巣 箱(他季を含む)      105句

とり付けし巣箱の中を覗きけり   小島良子   花虻

巣立 古巣 巣箱 鳥の巣

作品
作者
掲載誌
掲載年月
避難所の小学校の巣箱かな 梅本豹太 199901
白毫は意を通す孔巣箱にも 中原道夫 銀化 199906
リラ冷えや巣箱に欲しき時計台 鷹羽狩行 199908
梅雨寒の声せぬ巣箱見上げをり 三浦みち子 199909
白樺に巣箱掛けある夏館 北吉裕子 俳句通信 199909
巣箱見にこんな時代のカタツムリ 星野早苗 船団 199912
海光や巣箱の口のまくらがり 瀬戸悠 風土 200005
新しき巣箱うかがふ雀かな 内藤順子 酸漿 200005
椋鳥につひに取られし巣箱かな 大塚洋子 酸漿 200007
待つことのその始まりに巣箱せり 村越化石 200105
玄關の向き氣に入らぬ巣箱かな 中原道夫 銀化 200106
傾きしままに巣箱や花は葉に 柿澤喜三郎 百鳥 200108
白樺に巣箱掛けある避暑地かな 古市枯声 春耕 200110
空つぽの巣箱が幾つ秋気満つ 内田和子 酸漿 200112
山童の巣箱掛け置き巣立ちせり 村越化石 200205
巣箱懸け浅間の風を身近にす 長谷川祥子 馬醉木 200207
旧りて木の色に近づく巣箱かな 川瀬里江 雲の峯 200207
緑蔭に巣箱のやうな投句箱 藤池芳子 200211
榛の木の巣箱あらはや春の雪 加古みちよ 冬菜畑 200301
巣箱みな風の高さと思ひけり 田中美智代 200302
口笛を吹きつつ子等や巣箱提げ 阿波谷和子 雲の峯 200306
うらうらと巣箱の口が川へ向き 高橋さえ子 200307
巣箱掛くる弟に姉手を籍して 岡淑子 雨月 200308
梅雨に入る巣箱傾きやすきかな 高重京子 百鳥 200309
にぎやかに霰のありし巣箱かな 山尾玉藻 火星 200403
学生と巣箱を作る初時雨 高橋清 草の花 200403
新築の庭の巣箱の新しき 山本漾子 雨月 200405
気比の宮古木の洞に巣箱据ゑ 西野通代子 築港 200406
新しき巣箱の少し低くあり 城間芙美子 対岸 200406
囀の下に巣箱の穴昏し 坊城俊樹 ホトトギス 200408
手の届く高さに巣箱日が匂ふ 生方ふよう 200408
岬山の巣箱はどれも留守ばかり 柴田由乃 風土 200504
ガウデイや亡父に未完の巣箱あり 飛鳥由紀 200505
据ゑられし巣箱の穴は三センチ 小島輝和 帆船 200505
梅の木に檜皮葺なる巣箱かな 安室敏江 百鳥 200505
分校や巣箱下駄箱清掃中 高野良 帆船 200506
古巣箱懸けて空家や楝の実 菊池由惠 酸漿 200601
霜日和巣箱の穴のよく見えて 代田幸子 200602
王子守る蜂の巣箱を集めつつ 小林洋子 万象 200603
巣箱より声確かなり四十雀 川上美穂子 酸漿 200604
巣箱からつらら一筋岩手富士 安田青葉 対岸 200604
開田院五兵衛の庭の巣箱かな 能村研三 200606
巣箱なるかたむいてゐて出入りせり 定梶じょう あを 200607
気に入つてくれしや巣箱ことことす 富川明子 200705
巣箱置く未知の時空を覗きみて 小澤克己 遠嶺 200705
十月や巣箱の穴のこちら向く 神蔵器 風土 200712
小鳥来る巣箱のやうな浮御堂 七種年男 200802
庭の木に古びし巣箱子等遠し 宮城島たか子 200805
ロータリークラブ寄贈の巣箱かな 服部早苗 200807
木の肌となじみの色の巣箱掛け 山下由理子 200810
村の子の愛鳥週間巣箱懸く 岡本直子 雨月 200812
巣箱掛く小楢の瘤に身をあづけ 辻直美 200905
裏山のどの巣箱にも母校の名 久染康子 200906
雀より細身の鳥の巣箱かな 卯木尭子 春燈 200906
枝払ひ巣箱に月の光り射す 中山純子 万象 200907
