時 雨 1      193句

しばし宗祇の名を付し水    杜国
笠ぬぎて無理にもぬるゝ北時雨   荷兮

春時雨  秋時雨  初時雨  時雨  青時雨 青葉時雨

村時雨  片時雨  時雨雲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
膝小さく杞陽夫人や時雨寒
山田弘子
『春節』
199503
ふたたびの時雨を抜けて高速路
稲畑汀子
ホトトギス
199811
小説の世界垣間見京時雨
稲畑汀子
ホトトギス
199901
やりすごす時雨や括り猿の軒
長谷川翠
馬醉木
199902
丹の橋の前も後ろも時雨かな
小澤克己
遠嶺
199902
時雨るるや宮津の宿は舟で着く
蓮尾あきら
風土
199902
沖よりの時雨をさそふ浪しぶき
酒井ひろ子
199902
参拝は急ぎなされと片時雨
佐藤康子
遠嶺
199903
海峡の東雲明りより時雨
下田水心子
円虹
199903
関門に架けてもみたき時雨虹
中島真沙
円虹
199903
くび振って唄う古時計時雨来る
松山律子
船団
199903
ワゴン車のピザの屋台へ海時雨
品川鈴子
ぐろっけ
199903
窯守に星鮮しき時雨あと
藤谷紫映
馬醉木
199904
松虫塚はみ出してみる時雨傘
中路間時子
火星
199904
何時止みしか時雨のあとのうす明り
早乙女健
199904
傘寿祝ぐさんさ時雨や梅雨晴間
松崎鉄之介
199908
肘をつく頬もいろいろ時雨の日
尾上有紀子
船団
199908
腎を病む時雨は薄い空の衣
吉田透思朗
海程
199909
遠ざかる雲のこぼしてゆく時雨
稲畑汀子
ホトトギス
199911
時雨るるも時雨るるも尚晴れさうに
稲畑汀子
ホトトギス
199911
日本海時雨太平洋晴暉
稲畑汀子
ホトトギス
199911
時雨雲去りし夜空に置く期待
稲畑汀子
ホトトギス
199911
石倉の影置く運河時雨けり
黒坂紫陽子
馬醉木
199912
時雨すぐ虹を架けたる海と岬
黒坂紫陽子
馬醉木
199912
時雨雲通り青空通りけり
稲畑汀子
ホトトギス
199912
時雨雲現れさうに現るゝ
稲畑汀子
ホトトギス
199912
朴葉味噌香る飛騨路の時雨晴
朝妻力
俳句通信
199912
サントリーホール出づれば小夜時雨
稲畑廣太郎
『廣太郎句集』
199912
きらきらと京が時雨れてをりにけり
稲畑廣太郎
『廣太郎句集』
199912
京といふ色の時雨に合ひにけり
稲畑廣太郎
『廣太郎句集』
199912
古都に来てよりの時雨となりにけり
稲畑廣太郎
『廣太郎句集』
199912
正面に翠黛山や時雨待つ
土永竜仙子
『朝月夜』
199912
時雨降る南大門の宿りかな
有働亨
馬醉木
