梅雨に入る 2     200句

人体図ぐるぐるめぐり梅雨に入る    長谷部朝子

梅雨の季語  梅雨 梅雨に入る  梅雨入  梅雨はじめ  梅雨めく  走り梅雨

迎へ梅雨   梅雨明  青梅雨  梅雨籠  梅雨寒  空梅雨

梅雨冷  梅雨夕焼  梅雨晴  梅雨晴間  梅雨茸  梅雨茸

作品
作者
掲載誌
掲載年月
確執の解けざるままに梅雨に入る 水野範子 ぐろっけ 200510
梅雨に入る覚悟の病とふ知らせ 東野鈴子 雨月 200510
梅雨に入る畳の真中少しくぼみ 高倉和子 200606
朝刊の文字騒がしく梅雨に入る 佐渡谷秀一 春燈 200608
船の濤短く梅雨に入りにけり 岩木茂 風土 200608
校門の黒松八号梅雨に入る 近藤幸三郎 風土 200608
予後の身も軽やかになり梅雨に入る 沢木キミ子 四葩 200608
コーリアン市場くはしく梅雨に入る 山尾玉藻 火星 200608
亡き犬の座なりしソファー梅雨に入る 坂井和子 酸漿 200608
二度聞きが癖となる耳梅雨に入る 柴野静 200609
病妻の気分もやもや梅雨に入る 山口博通 ぐろっけ 200609
旅支度はかどらぬまま梅雨に入る 正木泰子 ぐろっけ 200609
青年の手足の長く梅雨に入る 高倉和子 200609
東京へ日帰りの旅梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 200706
けふ梅雨に入りし近所の鳩の数 山尾玉藻 火星 200706
梅雨に入る何となけれど手を膝に 岡本眸 200707
九州は梅雨に入りしと真鯉かな 青山丈 200707
心虚しき一年を経て梅雨に入る 大橋晄 雨月 200708
迂闊にも石蹴つてより梅雨に入る 鈴鹿仁 京鹿子 200708
梅雨に入るかつてラジオに『君の名は』 定梶じょう あを 200708
観世音昼を灯して梅雨に入る 西川五郎 馬醉木 200708
「気の毒に」床に客なし梅雨に入る 岩崎憲二 京鹿子 200709
梅雨に入る訥々語る老教授 堀井英子 雨月 200709
草の灰汁染む爪伸びて梅雨に入る 岡敏恵 ぐろっけ 200709
ビニールにくるまり朝刊梅雨に入る 池崎るり子 六花 200709
喃語とか万国共通梅雨に入る 岩松八重 六花 200709
寝ねがての呟きぐせも梅雨に入る 伊藤奈津 200709
燈台の光芒青し梅雨に入る 西村博子 馬醉木 200709
美丈夫の細き笛の音梅雨に入る 岡本幸枝 ぐろっけ 200710
梅雨に入る湖灯台の黒木組み 松本鷹根 京鹿子 200710
ピアノ弾くことも間遠に梅雨に入る 中原敏雄 雨月 200801
併走の鉄軌数條梅雨に入る 岡本眸 200806
草踏んで歩いてゐれば梅雨に入る 青山丈 200807
滝壷の魚影くはしく梅雨に入る 城孝子 火星 200808
墓になほ仏ひとりや梅雨に入る 藤田宏 長城 200808
鳶鳴きて丹波青垣梅雨に入る 朝妻力 雲の峰 200808
梅雨に入る心に楔打たねばや 大橋敦子 雨月 200808
雲梯も鉄棒も濡れ梅雨に入る 廣見知子 200809
去勢されしカサブランカや梅雨に入る 武田美雪 六花 200809
梅雨に入る木偶にべつたり岩絵具 岡本幸枝 ぐろっけ 200809
新任の医師の再診梅雨に入る 竹内千春 ぐろっけ 200809
亡夫ねむる六甲静かに梅雨に入る 竹内千春 ぐろっけ 200809
大琵琶の水量保つ梅雨に入り 奥田妙子 ぐろっけ 200810
蕉像の眼虚ろや梅雨に入る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
大都市のビル凹ませて梅雨に入る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
指差して鎌倉七口梅雨に入る 神蔵器 風土 200907
海けぶる橋立観音梅雨に入る 小林成子 200908
