山 桜 4       211句

母こひし夕山桜峰の松   泉鏡花   蝸牛庵句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山ざくら径有耶無耶に失せにけり 寺岡ひろし 雨月 201006
朱の残る臼杵の石仏山桜 鈴木むつ子 201006
山桜明治生まれの伊予かすり 空音 六花 201006
野仏の頬を染めたる山桜 鈴木多枝子 あを 201006
山ざくら天上へゆく道しるべ 鎌倉喜久恵 あを 201006
山桜散りゆく谿の深さかな 青山正英 201007
ひと本の山桜見てけふ足れり 村上絢子 馬醉木 201007
父病みて白炎となる山櫻 水野恒彦 201007
般若経おさめし後の山桜 谷村幸子 201007
雲中に蔵王権見山ざくら 南宮桂子 風土 201007
廃寺かな人を招きて山桜 石川友江 風土 201007
日の没りしあとを雲ゆく山ざくら 大崎紀夫 やぶれ傘 201007
ひもろぎになだるる崖の山桜 中村恭子 201007
曲るたびこゑに青畝の山桜 高橋道子 201007
み吉野の茶粥の渋し山ざくら 池園二三江 春燈 201007
地震の傷ゆつくり癒えて山桜 柴田佐知子 201007
山桜淵に散る他なかりけり 西村節子 火星 201007
ぼかし絵のごとく吉野の山桜 大橋晄 雨月 201007
百姓の隠れ湯に咲く山桜 上田明子 雨月 201007
山桜木立の中を埋め咲く 浅野恵美子 酸漿 201007
巌頭は玉座のごとし山桜 金子つとむ ろんど 201008
細道をきさの小川へ山桜 塩出眞一 ぐろっけ 201008
山桜立ち退き喫茶今日限り 長瀬節子 ぐろっけ 201008
陸奥は春まだ浅し山桜 夏目満子 酸奬 201008
観音のおはす道の辺山桜 有賀昌子 やぶれ傘 201010
狼の声籠りたり山桜 坂上香菜 201106
山桜土の匂ひの豊かなり 岡佳代子 201106
高僧は女人好めり山桜 小林朱夏 201106
狼の終焉の地や山桜 谷岡尚美 201106
南朝をしのぶ宮居や山桜 大西裕 酸漿 201106
看板に鳥獣保護区山ざくら 成田美代 201107
山顚に一本ともり山桜 菅野日出子 末黒野 201107
夕月を高々掲げ山桜 服部珠子 雨月 201107
咲き初むる花に散りくる山ざくら 寺岡ひろし 雨月 201107
花人のみな去りてこそ山桜 大崎ナツミ 雨月 201107
結界に面売りのゐる山桜 深澤鱶 火星 201107
南朝の苔をまとへる山さくら 鳳蛮華 201108
杉襖そびらにひかへ山さくら 鳳蛮華 201108
胸反つて太鼓を一打山桜 矢野百合子 201108
山桜満ちて山容ととのへり 熊切光子 末黒野 201108
渋滞をさけて天城路山桜 嶋田一歩 ホトトギス 201110
今牛の香華となりし山ざくら 大場ひろみ 馬醉木 201110
駈けのぼる西行庵の山ざくら 雨宮桂子 風土 201111
一畳の御堂千畳の山桜 吉田葎 201204
磧湯の瑠璃の湯壺や山ざくら 水原秋櫻子 馬醉木 201205
山桜佛ごつそり盗まれし 山尾玉藻 火星 201205
山桜又兵衛の名をいただきて 服部鹿頭矢 馬醉木 201206
鶯の声遠くより山桜 筒井八重子 六花 201206
山櫻非核三原則自爆 篠田純子 あを 201206
雨霧の飛んで現る山桜 須賀敏子 あを 201206
山桜宿の真下に屋形船 代田青鳥 風土 201207
胸突のその上の坂山桜 成田美代 201207
焼入れの水弾けとぶ山桜 福島せいぎ 万象 201207
奥にまだ山桜ありその奥にも 松本峰春 春燈 201207
絶妙の傾きに咲く山桜 谷岡尚美 201207
山桜お神酒あがらぬ神のなし 深澤鱶 火星 201207
縁側に空の鳥籠山桜 大山文子 火星 201207
奥羽三関越えてまことの山櫻 鳥居美智子 ろんど 201207
喧噪を離れてひとり山桜 川上久美 ろんど 201207
せはしさの身のほぐれゆき山桜 岡田史女 末黒野 201207
禅寺の空に溶けあひ山桜 占部美弥子 末黒野 201207
放心の色となりゆく山桜 原友子 201208
山桜満開を期す勢ひあり 稲岡長 ホトトギス 201208
沼に向く平城の跡山桜 内田郁代 万象 201208
ひとりゐて心ほぐるる山桜 北崎展江 くりから 201209
飯坂に目覚めて宿の山桜 北崎展江 くりから 201209
