20       200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
城跡の松の香ほのと花の昼 阿部ひろし 酸漿 200507
野仏の合掌ならぶ花の昼 阿部ひろし 酸漿 200507
道成寺はねての銀座花の昼 中島伊智子 酸漿 200507
なごやかに人すれ違ふ花明り 小滝奈津江 酸漿 200507
見上ぐれば身に降りかかる花の雨 兼子栄子 酸漿 200507
山迫る甲斐の一村花の中 片野美代子 酸漿 200507
麗しき大和言葉の花人等 下平しづ子 雨月 200507
一鳥の揺れ花翳に紛れをり 岡淑子 雨月 200507
花あかりして寺に古る曼陀羅図 岡淑子 雨月 200507
句に遊び再びまみゆ今日の花 大西正栄 雨月 200507
憂き事も忘れ子に蹤き花の旅 大西正栄 雨月 200507
我が余命惜しむごとくに花仰ぐ 大西正栄 雨月 200507
忙しき中来りしに花に雨 田中峰雪 雨月 200507
大和心とは花咲くを待つこころ 三輪温子 雨月 200507
無造作に抜身地に並め花下のロケ 森脇貞子 雨月 200507
日本に花日本語にホ句のあり 山田夏子 雨月 200507
花の雨手ごころ加へたまへかし 山田夏子 雨月 200507
建替のうはさの荘の花万朶 隅田恵子 雨月 200507
花万朶懐古に浮び出づ顔セ 仙石君子 雨月 200507
鏡台に伏せある句帳花の昼 出口賀律子 雨月 200507
花を待つこころ逸れど花は遅々 服部珠子 雨月 200507
勧進帳謡ふ東都の花の中 服部珠子 雨月 200507
花の駅言葉足らずに送り来し 西村操 雨月 200507
能面の横顔にほと花あかり 乗光雅子 雨月 200507
蔵王堂はろか花また花の中 大石喜美子 雨月 200507
立ち上がり歩めば花の動きだす 大串章 百鳥 200507
闇深く花を鎮むる神楽かな 高橋とも子 百鳥 200507
花時の夜汽車に母とありしこと 中村雅樹 百鳥 200507
言ひよどむことあり水に花の影 阿部いく子 百鳥 200507
花の校庭還暦の逆上り 酒井康正 百鳥 200507
花曇作業小屋より笑ひ声 佐々木咲子 百鳥 200507
目撃者捜す看板花の雨 杉江美枝 百鳥 200507
白杖の立て掛けてあり花の宴 大和あい子 百鳥 200507
乳母車ゆする母の手花の影 柿澤喜三郎 百鳥 200507
花の下老犬常のごと眠る 鈴木實 百鳥 200507
花終る大道芸が人集め 鈴木實 百鳥 200507
篆刻の実演かこむ花の昼 中里とも子 百鳥 200507
表札は三業組合花の雨 村上葉子 百鳥 200507
舟宿の梯子上げられ花了る 村上葉子 百鳥 200507
駅の名の桜とありぬ花づかれ 浜田久美子 六花 200507
花人やだれもやさしき瞳もち 松本安弘 六花 200507
絵画展眼の保養して花三分 馬場美智子 六花 200507
花便りまた雪だより一人坐す 阿部晴山 200507
ふんばれよ自問自答の花三分 阿部晴山 200507
花埃はたいて仕舞う宴かな 小林むつみ 200507
ケア日記花のしおりをして閉じる 大熊さと 200507
花の散る和船漕ぎゆく小名木川 数藤弥太郎 200507
瞼をうかつにも閉づ花の下 佐藤喜孝 あを 200507
花びらのびつしりとありあぎとへる 佐藤喜孝 あを 200507
きてみれば花散りいそぐ五稜郭 木村茂登子 あを 200507
花ぐもり疲れが残るふくらはぎ 森山のりこ あを 200507
こまごまと花を散らしぬ大桜 青山丈 200507
花の寺「茶の湯の稽古致します」 初瀬啓子 200507
花人に囲まれてをる辻楽士 灘秀子 200507
ジヤスミンの一枝を手折る花盗人 有島夛美 河鹿 200508
碧落へ花のひとひら吸はれけり 山下青坡 200508
そぞろ行く冷泉通り花明り 金山藤之助 200508
散る花のひとひら毎の神仏 千原叡子 ホトトギス 200508
朝日まだ当らぬ谷の花の色 稲岡長 ホトトギス 200508
とは言うて花にも別れねばならず 稲岡長 ホトトギス 200508
連れ立ちて二歳児もまた花人に 高浜礼子 ホトトギス 200508
花の下たましひのみの吾となり 山下しげ人 ホトトギス 200508
花人の重さで沈みさうな山 木暮陶句郎 ホトトギス 200508
眠りたき花照明が突き上ぐる 木暮陶句郎 ホトトギス 200508
この人出花は上野と言ふけれど 松尾緑富 ホトトギス 200508
旅鞄持ち重りして花の山 松尾緑富 ホトトギス 200508
呑み下す花に別れといふ思ひ 稲岡長 ホトトギス 200508
らんまんの花の散りくる憂ひあり 桑田青虎 ホトトギス 200508
樺の花富士仰ぐとき天降りくる 岡本まち子 馬醉木 200508
入院のメモ握りしむ花の昼 高木杏子 馬醉木 200508
消燈に闇やはらかき花の雨 高木杏子 馬醉木 200508
開帳の秘仏に出合ふ花行脚 渡邊英子 馬醉木 200508
集う日の花の見頃を推し測り 田村時与 200508
悪人も善人も無き花の下 大森桂子 200508
オフェリアに添って流れる花のかず 岡田芳べえ 200508
花びらをあまた沈めし濠の色 伊嶋淡々 200508
