梅 雨 10  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅雨も又恵みとあらば是非もなし 岩崎憲二 京鹿子 200709
梅雨の川入るなと幼な武蔵の絵 馬越幸子 ぐろっけ 200709
梅雨の瀬の明けつつけぶる河鹿笛 阿部ひろし 酸漿 200709
梅雨の鯉屈託のなき口ひらく 吉武千束 200709
梅雨の月猫を探しに外へ出る 佐藤喜孝 あを 200709
梅雨どきの晴間晴間を用足しす 鈴木榮子 春燈 200709
梅雨ぐもりコーラスの声明るかり 谷村幸子 200709
馬を見よ梅雨深き日も走らねば 泉田秋硯 200709
馬の鼻ふくらむ梅雨の中休み 城孝子 火星 200709
能管の透徹梅雨の鬱払ふ 手島伸子 雨月 200709
今はただ目ぐすり恃み梅雨さなか 松井のぶ 200709
投函の駄賃を孫に梅雨茫々 小林清之介 風土 200709
荒梅雨に私淑の人とひとつ傘 高根照子 200709
甲走る児の声封じ梅雨の部屋 藤井圀彦 200709
広やかに信玄堤梅雨兆す 高橋道子 200709
イヤリング重しと思ふ梅雨兆し 石垣幸子 雨月 200709
トレモロを繰返しつつ梅雨の傘 千坂美津恵 200709
スプーンに金属の味梅雨兆す 林昭太郎 200709
雨雲のとどこほる峯梅雨兆す 久保東海司 200709
固まつて何か流るる梅雨出水 高田令子 200710
大伽藍の梅雨の雨垂耳聾す 森脇貞子 雨月 200710
泥色に寄り添ひ梅雨の鯉でゐる 松本鷹根 京鹿子 200710
蔵屋敷箱階段の梅雨じめり 山本みゆき 万象 200710
曳き船の動くと見えず梅雨の川 伊東恵美子 馬醉木 200710
荒梅雨や被災地見舞ふつばさ欲し 小野寺節子 風土 200710
禅刹に入るや一喝梅雨鴉 森脇貞子 雨月 200710
黒板に大暑の一句梅雨上がる 塩路隆子 200710
愚を重ね重ねていよよ梅雨深し 内山芳子 雨月 200710
虹鱒の水面に梅雨蝶低くとぶ 船越和香 馬醉木 200710
梅雨つづく安居と念ひ雨読せり 今谷脩 ぐろっけ 200710
梅雨深き木地師の里の風雨かな 阿部ひろし 酸漿 200710
杉の秀の梅雨萌え白し雨の谷 阿部ひろし 二の杉 200710
泣ける書に脳リフレッシュ梅雨ひと日 井口淳子 200710
山煙る降りみ降らずみ梅雨最中 吉本淳 ぐろっけ 200710
被災地へ着けず仕舞や梅雨滂沱 田中つや子 200710
顳顬 しょうじゆ がしばらく梅雨の男かな 小形さとる 200710
鍼灸院点字のカルテ梅雨じめり 森山のりこ あを 200710
謦咳に接する一書梅雨深し 出口賀律子 雨月 200710
ただならぬ災害ニュース梅雨滂沱 木村幸 200710
孕みたる梅雨のままかり届きけり 岡田章子 ぐろっけ 200710
老いの身の膝をいたはる梅雨月夜 村越化石 200710
門を出づ梅雨の明けたる世界へと 柳川晋 200710
酌む酒と相思相愛梅雨滂沱 布川直幸 200710
山迫り梅雨の六甲川唸る 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200710
山行きのストツク選ぶ梅雨の明け 塩田博久 風土 200710
下を向く人多くなり梅雨曇 大空純子 ぐろっけ 200710
参勤の二文字梅雨の峠茶屋 伊藤希眸 京鹿子 200710
白河の梅雨の青田をよぎりけり 阿部ひろし 二の杉 200710
梅雨茫々東山また茫々と 樺山翠 雨月 200710
梅雨霧を青田に広げ諏訪平 阿部ひろし 酸漿 200710
梅雨乍「元善光寺」額燦々 阿部ひろし 酸漿 200710
梅雨曇る墓石寄場や倶会一処 神山志堂 春燈 200710
梅雨峠乗り合ふ肘の打つことも 伊藤希眸 京鹿子 200710
三猿が屋根で毛づくろふ梅雨の晴れ 鈴木勢津子 200710
梅雨深し紅の色染む一斗桶 伊藤ふみ 馬醉木 200710
梅雨深し楽譜の中の妣の遣書 村上美智子 雨月 200710
梅雨最中母の年忌の似合ふ日に 有村キミ子 酸漿 200710
梅雨最中延命地蔵の幡なびく 阿部ひろし 酸漿 200710
梅雨空へ響けと一打鐘を撞く 網野茂子 酸漿 200710
梅雨の明け洗へる物は皆洗ひ 馬越幸子 ぐろっけ 200710
梅雨の明け4LDK開け放ち 馬越幸子 ぐろっけ 200710
梅雨の灯のともりて白し敦の忌 君塚敦二 春燈 200710
梅雨の天メタセコイアの青さかな 飯田角子 酸漿 200710
梅雨の中届く真白き招待状 生田恵美子 風土 200710
梅雨の峡棚田小重ね大重ね 阿部ひろし 酸漿 200710
梅雨たのし雨読の本を積み重ね 金山千鳥 酸漿 200710
脳トレの超人コース梅雨の雷 鈴木照子 200710
入院の夫の看病梅雨深し 山崎泰世 200710
九竅に梅雨のしづくを満々す 吉弘恭子 あを 200710
二日分動ける午後の梅雨の晴れ 丸井巴水 京鹿子 200710
二の腕のまた細うなり梅雨の月 根本ひろ子 火星 200710

