春 雨 1    197句

春雨や抜け出たままの夜着の穴   丈草

雨の季語  お降り 春の雨  春雨 春霖 春時雨 夏の雨 五月雨 さみだれ 菜種梅雨 

半夏雨  夕立 喜雨 虎が雨 秋の雨 秋雨 秋時雨 冬の雨 初時雨 時雨  青時雨

  青葉時雨

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春雨の粒ちりばめし老大樹 山田禮子 きらら 199000
春雨を来て又人と会ふ日かな 稲畑汀子 ホトトギス 199903
春雨の過ぎし頭塔の土匂ふ 朝妻力 俳句通信 199905
春雨や畳廊下の昼灯 小宮山勇 青胡桃 199905
春雨をふくむ郵便物を切る 甲州千草 199907
春雨の中の六波羅蜜寺かな 中島陽華 199907
春雨にポストの下くちびる濡れて 澁谷道 海程 199907
春雨や異国の茶房に同郷人 神田惣介 京鹿子 199907
春雨の疎水は青し歩をゆるむ 田中藤穂 水瓶座 200002
春雨や橦木の鉄錆垂れしまま 辻のぶ子 俳句通信 200004
春雨やときに啼く鳥混じりくる 土肥屯蕪里 俳句通信 200004
春雨や嫁を走らすポストまで 大橋敦子 雨月 200005
春雨や一ト日句作り励みおり 篠田三七子 いろり 200005
春雨に清められつつ蔵に入る 桑垣信子 いろり 200005
春雨と思ふ睫にかかりてより 岩岡中正 円虹 200006
春雨の降り始めたる砂丘かな 高橋将夫 200006
春雨の希釈してゆく昨日かな 櫂未知子 銀化 200006
春雨に灯る床屋のねじりんぼう 片山桃弓 200007
春雨や佳境の朱の文字濡らす 荻野千枝 京鹿子 200007
春雨にまず二人来て次に猫 坪内稔典 船団 200007
春雨の雨なきところ砂時計 伊藤翠 船団 200009
春雨と聞いて出掛けて来たりけり 稲畑汀子 ホトトギス 200103
春雨に砲台の世を偲びたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200103
春雨のカラヤン広場君待てり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200103
春雨の機銃掃射を浴びてやる 山田六甲 六花 200103
波あかりして春雨の筋なさず 岡本眸 200103
春雨の伝ふ采女の柳かな 朝妻力 俳句通信 200104
春雨や筧の音に癒し得て 関ただお 200104
花街や春雨が砥ぐ石疊 苑田ひろまさ 200105
春雨やおとがひ細き乙女像 馬場公江 200106
春雨や斎庭の右近左近も梅 鎌田篤 雨月 200107
春雨や傘も電話も折りたたみ 中谷三千子 船団 200108
帰るさの春雨に借る男傘 関口ゆき あを 200202
春雨や積まれて匂ふ木のチップ 岡山裕美 雲の峰 200204
春雨のやや降ると見し水たまり 佐々木しづ子 酸漿 200205
音秘むる春雨故郷へ還る友 土肥屯蕪里 雲の峰 200205
乾坤の春雨音に来てをりし 豊田淳応 ホトトギス 200206
春雨や見送られゐてまたお辞儀 西宮舞 200206
春雨の竹垣の径うすみどり 阿部正枝 遠嶺 200206
春雨の客を迎ふる香を炷く 二瓶洋子 六花 200206
春雨や兄焼くけむり消すまいぞ かたべすみこ 200207
春雨や大和三山御簾籠り 西宮舞 200212
春雨の中を田の神送りけり 山口たけし 雲の峰 200304
春雨や何するでなき土曜の夜 谷野由紀子 雲の峰 200304
春雨の俳句を掛けて雨を聞く 内藤順子 酸漿 200305
春雨や芝居帰りの三宅坂 林田茂子 帆船 200305
春雨や水面しづかに桟俵(さんだわら) 立脇操 雲の峰 200305
春雨や母の来し方知る木箱 島田浩美 200305
乗り換へて春雨傘を忘れさう 寺杣啓子 円虹 200306
春雨や樹木がうがう逆流す 丸井巴水 京鹿子 200306
裾少し濡れし春雨傘たたむ 名越夜潮 円虹 200307
春雨の地表を叩く花押かな 中野京子 200307
春雨に迷ひもなしに旅に出でし 片渕清子 ぐろっけ 200308
思案して春雨傘は持たざりし 稲畑廣太郎 ホトトギス 200403
而して春雨傘を買ひにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200403
春雨に訣るる宵となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200403
春雨に濡れて第九の怒濤展 山田六甲 六花 200403
春雨や東京といふ娘の住む街 梶川智恵子 200406
宝石の如き春雨軒しずく 田中呑舟 火星 200406
