9       205句

囀りの美しかりしこと閨に   矢島渚男   木蘭

春禽 春の鳥  うぐひす 雲雀  つばくらめ  つばめ 燕の子

雀の子  巣立 百千鳥 古巣 鷽 小綬鶏 巣箱 鳥の巣

作品
作者
掲載誌
掲載年月
歯切よき今朝の囀り奈良泊り 久保田優子 末黒野句集 201203
さへづりや手持無沙汰の巫女二人 田辺賢吾 末黒野句集 201203
かの大樹いま囀りの木となれり 辻直美 201204
囀りにはがきひらひらさせて行く 細野恵久 ぐろっけ 201204
囀を脅す一閃黒き影 国包澄子 201205
小鳥らのさへづりたかしをちこちに 吉田博行 かさね 201205
囀や国連ビルは旗の奥 市ヶ谷洋子 馬醉木 201205
囀の庭に虎刈されしこと 田代貞枝 201205
囀りや女ばかりの楽団員 吉田葎 201205
囀りに広がる視界や幸福論 黒澤登美枝 201205
囀の真下鴉の身じろがず 松原三枝子 万象 201205
74石仏ただの石だと囀れる 高瀬博子 六花 201205
城址に石がごろごろ囀れる 戸栗末廣 火星 201205
囀や剪定の枝生々し 森理和 あを 201205
ホームレスの凭るる大樹囀れる 大日向幸江 あを 201205
囀りや外してもらふ瓶の蓋 田村園子 201205
さへづりや馬込百坂百の谷 石川笙児 馬込百坂 201206
賜りしいのちの重さ囀れる 塩路隆子 201206
茅葺の屋根裏高し囀れる 鈴木照子 201206
囀りの音に起こさるる二日酔ひ 岡野安雅 かさね 201206
陵に囀しげく谺かな 佐々木薫 かさね 201206
囀りへ頬赤き子を抱いて出る 白木原裕毅 201206
囀りや秘密基地めく村のカフェ 原友子 201206
鳥の世は男がかくも囀れる 高橋将夫 201206
さへづりをただ聞くだけの日なりけり 辻美奈子 201206
囀の真ん中に引くプルトップ 林昭太郎 201206
囀やつぶやきノートある駅舎 岡澤田鶴 201206
囀りを止めよと鴉鳴き止まず 水野弘 ぐろっけ 201206
高台のナース宿舎や囀れり 代田青鳥 風土 201206
囀れり山の日ざしの二階まで 福島せいぎ 万象 201206
一斉に止みばらばらに囀れる 天谷翔子 火星 201206
囀の山重なりて高からず 深澤鱶 火星 201206
囀りの大樹を溢れ湧く如く 大橋伊佐子 末黒野 201206
汐騒に和し囀りの昂れる 安斎久英 末黒野 201206
囀や島の随道抜けしより 岡田史女 末黒野 201206
囀や朝餉の椅子を海へ向け 市川玲子 馬醉木 201207
囀や課外授業の花図鑑 林八重子 馬醉木 201207
樹の上の雲を分かちて囀れり 根岸善行 風土 201207
愛求め囀りしげく枝移り 安藤虎酔 かさね 201207
囀りや坂の途中にバス待てり 高田令子 201207
瞑りて待つ再びの囀を 石田きよし 201207
さへづりやひとりの昼をたのしまむ 亀井紀子 201207
囀のすでに眩しき雨戸繰る 田岡千草 201207
尊氏の像に囀たかぶれる 大坪景章 万象 201207
囀りや参道石の雫穴 木内徴子 万象 201207
常盤木の小枝ゆるがし囀りぬ 渡辺安酔 201207
囀の禁猟区域はみでて二羽 松本峰春 春燈 201207
囀や金の雨降る雑木山 海村禮子 春燈 201207
囀りや念佛堂に忘じをり 西村純太 201207
囀のときにばらけて湖を恋ひ 深澤鱶 火星 201207
囀の中の停車や地酒買ふ 山本耀子 火星 201207
囀りに耳も心も預けをり 史あかり ぐろっけ 201207
囀の国に入りゆく登り坂 田所節子 201207
こんなにも囀りだれもゐない椅子 上野紫泉 京鹿子 201207
柩よりツタンカーメン囀れる 佐々木紗知 京鹿子 201207
速足の女頼もし囀れり 長崎桂子 あを 201207
囀りて鳥に屈託なかりけり 柴田良二 雨月 201207
翳深き大樹囀降らしをり 大橋伊佐子 末黒野 201207
松籟を消し囀のひとしきり 清海信子 末黒野 201207
囀のふくらむ小島海たひら 森清信子 末黒野 201207
囀りのじよじよに膨らむ夜明けかな 白石正躬 やぶれ傘 201207
囀のその一禽の鳴くは鳴くは 池田華甲 201208
ほどほどの隔りにあり囀れる 戸栗末廣 201208
抽出しの中の混沌囀れる 戸栗末廣 201208
囀りの替りて径は山に入る 塩田博久 風土 201208
さへづりといふ存分の言葉かな 近藤牧男 春燈 201208
囀や道に迷うてゐて楽し 山田佳乃 ホトトギス 201209
