秋 霖 1    211句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋霖や仏足石に山の影 皆川盤水 春耕 199810
秋霖といふ変象に入りしより 柴尾一浪 円虹 199901
ぶらんこが罠のようにある秋霖 南村健治 船団 199902
秋霖や夜はひらひら魚の群 今城知子 船団 199903
城端の秋霖に濡れ旅心 稲畑汀子 ホトトギス 199909
秋霖の燭下ホームズ居るやうな 村上光子 馬醉木 199911
秋霖や三瀧寺本坊狐狸棲むかに 和田敏子 雨月 199912
秋霖を払ふ声なり四十雀 菊地恵子 酸漿 200001
秋霖に翼二枚を落としけり 星野早苗 空のさえずる 200002
秋霖やけものに似たる身の温み 田中藤穂 水瓶座 200002
泪瞳に秋霖がきてしよぼつかす 瀧新珠 京鹿子 200002
秋霖や黙ってすわるねこの影 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
秋霖や駅前屋台の灯のやさし 塩見恵介 虹の種 200005
秋霖やボールの痕の防波堤 山田六甲 六花 200011
秋霖や灯を一列に港町 小島邦子 俳句通信 200011
秋霖の音聞きおはす思惟仏 深川知子 俳句通信 200012
給水塔秋霖けぶる森の中 佐藤フクエ 春耕 200012
秋霖や捨てるものなき道具箱 竹内弘子 あを 200101
秋霖やわれを拒むか余呉の湖 志方桜子 六花 200101
秋霖や光源氏のひとでなし 高橋とも子 200107
秋霖の上るを待てぬ旅名残 稲畑汀子 ホトトギス 200109
秋霖ののらくロードといふ人出 稲畑廣太郎 ホトトギス 200111
秋霖の脇を掻きゐる金絲猴 山田六甲 六花 200111
秋霖や門点さるる知事公舎 松塚香寿子 俳句通信 200111
秋霖やネオンの街に献花台 成澤桂助 百鳥 200112
秋霖や甥っ子の骨拾ふとは 大石よし子 雨月 200112
秋霖やさらに樹齢を重ねゆく 栗林眞知子 円虹 200201
秋霖に等しく濡れる北山杉 秋田直己 ぐろっけ 200201
秋霖を身にまとひつつ結願寺 林和子 200202
秋霖や熔岩の芯まで透らむと 林翔 200211
髭面の中秋霖の目玉かな 滝本正史 帆船 200211
秋霖の旧街道に関の跡 林和子 雲の峰 200212
秋霖や診察券を忘れ来し 三遊亭金遊 百鳥 200301
秋霖や梯子を噛みし鬼瓦 柴田英彰 200301
秋霖の古城街道川に沿ひ 川口利夫 ホトトギス 200302
秋霖に老いの散歩を奪はれて 原三猿子 ホトトギス 200302
秋霖やながれ流れて住み付きし 竹内弘子 あを 200310
秋霖に前灯尾灯街道行く 芝宮須磨子 あを 200311
ひねもすの秋霖視野を洗ひけり 中村茂子 築港 200311
秋霖や魚屋で買ふ玉子焼 後藤志づ あを 200312
秋霖や土塀に波の跡留む 森理和 あを 200312
秋霖の止み束の間の夕日かな 辻本興雲 雲の峰 200312
秋霖や等身大の和紙人形 大澤君予 遠嶺 200312
禪林の門秋霖の杉木立 小山徳夫 遠嶺 200401
秋霖を睨み付けたり鬼瓦 佐本英介 築港 200401
秋霖や軒の深きに楮干す 仲尾弥栄子 雲の峰 200401
炉煙の秋霖の野ににじみけり 金川眞里子 百鳥 200401
秋霖に日本シリーズ長引きぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200410
秋霖や昼灯ししてキーボード 土肥屯蕪里 雲の峰 200411
秋霖にけぶる檜皮の修験堂 祐森省造 雲の峰 200411
秋霖や顔寄せ語る羅漢様 中里カヨ 酸漿 200412
秋霖の駅舎ステンドグラスかな 田中藤穂 あを 200412
