花衣(花ごろも) 1   200句

きてもみよ甚べが羽織花ごろも    芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
病床の妻へ届けし花衣 皆川盤水 春耕 199805
会者定離生者必滅花衣 保坂加津夫 会者定離 199900

 山代あづさ『桜襲』序句

ひとひらをとどめてよりの花衣

鷹羽狩行 199901
あるがまま生きる幸福花衣 平保子 いろり 199904
これはこの孔雀明王花衣 栗栖恵通子 199905
スカートは水玉模様ポルカドットを花衣 柿沼盟子 風土 199907
堂杳し白羽二重の花衣 堀江かつみ 199907
花衣脱げばたちまち髪白く 田中藤穂 水瓶座 200002
病床の父にも見する花衣 小菅暢子 200005
大仏を容れたる堂へ花衣 加藤真起子 火星 200006
しどけなく衣桁にけふの花衣 當麻幸子 俳句通信 200006
久女ともなれず紐解く花衣 塩路隆子 精鋭選集 200008
瞑りて動悸の見ゆる花衣 篠田純子 あを 200105
化粧水たっぷり叩き花衣 石橋翠 いろり 200106
花衣切嵌め小紋好みとて 宮津昭彦 200106
浮かびきし鯉のまとひし花衣 田中干鶴子 200107
花衣ほめられてゐる五十路かな 物江昌子 六花 200107
花衣昼月高き箱根山 皆川盤水 春耕 200107
星形に座つてをりし花衣 若生まりあ 遠嶺 200107
花衣脱ぐやわたくしの草紙閉づ 田中亜美 海程 200108
約束の花衣にて待合はす 二瓶洋子 六花 200108
花衣まとひ忌日の心脱ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200204
スカーフをかけて即ち花衣 大塚邑紅 200206
体温の抜けて重たき花衣 西宮舞 200206
花衣たたむうなじの美しき 西宮舞 200206
花衣われにかそけき翅音あり 小菅暢子 200206
ぬくもりをそのままかける花衣 高野清風 雲の峰 200206
葛根湯呑むや衣桁の花衣 中島陽華 200206
衝立に掛けっぱなしの花衣 木野本加寿江 火星 200206
途中よりマスクかけたる花衣 木野本加寿江 火星 200206
綿菓子の孫の手を引く花衣 小池槇女 火星 200206
花衣まだ見ぬ人に会ふために 八木葉子 酸漿 200206
ふりむきし人の気になる花衣 小田元 六花 200206

 飯塚やす子『衣桁』序句

掛けられて衣桁いきづく花ごろも

鷹羽狩行 200304
半襟の汗うひうひし花衣 岡本眸 200304
花衣二間つづきに帯解きて 熊丸淑子 馬醉木 200306
花衣胸のいびつを庇ひつつ 杉本綾 200307
しつけ糸とる嬉しさの花衣 馬場美智子 六花 200307
両肩をすべる友禅花衣 金澤明子 200307
無住寺の鐘一つつく花衣 木野本加寿江 火星 200307

