梅 雨 8  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
老鶯の気嫌に梅雨の明けにけり 谷寿枝 酸漿 200510
辛うじて波先白し梅雨深し 坪井洋子 200510
児の為に繙く童話梅雨じめり 中崎敞子 ぐろっけ 200510
文豪の慈眼の空を梅雨の蝶 湯浅夏以 遠嶺 200510
梅雨あがる雲七色の乾かな 冨松寛子 200510
八幡平包み込まれし梅雨の雲 渡辺玄子 酸漿 200510
梅雨半ば珈琲豆を挽く匂ひ 服部早苗 200510
梅雨兆す火の見より入る旧街道 志奈禮子 万象 200510
梅雨深し仏壇にある燐寸箱 高松良子 200510
梅雨最中空路飛び来て喪の席に 玉置かよ子 雨月 200510
梅雨霞こんと過ぎたるきつね坂 北川孝子 京鹿子 200510
梅雨雲や深き眠りの鏡沼 渡辺玄子 酸漿 200510
梅雨闇や秘仏を拝す膝固く 塩田博久 風土 200510
梅雨じめりツボを外れたるお灸かな 松本文一郎 六花 200510
波立てず餌へ寄りくる梅雨の鯉 谷口外穂 200510
妻のもの干す身ほとりに梅雨の蝶 三嶋隆英 馬醉木 200510
香焚いて梅雨には梅雨の静ごころ 坪井洋子 200510
梅雨の蝶大気の重さ測りかね 野口敏夫 対岸 200510
駅に待つゲリラ梅雨とふ降りやうに 久保晴子 雨月 200510
荒梅雨の葬具金ン銀光り合ふ 玉置かよ子 雨月 200510
天界に澪あるごとく梅雨の鳶 佐々木紗知 京鹿子 200510
庭下駄の鼻緒にしばし梅雨の蝶 伊藤節子 200510
ぽつんと灯ぽつんと梅雨の焼鳥屋 宮尾直美 200510
モデルハウス倖せごっこの梅雨灯す 山元志津香 八千草 200511
朝刊のじわりと重し梅雨深み 北尾章郎 200511
戸袋を出渋る梅雨の雨戸かな 井手浩堂 万象 200511
さしくるる白き腕の梅雨の傘 井手浩堂 万象 200511
櫛笄梅雨の晴間を女達 湯浅夏以 遠嶺 200511
切り口の見えぬラップや梅雨滂沱 野中啓子 200511
水鳥の羽のましろや梅雨の明け 大堀由子 200511
少年に木馬に梅雨の明けにけり 井手浩堂 万象 200511
深梅雨や落書錆びしガード下 染谷晴子 200511
捨て猫の兄弟姉妹梅雨に鳴く 蒔田しをん 200511
梅雨の蝶草より出でて草に入る 高嶋宇多子 栴檀 200511
俳諧の思川とや梅雨の蝶 吉田小幸 ホトトギス 200511
横顔の忍者めきたる梅雨鴉 大堀由子 200511
怠りの絵筆に梅雨の黴固く 水野範子 ぐろっけ 200511
雲海に小島の富士や梅雨の旅 苑田ひろまさ 200511
荒梅雨といふ戦場のごときもの 岩岡中正 ホトトギス 200512
高館や梅雨の大河のひとうねり 山下青坡 200512
何も彼も梅雨霧晴れてからのこと 赤川誓城 ホトトギス 200512
梅雨荒れの山より痩せてもどりけり 市場基巳 200512
竪穴住居梅雨の炉煙漏れつらん 村松紅花 ホトトギス 200512
シャガールの潤む山羊の目梅雨の星 山元志津香 八千草 200512
残骸の浮巣漂ふ梅雨出水 手島伸子 雨月 200601
村ひとつ呑みたるダムや梅雨濁り 工藤ミネ子 風土 200601
紅の袱紗さばきや梅雨の宵 関戸文子 酸漿 200602
又降つて筍梅雨でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200605
梅雨前に犬のシャンプーすることに 稲畑汀子 ホトトギス 200605
桑畑をまるくのこして梅雨曇 瀧春一 常念 200606
梅雨の暮白き菖蒲をゑらび剪る 瀧春一 常念 200606
西山に三日居て逢ふ筍梅雨 松崎鉄之介 200606
星よりも暗くかかりて梅雨の月 鷹羽狩行 200606
うぐひすや梅雨の曇りはぎんいろに 瀧春一 瓦礫 200606
飢え泣くは萬葉よりぞ梅雨の月 瀧春一 瓦礫 200606