囀りはあけぼの杉の梢より 渡邊孝彦 やぶれ傘 201209
高らかに縄張り宣言囀れり 池田加代子 風土 201209
法華寺の囀りのなか大茶会 北崎展江 くりから 201209
囀りや生駒を過ぎて平群なる 北崎展江 くりから 201209
囀りに向けて止めやる車椅子 頓所友枝 冬の金魚 201209
囀りのこゑの金環食の朝 西田孝 ろんど 201209
囀やかざして透ける皿の罅 榎本文代 万象 201210
囀りや岸を隔てる一軒屋 五ヶ瀬川流一 六花 201212
囀に森の近道失へり 稲畑汀子 ホトトギス 201304
枝々にこんがらかりて囀れる 布川直幸 201304
バレンタインの日めじろ囀る子規の庭 上原重一 201304
朝戸開け胸元に囀りをきく 北上正枝 201304
囀や五百羅漢の石頭 柴田佐知子 201304
囀や産着を畳む膝の上 宮井知英 201304
さへづりのか細き朝や歩かねば 井上信子 201305
さへづりを陽のささやきと聴く木椅子 田所節子 201305
さへづりの下をぬけきし泥の靴 大東由美子 火星 201305
囀や目覚め清らに坊の宿 西田史郎 201305
囀や禅師手擦れの篠の笛 田中浅子 201305
咲き満ちて囀放ちゐたりけり 佐藤喜仙 かさね 201305
囀りの恋の高みに迫りけり 上山永晃 春燈 201305
囀や遠きことのみよみがへり 神蔵器 風土 201305
小鳥屋の窓囀の飛び立てり 竹中一花 201305
古りて住みよし囀のここかしこ 岡部玄治 201305
囀りの姿は見せぬ一樹かな 安田とし子 ぐろっけ 201305
囀や順にポーズの車椅子 赤座典子 あを 201305
囀りや杜を自在に栗鼠跳べる 小川玉泉 末黒野 201305
住吉の巫女の舞ふ間を囀れる 大橋晄 雨月 201305
囀の入れ替はりたる梢かな 小川滋 やぶれ傘 201305
散策にさへづり近き神の杜 森岡陽子 かさね 201306
さへづりやしつかり食べる朝ごはん 大川ゆかり 201306
さへづりや一族ねむる大やぐら 林いづみ 風土 201306
囀やけふの始まる卵焼 上柿照代 馬醉木 201306
囀ののぼりつめてはこぼれけり 西谷良樹 春燈 201306
北斎を観て囀の中に立つ 亀田やす子 ははのこゑ 201306
囀の一途の声のかさなれる 佐藤喜仙 かさね 201306
囀りや開け放ちたる大広間 米田文彦 かさね 201306
囀りや雀の家も流されし 森高武 風土 201306
囀や八十六を祝ぐカード 遠藤逍遙子 風土 201306
囀りのつづら引つ繰り返すごと 平野みち代 201306
囀の島へ引き潮どきの径 山田美恵子 火星 201306
囀のこゑぞんぶんに小町寺 根本ひろ子 火星 201306
囀や大正硝子波うてる 根本ひろ子 火星 201306
囀りの下はアイヌの砦跡 松原智津子 万象 201306
囀や風に息乗せウオーキング 仁平則子 201306
囀りの稚な巧みを一つ樹に すずき巴里 ろんど 201306
枝々に囀の声輝きぬ 筒井八重子 六花 201306
囀の中の沈黙モアイ像 高橋将夫 如意宝珠 201306
囀れり小川の橋にたたずめば 渡邊孝彦 やぶれ傘 201306
囀や水平線に船沈む 森理和 あを 201306
囀の一すぢとなり日差し来し 今井千鶴子 ホトトギス 201307
囀に目覚め降り立つ病みあがり 水野範子 ぐろっけ 201307
囀を耳に遊ばせ千手仏 片山八重子 ぐろっけ 201307
囀に背を押されつつ登園す 辻佳子 馬醉木 201307
背に眠る児に囀りの自在なり 大越義雄 201307
健気なる婆の集ひや囀九り 岡野ひろ子 201307
一村の揺らぐ如くに囀れり 青野安佐子 201307
囀りや客婦の長き立ち話 中島玉五郎 201307
囀りや刻零れゆく砂時計 池内結 ろんど 201309
囀りや野の言霊の弾みだし 松川悠乃 ろんど 201309
囀りやそっと覗けばさつと逃げ 水野弘 ぐろっけ 201310
囀りや真昼こゑなき談話室 藤丸誠旨 春燈 201312
人影のなき花蔭に囀れり 瀧春一 花石榴 201312
囀に座る角度を変へもして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
囀りやときめき何時も未然形 峰崎成規 201401
囀を背山に鎮め浮御堂 久保久子 湖心 201402
頬白の「一筆啓上」囀れり 神蔵器 風土 201403
囀や榧の葉青き香を放ち 石川かおり 福袋 201404
切株に肌のぬくみや囀れる 西村博子 馬醉木 201404
まさをなる天上大風囀れり 神蔵器 風土 201405