 悼杉本重雄君

早発ちの鳥の行方や梅雨霧らふ

泉田秋硯 200710
降る梅雨のひそめる音の畳かな 八田木枯 晩紅 200710
荒梅雨や野川の水のをどり飛ぶ 木内美保子 六花 200710
荒梅雨の疏水の水嵩恐れけり 森脇貞子 雨月 200710
途切れなき梅雨の雫のまてば椎 服部幸 200710
クラリネット吹く少年に梅雨の月 竹下昌子 200710
長梅雨や牛の乳さへうすくなりぬ 金井充 百日紅 200711
長梅雨やべートーベンのデスマスク 樋口みのぶ 200711
石庭の苔の青さや梅雨曇 山村修 酸漿 200711
梅雨荒るる列島樺美智子の忌 山田夏子 雨月 200711
名付けつつおのが付合ふ梅雨の肩 阿部ひろし 酸漿 200711
名を忘れ漢字を忘れ梅雨深し 大坪景章 万象 200711
寺田屋の表玄関梅雨湿り 奥田妙子 ぐろっけ 200711
梅雨旱り玉を咥へて魚板朽つ 角直指 京鹿子 200711
梅雨満月抜糸未だの退院の 数長藤代 200711
梅雨深し熊野古道の石畳 松村義男 遠嶺 200711
梅雨の川酒蔵に酔ひ舟に酔ひ 岡本幸枝 ぐろっけ 200711
梅雨の市泥鰌の水を網に捨つ 工藤ミネ子 風土 200711
梅雨じめり艶話もあり十石舟 岡本幸枝 ぐろっけ 200711
梅雨さなか独りを楽しむ日もありて 丹生をだまき 京鹿子 200711
ひたすらに雀啄む梅雨の芝 大山妙子 酸漿 200711
雨上り蝶が蝶よぶ梅雨の畑 大山妙子 酸漿 200711
靴はもの思ふかたちに梅雨深し 岩岡中正 ホトトギス 200712
梅雨はげし草のごとくに人濡るる 岩岡中正 ホトトギス 200712
病む父の三匙の食事梅雨深し 栗林眞知子 ホトトギス 200712
白き鯉梅雨の濁りを背負ひけり 高石幸平 ホトトギス 200712
梅雨もまた神の恵みとうべなへり 桑野英彦 ホトトギス 200712
梅雨の蝶よりもひそかに籠りゐる 岩岡中正 ホトトギス 200712
梅雨の地震ころがり出でし団子虫 大坪景章 万象 200712
梅雨が洗ひ風が洗ひし夕日かな 瀧青佳 ホトトギス 200712
田の堀に沢蟹歩む梅雨曇り 阿部文子 酸漿 200712
梅雨曇喋るトラック無事左折 森一枝 八千草 200801
梅雨空を弾き返せし月上弦 桑原泰子 八千草 200801
梅雨あがるしっかり結ぶゴミ袋 陽山道子 船団 200801
荒梅雨を郵便車来る山の荘 井上浩一郎 ホトトギス 200802
茫々の梅雨雲に居る山の荘 井上浩一郎 ホトトギス 200802
男病むアジアを走る青い梅雨 坪内稔典 稔典句集 200804
梅雨続く小錦十人いるような 坪内稔典 稔典句集 200804