 深野敦子『クリオネの羽』

纏へるはポルシェの赤の花衣

能村研三 200405
待たせゐてまだ決めかねし花衣 木村てる代 雲の峰 200406
さりげなく妻の纏ひし花衣 志水芳秀 雲の峰 200406
控へ目を選びしけふの花衣 神谷信子 雲の峰 200406
わが身ほど人は律さず花衣 小澤克己 遠嶺 200407
花衣男結びに庵を出づ 花島陽子 遠嶺 200407
鏡には許可を得てをり花衣 保田英太郎 風土 200407
折畳み椅子に沈めし花衣 稲畑廣太郎 ホトトギス 200504
黒にわが忌心秘めし花衣 稲畑汀子 ホトトギス 200504
花衣脱げば仕事の待つてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200504
花衣脱ぐ時佛間借りにけり 酒本八重 里着 200506
ペンを差すところを探す花衣 今瀬剛一 対岸 200506
夕風の小寒くなりぬ花衣 大石喜美子 雨月 200506
道草の好きなプードル花衣 赤座典子 あを 200506
花ごろも重ね至芸の勘三郎 中島伊智子 酸漿 200507
集ひ来て米寿あやかる花衣 有島夛美 河鹿 200507
涙など武器にはならず花衣 森下康子 200507
躾取る亡母の記憶や花衣 橋本靖子 200507
雲切れてキャラメル色の花衣 藤井英子 対岸 200507
花衣着つつはなやぐ母子あり 山村修 酸漿 200507
旅の夜の衣桁に軽き花ごろも 一民江 馬醉木 200508
夜は夜の花衣着て古城址へ 木暮陶句郎 ホトトギス 200508
気後れを払拭したる花衣 本城布沙女 雨月 200508
優柔を捨てたる後の花衣 あさなが捷 200508
忌に祝ぎに思ひ出畳む花衣 吉田小幸 ホトトギス 200509
花衣祝衣旅ひんがしへ 山田弘子 ホトトギス 200509
糸引けば縫目ちぢみぬ花衣 山田六甲 六花 200605
宇野千代の花と競へり花衣 品田弘子 四葩 200606
半襟のしぼふつくらと花衣 相田喬子 四葩 200606
梳き上げし髪美しき花衣 大橋敦子 雨月 200606
花衣観音山を出でにけり 近藤きくえ 200606
花衣古稀より以後は齢捨つ 石岡祐子 200607
花衣ともちがふ落慶の日の衣 服部早苗 200607
役了へてさてこれよりの花衣 土田芳月 遠嶺 200607
花衣一途に生きて女たり 峯桜子 遠嶺 200607
呼鈴を押す手眞白き花ごろも 北川孝子 京鹿子 200608
地味な柄地味に着こなす花衣 森津三郎 京鹿子 200608
ねんごろに衣裳合せの花衣 後藤比奈夫 ホトトギス 200610
子育ても少し落ち着き花衣 赤木真理 ぐろっけ 200702
花衣まとひぬオペラ聴く夜は 三枝正子 万象句集 200703
着重ねて花衣とはもう言へず 稲畑汀子 ホトトギス 200704
市松人形も着替へる花衣 品川鈴子 ぐろっけ 200705
傘雨の句掲げし店や花衣 水原春郎 馬醉木 200706
接待の袂を挟む花衣 岩下芳子 200706
傘寿過ぎ気取ることなき花衣 稲垣光子 200706
母の手の温もり褪めず花衣 水谷ひさ江 六花 200706
寝たきりの母の筒袖花衣 水谷ひさ江 六花 200706
花衣立てり帝国ホテル前 磯崎清 200707
花衣夫に言ひ訳ふたつみつ 岩井ひろこ 火星 200707
ゆつくりと歩く夕暮花衣 村瀬八干代 遠嶺 200707
ウェデイングドレスてふ花衣かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
花衣吊るや段差の多き宿 伊藤白潮 200805
花衣人に酔ひつつ人を恋ひ 峰幸子 200805
見納めといふが口癖花衣 日山輝喜 200806
うす闇にたたまれてをり花衣 岡部名保子 馬醉木 200806
乳房から笑いしずまる花ごろも 杉田桂 頂点 200806
帯解けば胸のしめりや花衣 栗栖恵通子 200806
花衣なれたるふうに着てをりぬ きくちきみえ やぶれ傘 200806
雨合羽重ねて今日の花衣 高橋道子 200807
ライト浴び水面は鯉の花衣 岡野峯代 ぐろっけ 200807
ひとひらをうなじにとめて花衣 柳葉繁 200808
半襟に萌黄を選みて花衣 ことり 六花 200904
手づくりのスカーフ今日の花衣 篠田純子 あを 200905
肩に添ふ母のうす色花衣 渡たみ 馬醉木 200906
瑠璃光の塔に似合ひの花衣 鈴木阿久 200906
花衣すとんと脱ぎて癒え近し 柴田雪路 200907
潮風や身は天竺の花衣 竹中一花 200907
寂しさと背中合はせや花衣 環順子 遠嶺 200907
蛸薬師堂に鐘つく花衣 小林成子 火星 200907
花衣人影に居て雅かな 近藤ともひろ ろんど 200907
ドレープに両の手を添へ花衣 坂本節子 200908
花衣脱ぎて衣の芯のわれ 坂本節子 200908
花衣ととのへしより旅心 稲畑汀子 ホトトギス 201003
花衣着て大事な日迎へたる 稲畑汀子 ホトトギス 201003
花衣風に吹かるる野点かな 加藤克 201005
直情の背筋を芯に花衣 柴田佐知子 201005
背に掛けて貰ひしよりの花衣 辻直美 201006
雨やりすごす寸胴の花衣 風間史子 201007
帰るなりエプロンで立つ花衣 木野本加寿江 火星 201007
吊られある絵馬読んでゐる花衣 城孝子 火星 201007