仲介人待つ部屋ひとり梅雨に入る 伊藤無迅 炎環 200908
梅雨に入る日の胸もとのとんぼ玉 城孝子 火星 200908
観劇の余韻そのまま梅雨に入る 宮野照子 馬醉木 200909
鮮やかなレイングッズや梅雨に入る 西村純代 200909
定置網空模糊として梅雨に入る 片岡啓子 遠嶺 200909
茫茫と伊良湖灯台梅雨に入る 金子隆吉 200909
チェーンソーの煙のにほひ梅雨に入る 大島英昭 やぶれ傘 200909
特急は音なく発車梅雨に入る 辻美奈子 200909
梅雨に入る捨て難きもの殖やしつつ 田原陽子 200909
立ち座る膝の音して梅雨に入る 永田勇 六花 200909
何もかも溜息ひとつ梅雨に入る 今井千鶴子 ホトトギス 200910
歯を抜かれ関東平野梅雨に入る 近藤幸三郎 風土 200910
媽祖廟の香煙重く梅雨に入る 鎌田篤 雨月 200910
高下駄の旋律のごと梅雨に入る 秋千晴 200910
色と彩競うて木々の梅雨に入る 橋本くに彦 ホトトギス 200911
決まりゆく旅の計画梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201006
計画は秘めごとなりし梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201006
梅雨に入りたるより晴のつゞく旅 稲畑汀子 ホトトギス 201006
梅雨に入る右往左往の国づくり 安部里子 あを 201008
秋津国の臍の辺りも梅雨に入る 竹内弘子 あを 201008
蔵書とて未読の多し梅雨に入る 塩路五郎 201009
梅雨に入り染みあと残る世界地図 宮田香 201009
梅雨に入る車輌いづれもくもり窓 笠井清佑 201009
伯耆大山北壁模糊と梅雨に入る 上谷昌憲 201009
爪弾きの音のついんと梅雨に入る 篠藤千佳子 201009
呼ぶごとく呼ばれるごとく梅雨に入る 松田都青 京鹿子 201009
泣く児ゐてつられて泣く児梅雨に入る きくちきみえ やぶれ傘 201009
万華鏡のやうなバスの灯梅雨に入る 丸山照子 火星 201009
鬱の字の常用となり梅雨に入る 加藤せぶん ろんど 201009
山鳩の声のくぐもり梅雨に入る 宮平静子 雨月 201009
梅雨に入る新発売のアロマ買い 島本知子 ぐろっけ 201010
また少し身ぬちの余震梅雨に入る 片伯部淳 投稿 201105
誰彼を偲ぶ波音梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201106
雉鳩の古巣かぐろし梅雨に入る 竹内弘子 あを 201107
日本国フクシマは何処梅雨に入る 須賀敏子 あを 201107
声に出す養生訓や梅雨に入る 阪本哲弘 201108
梅雨に入るフォルテピアノを繰返し 笹井康夫 201108
永らへし身代り灯籠梅雨に入る 近藤幸三郎 風土 201108
梅雨に入る触れば泣き出しさうな空 石田康明 春燈 201108
梅雨に入り独り廊下を試歩練習 山田をがたま 京鹿子 201108
梅雨に入るついと肋間神経痛 大橋敦子 雨月 201108
予定表また書き替へて梅雨に入る 中原敏雄 雨月 201108
梅雨に入る駅の通路のほの暗し 早崎泰江 あを 201108
国引の杭もろともに梅雨に入る 和田照海 京鹿子 201109
桟橋に豪華客船梅雨に入る 鈴木みのる 風土 201109
喪に服すやうに列島梅雨に入る 菅谷たけし 201109
汐満ちて運河しづかに梅雨に入る 大石誠 201109
梅雨に入る塩と砂糖の白さかな 大島翠木 201109
走り根のくちなはに似て梅雨に入る 田所洋子 雨月 201109
海底を彷徨ふごとく梅雨に入る ひらいみおこ 六花 201109
海沿ひに青き列車や梅雨に入る ひらいみおこ 六花 201109
産卵の鮒田へ上り梅雨に入る 中石土亮 万象 201110
