花 曇 3       151句

研ぎ上げし剃刀にほふ花ぐもり    日野草城

  彼岸桜  糸桜   しだれ桜  枝垂桜  山桜  朝桜  花疲れ

花守  花の雲  花影   花の影  余花  残花  花の塵  花過ぎ

花屑・花の屑  花篝  初桜  花筵  花衣

作品
作者
掲載誌
掲載年月
パソコンに積もる埃や花曇 宇治重郎 201106
花曇り目まひ虚実に余震なほ 森下康子 201106
加へたる砂糖ひと匙花曇 コ田千鶴子 馬醉木 201106
花曇子の吹くアルトサキソフォン 松井倫子 火星 201106
花曇り文士つてやつの情死自死 安居正浩 201106
とんかちで羽目打つ妻よ花ぐもり 定梶じょう あを 201106
花曇り眉すんなりと描きけり 田原陽子 201107
平和呼ぶ太郎の塔や花ぐもり 中山皓雪 201107
花曇ちよつと重たき車椅子 中下澄江 201107
投票へ行くにも杖を花曇 小川玉泉 末黒野 201107
墨東へ向かふ車窓や花曇 藤原若菜 春燈 201107
花曇り一人の飯の炊き上る 鈴木とおる 風土 201107
裸婦像の肩つややかや花曇 永田二三子 酸漿 201107
徘徊の老婆の訃報花曇 久世孝雄 やぶれ傘 201108
水餃子ぷるっとつるっと花曇り 火箱ひろ 船団 201110
大いなる伽藍の上の花曇 武井美代子 万象 201110
花曇り幾度も触るる手術跡 小林朱夏 201205
自転車の寝転ぶ堤花曇 福島茂 201205
花曇たぶん武蔵の恋のせい 鶴濱節子 始祖鳥 201206
鳥の声遠く聞こゆる花曇 松本周二 かさね 201206
山鳩の日がな鳴きつぐ花曇 木村梨花 春燈 201206
オムレツのゆれて置かるる花曇 蘭定かず子 火星 201206
花ぐもりそのまま暮れてしまひけり 豊田都峰 京鹿子 201206
屋上に干されし病衣花ぐもり 瀬戸悠 風土 201207
鳥の声遠く聞こゆる花曇り 松本周二 かさね 201207
花曇もと来た道を戻りけり 木村傘休 春燈 201207
パドックの馬の仰け反る花ぐもり 杉浦典子 火星 201207
養生の鯉池たひら花曇 山田美恵子 火星 201207
花曇り肩にひび入る石佛 田中文治 火星 201207
花曇り猫の予報は午後雨に 松井洋子 ぐろっけ 201207
ドーナツの穴の不揃い花曇 金田けいし ろんど 201208
鳥羽口ヘつづく京の花ぐもり 飯塚ゑ子 火星 201208
どこやらが晴れてゐるから花曇 後藤立夫 ホトトギス 201209
鯉の尾の跳ねる力や花ぐもり 北崎展江 くりから 201209
水重く使ひて午後の花曇 林昭太郎 あまねく 201210
花曇り神保町に紙の店 瀬島洒望 やぶれ傘 201210
花曇り身を委ねゐる医療機器 柴田志津子 201304
針穴を睡魔のふさぐ花ぐもり 熊丸淑子 馬醉木 201305
窓際の旅の眼鏡や花曇 古川千鶴 かさね 201305
花曇塵ぬぐひてもぬぐひても 市ヶ谷洋子 馬醉木 201305
外来の呼び出しマイクも花曇 大場光よし 風土 201305
花ぐもり垣間見えたる山の空 白石正躬 やぶれ傘 201306
似たかほが三たりゐると花ぐもり 定梶じょう あを 201306
こてこてのゴッホ自画像花曇 高谷栄一 201306
花曇しつけ糸ある古着捨て 佐用圭子 201306
近付けば鬼瓦かな花曇 和田勝信 かさね 201306
風ありて天の半分花曇 岩下芳子 201306
花曇静心もて愛でゐたる 大橋晄 雨月 201306
門扉閉ぢ布沙女居しづむ花曇 奈辺慶子 雨月 201306
フリスビー低く野を飛ぶ花曇り 渡邊孝彦 やぶれ傘 201306
三面鏡開くひと日や花曇 織田喜美子 春燈 201307
金貨のやうなつり銭が出る花曇 瀧春一 花石榴 201312
花曇失せもの駅へもらひに行く 瀧春一 花石榴 201312
白墨で書く文字太く花曇 森岡正作 201406
湾なりに列車過ぎゆく花曇 泉本浩子 馬醉木 201406