 夫急逝

亡き夫に届く郵便梅雨深し

東良子 首座星 200804
梅雨続くダッシュダッシュのオートバイ 坪内稔典 稔典句集 200804
繩文の蛇に圍まれ梅雨の壺 佐藤喜孝 あを 200805
梅雨や九竅全き土偶立つ 佐藤喜孝 あを 200805
雨だれの軒の向うに梅雨の月 鷹羽狩行 200806
この空のどこに梅雨雲をまんねん 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
とも角も身ほとりに持つ梅雨の傘 稲畑汀子 ホトトギス 200806
華燭祝ひに梅雨逃げのカナダ行 品川鈴子 ぐろっけ 200806
日の射して梅雨の旅路を輝かす 稲畑汀子 ホトトギス 200806
べたべたと家鴨の騒ぐ梅雨出水 高崎武義 200806
地震のこと梅雨の会話に加はりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200807
闇ぬるくぬるく更けゆき梅雨の月 ことり 六花 200807
庭の木に梅雨くれなゐの若葉あり 阿部ひろし 酸漿 200807
薫物の香の濃くなれる梅雨の宵 ことり 六花 200807
星を見る旅とはならず梅雨に濡れ 稲畑汀子 ホトトギス 200807
又地震のありしと梅雨の電話切れ 稲畑汀子 ホトトギス 200807
檸檬汁部屋にはじかす梅雨の夜 ことり 六花 200807
梅雨深みける灯の下のサラダバー 山尾玉藻 火星 200807
梅雨雲の切れて星見しことも旅 稲畑汀子 ホトトギス 200807
濡るるとも梅雨の草原行きて句碑 稲畑汀子 ホトトギス 200807
降りつのることなく止みて梅雨の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200807
降らるるを承知の梅雨の旅となる 稲畑汀子 ホトトギス 200807
うなづけばうなづき返し梅雨雀 鷹羽狩行 200807
稿債に向かひて梅雨の日々を処す 稲畑汀子 ホトトギス 200807
庭の木々それぞれ黙す梅雨曇 阿部ひろし 酸漿 200807
わが顏をおもひゑがけず梅雨の雲 佐藤喜孝 あを 200807
釣橋に梅雨萌え仰ぐ杉の鉾 阿部ひろし 酸漿 200808
五合庵梅雨のみどりのなかにかな 阿部ひろし 酸漿 200808
綻びし衣を繕ふ梅雨じめり 仁平則子 200808
誰ひとり来ぬ日ぞ梅雨の始まれる 江本路代 酸漿 200808
大利根の梅雨を飽かずに歩きけり 君塚敦二 春燈 200808
研ぎ澄ます蘭医の系図梅雨兆す 落合絹代 風土 200808
大空のぼんぼりかとも梅雨の月 林翔 馬醉木 200808
越路来て梅雨霧に目を奪はれし 泉田秋硯 200808
鈍色に五山連峰梅雨深む 宮崎左智子 200808
野を行きて昼顔親し梅雨曇 阿部ひろし 酸漿 200808
玉の緒も今は朽ち縄梅雨深し 林翔 馬醉木 200808
恐山の檜葉梅雨霧に霊気満つ 阿部悦子 酸漿 200808
梅雨じめり六枚きりの畳拭く 中川すみ子 200808
梅雨の間の遠出の帰り茜空 加藤北天 雨月 200808
梅雨の蝶旅人のごと汚れ飛ぶ 高橋照子 雨月 200808
梅雨川を縫うて詣でし先師句碑 能村研三 200808
梅雨兆す骨董店の蜻蛉玉 塩路五郎 200808
神田川梅雨の満月さかのぼる 神蔵器 風土 200808
