梅 雨 9  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅雨ながし兩生類にもあまりたる 佐藤喜孝 あを 200609
読み返す父の詫び状梅雨さむし 生方義紹 春燈 200609
撞球室(ビリヤド)緑の羅紗の梅雨湿り 鈴木榮子 春燈 200609
筒抜けの隣のけんくわ梅雨の月 篠田純子 あを 200609
永別に列車の遅れ梅雨滂沱 落合絹代 雨月 200609
荒梅雨や紅殻色の醤油蔵 松波とよ子 春燈 200609
行者堂吊りし草鞋の梅雨湿り 大信田梢月 万象 200609
荒梅雨や掻き消されゆく君の声 わかやぎすずめ 六花 200609
荒梅雨やてつぽう水の一夜川 金丸まさ子 四葩 200609
徒にファックスうごく梅雨湿り 竹内弘子 あを 200609
抗がん剤耐性できる梅雨の明け 中村邦彦 200609
あれこれと電話で済ます梅雨さ中 長崎桂子 あを 200609
一雀二雀あそぶ梅雨の芝 阿部ひろし 酸漿 200609
遺影との対話果てなく梅雨長し 大橋晄 雨月 200609
スーパーの傘入れ溢れ梅雨じめり 兼子栄子 酸漿 200609
リューマチの宿痢さいなむ梅雨深み 大橋敦子 雨月 200609
ザウルスの卵見つかる梅雨の果て 森山のりこ あを 200609
ロツカーの小さき鍵穴梅雨兆す 上村葉子 風土 200609
ひろびろと梅雨青芝よ一雀 阿部ひろし 酸漿 200609
長梅雨や鷺は中洲で漁をなす 井関祥子 酸漿 200610
長梅雨の風にまみれてパキラの葉 藤田素子 火星 200610
長梅雨のよしなし草の名は知らず 池田かよ ぐろっけ 200610
築地松に梅雨の雨つぶ出雲かな 近藤紀子 200610
見よ遂に長梅雨尽きて雲が去る 泉田秋硯 200610
退院のやはらかくある梅雨の月 竹下昌子 200610
送り梅雨しほ抜きの塩ひとつまみ 代田幸子 200610
草刈るやまたすぐのびし梅雨最中 伊藤公子 酸漿 200610
荒梅雨や七曜こもる猫の窓 前田貴美子 万象 200610
川落差ただ純白の梅雨仕立て 松本鷹根 京鹿子 200610
川幅を倍に広げて梅雨出水 渡辺康男 200610
千羽鶴千羽首垂れ梅雨続く 田原陽子 200610
空咳のしきりや梅雨の月細し 北川孝子 京鹿子 200610
石畳崩るる古道梅雨深し 西田敏之 ぐろっけ 200610
梅雨の店昼を灯して荷の仕分け 荒木治代 ぐろっけ 200610
水溜り蹴つて登校梅雨さなか 手拝なをみ 200610
水飴に気泡の生れて梅雨兆す 中尾公彦 200610
身の芯にひそむ鬱の気梅雨ながし 山口天木 雨月 200610
汽笛鋭し荒梅雨の離島便 荒井千佐代 200610
岩風呂に身を伸び伸びと梅雨最中 佐原正子 六花 200610
換気扇油汚れの重き梅雨 大空純子 ぐろっけ 200610
かにかくに渋民茫々梅雨の中 北川英子 200610
俎に注ぐ熱湯梅雨ふかし 奥田恵美 200610
立ち退きの廃屋浸す梅雨出水 梁瀬照恵 ぐろっけ 200610
葉ごもりの鉄階梅雨も深きかな 生方ふよう 200610
食進み笑顔絶やさず梅雨の宿 高木千鶴子 酸漿 200610
返信に時をつひやし梅雨の月 佐藤博美 200610
子を叱る声の漏れくる梅雨の路地 布村松景 春燈 200610
抜き置きし草蘇る梅雨の庭 金山千鳥 酸漿 200610
音呑んでべつたり動く梅雨の河 吉岡一三 200610
梅雨じめり脚の補装具きしむ音 古林田鶴子 ぐろっけ 200610
梅雨青し人魚の心地してゐたり 伊藤豊美 遠嶺 200610
