公園の時止まる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
香の届かざるは俯瞰の梅林 稲畑汀子 ホトトギス 201503
白梅のちらほら こう のよき手紙 山田六甲 六花 201503
探梅や菅公詩編手に香る 四條進 201503
かそけきは梅一輪の香なりけり 大木清美子 201504
梅が香や同じ姓なる墓並び 山田愛子 201504
梅が香の寺をつなぎて谷戸歩き 堤京子 馬醉木 201505
梅匂ふまで青空の下りて来し 松田泰子 末黒野 201505
早咲きの白梅の香や女坂 稲垣佳子 末黒野 201505
裏山になほ日のありて梅香る 加藤千春 春燈 201505
ひとつづつ香りを聞きて梅五輪 竹内タカミ 201505
梅の香や映画の余韻消えぬまま 須賀敏子 あを 201505
起き抜けの匂ひをかぶる梅の里 三木千代 201505
薄紅梅万本の香に賀名生村 三輪温子 雨月 201506
親の墓その祖の墓梅香る 金森教子 雨月 201506
梅一輪香り届かぬメールかな 秋田典子 六花 201506
鳥翔ちて梅の香ぱつとひろごれり 室谷幸子 万象 201506
梅が香や胸突坂をひと息に 山本絢子 万象 201506
うらさぶる一人の夜半梅匂ふ 飯田ひでを 201506
振り向きて軽き会釈や梅匂ふ 松田泰子 末黒野 201506
梅が香や心して踏む池の石 有賀鈴乃 末黒野 201506
青年のリュックはみ出し梅匂ふ 橋場美篶 末黒野 201506
梅が香やお礼の絵馬の十重二十重 山崎稔子 末黒野 201506
筆跡の荒むまで梅匂ひけり 田村園子 201506
読み了へし一書の重み梅香る 福永みち子 馬醉木 201506
梅が香や嫗働くところ得て 井浦美佐子 201506
目を病みし母に梅の香手で送る 立花一枝 201506
梅の香や斎場へ径別れゆく 工藤ミネ子 風土 201507
梅が香を部屋いつぱいにせし花瓶 藤波松山 京鹿子 201507
朝の鳥発ちて梅の香ひろごれり 西川みほ 末黒野 201507
紅白の匂いを運ぶ梅に風 大山夏子 201508
咲き満ちし梅の香りの七重八重 竹下陶子 ホトトギス 201509
梅の香や死者の鼻より綿のぞき 大崎紀夫 虻の昼 201510
暁の香に満ちてあり白き梅 遠野あきこ 船団 201512
賀の余韻てふ梅が香でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201602
梅が香に江戸の風情を引き寄せて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201602
梅咲きて忽ち添へる香りかな 稲畑汀子 ホトトギス 201602
紅梅の匂へる空の夕づけり 高橋たか子 馬醉木 201704
梅の香の茶房に長居して寧き 磯野しをり 雨月 201704
梅の香の五番札所の鐘絶えず 磯野しをり 雨月 201704
梅の香を肺腑に満たし再渡米 伊吹之博 京鹿子 201705
梅が香のとどく山里曲輪まで 玉置かよ子 雨月 201705
城の梅太閤の世へ香を放つ 玉置かよ子 雨月 201705
躙り口より白梅の香り来る 福岡かがり 雨月 201705
新しき鳥居くぐれば梅香る 須賀敏子 あを 201704
梅香り鯉は口より浮びくる 松田多朗 馬醉木 201705
梅の香の寺ぬけ魚買ひにゆく きくちきみえ やぶれ傘 201705
吽像は紅梅の香に包まれて 丑久保勲 やぶれ傘 201705
匂はざるほどのふくらみ寒紅梅 岸洋子 201705
川音や梅の香れる奥の院 廣畑育子 六花 201705
白梅の移り香のせて友の文 竹内慶子 春燈 201705
元の使者祀る碑梅香る 小川玉泉 末黒野 201705
紅白の梅の香さそふ里曲道 堺昌子 末黒野 201705
梅が香や斜陽ゆかりの寓居跡 今村千年 末黒野 201705
老幹の太き添木や梅香る 橋場美篶 末黒野 201705
山門にほのと梅の香庫裡は留守 服部珠子 雨月 201706
梅が香やますます遠き母の耳 遠山悟史 京鹿子 201706
梅が香や造り小島へ太鼓橋 斉藤マキ子 末黒野 201706
噎せ返る臘梅園の香の強き 加藤タミ 末黒野 201706
梅が香や手水の鉢はしゃこ硨磲貝よ 中島陽華 201706
神々に届けとばかり梅香る 犬塚芳子 201706
梅ケ香や社の森に漂へり 藤波松山 京鹿子 201707
移り香をまとひ盆梅展を出づ 笹倉さえみ 雨月 201707
支へ合ふ老いの暮しや梅香る 野畑さゆり 201706
死にさうにないと百歳梅香る 青木朋子 201706
青梅の香り満ちをり恐ろしき 加藤みき 201708
祠なる深き闇より梅香る 高橋和女 風紋 201709
日溜りに猫日表に梅香る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
梅が香に朝の空気の入れ替る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
梅が香を啄んでゐる一羽かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
香りまで乾ききつたる濃紅梅 今井肖子 ホトトギス 201803
梅香る身の笹ふつと緩びけり 楠原幹子 201804
梅が香や斜陽ゆかりの寓居跡 今村千年 末黒野 201804
梅林や猫も登りて香を愛でる 秋川泉 あを 201804
白梅の匂ひ余生のひきしまる 本多俊子 201805
庭梅や匂ひ纏ふて夫見舞ふ 高野昌代 201805
梅が香の帯にゆるみのなかりけり 鷺山珀眉 京鹿子 201805
梅ヶ香や鑿跡しげき切通 林紀夫 春燈 201805
御室派のみほとけ集ひ梅香る 本多遊方 春燈 201805
梅ヶ香→5      

 

2021年2月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。