帰るべき国あり梅雨の空港に 品川鈴子 ぐろっけ 200808
ちんどん屋梅雨の晴れ間を流し行く 鈴木昌子 やぶれ傘 200808
聞香や梅雨の憂さ消ゆきのふ今日 松波とよ子 春燈 200808
たまさかの家事に皿割る梅雨の暮 布川直幸 200808
廻り道足許悪しく梅雨兆す 池崎るり子 六花 200808
開け放つ小窓出入る梅雨雀 阿部文子 酸漿 200808
囀りの時に鋭し梅雨の鳥 井上幸子 酸漿 200808
手のひらに水の旨さをうけて梅雨 鴨下昭 200808
脈絡なくしゃべりつづけて梅雨しとど 芝宮須磨子 あを 200808
射的屋へ矢印梅雨の伊香保かな 鈴木榮子 春燈 200808
火事跡の木の枝に懸け梅雨の傘 藤田宏 長城 200808
四十雀よく鳴く梅雨の木下闇 菊地惠子 酸漿 200808
鼻唄に煎薬煮つめ梅雨厨 宮崎左智子 200808
余後の身はパズル数独梅雨さなか 松井のぶ 200808
梅雨夕日に雲上に佐渡横たへて 阿部文子 酸漿 200808
梅雨萌えの杉の穂のぞく露天の湯 阿部ひろし 酸漿 200808
梅雨兆すこけしろくろの削り屑 山本耀子 火星 200808
梅雨深し夜の返信をこまごまと 朝妻力 雲の峰 200808
梅雨傘を畳むわが家に喪の匂 辻直美 200808
梅雨月夜富士参道の灯のともる 金山雅江 春燈 200808
梅雨月や多き災禍にただ祈り 小澤菜美 200808
玉石に落つる雨だれ梅雨の寺 君塚敦二 春燈 200808
梅雨雲を神の一吹き比良晴るる 藤本秀機 200808
梅雨ふかしATMに急かされる 篠田純子 あを 200808
梅雨の蝶郵便受に何もなし 鈴木多枝子 あを 200808
梅雨の蝶羽ゆるやかに地に降りぬ 鎌倉喜久恵 あを 200808
梅雨の晴間の本陣を訪ひにけり 君塚敦二 春燈 200808
梅雨の宿門提灯を早や点し 中村悦子 200808
梅雨の寺弥勒の肩のしかと濡れ 君塚敦二 春燈 200808
梅雨の月鷺の留まりし枝たわむ 杉浦典子 火星 200808
梅雨に病めば人に手紙派面会派 伊藤白潮 200808
梅雨しとど電話いづこも話し中 中川すみ子 200808
梅雨しとど身体髪膚DNA 竹内弘子 あを 200808
襖しかと閉して梅雨と親しみぬ 斎藤道子 馬醉木 200808
赤毛のアン読み耽ける娘や梅雨長し 宮沢治子 春燈 200808
日めくりを纏めめくりや梅雨長き 林翔 馬醉木 200808
洞門のあばら透かしに梅雨はげし 能村研三 200808
頭を剃るは梅雨の怠り払ふべく 古田考鵬 雨月 200808
頭に風足にも風や梅雨あがる 林翔 馬醉木 200808
合掌の藁屋根弾く梅雨しづく 能村研三 200808
荒梅雨やもつとも濡れしトップ記事 小嶋洋子 200808
送り梅雨婆娑羅崩しのダム湖岸 能村研三 200808
更けし夜の光淡しや梅雨の星 増田一代 200808
ほのぼのと梅雨も人の輪賢治の地 北川英子 200808
ぺたぺたと重き足音梅雨近し 松嶋一洋 200808
一こゑは明日を信じて梅雨鴉 鈴鹿仁 京鹿子 200808
トンネル出し眩しさも鳴呼梅雨の空 林翔 200808
梅雨 →11      

 

2021年6月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。