余命とは又降り出せる梅雨のごと 田原陽子 200610
梅雨深し圧力鍋の吹く蒸気 布村松景 春燈 200610
梅雨出水流れぬ川を覗きをり 竹中一花 200610
梅雨出水庭に溢れて稚魚跳ねる 浜田南風 200610
梅雨雲の切れ目たのもし夕明り 池田かよ ぐろっけ 200610
梅雨ふかし画廊にルオーの道化倦み 野中亮介 馬醉木 200610
梅雨の朝町内放送葬を告ぐ 足利ロ子 ぐろっけ 200610
梅雨いまだ明けぬに鉢の桔梗咲く 松崎鉄之介 200610
梅雨あがる引き潮の描く等高線 大沢美智子 200610
荒梅雨の屋根を貫く夜明け前 永田勇 六花 200610
荒梅雨の列島削る土石流 池田かよ ぐろっけ 200610
荒梅雨の底ひにぬつと摩天楼 中尾公彦 200610
荒梅雨の音に逆らひ説法会 佐原正子 六花 200610
おしやべりの寝息となるや梅雨三日月 井口初江 酸漿 200610
点滴の何ともどかし梅雨烏 田原陽子 200610
天地の梅雨ぬぎすてる峠かな 大山里 200610
皇太子に笑みを齎す梅雨の蝶 鈴木石花 風土 200610
キャットフードのこして梅雨を行方不明 中山純子 万象 200610
もの捨てに出て青々と梅雨の闇 加瀬美代子 200610
梅雨空に拝す一仏一仏を 荒井千佐代 200610
阿羅漢の梅雨の衣となりにけり 西口鶴子 遠嶺 200610
懲りず買ふ画展の図録もどり梅雨 荻野嘉代子 春燈 200610
草を出で草に漂ふ梅雨の蝶 塩井志津 万象 200611
千本の杉おのおのに梅雨深し 若井新一 200611
享禄の世よりの洞の梅雨昏し 角直指 京鹿子 200611
巌通す一念の鑿跡の梅雨 角直指 京鹿子 200611
昭和てふ時代顧み梅雨冥し 瀧青佳 ホトトギス 200611
首のあたりにはじまつてゐたる梅雨 岩岡中正 ホトトギス 200611
墓守りの屈背も梅雨の重さかな 青山悠 200611
梅雨曇牛はひたすら虻払ふ 島崎勇作 酸漿 200611
梅雨幽き一天占むるタワーの灯 青山悠 200611
梅雨曇心にマーチ響かせて 三間菜々絵 遠嶺 200611
梅雨最中「籤改め」の所作きまる 金山藤之助 200611
梅雨もまた楽し首位盗りタイガース 大久保白村 ホトトギス 200611
梅雨の月埴輪の口がぽと言ひぬ 辻直美 200611
梅雨といふ天に隙間のなかりけり 竹下陶子 ホトトギス 200611
災害用井戸町角に梅雨上る 池田裕恒 200611
鎖渡し難所のむかし洞の梅雨 角直指 京鹿子 200611
此の年の梅雨の最後の荒れ様か 岡本直子 雨月 200611
渡良瀬の葦の丈越す梅雨出水 高橋スミ子 万象 200611
茶臼山梅雨の晴間となる遠出 桑田青虎 ホトトギス 200611
釣人の並ぶ背の黙梅雨の川 中野英歩 八千草 200612
逝く人と息ずれてゆく梅雨暁 井上菜摘子 京鹿子 200612
鐘の音の一打に梅雨の明けてゆく 坊城俊樹 ホトトギス 200612
茫茫と夜の奥なる梅雨の月 長山あや ホトトギス 200612
日差乞ひ日差拒むも梅雨の旅 藤浦昭代 ホトトギス 200612
東漸の黒雲明日は梅雨あけか 森津三郎 京鹿子 200612
もの思ふともなく深き梅雨の灯に 長山あや ホトトギス 200612
ビッグスワン梅雨の盛りの中にかな 関口青稲 万象 200612
梅雨の間を惜しむ命の舞ひ始む 瀧青佳 ホトトギス 200701
飛騨かけて信濃に大き梅雨兆す 有働亨 馬醉木 200701
作業着の着型乾しなる梅雨漁港 松本鷹根 京鹿子 200701
コーランは百十四章梅雨の蝶 奥田茶々 風土 200701