200001
時雨橋黄葉の残る一樹立つ
阿部ひろし
酸漿
200001
時雨れつつ沢蟹のよく見ゆる日ぞ
大塚洋子
酸漿
200001
出迎へは時雨でありし吉野かな
林和子
俳句通信
200001
御坊行きの列車時雨れて発ちにけり
伊藤重美
俳句通信
200001
まなうらの老のはじめの時雨
梅田津
銀化
200001
日の襖開け閉てしたる時雨かな
川名将義
銀化
200001
鷲羽嶺に日は照りながら島時雨
阿部幸右
京鹿子
200001
高幡の旗かけの松時雨れけり
神蔵器
風土
200001
二面石善悪共に時雨れけり
池田光子
風土
200001
ひとしめりくれて海峡時雨とて
和田照海
京鹿子
200001
蒟蒻を手綱に結へば時雨来る
江頭信子
馬醉木
200002
金平糖を噛んで時雨や雲母坂
延広禎一
200002
売場出て俄にせはし時雨心地
山西みち子
火星
200002
椎茸の榾木積みをり時雨をり
堀義志郎
火星
200002
北越線時雨つなぎをひた走る
能村研三
200002
夜神楽の明け方近きひと時雨
梅村すみを
200002
杞陽句碑ごとき時雨となりにけり
坊城中子
円虹
200002
草原の光へ峡の時雨抜け
長山あや
円虹
200002
友禅展出るや時雨るる城下町
相沢有理子
風土
200002
舟人の連れ来る能登の時雨かな
小澤克己
遠嶺
200002
能登時雨いや加賀しぐれ旅衣
小澤克己
遠嶺
200002
句碑の石見んと時雨の峠越ゆ
松崎鉄之介
200002
一周忌の弟に阿波のひと時雨
松崎鉄之介
200002
山鳥の羽を拾ふに時雨来る
笠井育子
200002
時雨きて五重塔は重くなる
田中藤穂
『水瓶座』
200002
さみしさにふれて過ぎたる時雨かな
土田栄
200002
開襟の覗く胸元時雨けり
尾上有紀子
『わがまま』
200002
前衛が五センチ凍みるこの時雨
尾上有紀子
『わがまま』
200002
時雨る町鬼ひそみゐし山を負ひ
村松紅花
ホトトギス
200003
くれがての大垣に会ふ時雨かな
間島あきら
風土
200003
四方正面庭の一面時雨れけり
柴田久子
風土
200003
妻のことまづきかれたる時雨かな
根岸善行
風土
200003
畑岐つ茶垣の径の時雨れをり
太田蓁樹
馬醉木
200003
時雨れつつ進水の斧振られけり
石本秋翠
馬醉木
200003
生駒嶺を踏みはづしてや時雨虹
吉村幸子
雨月
200003
竹下駄の白き鼻緒や嵯峨時雨
小島とよ子
新樹光
200007
この山の奥が生地と夕時雨
稲辺美津
夏椿
200007
時雨来て昨日の旅を遠くせり
稲畑汀子
ホトトギス
200011
時雨雲日をこぼしては時雨雲
稲畑汀子
ホトトギス
200011