秋霖に三時を打てる時の鐘 田宮勝代 酸漿 200412
秋霖や百の燭ゆる鉈薬師 鵜飼正子 栴檀 200501
秋霖やシルバーシート誰も居ず 森山のりこ あを 200501
秋霖のムンクの叫びとも違ふ 木村みかん 200501
秋霖や斎壇にある酒二本 河内桜人 京鹿子 200501
秋霖や冷たくひかる蜘蛛の糸 笹川イツ子 200505
一枚の沼に秋霖吸はれゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200509

 更に弟を亡ふ

秋霖の衢うつろにさわがしき

瀧春一 菜園 200509
秋霖やぺーブメントに下駄の音 林翔 200510
秋霖の有馬に蕎麦をすすりけり 山田六甲 六花 200511
秋霖の煉瓦倉庫にジャズバンド 三枝邦光 ぐろっけ 200601
秋霖や踏み絵の人の罪と罰 西村純太 200601
秋霖を避け一刻の美術館 伊藤稔代 200601
御招ばれの秋霖の朝帯を選る 玉川悠 遠嶺 200601
秋霖や川に釣竿五六本 鳴海清美 六花 200602
秋霖にプラチナ色の軒雫 木暮陶句郎 ホトトギス 200602
秋霖や畳の部屋に寝転んで 山田六甲 六花 200610
秋霖や北陸線のうす汚れ 那須淳男 馬醉木 200611
秋霖や軒端雀に名をつけて 村越化石 200611
秋霖や早退のひと眼で送る 竹内弘子 あを 200611
秋霖や机上に鍵と文庫本 加藤峰子 200612
秋霖に籠りて仕上ぐ豆人形 沼沢破風 200612
秋霖の晴るれば夫を見舞ひけり 松崎牧子 200612
秋霖や消えてはつきし螢光灯 秋岡朝子 200612
秋霖や苔青々と法の庭 夏目満子 酸漿 200612
秋霖の町越え来る時の鐘 名取すみ子 酸漿 200701
秋霖や飛鳥美人に黴の跡 河内桜人 京鹿子 200701
秋霖や情の作家偲びなば 山田夏子 雨月 200702
秋霖や廃坑近き遊女墓 松元末則 酸漿 200702
秋霖や君への涙雨かとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
秋霖の芝公園といふ一会 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
秋霖や素足の白き修業僧 林佳枝 酸漿 200712
秋霖や軒端に人の香ののこり 廣畑忠明 火星 200712
秋霖やまつ先に濡る鬼瓦 宇都宮滴水 京鹿子 200712
秋霖にぼっと色づく花ありき 長崎桂子 あを 200712
秋霖や統合等合近き小学校 森理和 あを 200712
秋霖をたつぷりふくみ晴れあがる 吉弘恭子 あを 200712
秋霖や近頃顔を見せぬ猫 芝尚子 あを 200712
野の墓標秋霖に置き母郷去る 渡邉友七 あを 200712
秋霖やつばめかへりし文書館 竹内弘子 あを 200712
秋霖の蛇行してゆく山の道 東亜未 あを 200712
秋霖に取りあげられし庭仕事 東亜未 あを 200712
秋霖に逝くテノール歌手の太き咽 鈴木多枝子 あを 200712
秋霖に紛れず五時のチャイム鳴り 鈴木多枝子 あを 200712
秋霖のひと日を夫に凭りゐたり 篠田純子 あを 200712
秋霖やインターネットで小旅行 須賀敏子 あを 200712
秋霖やてのひらかわいてをりにけり 佐藤喜孝 あを 200712
秋霖やびたりと閉まる表門 森山のりこ あを 200712
秋霖やゆつくり曲る都電かな 鎌倉喜久恵 あを 200712
秋霖や空也の像のひすいの目 篠田純子 あを 200712
秋霖や午後休診を知らず来て 木村茂登子 あを 200712
秋霖や朱色の滲む幟旗 森山のりこ あを 200712
秋霖や小屋の奥より山羊の声 早崎泰江 あを 200712