持ちて来し仕事やりくり梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201205
はや梅雨に入りし東京集ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201205
空降りてくるおりてくる梅雨に入る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
明るさに騙されまいぞ梅雨に入る 稻畑汀子 ホトトギス 201206
鍛冶屋敷錆いろにして梅雨に入る 鈴鹿仁 京鹿子 201207
ヘモグロビンコレステロール梅雨に入る 佐藤喜孝 あを 201207
父母在りし日のはろけくて梅雨に入る 大橋敦子 雨月 201207
灰色の空と稜線梅雨に入る 伊庭玲子 201208
競ふより和す花多し梅雨に入る 高橋あさの 201208
少女らのはぎの白さよ梅雨に入る 須賀敏子 あを 201208
決断はプランAなり梅雨に入る 田中信行 201209
「がんばつぺ」と終はる電話や梅雨に入る 篠原幸子 春燈 201209
梅雨に入る眼鏡とりどりかへてもや 滝澤千枝 春燈 201209
第一展望台より上梅雨に入る 根岸善行 風土 201209
齟齬多き一日でありぬ梅雨に入る 柴田良二 雨月 201209
星の井の銅葺きの蓋梅雨に入る 田中貞雄 ろんど 201209
古民家の土間の匂ひや梅雨に入る 増田甚平 ろんど 201209
一本の笹百合の辺の梅雨に入る 松井倫子 火星 201209
みどりの実むらさきの実や梅雨に入る 天谷翔子 火星 201209
水溶性フェルトペンの梅雨に入る 辻直美 201210
雑談の裏は退屈梅雨に入る 松田都青 京鹿子 201210
胸底にゼロゼロ残し梅雨に入る 松本アイ ぐろっけ 201210
大穴に粘土の地層梅雨に入る きくちきみえ やぶれ傘 201210
たたなづく大江五峰や梅雨に入る 吉田節子 ホトトギス 201211
病む妻の腕の細し梅雨に入る 酒井秀郎 返り花 201211
海底に彷徨うごとく梅雨に入る 平居澪子 六花 201212
快晴の旅願はずも梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201306
梅雨に入り晴は得したやうな旅 稲畑汀子 ホトトギス 201306
薬草の乾かぬうちに梅雨に入る 近藤ともひろ ろんど 201309
会ふことの出来る幸せ梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201405
木々の葉のみどり重たく梅雨に入る 布川直幸 201405
一滴二滴やがて本降り梅雨に入る 布川直幸 201405
梅雨に入るすでに久しく降るやうに 山尾玉藻 火星 201406
ビル狭間より梅雨に入る丸の内 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
棘ある木とげ尖らせて梅雨に入る 荒井千佐代 201407
梅雨に入る小名木川より隅田川 神蔵器 風土 201407
針箱の中の種々梅雨に入る 浅田光代 風土 201408
幼子の髪切り揃へ梅雨に入る 山荘慶子 あを 201408
梅雨に入る九十九里浜粛粛と 河口仁志 201408
炊きたての飯のふつくら梅雨に入る 小川玉泉 末黒野 201409
夕暮や雨蕭蕭と梅雨に入る 川村亘子 末黒野 201409
お豆腐が変身する日梅雨に入る つじあきこ 201409
杉山の真昼の闇や梅雨に入る 鈴木静恵 春燈 201409
当たり前の歩行苦戦や梅雨に入る 大西よしき ろんど 201409
アンコール曲に手拍子梅雨に入る 柿沼盟子 風土 201409
言霊を掴みそこねて梅雨に入る 犬塚李里子 201409
諦めることが肝心梅雨に入る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