峡ひびく三百年の山桜 古川忠利 ろんど 201209
山ざくら屋根師は遠き東より 山本鬼之助 201212
刻々と咲き進む山桜かな 稲畑汀子 ホトトギス 201304
いつまでも夕日放さぬ山桜 小山直子 末黒野 201304
何事も潮時のあり山桜 石脇みはる 201305
乱読の目を向けにけり山桜 山田六甲 六花 201305
色集まれば紅色に山桜かな 山田六甲 六花 201305
散るきつかけは何でもよし山桜 山田六甲 六花 201305
たなびける雲の風情や山桜 桂敦子 201306
老いたるを花には見せず山桜 服部鹿頭矢 馬醉木 201306
しばらくは埴輪と語る山桜 海村禮子 春燈 201306
海へ咲く勿来の関の山桜 森高武 風土 201306
葉のありてこその雅びや山桜 大橋晄 雨月 201306
山櫻きのふの花に飽いてをり 竹内悦子 201306
松を背に楚々の風情や山ざくら 山口和子 201306
一人乗せバス折り返す山桜 柴田志津子 201405
男ごころは昃りやすし山桜 戸栗末廣 201405
廃鶏と決めて飼ひをり山桜 和田照海 京鹿子 201406
山桜山にはひそと化仏たち 大畑善昭 201406
筆塚に夕影ながし山ざくら 石川倜子 馬醉木 201406
風鐸に触るるばかりや山桜 小川玉泉 末黒野 201406
悠久の飛鳥川辺の山ざくら 山口キミコ 201406
悠久の飛鳥川辺の山桜 山口キミコ 201406
一朝にして咲き満つる山桜 谷口俊郎 201406
鍬の柄に握りぐせあり山ざくら 杉浦典子 火星 201406
大空をピンクに染めて山桜 山崎真義 201406
男ごころは戻りやすし山桜 戸栗末廣 201406
一軒家あり一本の山桜 笹村政子 六花 201407
雨後の日に葉のてらてらと山桜 小川玉泉 末黒野 201407
奥山の秘仏を囲む山櫻 谷岡尚美 201407
農を継ぐ子等なき里や山桜 吉田きみえ 末黒野 201407
山桜下りは一人のロープウエイ 塩田朱千 京鹿子 201407
山桜人のまばらに来て仰ぐ 升田ヤス子 六花 201407
山桜満開うふふ足湯する 高野春子 京鹿子 201407
山道の空狭くする山櫻 田代貞枝 201407
産土の神お座します山桜 箕輪カオル 201407
山桜満開にして静謐なり 手島伸子 雨月 201407
山桜カメラ自在の老婦人 赤塚篤子 末黒野 201407
山ざくら鯉沈みゐる水暗し 杉浦典子 火星 201407
念持仏もたず生き来て山桜 橋添やよひ 風土 201407
遠望の海円やかや山桜 田中臥石 末黒野 201407
雪嶺を遠く車窓の山桜 笹村政子 六花 201407
太根あらはに断崖の山桜 南うみを 風土 201407
献血の三十三回山桜 柿沼盟子 風土 201407
大甕に枝たつぷりと山桜 緒方佳子 火星 201407
山桜もんぺの膝のすぐ汚れ 原友子 201408
山桜皇子の沓音野を綴り 伊藤希眸 京鹿子 201408
山桜夕日のいろを目にあづけ 堺昌子 末黒野 201408
み吉野を咲き尽くしたる山桜 今井肖子 ホトトギス 201504
山桜なだるゝ底の水の音 今井肖子 ホトトギス 201504
海越ゆる気流に乗れや山桜 佐渡谷秀一 対座 201505
ありがたや観音堂の山桜 西村雪園 風土 201506
山桜風の白衣を装ひぬ 山下ひろみ 201506
岩走る水の色なす山桜 石川倜子 馬醉木 201507
競ふさまなくて全山桜かな 高橋道子 201507
巡り来る母の忌巡り咲く山桜 福島照子 京鹿子 201507
上枝みな空を指しをり山桜 小川玉泉 末黒野 201507
西行に捧ぐる一枝山ざくら 和田慈子 末黒野 201507
山桜切符は箱へ無人駅 仁平則子 201507
咲き満ちて折目正しき山櫻 谷口一献 六花 201508
俎と笊干されゐる山桜 大崎紀夫 虻の昼 201510
魚屋の車が坂を山ざくら 大崎紀夫 虻の昼 201510
釣人や鳶の高みに山桜 宮崎洋 春燈 201512
吉野杉すくと山桜は仄と 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
九十と一つの若さ山桜 物江康平 春燈 201605
移植され紅の改む山桜 藤沢秀永 201606
山襞の木霊籠もりに山桜 松本鷹根 京鹿子 201606
窯出しの壺に耳ある山桜 黒滝志麻子 末黒野 201606
山桜ぽつんぽつんと向う山 谷口直樹 万象 201607