秋霖や赤ちょうちんは暮れ六つに 堀内一郎 あを 200712
秋霖や大屋根に鳩身じろがず 鎌倉喜久恵 あを 200712
秋霖や釘打つ音に靴屋さん 森理和 あを 200712
秋霖や白樺の白浮きたたす 木村茂登子 あを 200712
秋霖や聞き役となる車椅子 森山のりこ あを 200712
秋霖や片目とぢもう片目閉づ 篠田純子 あを 200712
訃は突と秋霖松の瘤濡らす 定梶じょう あを 200712
秋霖の烟る皇居に灯の点る 大澤君予 遠嶺 200801
秋霖や珈琲の香の銀座路地 村上光子 馬醉木 200801
秋霖や蔟に深く繭ねむり 林八重子 馬醉木 200802
新聞夫広き歩幅を秋霖に 大空純子 ぐろっけ 200802
秋霖や夜を鳴き過ぐる五位の声 東良子 首座星 200804
秋霖やふと声かけて用もなし 坪内稔典 稔典句集 200804
秋霖の視界迷はぬ目的地 稲畑汀子 ホトトギス 200809
水嵩といふ秋霖の忘れ物 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
爽やかな旅秋霖に降られても 稲畑汀子 ホトトギス 200809
秋霖やほとほと黒き森の色 林翔 200810
追憶の中に秋霖あることを 稲畑汀子 ホトトギス 200810
秋霖に川音高き流れ橋 山本孝夫 200811
秋霖やそこここうねる石畳 森理和 あを 200811
秋霖や又もや繰りし生きめやも 中山皓雪 200811
秋霖や籠りて古き句帳繰り 前川千恵子 雨月 200812
オペラ聴く秋霖の夜の無限かな 古田晴子 200812
秋霖やてるてる坊主逆しまに 松山三千江 春燈 200812
秋霖や水墨画めく比良比叡 三川美代子 200812
秋霖や草に拾ひし虚貝 松原仲子 200812
秋霖を流れてきたる五時の曲 高橋道子 200812
秋霖の微熱持つ暮父帰る 松田都青 京鹿子 200901
雑木林へつるばみいろの秋霖 辻直美 200901
秋霖や裾をからげて湯めぐりに 佐藤和子 万象 200901
秋霖や堂塔巡るおくれがち 北村香朗 京鹿子 200901
雨脚の見えぬ秋霖佐渡濡らす 泉田秋硯 200902
秋霖に明石大門の灯りけり KOKlA 六花 200902
秋霖や黄金といふ夢の色 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
秋霖やみなとみらいの避雷針 山崎ゆき子 炎環 200911
秋霖や十兵衛杉の焦げ色に 水原春郎 馬醉木 200912
秋霖や旅の余韻のしをり読む 佐藤康子 遠嶺 200912
秋霖は風雅の演者二寧坂 川井秀夫 ろんど 201001
秋霖や深くこころにかかること 溝内健乃 雨月 201001
点けし灯のたちまちにして秋霖裡 豊田都峰 京鹿子 201001
秋霖の楽を奏でてゐる忌日 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010
秋霖や濡れて緊まりぬ浜の砂 片山由美子 201010
秋霖や熱きココアに稿を続ぎ 水原春郎 馬醉木 201011
われ思ふゆゑに秋霖トタン打つ 定梶じょう あを 201012
秋霖に心の濡るる独り住み 若江千萱 雨月 201012
秋霖や流れの先の橋の闇 田中一美 ろんど 201101
秋霖に明るく御座す摩耶夫人 武田ともこ ぐろっけ 201101
秋霖や人無き橋の常夜灯 吉田裕志 201102
秋霖や仏足石の洗はれて 内藤庫江 末黒野 201112
一部落一寺秋霖走りけり 田中臥石 末黒野 201201
蜂蜜を買ふ秋霖のテントかな だいじみどり 201201
秋霖に雨戸のきしむ庵暮るる 坊野貴代美 ぐろっけ 201201
秋霖に外出のまた阻まれし 林哲夫 ぐろっけ 201201
秋霖や棺に馴染みの割烹着 石川裕子 万象 201201