背伸びして届く巣箱や冬青そよごの木 渡邉孝彦 やぶれ傘 200907
手作りの巣箱を架けて愛鳥日 田中春子 雨月 200908
蒲は穂に放生池に巣箱浮く 飯田ひでを 200910
仰山の巣箱吹かるる枯木山 深澤鱶 火星 201003
冬うらら夫が巣箱を作り足す 中川悦子 酸漿 201004
蓋の開く巣箱の蜂を遠巻きに 吉沢陽子 201006
口笛で巣箱と交信してゐたり 久染康子 201007
若葉中巣箱のペンキ新しく 森山のりこ あを 201007
傾きしままに巣箱や花は葉に 柿澤喜三郎 百鳥 200108
立春や庭に新たに巣箱掛け 中川悦子 酸漿 201104
兄の掛けくれし巣箱のいびつなる 天谷翔子 火星 201105
メタセコイア幹に巣箱の新しき 大橋雅子 万象 201106
攫はれし鳥の巣箱もなにもかも 服部早苗 201107
巣箱かけ巣立ちはいつも知らぬ間に 大村美知子 京鹿子 201108
朽ちる巣は捨てて新たな巣箱かけ 鈴木阿久 201205
傾きしままの出入りの巣箱かな 佐津のぼる 六花 201205
兄弟の寄りそひ待つや庭巣箱 吉村さよ子 春燈 201206
とつおいつ作りし巣箱小鳥来る 中野久雄 末黒野 201301
幹軽くたたきて巣箱かけにけり 広渡敬雄 201303
初冬の巣箱へ鳴れる御手洗川 山尾玉藻 火星 201312
工作の巣箱に小窓つけてあり 富川明子 201405
まつ先に日がのぞきこむ巣箱かな 植村一雄 201406
巣箱掛く神父梯子に爪立ちて 齊藤いさを 馬醉木 201407
バードデイシェフ手遊みの巣箱掛く 三輪温子 雨月 201408
空色の巣箱はふたつ風薫る 辻響子 201409
父と子と巣箱見廻る枯れの森 相沢有理子 風土 201502
からつぽの巣箱に冬日差すばかり 天谷翔子 201504
鳥の絵の巣箱に描かれ島の風 渡邉孝彦 やぶれ傘 201507
愛鳥日家の形の巣箱かな 田中佐知子 風土 201508
森深くかけし巣箱を見にゆかん 平居澪子 六花 201509
そよ風の道に巣箱や草の花 中嶋陽子 風土 201512
小海線巣箱の並ぶレストラン 中林明美 船団 201602
二度寝して巣箱に棲みしごこちする 若森京子 船団 201701
新らしき巣箱を抱く大樹かな 及川照子 末黒野 201706
手作りの巣箱匿ひ花は葉に 上谷昌憲 201706
巣箱かけし少年のいま知らざりき 西川保子 春燈 201707
楢の木の巣箱夕日の正面に 渡邊孝彦 やぶれ傘 201805
縁側の窓から見ゆる巣箱かな 府川昭子 春燈 201807
巣箱掛くいたはり覚え初めし子と 佐藤保子 馬醉木 201808
幾たびも鳥が巣箱を下見せり 柴田佐知子 201809
冬日和鳥の巣箱にりすのゐる 秋川泉 あを 201902
粗樫の巣箱古びて春の雪 延川笙子 六花 201905
爪立ちては巣箱を覗く兄おとと 滝澤圭子 雨月 201907
花の木の巣箱の中に眠りたし 小坂恵美子 船団 201910
林立の冬木に数の巣箱かな 斉木永久 馬醉木 202003
仰向けに巣箱の下をとほりけり 根橋宏次 やぶれ傘 202005
猫が見てる「無印良品」の巣箱 おーたえつこ 202006
どの鳥も見向いてくれぬ巣箱かな 柴田佐知子 202104
城へ向く巣箱傾きゐたりけり 住田千代子 六花 202106
からつぽの巣箱の口に光差す 住田千代子 六花 202106
夏木立蜂の巣箱の屋根連ね 光成敏子 202110
蜜蜂の巣箱置かるる山しづか 平嶋共代 202204
いつか飛立たねばならぬ巣箱かな 近藤真啓 春燈 202206

 

2023年3月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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