樟脳の匂ひし母の花衣 横内かよこ ぐろっけ 201007
花衣うかうか女になつてゐし 松田都青 京鹿子 201008
如庵出で花に消え行く花衣 奥村真人 雨月 201008
この花のために一会の花衣 後藤比奈夫 ホトトギス 201009
虚子館の理事会集ふ花衣 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
それきりとなりし出逢ひや花衣 外川玲子 風土 201105
余震なほ箪笥の底の花衣 山本浪子 風土 201106
太陽の橋じぐざぐに花衣 中山皓雪 201107
余震来て舞ふごと脱げり花衣 田中臥石 末黒野 201107
串団子セーラー服の花衣 田中佳子 ぐろっけ 201107
花ごろも如来しづけき遊び足 西村純太 201107
白髪にかもじたつぷり花衣 中島陽華 201107
花衣とはおほげさな普段着で 浅井靑陽子 ホトトギス 201108
畳み方知らぬ娘ら花衣 細川知子 ぐろっけ 201108
花衣帯解けるとき香りけり 久永つう 瀬戸の海 201203
花衣着せてやりたし伎芸天 笠井清佑 201206
花衣夜は法事の末席に 竹内悦子 201206
さかしまに川面を歩く花衣 柴田久子 風土 201206
醍醐寺に仕立上がりの花衣 中村洋子 風土 201207
一枚を脱ぎ捨ててある花衣 根岸善行 風土 201207
花衣十年前の若き柄 林哲夫 ぐろっけ 201207
蒼天の堤に仰臥花衣 三枝邦光 ぐろっけ 201207
人並にペツトも纏ふ花衣 三橋早苗 ぐろっけ 201207
文様の上方ぶりや花ごろも 花田心作 201207
吉野行それと定めし花衣 今井千鶴子 ホトトギス 201208
一陣の風に石像花衣 林哲夫 ぐろっけ 201208
花衣百人に百の色柄よ 安藤虎酔 かさね 201303
さりながら見立て確かな花衣 柳橋繁子 201405
衣桁より二ひら三ひら花衣 北川英子 201406
輪になりし園服という花衣 甕秀麿 201407
人柄の丸くなりたる花衣 苑実耶 201407
着疲れの跡も吊され花衣 上野進 春燈 201407
花衣脱げば花びらこぼれけり 田代貞枝 201408
畳紙解けば時に耐へをり花衣 秋葉雅治 201501
指入れて帯をしめをり花衣 山田六甲 六花 201505
花衣脱ぎたるラジオ深夜便 火箱ひろ 201506
雪洞やそぞろ歩きの花衣 大森道生 春燈 201506
名刹に吸ひ込まれゆく花衣 小林朱夏 201506
名刹に吸ひ込まれゆく花衣 小林朱夏 201506
花衣脱ぎ捨ててある行基の湯 竹内悦子 201507
逢へぬ日の想ひのいろの花衣 後藤眞由美 春燈 201507
死後もまた逢ひたき人の花衣 河口仁志 201507
八十路とて老いのたしなみ花衣 玉置かよ子 雨月 201507
幾たびも箪笥に背伸び花衣 升田ヤス子 六花 201507
赤門へ親と下見の花衣 橋本くに彦 ホトトギス 201607
花衣たのしきときは訛りけり 齋藤厚子 201607
花衣母はいつもの納戸色 宮崎高根 201607
明日逢ふと衣桁に掛けし花衣 高橋和女 春燈 201607
花衣へやさしくたたむ今日の幸 阪倉孝子 201607
花衣てふは心に着せるもの 後藤比奈夫 ホトトギス 201609
帯締の少し斜めや花衣 山田六甲 六花 201705
行く春や背に散りかかる花ごろも 菊谷潔 六花 201707
薬湯へ妻と来て脱ぐ花衣 田中臥石 末黒野 201707
花衣解きていつもの主婦の顔 田村加代 末黒野 201707
花衣やさしき影を連れかへる 阪倉孝子 201707
微笑みの横顔まろし花衣 田中美恵子 201707
救命具腰に付けもし花衣 和田華凛 ホトトギス 201708
賞状に鼓釦の花衣 西住三惠子 201707
明日逢ふと衣桁に掛けし花衣 高橋和女 風紋 201709
さりげなき仕事着夜は花衣 今井千鶴子 ホトトギス 201709
みよし野の旅の名残の花衣 稲畑汀子 ホトトギス 201804
鍵善の席にあふれて花衣 山本喜朗 雨月 201806
花衣連れ立つ人のあらばこそ 宮内とし子 201806
付け襟の手編みのレース花衣 辻響子 201806
気遣はることに疲れし花衣 はしもと風里 201806
花衣夕暮れてなほ匂ひ立つ 吉田順子 201807
姿見に映るときめき花衣 佐久間尚子 馬醉木 201807
母のくせ残んの帯や花衣 西本花音 春燈 201906
花衣ぬいで捨てたい思ひかな 江島照美 201906
花衣に更へて帰宅の途につけり 高橋和女 春燈 201907
花ごろも小町通りをたもとほり 平野秀子 末黒野 201907
令色の蝋のこころの花衣 藤井なお子 船団 201910
花衣かけて衣桁のつくる闇 成智いづみ 馬醉木 202005
半襟の白しなやかに花衣 西本花音 春燈 202007
花衣てふ言の葉美し八坂道 今村千年 末黒野 202007
明日待つ衣桁にかくる花衣 山下朝香 京鹿子 202008
花衣会うて別れて後の悔い 尾野奈津子 春燈 202107
なからぎのみちを抜けきて花衣 橋添やよひ 風土 202107
軽暖や薄花ごろもにをちの山 諸岡孝子 春燈 202108
花衣装ふこともなく散りぬ 今橋眞理子 ホトトギス 202109
花衣 →2      

 

2023年3月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。