歓喜天おはす御堂に梅雨の蠅 澁江阿喜子 万象合同句集 200703
梅雨の無き清々しさに降り立ちぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200705
いかにしてもてなすべしや梅雨の客 稲畑汀子 ホトトギス 200706
日光を通りすぎたる梅雨の蝶 堀内一郎 あを 200706
晴れてゐし離陸梅雨の着陸に 稲畑汀子 ホトトギス 200706
あきらめて梅雨に処すべき旅支度 稲畑汀子 ホトトギス 200706
萱わけて人來るらしも梅雨嵐 瀧春一 200706
志願ない命令いまも梅雨兆す 吉弘恭子 あを林檎 200706
梅雨の峽蜩鳴けば暮れ心地 瀧春一 200706
梅雨の峽鳥もろもろの音に鳴ける 瀧春一 200706
梅雨さむき峽はまれなる蝉のこゑ 瀧春一 200706
日本の梅雨に着くてふ旅いかに 稲畑汀子 ホトトギス 200706
鉛筆をけずれば匂ふ梅雨の月 竹貫示虹 京鹿子 200706
雨上りゐても梅雨空なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200706
泰西画もどきのポスター梅雨の駅 井上あき子 ぐろっけ 200707
梅雨の庭にはそれらしくある手入れ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
真上ふとおのが虚空に梅雨の月 水野恒彦 200707
簡単な梅雨の防備は役立たず 稲畑汀子 ホトトギス 200707
桓根伝ひにあたふたと梅雨の蝶 小川匠太郎 200707
辞世の句の「死んでたまるか」梅雨深し 田村すゝむ 風土 200707
撥重き刻打ち太鼓梅雨の果て 品川鈴子 ぐろっけ 200707
木の椅子に免れて梅雨の民具館 田村すゝむ 風土 200707
有三館の箱階段や梅雨湿り 田村すゝむ 風土 200707
小商ひ恃みて守りて梅雨のひま 岡本眸 200707
お鼻井戸梅雨の茂りにまた暗し 阿部ひろし 酸漿 200707
梅雨憂しとせず集ひ来し人ばかり 稲畑汀子 ホトトギス 200707
梅雨霧のあなどり難くカーブ切る 稲畑汀子 ホトトギス 200707
梅雨蔵の敷居にねずみ返しかな 田村すゝむ 風土 200707
梅雨空に無念阪神タイガース 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
梅雨雲を払ひし富士を見て着きぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
梅雨の蝶遠ざけ誰かさんの句碑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
豪商の館や梅雨の 巴波 うずま 田村すゝむ 風土 200707
草踏むやひらり翻りし梅雨の蝶 四條進 200708
につくきは黄色き かしら 梅雨の闇 山田美恵子 火星 200708
街中の寺に真闇や梅雨最中 苑実耶 200708
その翅の何時きらめくや梅雨の蝶 林翔 200708
梅雨霧の閉ざせるあたり水難碑 熊岡俊子 雨月 200708
梅雨無聊万華鏡なと廻すとも 大橋敦子 雨月 200708
梅雨蝶に会はむと咲きし蒲公英か 植松安子 200708
梅雨雲の暗さに雨の来る早さ 二村蘭秋 雨月 200708
梅雨の坂幾度訪はば母癒えむ 橋口桂子 200708
梅雨の河渡り了へても茫々たり 林翔 200708
差し出しにゆく相続税梅雨深し 湯橋喜美 200708
待つ人の増え交叉点梅雨湿る 宮津昭彦 200708
大枝が小枝をかばひ梅雨しとど 林翔 200708