石に降る春雨に色ありにけり 岩下芳子 200406
湯上りや春雨樹々にゆきわたる 里中章子 200407
春雨や抱卵の鶏身じろがず 望月知恵子 万象 200407
春雨の中の爆竹キックオフ 岡谷栄子 200407
春雨のいつか小太鼓打つやうに 白井墨絵 遠嶺 200407
春雨の橋よりつづく東海道 橋添やよひ 風土 200504
春雨をふくみし嵩の鉋屑 甲州千草 200505
春雨や定刻に発つ島渡船 江崎成則 栴檀 200505
春雨や赤き表紙の初版本 内藤紀子 遠嶺 200506
春雨に濡れたる墓をまた拭けり 大山文子 火星 200506
春雨や団地建替説明会 井上雅晴 帆船 200506
春雨の時には太し濡れて行く 江崎成則 栴檀 200506
春雨をくはへてきたる野の雀 小澤克己 雪舟 200506
春雨や路面電車は静かなり 山荘慶子 あを 200506
春雨や口の重たき友とゐて 外山令子 200506
春雨や米寿の母に土湿る 松田有伽 河鹿 200507
春雨や古紙に遺れる母の文字 北島上巳 酸漿 200507
春雨の匂い女身に満ちにけり ことり 六花 200507
さしくれし春雨傘や君の名は 稲畑廣太郎 ホトトギス 200603
春雨に湯上がりタオル絞りけり 山田六甲 六花 200603
春雨に珈琲牛乳一気のみ 山田六甲 六花 200603
春雨や終る書展と開く書展 高野明子 風土 200605
春雨の中の京菜をあがなひし 石脇みはる 200605
春雨の心願の山余韻めく 鈴鹿仁 京鹿子 200605
春雨に敢へて濡れつつ彷徨す 大橋晄 雨月 200605
春雨や樹の香土の香満ちきたり 熊岡俊子 雨月 200605
春雨や土手に雀の声はじけ 江崎成則 栴檀 200605
春雨や地蔵が赤き傘をさす 田尻勝子 六花 200605
春雨の匂ひ女身に満ちにけり ことり 六花 200605
春雨といふには激し鵯の声 渋谷ひろ子 酸漿 200605
春雨や自由に泣いて傘の内 小黒加支 酸漿 200605
春雨に烏帽子を濡らし地鎮祭 久保田至誠 200606
春雨の朝や梢の鳴く壺中 市川英一 遠嶺 200606
春雨に滲む春日の山の色 稲岡長 ホトトギス 200607
椅子の向きかへて春雨みてゐたり 竹下昌子 200607
春雨の夜や人形を着替へさす 堀本祐子 遠嶺 200607
春雨に傘さしかけしだけのこと 山崎辰見 ぐろっけ 200607
かなしみの涙は春雨もて洗ふ ことり 六花 200607
春雨や濡れて色増す能登瓦 境惇子 200607
春雨の新大橋を其角来る 小澤克己 塩竃 200608
春雨に濡れ一杯のコーヒーよ 稲畑汀子 ホトトギス 200702
春雨に滲みはじめし案内図 稲畑汀子 ホトトギス 200702
春雨といふ口実の屋台かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200703
君と会ふ春雨傘を目印に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200703
しつとりと古都の春雨濡るるとも 稲畑汀子 ホトトギス 200703
春雨や向ひの店のまた変り 范友佳女 春燈 200705
春雨のうすぎぬかかる木立かな 中村悦子 200705
春雨の海に潤みて宮津の灯 柴野静 200706
春雨傘おのおのに買ひ旅家族 陳妹蓉 春燈 200706
歩けると云ふ春雨の出島かな 中島陽華 200706
春雨やハープの音色ひろごりぬ 川畑はるか 遠嶺 200706
春雨や竹林抜くる人力車 浜野桃華 万象 200707
春雨の庭の明るし般若面 谷村幸子 200707
春雨や消えし昭和と燐寸箱 安居正浩 200707
春雨やちあきなおみの歌に酔い 内山弘幸 八千草 200708
春雨や鳥獣息づく高山寺 野村邦男 八千草 200709
春雨や嬰が欠伸をする頃か 安居正浩 200801
春雨や冷えてゆきたる腕時計 山田六甲 六花 200803
春雨を拭ひつ潜る仁王門 大西裕 酸漿 200805
春雨というには激し砂利の道 坂根宏子 200806
春雨の甘し信号待つあひだ 高田令子 200806
春雨のいつしか音を立つるほど 大島英昭 やぶれ傘 200806
手にかろき春雨傘を選び来て 松尾緑富 ホトトギス 200807
春雨の本流に乗る桟俵 山本耀子 火星 200807
春雨や鶺鴒走る石畳 柿沼盟子 風土 200807
春雨やだみ声で鳴く明烏 北畠明子 ぐろっけ 200808
春雨に身じろぎもせず托鉢僧 福盛悦子 雨月 200808
春雨に肩濡らしゆくもやひ傘 久永つう 六花 200808
春雨や和上を偲ぶ故郷の人 王岩 あを 200810
胎内のごとし春雨閨に聴くは 片山博介 春燈 200905