腰痛のひと日うつぶせ囀れる 山田美恵子 火星 201405
さへづりやブランチに焼くパンの耳 きくちきみえ やぶれ傘 201405
飛石に渡る小川や囀れる 市村明代 馬醉木 201405
囀や枝先に揺れ残りたる 浅田光代 風土 201405
囀や母の前掛けいつも濡れ 戸栗末廣 201405
囀や菩薩は千のみ手を伸べ 大畑善昭 201405
囀りや内緒遊びを見つつ過ぎ 和田郁子 201405
囀を吸うて肥えゆく大地かな 竹中一花 201405
雲ちかく呼びて囀りゐる林 豊田都峰 京鹿子 201406
み仏の大きてのひら囀りぬ 柴田久子 風土 201406
庭の木々囀りこぼしをりにけり 戸田澄子 末黒野 201406
横糸のほつれてもつれて囀れり おーたえつこ 201406
さへづりのはじめ仏壇巡りかな 鳥居真里子 船団 201406
さへづりの高まる寝起き機嫌かな 風間史子 201406
さへづりを来てさへづりの閻魔堂 城孝子 火星 201406
廃校は手作り工房に囀れり 鈴木庸子 風土 201406
風葬の古代ありけり囀れる 佐用圭子 201406
墓に畑に囀りの紙ふぶき 原友子 201406
菩提寺の深き合掌囀れり 工藤ミネ子 風土 201406
宝箱のなかの石ころ囀れり 火箱ひろ 201406
老いゆくもよし囀に目をさます 堀口希望 201406
囀に寝違への首たてゐたり 藤田素子 火星 201406
囀の一樹のなかに入りけり 宮川みね子 風土 201406
囀の中なる宮の土俵かな 泉本浩子 馬醉木 201406
囀やトートバッグの大き口 藤田素子 火星 201406
囀や兵火遁れし観世音 塩見英子 雨月 201406
囀りに嬰も喃語にて応へける 竹内悦子 201406
囀りのひたと止みけり隠れ塔 塩路隆子 201406
囀りやお客の少女縁側に 田中藤穂 あを 201406
囀を追うて至れり楠葉宮 近藤紀子 201406
さへづりの奥へ押しゆく車椅子 浅田光代 風土 201406
もてなしは囀りのみに任せけり 上野紫泉 京鹿子 201407
往還の車の音と囀りと 國保八江 やぶれ傘 201407
さへづりや己れが墓を睨みたる 大坪景章 万象 201407
さへづりや天守へ裏坂表坂 浅田光代 風土 201407
さへづれり小楢の雑木山ゆけば 渡邊孝彦 やぶれ傘 201407
農園の大きい名札囀れり 河村啓花 ろんど 201407
柏手を打ち囀りを誘ひけり 滝澤圭子 雨月 201407
霊木より囀降れる高野かな 手島伸子 雨月 201407
囀のある日朗報とどきけり 水田壽子 雨月 201407
囀の中聞え来る弥撒の鐘 服部珠子 雨月 201407
囀や独り昼餉の米を研ぐ 小川玉泉 末黒野 201407
囀や泡のやうな赤ちやん語 宮井知英 201407
囀りに入りて身動きとれぬなり 工藤ミネ子 風土 201407
囀りに返すさへずり観世音 工藤ミネ子 風土 201407
囀りやしばし矢倉の虚子の前 落合絹代 雨月 201407
囀りや闘志宥めて掻き立てて 山中志津子 京鹿子 201407
囀りや日を照り返す角櫓 山田春生 万象 201407
囀を天蓋として磴上る 手島伸子 雨月 201407
ふはふはの有機の土よ囀れり 河村啓花 ろんど 201407
錦帯橋の向う囀りこまやかに 緒方佳子 火星 201407
さへづりを追うて動けり猫の耳 小田嶋野笛 末黒野 201408
民宿の目覚めうながし囀れり 高橋明 末黒野 201408
囀に押し出されたる舳かな 坂口夫佐子 火星 201408
囀や師のこゑ若し普門品 福島せいぎ 万象 201408
囀りにつつまれ目指す峠かな 新堀満寿美 末黒野 201408
囀りの楽曲として奥の殿 鎌田悟朗 ろんど 201408
囀りやわたしの部屋に窓がない 直江裕子 京鹿子 201408
囀りや草履ひとつのたたき土間 林徹也 201408
囀りや紐とり替ふる登山靴 野畑さゆり 201408
長提や手話の指先囀れり 高野春子 京鹿子 201408
囀の聞こゆる牧場馬静か 赤松赤彦 六花 201409
囀や牧の栗毛の草を食む 赤松赤彦 六花 201409
茨木の腕の重さべつたら漬提げ 成瀬櫻桃子 春燈 201410
信号がさへづり秋の爆心地 田辺博充 201410
さへづりの記憶を枝々に冬木立 千田敬 201502
百鳥の声の揃ひて囀れる 稲畑汀子 ホトトギス 201502
囀や出入りひとつの楽屋口 荒井書子 馬醉木 201504
囀 →10      

2021年4月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。