SLの喘ぐ煙や山桜 佐々木茂 万象 201607
井月の墓一本の山桜 中島芳郎 201607
山桜恋ひ恋ふ敦子師みよし野に 水野節子 雨月 201607
緞帳上ぐ姫豆桜山桜 浜福惠 風土 201607
川に降る雨も風情よ山桜 上辻蒼人 風土 201607
薬湯に顎浮かせをり山桜 田中臥石 末黒野 201607
久遠寺や読経にゆるる山桜 小野弘正 末黒野 201607
山桜ひとり遊びのあらし山 高木晶子 京鹿子 201607
変哲もなき石の祠と山櫻 竹内悦子 201607
おちうどをけしかけてをる山櫻 瀬川公馨 201607
山桜一軒のほか皆無住 青谷小枝 やぶれ傘 201608
山桜ふるさと出でぬ古仏 栗原京子 201608
山桜はるか昔を漂流す 井上菜摘子 京鹿子 201608
防砂林の松を抽んで山桜 赤堀洋子 万象 201609
本山に僧一人なり山桜 福島せいぎ 万象 201610
風粗き一揆の城址山桜 江見悦子 万象 201610
隠し田を守りつつ咲く山桜 小野寿子 201705
陰陽や不倶戴天の山桜 山田六甲 六花 201705
常神や神子や畏こみ山桜 浜福惠 風土 201706
さらさらと刻をこぼせる山桜 有松洋子 201706
お手植の白山桜寺つつむ 荻野周子 雨月 201707
たし算の子に貸す五指や山桜桃 佐藤保子 馬醉木 201708
山路を山桜愛で鎌倉へ 小倉純 末黒野 201708
下校子の寄り道楽し山桜桃の実 久保田富士子 万象 201709
日の翳り来てはつきりと山桜 稲畑汀子 ホトトギス 201804
八重枝垂山桜大交響詩 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
ダム底に石垣のこる山桜 天野美登里 やぶれ傘 201805
曲輪あと続く土塁や山桜 安田富子 雨月 201806
八王子中央高速山桜 須賀敏子 あを 201806
さざ波もなさぬ棚田や山桜 中根美保 風土 201807
山桜暗き蕎麦屋に地酒酌み 青谷小枝 やぶれ傘 201807
出航のベルに駆け足山桜 丑久保勲 やぶれ傘 201807
とどろきて急流ひびく山桜 福永みち子 馬醉木 201807
密やかに咲き寂と散る山桜 水野恒彦 201807
山桜桃小瓶に映ゆるジャムの色 友田悠子 末黒野 201810
甲冑に命預ける山桜 渡部恭子 201902
子らの名の読めぬ当て字や山桜桃 斉藤マキ子 末黒野 201904
天蓋に近づいてゐる山桜 山田六甲 六花 201904
戦なき御代こそ良けれ山桜 木村傘休 春燈 201906
九十九谷の風を染めたり山桜 木村傘休 春燈 201906
山桜混雑避ける旧道に 大日向幸江 あを 201906
岬鼻を洗ふ白波山桜 大川暉美 末黒野 201907
牛匂ふ牧の風吹く山桜 田中臥石 末黒野 201907
ぽつりぽつり尾根の南に山桜 白石正躬 やぶれ傘 201907
人去りて光の去りて山桜 森清信子 末黒野 201908
べたべたとくつつき合うて山桜花 江島照美 201909
磯風の藤村旧居山桜桃 今村千年 末黒野 201910
花街の紅殻格子山桜桃の実 渡辺富士子 末黒野 202004
こんな時呑みにゆくのか山桜 山田六甲 六花 202005
迫り上がる型は不知火山桜 ふなかわのりひと 202006
氏寺の八十八ケ所山桜 大内幸子 六花 202006
乗つてすぐ鉄橋となり山桜 松本胡桃 風土 202007
山桜夜は山神の一人占め 上辻蒼人 風土 202007
山桜荒鋤きの田の黒黒と 長尾タイ 末黒野 202007
水音や散るを怺ふる山桜 小倉征子 202007
城跡へ喘ぐ坂道山桜 佐俣まさを 春燈 202007
去りたるも逝きたるもみな山桜 藤生不二男 六花 202007
こころ今遠出してをり山桜 阪倉孝子 202007
何時の間に花ほつこりと山桜 堺昌子 末黒野 202007
雪よりも白の澄みたる山桜 柿沼盟子 風土 202007
山桜淡き心のままに逢ふ 上辻蒼人 風土 202007
目の辺り古戦場かな山桜 小林のり人 春燈 202008
忠度のよみひとしらず山桜 今泉忠芳 日輪馬車のタクト 202009
もののふの還り来たるや山櫻 山田佳子 202106
女将てふ名を脱ぎて見る山桜 西本花音 春燈 202106
山桜 →4

 

2023年3月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。