春雨や湖一枚をいぶし銀 柴崎甲武信 春燈 200906
春雨や金の雫の金閣寺 大室恵美子 春燈 200906
春雨の辻托鉢の声は逸れ 井上加世子 ぐろっけ 200906
春雨に濡れて笑顔の石地蔵 中山静枝 200906
春雨といふには激し昨夜の雨 仁平則子 200906
杉木立春雨つつむ輪王寺 大木清美子 200906
春雨や三味の音流れ神楽坂 石原光徳 酸漿 200906
春雨のしだいに消ゆる水面かな きくちきみえ やぶれ傘 200906
春雨や瓦に残る布目あと 長戸路子 春燈 200907
春雨の車の波や駅暮れて 小塩世津 200907
春雨の風を伴ふ音立てて 松尾緑富 ホトトギス 200908
春雨や煙突多き四日市 八田木枯 晩紅 200908
春雨に大地弄ばれてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
春雨や船一つなき隅田川 阿部泰子 春燈 201104
山門に春雨けぶる古都の旅 安井和恵 201106
春雨の降るとも見えで句碑濡るる 森脇貞子 雨月 201106
春雨も号泣となり夜は更ける 樋口正輝 ぐろっけ 201106
春雨や竹のわつかの冠木門 西田美ち ろんど 201107
くくり猿軒に春雨止むを待つ 加納淳子 六花 201107
春雨の池の水輪の失せて雪 小川玉泉 末黒野句集 201203
春雨に包まれながら梅ひらく 山田六甲 六花 201204
春雨ににじむ稜線東山 伊庭玲子 201205
春雨や若枝細き栗畑 柳田皓一 かさね 201205
春雨のぬくもり楽し目覚めかな 柳田皓一 かさね 201205
春雨を眺め暮して水溜り 柳田皓一 かさね 201205
春雨や無骨な文字を手帳に見 天野正子 201205
春雨の沁みて色濃き埴輪たち 杉浦典子 火星 201205
春雨やこんぺいとうの色とりどり 藤田素子 火星 201205
春雨や家鴨水脈引く舟溜り 大島英昭 やぶれ傘 201205
春雨に濡るる花街薄あかり 辻香秀 201206
春雨の傘にうつむく青春期 吉村さよ子 春燈 201206
春雨に尾を引く鉦や姉の葬 山口博通 ぐろっけ 201206
春雨の追悼俳句返し読み 斎藤茶美 ろんど 201206
春雨の並木にパンを焼く匂ひ 藤井美晴 やぶれ傘 201206
春雨やかく美しく羅漢さま 鴨下昭 201207
春雨を衣に岩の静かなり 山田六甲 六花 201207
春雨や探しあてたる小菊橋 佐藤喜仙 かさね 201208
馬券飛ぶとぶ春雨を纏ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
総門を潜る春雨傘百花 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
春雨は黄色の薔薇には降らぬ 佐藤喜孝 あを 201303
春雨の木々の雫や華鬘坂 佐藤凉宇子 ろんど 201305
春雨のあがりて葉裏の光かな 田尻勝子 六花 201305
春雨の隙間を急ぐ家路かな 黒澤登美枝 201305
春雨の音生むまでの間合かな 熊切光子 末黒野 201305
狭庭水浸しにこれも春雨か 大橋晄 雨月 201305
春雨に何も聞えず声ださず 田島昭久 かさね 201306
春雨に濡れて毛羽立つ鳩の胸 小山陽子 やぶれ傘 201306
春雨の朝をべールに守られぬ 常田創 201307
春雨や庭に亀石鶴の石 樋口みのぶ 201402
春雨の玉かざりして猫もどる 山田六甲 六花 201404
春雨や竹藪甚だしく揺るる 山崎真義 201405
春雨に不動明王火を背負ふ 山田六甲 六花 201405
春雨にふっくら青む寺の苔 橋本靖子 201405
春雨や夕ぐれて来し窓の外 山内四郎 春燈 201406
春雨や金泥かすむ丹塗門 田中たつを 雨月 201406
春雨やバス待つ人の列につき 松村光典 やぶれ傘 201406
春雨の静かにほぐす森の黙 川上恵子 雨月 201406
春雨に濡れて行こうと駈くる夫 竹内悦子 201406
春雨に濡れしまま入る解脱門 上原重一 201406
春雨にぬれて色濃き埴輪たち 杉浦典子 火星 201406

 川瀬巴水展

永き日や春雨匂ふ木版画

安永圭子 風土 201406
榕樹がじまるに牛繋がれて春雨聞く 呉屋菜々 万象 201407
春雨の磯伝ひなり波を消し 伊藤希眸 京鹿子 201407
眠りつつ春雨を聴く西行翁 北村淳子 ろんど 201407
春雨や胸に生き在す師と語り 落合由季女 雨月 201411
春雨の止みさうに止みさうに降る 稲畑汀子 ホトトギス 201502
春雨 →2      

 

2021年3月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。