 祝「あらうみ」

時雨虹心に栞る明るさよ

稲畑汀子
ホトトギス
200012
時雨虹思ひ出一つ重ねけり
稲畑汀子
ホトトギス
200012
時雨虹光となりて立ち上る
稲畑汀子
ホトトギス
200012
時雨傘持つてゐる人持たぬ人
稲畑汀子
ホトトギス
200012

 祝「あらうみ」

時雨虹突きぬけて行く祝ぎの座へ

稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
追ひ越せばそこに祝ぎあり時雨虹
稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
時雨くるもの煮る音のひそやかに
藤原紅
いろり
200012
ためらひて閉ぢ時雨傘またひらく
林翔
馬醉木
200101
時雨が襲う湖へずれ落ちそうな宿屋
斎藤白砂
海程
200101
行き暮れて時雨となりぬ綱の廟
岡田万壽美
俳句通信
200101
時雨去るけむりのごときもののこし
宮津昭彦
200101
ガラス戸を叩きて過ぎし山時雨
斉藤静枝
あを
200101
山脈の日ざしの隙や片時雨
斉藤静枝
あを
200101
長江の時雨に消ゆる船の笛
武田禅次
春耕
200101
茹蟹の湯気の上海江時雨
武田禅次
春耕
200101
白樺を塗り替へてゐる時雨かな
新井竜才
銀化
200101
沙弥山を蒼く染め上ぐ時雨かな
村上瑪論
銀化
200101
夕時雨なじみの店の縄のれん
増田文雄
遠嶺
200102
時雨るるや鳴く丹頂の声高に
阿部文子
酸漿
200102
時雨虹かかりしと告げ夕支度
岡田順子
円虹
200102
住み古りて箕面の日々の夕時雨
若江千萱
雨月
200102
時雨雲港の上を過ぎゆけり
宮津昭彦
200102
杖ひいて湖北時雨や島詣
石神芳枝
ぐろっけ
200102
身の上にただ一時雨ありしのみ
村松紅花
ホトトギス
200103
時雨ゆく公方茶々丸首洗ひ池
吉永すみれ
風土
200103
時雨傘観音堂でたたみけり
吉永すみれ
風土
200103
時雨には似合はぬ犬やダルメシアン
吉村玲子
円虹
200103
時雨傘閉づれば時の鐘暮色
小山徳夫
遠嶺
200103
峰越しの鐘にたゆたふ時雨舟
小宮山勇
遠嶺
200103
苫舟のかがよふ能登の時雨かな
小宮山勇
遠嶺
200103
観音の塔の先より時雨けり
遠藤和彦
遠嶺
200103
けじめなき別れのあとの時雨かな
祐森弥香
遠嶺
200103
竹林に時雨の見ゆる姉の墓
高尾豊子
火星
200103
時雨るるや介護ベッドの温からむ
高尾豊子
火星
200103
違ふ名で母に呼ばれし時雨かな
三井孝子
六花
200103
奈良時雨地蔵寄り添ふ石中州
堀睦子
ぐろっけ
200103
ポケットに手を戻したる時雨かな
岩垣子鹿
ホトトギス
200104
夜の部を京の時雨と待ちにけり
岩垣子鹿
ホトトギス
200104
時雨るるや神棲む山を拝めば
田中子
円虹
200104
闘鶏に時うつくしき時雨かな
岡井省二
200104
時雨坂ゲーテも吾も佇みぬ
品川鈴子
船出
200104
法王は右から二番の時雨窓
品川鈴子
船出
200104
月山を遥かに時雨虹立てり
田中子
円虹
200105
花街の交番低く時雨れけり
笠学
船団
200105
ふくろうを兄貴と呼ぼう夜の時雨
坪内稔典
船団
200105
ひとすぢの日矢さす岬より時雨
佐藤冨士男
ホトトギス
200105
時雨るるやハーンの椅子の高ければ
佐伯のぶ子
船団
200105
時雨る夜の品書きにない鯛の皮
桐木榮子
船団
200105
出かせぎの男の肩に時雨けり
花島陽子
遠嶺
200105
時雨ばかりの双眼鏡に鵜が一つ
小林一枝
海程
200106
案の定時雨るることも忌日かな
稲畑汀子
ホトトギス
200111
時雨れては芭蕉を偲ぶ忌日かな
稲畑汀子
ホトトギス
200111
見舞ひたき人を見舞ひぬ朝時雨
稲畑汀子
ホトトギス
200112
邂逅の時雨冷えの手握るより
稲畑汀子
ホトトギス
200112
日の所在隠すことなく時雨雲
稲畑汀子
ホトトギス
200112
妻見舞ふ傘に茶の花時雨かな
白岩三郎
馬醉木
200112
荒繩のひかりのほかは時雨けり
大島康弘
銀化
200112
男爵の墓碑仰ぎゐる時雨傘
朝妻力
雲の峰
200112
上賀茂の時雨過ぎたる朱の鳥居
朝妻力
雲の峰
200112
時雨るるや厨の裏に番鳩
赤池貴のえ
春耕
200201
時雨寒旅に訃報の追ひ来り
大橋敦子
雨月
200201
小夜時雨微笑遺影の妻聞くや
大橋宵火
雨月
200201