傷みたる母の手鞠や花ぐもり 杉山哲也 馬醉木 201406
待つだけの恋物語花ぐもり 山本みち子 201406
花曇胃の腑に適ふ今朝の粥 大松一枝 201407
花曇鳩はつがひで戻り来る 吉田葎 201407
花曇憂ひても儘ならぬこと 伊藤厚子 ろんど 201407
誰も弾かぬピアノの埃花ぐもり 三輪温子 雨月 201407
花曇ひとは何かと火を焚けり 土屋草子 ろんど 201408
花曇吉野に残し来し心 稲畑汀子 ホトトギス 201504
筆箱の整理終へたる花曇 稲畑汀子 ホトトギス 201504
みよし野の旅も名残よ花曇 稲畑汀子 ホトトギス 201504
花ぐもり河馬の口中ももいろに 竹内弘子 あを 201505
花曇群れるボートのとりどりに 秋川泉 あを 201505
日は暮れて道なほ遠し花曇 王岩 あを 201505
煉切に金の蘂ある花ぐもり 田所節子 201506
花ぐもり和綴の古書の仮名づかひ 富川明子 201506
つくろへぬ鏡の罅や花曇 中村紀美子 春燈 201507
ふんはりと踏みゆく堤花ぐもり 藤沢秀永 201507
花曇ほほに触れたき伎芸天 小嶋紘一 末黒野 201507
花曇浚渫船は水こぼし 宮本加津代 万象 201507
鼻の差の馬身波打つ余花ぐもり 鈴木まゆ 馬醉木 201508
御仏の厚き唇花曇 黒滝志麻子 末黒野 201508
水飴の気泡うごかず花曇 林昭太郎 201510
ひとつづつもの忘れゆく花曇 荒井書子 馬醉木 201604
深海に悪相おこぜ花曇 能村研三 201605
山鳩のくくうくくうと花ぐもり 田所節子 201605
蒸しパンの蒸籠を出づる花曇 林昭太郎 201606
窓際の遅きランチや花曇 小川流子 201606
岬端に畳む白波花曇 田川美根子 201606
花曇面影遠くなりしかな 大嶋洋子 春燈 201606
花曇り一揆砦の井戸のぞく 飛高隆夫 万象 201607
古地図に見る港の歴史花曇 石黒興平 末黒野 201607
花曇り声を伴ふ生欠伸 森清堯 末黒野 201607
またひとつ仕事引き受け花曇 藤井啓子 ホトトギス 201608
ムックリの音のはなれぬ花曇り 大内和憲 万象 201608
降り立てば父郷は桐の花ぐもり 笠井敦子 201610
花曇人馬一体バー越える 大山夏子 201612
花ぐもり納骨堂のエレベーター 中田みなみ 桜鯛 201701
くちびるにあまたのつとめ花曇り 津田このみ 船団 201701
花曇り紙ナプキンに書く略図 塚越弥栄子 末黒野 201704
これは扨て鉈の刃こぼれ花曇り 中川句寿夫 ここのもん 201705
花曇朱肉のゆるび宥めをり 能村研三 201706
たいていは一人でいつも花曇 辻美奈子 201706
産卵の鯉腹を見せ花曇 森清信子 末黒野 201707
大仏の胎内もまた花ぐもり 落合絹子 雨月 201707
真間の井をひと巡りせり余花ぐもり 渡辺輝子 201707
風聴けばまなじり湿る花ぐもり 渡辺輝子 201707
那智黒や吉野熊野は花曇 高橋将夫 201707
放鳥の一羽逸れたり花曇 福島せいぎ 万象 201707
切株にのこる湿りや花曇 佐藤信子 春燈 201707
花曇りシャッター通り猫が行く 平井奇散人 船団 201707
朽ち舟に群るる真鯉や花曇 森清信子 末黒野 201708
師が遠くなりゆく日々や花曇 橋添やよひ 風土 201708
花曇なにも残らぬ特攻基地 戸栗末廣 201707
皆同じ心を抱きぬ花曇 稲畑汀子 ホトトギス 201804
旅終へて風の狼籍花曇 稲畑汀子 ホトトギス 201804
花ぐもり荒湯の湯気か湯の神か 中貞子 201805
ケーキのフィルムくるつと外し花曇 兵藤惠 201805
大仏の胎内もまた花ぐもり 落合絹代 風土 201806
花曇ケース携へ楽屋入り 下山田美江 風土 201806
不揃ひの和紙のぐるりや花曇 柿沼盟子 風土 201806
十二支を刻む石像花曇り 間島あきら 風土 201807
