秋 雨 1    212句

秋雨の瓦斯がとびつく燐寸かな   中村汀女   汀女句集

雨の季語  お降り 春の雨  春雨 春霖 春時雨 夏の雨

五月雨 さみだれ 菜種梅雨  半夏雨  夕立 喜雨 虎が雨

秋の雨 秋雨 秋時雨 冬の雨 初時雨 時雨  青時雨 青葉時雨

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋雨に黒着て佇てば塑像めく 小澤克己 遠嶺 199901
足投げ出して秋雨の底にゐる 津田このみ 船団 199903
邂逅のそびら秋雨のビッグベン 村上光子 馬醉木 199911
わが骨に鬆を殖やしゆく秋雨か 白岩三郎 馬醉木 199912
秋雨や歯医者は明日のことにせむ 武井清子 199912
秋雨に濡れて万歩を果たしけり 高橋作之助 俳句通信 199912
秋雨にほどかれてゆく蜘蛛の糸 川副民子 船団 199912
秋雨に舌ひっこめるアサリちゃん 黒田さつき 船団 199912
秋雨の匂い阪急神戸線 津田このみ 月ひとしずく 199912
晴女集へど今日の秋雨かな 関口房江 酸漿 200001
秋雨に廊下で大工する主人 熊谷みどり いろり 200001
秋雨や道化の糸を君が織る 尾上有紀子 わがまま 200002
秋雨や出たとこ勝負のバスに乗る 星野早苗 空のさえずる 200002
武蔵野に秋雨上り路黒ぐろ 笹田元一 翡翠吟行 200010
秋雨や終らぬ話後にして 松沢久子 いろり 200011
秋雨や煙る湖より舟の音 小滝奈津江 酸漿 200012
秋雨や雨蛙まだ寝ねぬらし 和田敏子 雨月 200012
秋雨や昨日のことが嘘のごと 福田みさを いろり 200012
秋雨に膨らむ川の黒光り 安徳由美子 200101
思い出すままの童謡秋雨前線 金子皆子 海程 200102
秋雨がまっすぐに降る夫婦なり 笠学 船団 200102
秋雨の門に出でたるかたつむり 永見博子 酸漿 200111
秋雨や母の背なかを濡らしをり 福田みさを いろり 200111
秋雨や音なく止まる救急車 金子つとむ 俳句通信 200111
昼の燭点け秋雨の骨董屋 能村研三 200112
秋雨や土と草との縺れあひ 市川伊團次 六花 200112
宿の窓秋雨伝ふ一人旅 岡田芳子 ぐろっけ 200112
秋雨や子規の臥せりし六畳間 浜崎良彦 円虹 200201
秋雨に消えて樹間の比枝姿 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
秋雨に朝はモノクロ微熱気味 尾上有紀子 船団 200202
秋雨となる気配なく祝ぎ日和 稲畑廣太郎 ホトトギス 200210
常臥しの父秋雨の香を言へり 中村房枝 六花 200210
秋雨に浮かんで来たる海月かな 山尾玉藻 火星 200210
秋雨や来ぬかも知れぬ人を待ち 尾崎恭子 雨月 200211
絵葉書は秋雨に濡れて届きたる 宇田喜美栄 200212
しんしんと秋雨を聴く果報かな 川崎洋吉 遠嶺 200212
逝きませしよりの秋雨あきの風 窪田佳津子 雨月 200301
秋雨や静かに刻を濡らしゆく 長山あや ホトトギス 200302
秋雨の広場にひびくチヤペルの音 川口利夫 ホトトギス 200302
秋雨やどこへ行くにも和服着て 吉田小幸 ホトトギス 200302
秋雨や秋雨色の天守閣 丹後浪月 ホトトギス 200302
秋雨も視界も動きはじめけり 丹後浪月 ホトトギス 200302
秋雨に合はす仕事もありにけり 丹後浪月 ホトトギス 200302
秋雨や外に小道具大道具 高田令子 200302
深々と秋雨に沈む椅子ひとつ 矢野千佳子 京鹿子 200302
秋雨ぽつりイルカ一回転す 中島陽華 200303