蒼茫と伊吹の奥も梅雨に入る 野原春醪 馬醉木 201508
四季咲きの庭の駒草梅雨に入る 小川玉泉 末黒野 201508
梅雨に入る血圧計の赤マーク 諸戸せつ子 春燈 201508
地震噴火憂ひの種や梅雨に入る 鈴木セツ 201508
ひと晩の土砂降りありて梅雨に入る 大橋晄 雨月 201508
殷殷とニコライの鐘梅雨に入る 山本喜朗 雨月 201508
いのちとは寿命のことか梅雨に入る 大坪景章 万象 201508
梅雨に入る何か聞こえるパンの耳 犬塚李里子 201509
楷書より草書の暮し梅雨に入る 荒井千瑳子 201509
残りもの昼餉にさらひ梅雨に入る 磯部愛子 末黒野 201509
バスの床濡れて光りて梅雨に入る 伴秋草 末黒野 201509
包丁を研屋に預け梅雨に入る 田代貞枝 201510
何事も纏まらぬまゝ梅雨に入る 藤波松山 京鹿子 201510
海茫茫山茫茫と梅雨に入る 大橋伊佐子 末黒野 201510
嵯峨の路竹の戦ぎも梅雨に入る 大橋伊佐子 末黒野 201510
梅雨に入る厨くまなく拭き上げて 湖東紀子 ホトトギス 201511
俳諧の過客の如く梅雨に入る 竹下陶子 ホトトギス 201606
釘箱の中も探して梅雨に入る 中川句寿夫 あを 201607
亡き人のままの表札梅雨に入る 大森道生 春燈 201608
密教の梵字の綴り梅雨に入る 栗原京子 201608
鎌倉の歴史は昏し梅雨に入る 大橋晄 雨月 201608
踏切の遠き瞬ぎ梅雨に入る 荒井千瑳子 201608
梅雨に入る雨ななめなる銀座かな 原田しずえ 万象 201609
梅雨に入るも乗馬スクール受付中 大橋晄 雨月 201609
あをあをと鎌倉五山梅雨に入る 多方清子 雨月 201609
茅葺きの集落濡らし梅雨に入る 多方清子 雨月 201609
梅雨に入る杖も心も湿りゐて 永田万年青 六花 201609
しらじらと梅雨に入りけり雀濡れ 岩井京子 201610
もう会へぬお互ひさまや梅雨に入る 野中圭子 京鹿子 201610
遅れ馳せながらの文で梅雨に入る 中川句寿夫 ここのもん 201705
旅予定次々ありて梅雨に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201706
サラダさらさら清く正しく梅雨に入る つじあきこ 201709
診療にもう行かなくちや梅雨に入る 赤松赤彦 六花 201709
梅雨に入り満員電車遣り過ごす 赤松赤彦 六花 201709
かろやかに罔象は唄ひ梅雨に入る 有松洋子 201709
梅雨に入る鯉漆黒と見たるより 小林愛子 万象 201709
梅雨に入る姿見大き試着室 林いづみ 風土 201709
アイロンの蒸気ゆたかに梅雨に入る 林昭太 201709
角の店消えて明るく梅雨に入る 岩藤礼子 やぶれ傘 201709
山鳩のくぐもる声や梅雨に入る 鈴木静恵 春燈 201709
あぶな絵の確かどこかに梅雨に入る 直江裕子 京鹿子 201710
スマホ触る指の湿りや梅雨に入る 今村千年 末黒野 201710
鬱鬱と鬱の字のごと梅雨に入る 今村千年 末黒野 201710
隠しごと隠し通して梅雨に入る 田岡千章 201712
休耕田続く車窓や梅雨に入る 安立公彦 春燈 201808
大磯のワンマン道路梅雨に入る 松山三千江 春燈 201808
フルートより魔笛の調べ梅雨に入る 塩貝朱千 京鹿子 201808
梅雨に入り木々逞しく枝広げ 城戸ひろみ 雨月 201808
神宮の杜の静けさ梅雨に入る 岡田正義 雨月 201809
予報士の語尾は濁さず梅雨に入る 加藤翅英 京鹿子 201809
梅雨に入る気象のニュース拠り所 長崎桂子 あを 201808
漆喰の壁の鏝跡梅雨に入る 森なほ子 あを 201808
梅雨に入る→3      

 

2021年5月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。