一声の愚痴零しゐる梅雨がらす 鈴鹿仁 京鹿子 200708
超低空匍匐のごとく梅雨つばめ 上原重一 200709
湖底の森乾きて梅雨の蝶生る 渡邉友七 あを 200709
わすれめや梅雨にむせびし敦の忌 徳永辰雄 春燈 200709
インターホンとれば激しき梅雨の音 小嶋洋子 200709
これやこの中村座跡梅雨の蝶 生田高子 春燈 200709
東山三十六峰梅雨さなか 上原恒子 雨月 200709
先人の疎水路梅雨の水走る 大橋晄 雨月 200709
濡れ紙に描いた様な梅雨の月 横田萌 京鹿子 200709
裁ち縫ひを忘れし指や梅雨じめり 舩越美喜 京鹿子 200709
傘立は信楽の甕梅雨深し 平田紀美子 風土 200709
うすうすと草の香梅雨も近きかな 生方ふよう 200709
教室の爆笑ひびく梅雨葎 坪井洋子 200709
清め砂撒きし新居の梅雨の月 西畑敦子 火星 200709
梅雨の牧牛がまち子の名札吊り 坂井和子 酸漿 200709
梅雨雲を掃きだす峡の大ポプラ 池元道雄 馬醉木 200709
梅雨湿る屍口には灯点して 馬越幸子 ぐろっけ 200709
梅雨蝶や気散じに買ふ赤き傘 野路斉子 200709
百円の海釣公園梅雨あがる 田中みのる 火星 200709
から梅雨と荒梅雨競ふ雲の綾 荻野千枝 京鹿子 200709
富士の峰梅雨の衣に威を秘めり 四條進 200709
煖炉に薪そろへてありぬ梅雨の宿 竹内弘子 あを 200709
片脚の葦原に消え梅雨の虹 乗光雅子 雨月 200709
あの世この世一緒に願ふ梅雨の寺 森山のりこ あを 200709
流木の手が州をつかむ梅雨出水 池元道雄 馬醉木 200709
海と空いつわかるるや梅雨曇 林翔 200709
回廊に常着干しある梅雨の寺 福地初江 200709
無灯火の君が見えない梅雨の闇 横田萌 京鹿子 200709
万太郎句碑のほそ字も梅雨じめり 堀口希望 200709
お六ぐし見むと立寄る梅雨の軒 阿部ひろし 酸漿 200709
忘られて梅雨のうぶ毛をいらひをる 小形さとる 200709
学校の退けどき梅雨のはじまれり 矢島久栄 200709
蜩のけふ鳴き初むや梅雨最中 青木政江 酸漿 200709
軋ませて閉ざす雨戸や梅雨深し 中谷葉留 風土 200709
物がたりめきたる土蔵梅雨はげし 早崎泰江 あを 200709
頑張りの中弛みする戻り梅雨 芝尚子 あを 200709
真夜に聴く梅雨の雨音カンタータ 白髭美佐子 200709
鳩時計梅雨深まりてサボタージュ 泉田秋硯 200709
梅雨霧の湖岸声あり赤翡翠 中川悦子 酸漿 200709
梅雨払ふ蘇峰の富士の一筆書き 宮田豊子 春燈 200709
梅雨曇鳩や鴉の声ばかり 早崎泰江 あを 200709
梅雨曇見えざる富士を訪ねけり 四條進 200709
梅雨兆す忘れ織紗のありどころ 小川美知子 200709
梅雨兆すコブクロの唄またよかり 北川孝子 京鹿子 200709
梅雨前の日のしろじろと裏鬼門 矢島久栄 200709
梅雨湿り女の髪のみだるるよ 鈴木榮子 春燈 200709
梅雨傘を柳へ開き露地を出る 岩崎憲二 京鹿子 200709
梅雨最中桜茶出でて和みたり 牧原佳代子 酸漿 200709
梅雨空とビニールハウスとは同じ 佐藤喜孝 あを 200709
梅雨闇の聖堂に遇ふ殉教図 塩田博久 風土 200709
梅雨茜前田百万石の門 田村すゝむ 風土 200709
梅雨 →10      

 

2021年6月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。