秋雨や円月橋の石擬宝珠 朝妻力 雲の峰 200309
秋雨にお歯黒獅子に初詣 安部里子 築地吟行 200310
秋雨に合掌の屋根みなけぶる 手島靖一 馬醉木 200311
秋雨やガラシャ婦人の欠け灯篭 中野薫 雲の峰 200311
秋雨や曲真似叩く「ラベル」の扉 中田みなみ 200311
秋雨の中に驟雨のあまたたび 稲岡長 ホトトギス 200312
秋雨の音なき音に目覚めけり 廣島啓子 雲の峰 200312
耳塚の秋雨しげく流をつ 山田耕子 京鹿子 200401
秋雨や体育大学静かなり 寺門武明 あを 200401
秋雨や生命あがなふ脚一本 横山迪子 六花 200402
秋雨や指しなやかな檻の猿 黒田咲子 200412
秋雨や火伏の幣の薄湿り 山口トシ 酸漿 200412
秋雨の小江戸にひびく時の鐘 阿部文子 酸漿 200412
秋雨や今日は銭湯定休日 藤井美代子 帆船 200412
秋雨や前も後ろも草千里 田尻勝子 六花 200412
秋雨や臥せゐて思ふこと多く 二瓶洋子 六花 200501
秋雨の瓦斯が飛びつく燐寸かな 中村汀女 200507
秋雨や齟齬ともならず着陸す 稲畑汀子 ホトトギス 200509
秋雨の予報旅路に縦いて来ず 稲畑汀子 ホトトギス 200509
秋雨を楽しむ心少しあり 小黒加支 酸漿 200511
支那そばと書いてあるゆゑ秋雨やどり 鈴木榮子 春燈 200512
秋雨に強弱ありて今は強 倉持梨恵 200512
秋雨の湖上に競ふ大花火 小林幸子 酸漿 200512
秋雨の銀座に女占ひ師 鈴木照子 200601
秋雨の波路きてまだ船心地 武藤縁 ぐろっけ 200601
秋雨の桟橋あゆむ波路きて 武藤縁 ぐろっけ 200601
秋雨に母の形見の傘さして 綿谷美那 雨月 200601
秋雨や山の畑の土肥えて 射場智也 六花 200601
秋雨去り緑いやます皇居かな 徳田正樹 河鹿 200602
秋雨の街を練り行く踊り笠 三反田輝夫 河鹿 200602
秋雨やカーペンターズ聴きながら 高安勝三 遠嶺 200602
秋雨にぬれて冴えたる閣美し 山田耕子 京鹿子 200603
東京にだけ秋雨といふ予報 稲畑汀子 ホトトギス 200610
秋雨の寺苑あをあを竜の髭 阿部ひろし 酸漿 200611
秋雨の窯元土の香薪の香 浜田南風 200612
秋雨の滲む新聞飲酒事故 佐久間はるみ 200612
天平の簷に秋雨やりすごす 狭川青史 馬醉木 200612
世の中がまた変はる秋雨の川よ 丸山佳子 京鹿子 200612
秋雨に鈍つてをりぬ拡声器 高田令子 200612
秋雨や傘を一振りして入る 永田勇 六甲 200612
秋雨の窓辺を被ふ百日紅 名取すみ子 酸漿 200701
秋雨に煙る湯宿や道祖神 大須賀容子 遠嶺 200702
榧の木に降る秋雨を見てをりぬ 野沢しの武 風土 200702
秋雨や小走りにゆく絵画展 松下幸恵 六花 200705
秋雨は眼に沁む雨や森を背に 林翔 200710
提燈の中も秋雨降りをりぬ 佐藤喜孝 あを 200711
恙なく終へ秋雨の帰路につく 小澤克己 遠嶺 200712
秋雨に濡れ琅玗の輝けり 田中清子 遠嶺 200712
秋雨も子の言ひ分も筋のあり 秋千晴 200801
秋雨や指の数だけ爪を切る 竹下昌子 200801
秋雨や窓に映りし顔白く 真保喜代子 200801
秋雨やテレビ画面に波郷兄 林翔 200810
秋雨を走りぬけるぞゴーカート 高野綸 200811
秋雨の激して後は照りにけり 椿和枝 200811
秋雨に岩波文庫読み耽る 能勢栄子 200812
秋雨の音せぬ音を目に見たり 小野木雁 酸漿 200812
秋雨の運動場を横切りぬ 十川たかし 200901