ひとひらの花は先達の命なり 馬場龍雨 200508
君づけの同窓会や花三分 杉山涼風 200508
花万朶水辺の暗み磨崖仏 浦川哲子 200508
花散らす肩車の子の双手かな 浦川哲子 200508
骨董の壺ふくよかに花の雨 伊藤雅子 200508
ヴェネツィアングラスの向こう花あかり 伊藤雅子 200508
花の山一切のこと忘じける 雨村敏子 200508
先生の手の大きかり花の下 西宮舞 200508
職退きて花盗人となりにけり 石川等 200508
花の夜の宝物殿の鍵の音 小山徳夫 遠嶺 200508
薫風や花片をすぐ触る癖 岩淵彰 遠嶺 200508
遠景も近景もみな花満てり 小林恵子 遠嶺 200508
深空より花こぼれ来し館跡 浜田はるみ 遠嶺 200508
放浪に憧れありし花のころ 高橋良介 遠嶺 200508
花めぐり散るを惜しむや暮六つ 古川洋三 遠嶺 200508
零戦に花降りかかる日和かな 青木辰夫 遠嶺 200508
玄関に虻つれ込めり花売女 神山テル 栴檀 200508
鎌を研ぐ女楮の花の下 江崎和子 栴檀 200508
花づかれならぬ画展の花に酔ふ 家塚洋子 酸漿 200508
水湛へ湖静もれり花の雨 君島栄子 酸漿 200508
宮城をにはかに隠し花の雨 松井洋子 ぐろっけ 200508
先生の笛で園児も花も散る 大空純子 ぐろっけ 200508
ぐいと立つ青権現も花の客 角谷美恵子 ぐろっけ 200508
池に出て別の明るさ花の昼 金子野生 京鹿子 200508
灘万の弁当に散る花一片 河内桜人 京鹿子 200508
山門の落慶法要花万朶 大堀鶴侶 雨月 200508
大玻璃戸二面つづきの花の景 隅田恵子 雨月 200508
点眼の一滴花の雨冷ゆる 葛馬房夫 雨月 200508
月朧花おぼろなる橋ゆきき 葛馬房夫 雨月 200508
見ず知らずの女人と花の傘のうち 安達風越 雨月 200508
鳥ちらちら花曼荼羅に遊ぶかな 安達風越 雨月 200508
花の枝震へてゐたり練り神輿 鳴海清美 六花 200508
楽市や花人誰も立ち寄らず 二瓶洋子 六花 200508
白湯のんでまた墨を磨る花曇 里中章子 200508
ひと息をかくれば開きさうな花 苑実耶 200508
己が葬取り仕切る夢花明り 苑実耶 200508
花人へ都営大江戸線に乗る 嶋田一歩 ホトトギス 200509
地下鉄を出れば花あり皇居あり 嶋田一歩 ホトトギス 200509
句友とは逢はずも親し花の宴 吉田小幸 ホトトギス 200509
大役を果せし安堵花万朶 吉田小幸 ホトトギス 200509
古庭の残んの花に朝戸繰る 喜多村萬城 ホトトギス 200509
ひとり来し吾も花人にちがひなし 宇田秋思 ホトトギス 200509
目閉づればたちまち花に遊びけり 今井千鶴子 ホトトギス 200509
明日といふ日もあり花に別れても 今井千鶴子 ホトトギス 200509
花八十二年見しこと誕生日 嶋田一歩 ホトトギス 200509
東京に父母の墓あり花曇 嶋田一歩 ホトトギス 200509
陶工の筆こまやかに花の雨 三好かほる 万象 200509
ポケツトを花のかたちにして帰る 荒川美邦 京鹿子 200509
桶の鮒浮けるは白し花びらも 瀧春一 菜園 200509
ちる花のひとひらに大き巷あり 瀧春一 菜園 200509
花ふぶく道に噴井の水はしり 瀧春一 菜園 200509
電車驛ゆふべは花もちりやみぬ 瀧春一 菜園 200509
花の雨鴎のつばさゆきかへり 瀧春一 菜園 200509
ひと日居て初島はしまを見ざり花の雨 瀧春一 菜園 200509
花の雨勇士の遺影濡れて通る 瀧春一 菜園 200509
英靈いま花咲く温泉でゆの町に還る 瀧春一 菜園 200509
花の春犬飼うて人に憚れる 瀧春一 菜園 200509
花の昼盆の窪より眠くなる 岩岡中正 ホトトギス 200510
法王に花の別離となる日本 小島左京 ホトトギス 200510
心眼で拝す秘仏や花幽く 小島左京 ホトトギス 200510
爛漫の花明りして泉岳寺 桑田青虎 ホトトギス 200510
花散るや前世しきりになつかしき 岩岡中正 ホトトギス 200510
イグナチオの夕鐘が降る花がふる 山元志津香 八千草 200510
花はさてさても宴は闌に 四戸和彦 八千草 200510
いま吸ひし花の匂ひを吐きにけり 高橋将夫 炎心 200510
花の山ぐるり人間ばかりかな 高橋将夫 炎心 200510
艫綱のほどよくたるみ花の昼 遠藤真砂明 波太渡し 200510
一生も一会もいのち花に酌む 遠藤真砂明 波太渡し 200510
高楼の隠し階段花月夜 宮澤さくら 今生 200510
糸寒天ふやけきつたる花曇り 高橋あゆみ 200510
帰るたび眉山こたびは花かすみ 上崎暮潮 ホトトギス 200511
花の町深き谷ある城を抱き 村松紅花 ホトトギス 200511
緋毛氈敷く一隅の花明かり 福地初江 200601
花ぐもり嵩なき髪のはねやすき 楠原幹子 白卓布 200602
花を以て北窓塞ぐ画室かな 能村研三 200602
仏彫る檜のにほひ花曇 飯高あい 対岸 200602
いせ辰に千代紙を撰る花の昼 飯高あい 対岸 200602
すひかづら今元気なり花こぼす 加藤君子 火星 200602
花の山リフトに足の力抜く 関戸文子 酸漿 200602