ホッチキスの空鳴りの音余花ぐもり 能村研三 201807
速達の届かぬ夕や花曇 横山さくら 春燈 201905
花ぐもり野暮用多き日なりけり 松橋利雄 春燈 201906
逃したる快速電車花曇 佐藤まさ子 春燈 201906
見上ぐるや夢果つる地の花曇 海村禮子 春燈 201906
甘噛みに指をまかせる花曇 はしもと風里 201906
花曇り珈琲豆を煎る匂い 太田沙良 201907
薄墨に嶺々一つなす花ぐもり 浅井青二 雨月 201907
西郷像の頭に鳩が花曇 丑久保勲 やぶれ傘 201907
余白なき介護日誌や花曇 小池桃代 末黒野 201907
折々は光降り来る花曇 立村霜衣 ホトトギス 201908
花曇り網走発のフルムーン 中島宙 201908
花曇かきわけあさがや探検隊 わたなべじゅんこ 船団 201910
伝言板に猫の手配書花ぐもり 岩永みはる 追伸 202003
華やぎを大地に納め花曇 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
男の子マイペースよね花曇 篠田大佳 あを 202005
軍港の深さは知らず花曇 太田良一 末黒野 202006
練飴の白濁掬ふ花曇 杉原かほる 202006
花曇り尖塔は何時折れますか 小島良子 202006
吊るされてビルの窓拭く花曇り 山本久枝 やぶれ傘 202007
ウイルス憂ふ子よりの荷物花曇 野村重子 末黒野 202007
みかへりの弥陀に卯の花曇りかな 荒井一代 202007
花曇動く気配のなき釣師 是松三雄 末黒野 202007
寝坊助の猫の菊千代花曇り 佐藤千重子 202007
憂き事は言はぬ卯の花曇かな 滋野暁 末黒野 202104
花曇り物干竿に小鳥二羽 藤井美晴 やぶれ傘 202105
遠嶺みな牛臥のかたち余花曇 能村研三 202106
箱階段軋みをしまひ花曇り 橋添やよひ 風土 202106
花曇一茶も歩きし守谷まで 石橋邦子 春燈 202106
パンケーキすべるバターや花曇 森清信子 末黒野 202107
花明かり水明かりして花曇 中村洋子 風土 202107
かき餅のすぐにふくらみ花曇り 奥田茶々 風土 202107
花曇コーヒー殻に針を刺し 岩藤礼子 やぶれ傘 202108
鍵かけてなにかためらふ花曇り 亀岡睦子 やぶれ傘 202108
能面に色の見えけり花曇 大川暉美 末黒野 202108
花曇大本山は工事中 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
花曇みよし野人を遠ざけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
山門に隔つ濁世や花曇 佐藤信子 春燈 202206
茶菓子取る懐紙の白さ花曇 原口久恵 春燈 202206
昼からは白き波たつ花曇 小林共代 風土 202206
花曇り甘く炊き込む油揚げ 池田光子 風土 202206
花曇コンロの着火ままならず 岡野里子 やぶれ傘 202207
動物園に長き列なり花曇 滋野暁 やぶれ傘 202207
花曇逢ひたき人は居なゐ人 小林清彦 やぶれ傘 202207
花曇デイサービスの送迎車 毛利直子 やぶれ傘 202207
半眼の露座の大仏花ぐもり 菊池ひろ子 202207
花ぐもり窓全開の濃茶かな 野村昌代 202207
イコンの聖母の金の冠花曇 荒井慈 春燈 202207
睦まじき雀の会話花曇 佐渡谷秀一 春燈 202207
花曇生きて朗らか寄らば槐 高野昌代 202208
父の名を唱ふ仏壇花ぐもり 村手雅子 202208
裏焼きの床屋の時計花ぐもり 塙誠一郎 家系図 202211
鯉の口集まる橋や花曇り 高倉和子 202211
城址は鳥鳴くばかり花曇 坂口学 202302
花曇→1

2023年4月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。