秋雨の止みし樹々より栗鼠の群 久本久美子 春燈 200901
秋雨や糶まつ屋久の貯木場 河村泰子 ぐろっけ 200901
再訪の屋久は秋雨夫婦杉 島純子 ぐろっけ 200901
すつぽりと秋雨に入る家並かな きくちきみえ やぶれ傘 200901
秋雨や休耕田に鷺並び 白石正躬 やぶれ傘 200901
秋雨にひきて短かき七分袖 斎藤弘行 遠嶺 200902
天地に淡き秋雨老い進む 高橋泰子 200911
秋雨の音の幽かな夜の紅茶 國保八江 やぶれ傘 200911
秋雨や所在なき身に妻の声 日山輝喜 200912
読経悲し秋雨に煙る能登の海 日山輝喜 200912
指折りて秋雨を待つ砂漠町 伊吹之博 京鹿子 200912
秋雨に真面目な猫と大あくび 中谷仁美 船団 200912
また今日も五分で許してしまう秋雨 中谷仁美 船団 200912
秋雨に海坂のなき沖を舟 柴野静 201001
秋雨に湖はけぶりて音もなし 小島三恵 酸漿 201001
秋雨に引越の荷の濡れて着き 伊藤トキノ 201002
地の渇き潤ふ秋雨旅恋し 相沢有理子 風土 201002
秋雨の湖上に競ふ大花火 小林幸子 酸漿 200512
厨にも秋雨の音傳ひくる 滝沢伊代次 万象 201008
秋雨を得て長咲きの牽牛花 増田一代 201012
秋雨や珈琲豆を挽くかをり 西岡啓子 春燈 201012
秋雨や今はいのちを癒やすとき 泉田秋硯 201012
秋雨に淀川の猛るといふことも 大橋晄 雨月 201012
待ちわびし秋雨の音激しかり 島﨑久美子 酸漿 201012
秋雨や蜂蜜色の羅馬市街 小林愛子 万象 201102
秋雨の旧街道を迷ひ来し 山田佳乃 ホトトギス 201103
秋雨に昼を灯して紅をさす 丹生をだまき 京鹿子 201112
秋雨の秘めし音する淡海かな 本多俊子 201112
電線の鳥秋雨に動かざり 蟻蜂 六花 201112
ひとしきり秋雨太く降る益子 飯田ひでを 201201
秋雨や楽譜に残るめくり跡 浅木ノヱ 春燈 201201
秋雨のしきりに池の舫ひ船 國保八江 やぶれ傘 201202
船頭の笠に秋雨ふりやまず 志方章子 蟋蟀 201203
地蔵堂新た秋雨明るうす 赤座典子 あを 201211
秋雨の水面にぎはし日がな降る 山本達人 かさね 201212
力なき秋雨に濡れ柏崎 池内とほる かさね 201212
秋雨中傘さして乗るたらひ舟 竹内悦子 201301
秋雨に鳩の濡れ来てはたはたと 小川滋 やぶれ傘 201301
秋雨や鏡に写るぬひぐるみ 小山陽子 やぶれ傘 201311
秋雨に傘なく濡るる夜道かな 丸山酔酔子 かさね 201312
秋雨の磴のぼり継ぎ二月堂 渡邉孝彦 やぶれ傘 201312
秋雨やかがる糸選る手芸店 西岡啓子 春燈 201312
秋雨や改札口にキムチの香 藤田素子 火星 201312
秋雨を纏ひて鹿島詣でかな 仁平則子 201312
秋雨に濡るるもよけれ「魔笛」果つ 荻野嘉代子 春燈 201401
秋雨にけぶる臨海大洗 羽賀恭子 201401
秋雨や駅の小箱の時刻表 太田佳代子 春燈 201401
秋雨や句を展示する市民祭 中山静枝 201401
秋雨のそぼ降る音に寝入りけり 枝みや子 やぶれ傘 201402
秋雨の戸口の孫に笑美返す 神田惣介 京鹿子 201402
御胸に秋雨流れ野の仏 植村よし子 雨月 201402
秋雨の止めばすぐ田に人の出て 松田泰子 末黒野 201402
笠置その秋雨に濡れ磨崖仏 難波篤直 201404
静かさや秋雨づつみにさざれ石 布川直幸 201410
秋雨や地をすれすれに舞ふ黄蝶 上原重一 201411
秋雨や込み合ふ郷の診療所 武政礼子 雨月 201412