 三月十日の空襲の夜、この世を去りたる

おあいさんのありし日のおもかげをしのぶ

花曇かるく一ぜん食べにけり

久保田万太郎 春燈 200603

 銀座の昼を行く。

のび、空巣、すり、掻ッぱらひ、花曇

久保田万太郎 春燈 200603
花の寺孔雀が猫の声上ぐる 水野加代 万象 200603
千本の花を篝に夜の川 松村多美 四葩 200603
花びらの淀にあつまる夕づくと 佐藤喜孝 あを 200603
下町の花の輪廻でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
花の下蕉心会の六年目 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
この花に寄す忌心と祝ぎ心 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
若女将健在吉野花健在 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
青丹吉奈良の外れの花万朶 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
若女将てふ来年を約す花 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
満開の花に覚めれば吉野かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
燭灯すとき花明り花の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
花の旅地球の自転確かめて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
志継ぎゆく花の忌日かな 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花の坂携へて来し祝ぎ心 稲畑汀子 ホトトギス 200604
皆今日の花の喜び持ち寄りて 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花日和虚子の心といふべかり 稲畑汀子 ホトトギス 200604
みよしのの花の消息問はずとも 稲畑汀子 ホトトギス 200604
祝ぎ心沈めたるより花の雨 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花移りゆくみ吉野の晴に向け 稲畑汀子 ホトトギス 200604
仕上げねばならぬならぬと花の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200604
快晴といふに加はる花心 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花の旅までにすませて置くことも 稲畑汀子 ホトトギス 200604
我も又花の絵巻を繙かん 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花うつつ吉野に一歩踏み入れば 稲畑汀子 ホトトギス 200604
宿の灯を包みて花の朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花明り届かぬ山路星仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200604
朝の日の花の尾根より下りてくる 稲畑汀子 ホトトギス 200604
よべ星を仰ぎし山路花に覚め 稲畑汀子 ホトトギス 200604
散り初めしその一片の花明り 稲畑汀子 ホトトギス 200604
旬のものどれも手作り花の宿 稲畑汀子 ホトトギス 200604
すぐ次の予約を入れて花の宿 稲畑汀子 ホトトギス 200604
これよりは花に浮かるる山路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200604
花の山旅の名残は尽きざりし 稲畑汀子 ホトトギス 200604
由緒ある花に出逢ふも旅路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200604
ひとひらの花満月に吸ひ込まれ 中村房枝 六花 200604
花散つて石の戒壇広きかな 渡邉友七 あを 200604
日が長くなりしと花を切り揃ふ 今瀬剛一 対岸 200604
カステラの老舗の甍花ぐもり 高畠陽子 河鹿 200605
千体仏の一尊をろがむ花曇 荒井書子 馬醉木 200605
父祖の地へ花の峠を越えにけり 苑実耶 200605
千人のそぞろ歩きよ花そぞろ 林翔 200605
傾城の恋の達引花月夜 三宅文子 春燈 200605

 祝・句集『二輪草』

一輪の夢が二輪へ花の春

小澤克己 遠嶺 200605
花→ 21      

 

2021年4月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。