秋霖や峡に鎮もるワイナリー 藤沢秀永 201201
秋霖や名妓寄進の朱塗り門 松本善一 やぶれ傘 201202
秋霖の門燈濡らす須臾の刻 松林順子 雨月 201203
秋霖や美味のもてなし烏籠茶 中島玉五郎 201211
秋霖やぼた山のやう瓦礫積む 赤座典子 あを 201211
秋霖や衣桁に残る男の香 中野さき江 春燈 201211
秋霖や金箔くすむ九体佛 三浦喜久子 ぐろっけ 201301
秋霖やうたかた生るる心字池 藤原若菜 春燈 201301
秋霖や相合傘が街をゆく 菊地崇之 かさね 201301
秋霖や鎮痛剤の増ゆる夫 加藤静江 末黒野 201301
ほのぼのとせし秋霖もあるものよ ことり 六花 201311
秋霖の止みし火襷雫せり 浜口高子 火星 201311
秋霖の後の日差しを愛しめり 近藤紀子 201402
秋霖や薄墨色に沈む町 坂場章子 201402
秋霖や賽銭の音しめりがち 橋本くに彦 ホトトギス 201402
秋霖やゆっくりと飲むハーブティ 鶴濱節子 船団 201403
秋霖や独りといふを噛みしむる 犬塚李里子 201411
秋霖の往還かすみ龍馬の碑 円城寺清 201502
秋霖や襟かき合せバスに乗る 久世孝雄 やぶれ傘 201502
秋霖や牧の羊の耳じるし 佐渡谷秀一 対座 201505
秋霖や私室にぎはす反故の紙 布川直幸 201508
秋霖の端にひとりの寧けさよ 徳田千鶴子 馬醉木 201510
秋霖に釘づけにされ門を閉づ 山本喜朗 雨月 201511
秋霖や山深くしてびんざさら 荒木甫 201512
秋霖の桜雫に濡れそぼつ 長崎桂子 あを 201512
秋霖や混み合ふ里の道の駅 加藤静江 末黒野 201512
秋霖や静けさの膨らんでゆく 湯川雅 ホトトギス 201601
月替る秋霖といふ雨を招び 伊藤希眸 京鹿子 201601
秋霖やクリームパンの旨き店 加藤みき 201602
秋霖を発ち青天の陸奥へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
秋霖に孤高の一羽佇めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
秋霖や銹色深む左近詩碑 小林陽子 201612
秋霖や夫と東京物語 後藤マツエ 201612
秋霖や伊呂波仮名にも書き倦めり 馬屋原純子 馬醉木 201612
秋霖や谷戸の小径の水溢れ 上月智子 末黒野 201612
秋霖の街へ拍手をして別れ 伊藤希眸 京鹿子 201702
秋霖や靄流れゆく山の畑 石黒興平 末黒野 201712
秋霖に溶け入りさうなコンチェルト 犬塚李里子 201712
秋霖や和室の敷居キシミをり 黒澤佳子 あを 201712
一周忌また雨やねと秋霖雨 北村ちえ子 六花 201801
秋霖やだんまり居士の古書店主 横山昭子 雨月 201801
秋霖や「地獄の門」の堅く閉づ 森高武 風土 201801
秋霖に東京の磁場狂ひ出す 上辻蒼人 風土 201801
秋霖やたつぷりとさす男傘 永井惠子 春燈 201801
秋霖やひとり籠りて旅日記 及川照子 末黒野 201804
秋霖のトトロになって長谷川君 陽山道子 船団 201806
秋霖や介護に暮れる友をふと 住田千代子 野に遊ぶ 201811
秋霖の引戸重たく軋みけり 山口郁子 末黒野 201812
秋霖の音聞くだけの日曜日 秋川泉 あを 201812
秋霖や軋みて開く秘仏の扉 本多正子 雨月 201901
秋霖や納戸に母の車椅子 林徹也 201902
秋霖や露座のみほとけ目を閉ぢて 阿部重夫 末黒野 201904
秋霖→2      

 

2021年10月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。