秋雨に梲洗はれ蔵の街 小川玉泉 末黒野 201501
秋雨の花壇を囲む煉瓦の朱 杉浦典子 火星 201501
秋雨に手水の水の溢れけり 市川伊團次 六花 201501
秋雨やかがる糸選る手芸店 西岡啓子 春燈 201503
近づきし秋雨降りて雨降りて 稲畑汀子 ホトトギス 201508
秋雨に鳴咽すまいぞ弟よ 山田六甲 六花 201509
秋雨のかくもひんがし襲ふとは 大橋晄 雨月 201511
セルビアに来ても秋雨降りやまず 松村光典 やぶれ傘 201512
秋雨やつながれてゐる寺の犬 高野春子 京鹿子 201512
秋雨や小児科医院廃業す 吉村摂護 201512
秋雨や大清の獅子物悲し 王岩 あを 201511
秋雨に負けず国会デモの群 吉野夢宙 201512
秋雨や傘と竹刀の二刀流 松村光典 やぶれ傘 201602
秋雨の一人に余す男傘 押田裕見子 201602
秋雨に迷ひ因幡のそばすする 山田六甲 六花 201610
秋雨にしかと根付けり御柱 杉本光 201611
秋雨の豪雨となりぬこの三日 大坪景章 万象 201611
秋雨の瓦濡らして過ぎゆけり 出口誠 六花 201612
秋雨や身の内どこか淋しくて 佐藤三男 万象 201612
秋雨や肩叩かれる渋谷駅 竪山道助 風土 201701
秋雨や枯山水の石光る 長谷川はるみ 万象 201701
秋雨に須磨の汀の昂り来 善野烺 六花 201702
秋雨来て包丁を研ぐたっぷりと 川添光代 船団 201707
秋雨も茶室彩るものとして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
秋雨して七光年はどのあたり 山田六甲 六花 201710
秋雨のやうやく止みて闇潤む 岡崎春菜 万象 201712
秋雨の始発電車に赤子ゐて 上谷昌憲 201712
秋雨に落ちついてをり瓦屋根 出口誠 六花 201801
秋雨の軒に生飯台万福寺 吉田万喜子 雨月 201801
秋雨や滴る波紋風見えて 市川村欽子 雨月 201801
秋雨に軽く駆け出す麒麟の子 中嶋陽子 風土 201801
外湯へと秋雨少し来てゐたり 安藤久美子 やぶれ傘 201710
秋雨や丁寧に拭くヨガマット 小山陽子 やぶれ傘 201711
秋雨に乳房重たき野犬かな 赤松赤彦 六花 201712
秋雨にけぶる初島伊豆は晴れ 松村光典 やぶれ傘 201712
秋雨にうたるるもよし露天の湯 松村光典 やぶれ傘 201712
秋雨に皇居の緑より深く 枝みや子 やぶれ傘 201712
秋雨の庭に鳥来る晴るるらし 奥田温子 やぶれ傘 201712
秋雨や木馬は瞳潤ませて 斉藤マキ子 末黒野 201802
秋雨の降りみ降らずみ句会へと 大橋晄 雨月 201802
秋雨に汽笛くぐもり出航す 高濱朋子 ホトトギス 201803
秋雨に摘むラベンダーしばし手に 岩井京子 201802
秋雨の砂に染みゆく早さかな 高倉和子 201803
秋雨前線自由席はどこですか 東英幸 船団 201806
秋雨や芭蕉史跡に石一つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
秋雨や我が家の居間に碇泊中 石森理和 あを 201811
秋雨を寂と歩めり老夫婦 安斎久英 末黒野 201812
叡山より翼拡げて秋雨来る 大石喜美子 雨月 201901
秋雨のビルに電光掲示板 天野美登里 やぶれ傘 201901
秋雨前線動かず二円切手足す 高木晶子 京鹿子 201901
髪に惨む秋雨森の香をふふむ 田中藤穂 201904
秋雨→2      

2021年10月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。