時雨るるや阿修羅の眉根逃れ来て
立石萌木
雨月
200201
小夜時雨煌々と灯の何事か
谷榮子
雨月
200201
時雨雲過ぎてかがやく有馬富土
木村てる代
雲の峰
200201
時雨傘たたみ紅茶を頼みけり
宇利和代
雲の峰
200201
四度の瀧の黒き岩肌時雨來る
松下セツ子
200201
忘れられし風鈴鳴りぬ時雨るるか
渡邉友七
あを
200201
夕時雨浚渫船の擦れ違ふ
篠田純子
あを
200201
時雨るるや鋳物工場のトタン屋根
篠田純子
あを
200201
時雨るるや土の香の立つ陶の村
金田美恵子
ぐろっけ
200201
智照尼の娘といふ尼と時雨傘
嶋田一歩
ホトトギス
200202
くれなゐを秘めくわんおんの時雨けり
徳田千鶴子
馬醉木
200202
石段を爪先あがり夕時雨
江頭信子
馬醉木
200202
肩にある時雨のラメを払ひやる
泉田秋硯
200202
時雨るるを待ちて今年の御礼肥
吉田裕志
200202
幡枝柿霜寂びはやき時雨ぐせ
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
北山の時雨ならひにお茶の花
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
空林に時雨るゝ杜の美しく
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
照りかげりはての時雨に昆布煮る
小川文子
京鹿子
200202
時雨くる目鼻つけたきサスペンス
井潟ミヨ
京鹿子
200202
鉄鉢の尼僧へ時雨横なぐり
藪敏子
200202
古傘を借りる屋島の時雨かな
浜崎良彦
円虹
200202
黒雲をこぼれて銀の時雨かな
林敬子
酸漿
200202
小夜時雨せめて心は湿らせず
酒井礼子
200202
禅林をめぐると時雨傘借れり
大堀鶴侶
雨月
200202
師弟句碑洗ひ越前時雨かな
大堀鶴侶
雨月
200202
日時計の濡れ子午線の街時雨る
和田一
雨月
200202
小夜時雨母の独り居患ひをり
久保田雪枝
雨月
200202
業平の墓を詣づに時雨れけり
谷口ふみ子
雨月
200202
年下の叔父と時雨のハイウエイ
角田信子
六花
200202
温海蕪引きし山畑時雨けり
菅原庄山子
春耕
200202
追ひかけて客に持たせる時雨傘
塚村素代
いろり
200202
十二橋辺りも時雨して居らむ
堀内一郎
あを
200202
時雨れゐる寺町風情眼鏡拭く
渡邉友七
あを
200202
大吉と宿の番傘夕時雨
鈴木多枝子
あを
200202
時雨れてはゆふべ淋しき曼授院
中川二毫子
遠嶺
200202
好きな唄繰り返す母時雨月
松本きみ枝
遠嶺
200202
潮来への船出てすぐに時雨れけり
藤井昌治
200202
奥美濃の一気に暮れて時雨けり
高橋さえ子
200202
誕生日祝はれてをり時雨けり
服部幸
200202
夕時雨席ゆづられし看取りあと
城石美津子
京鹿子
200202
ビルの間を一瞬つなぎ時雨虹
白石峰子
円虹
200202
時雨虹声にする間もなく消えし
白石峰子
円虹
200202
家路とは情のあるもの夕時雨
粟津松彩子
ホトトギス
200203
菅浦へ時雨の虹を手向とす
三村純也
ホトトギス
200203
時雨きて濡れてをらざる周防灘
新開一哉
円虹
200203
山と積む豆殻時雨通り過ぐ
浜口高子
火星
200203
秒針のたんたん時雨来たりけり
栗栖恵通子
200203
時雨くるごと生き別れ死に別れ
市場基巳
200203
時雨るるやうすくれなゐの銀沙壇
加藤みき
200203
点滴のしづくいちにち時雨雲
落合伊津夫
馬醉木
200203
時雨れ来し真闇に思ふわがさだめ
落合伊津夫
馬醉木
200203
刺繍糸選べば時雨走りけり
政木紫野
馬醉木
200203
引き眉の山も時雨るる祇園かな
峯尾文世
銀化
200203
時雨るるや花舗の灯にじむ石畳
清水晃子
遠嶺
200203
時雨るるや旧街道の吊洋燈
大曽根育代
遠嶺
200203
田の神の帰り時雨となりにけり
長谷川守可
百鳥
200203
みちのくに別れてよりの時雨かな
林裕子
風土
200203
時雨いま過ぎたるらしき苔の色
佐保美千子
円虹
200204
時雨るるや崖の釣師も岩色に
沖倉好秋
酸漿
200204
せり出せる人喰岩も時雨るるか
川上弥生
200204
時雨 2      

 

2022年11月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。