起伏なき町やひたすら梅雨じめり 岡本眸 200606
すぐ止んで晴れて旅路は梅雨のもの 稲畑汀子 ホトトギス 200606
郭公や梅雨の火の山かたちなき 瀧春一 常念 200606
友情の酒におもむく梅雨の傘 瀧春一 常念 200606
菩提寺に尼ゐる天時梅雨ぐもり 能村研三 200606
梅雨雲を弾く日差でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200606
梅雨止めばレインコートの忘れもの 稲畑汀子 ホトトギス 200606
梅雨傘の大きは母の無きごとし 吉村たけを 海市蝶 200606
梅雨空に日本列島固まれり 稲畑汀子 ホトトギス 200606
梅雨雲の淺間は見えず旅情の詩 瀧春一 常念 200606
梅雨雲の変幻に道迷ひしや 稲畑汀子 ホトトギス 200606
梅雨の沼小舟いきいきよぎりゆく 瀧春一 瓦礫 200606
梅雨に処すため旅鞄ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200606
鍋底にガス火とびつく梅雨曇 宇根綾子 二輪草 200606
今宵泊つホテルはいづこ梅雨霧に 稲畑汀子 ホトトギス 200606
荒梅雨の萬年橋にたもとほる 堀内一郎 あを 200606
雨のなき旬日梅雨でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200606
蝶一つ梅雨早苗田をさまよへる 阿部ひろし 酸漿 200607
降らぬまま明くることなき梅雨の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200607
女学生降りてたちまち梅雨のバス 松下道臣 まんまる 200607
漣のめぐる巡りて梅雨の鳰 吉弘恭子 あを 200607
零しても梅雨の旅てふ証ほど 稲畑汀子 ホトトギス 200607
立札の字に怒りあり梅雨曇 斉藤裕子 あを 200607
終電のスパーク青き送り梅雨 鷹羽狩行 200607
梅雨の畦梅雨たんぽぽの咲き映ゆる 阿部ひろし 酸漿 200607
梅雨霧も息づくものとして三瓶 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
梅雨間近ゆらりゆらりと飛行船 森山のりこ あを 200607
梅雨の窓過ぎる女の人魚めく 森山のりこ あを 200607
梅雨の森蒿雀のこゑにさそはるる 阿部ひろし 酸漿 200607
梅雨の森泡吹虫に呼ばれけり 阿部ひろし 酸漿 200607
日帰りの上京一回梅雨の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200607
天気予報信じ梅雨傘携へて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
みちのくの梅雨の旅路を憂しとせず 稲畑汀子 ホトトギス 200607
長所ならいくつも言えて梅雨曇る 森田子月 ぐろっけ 200608
朝富士やかしづき仰ぐ梅雨の雲 林翔 200608
湖の水舐めさつと梅雨の蝶 林翔 200608
梅雨空へ下校児注意のアナウンス 篠原木綿 200608
古びけり杵も木臼も梅雨深く 定梶じょう あを 200608
言ひ遺すことを書きとむ梅雨深し 戸熊岡俊子 雨月 200608
溜息と聴けば聴かれて梅雨鴉 林翔 200608
太古より同じ雨音梅雨の夜 斉藤裕子 あを 200608
継信ともなれず死なしめ梅雨かなし 大橋敦子 雨月 200608
近うなる鐘の音梅雨の兆しかな 大城戸みさ子 火星 200608
盛塩に残れるよべの梅雨湿り 長沼三津夫 200608
机辺にもの積みて崩して梅雨深し 加瀬美代子 200608
観覧車ぐらりと天へ梅雨の蝶 佐渡谷秀一 春燈 200608
母を慕ひて梅雨の旅路を急ぎしか 大橋晄 雨月 200608
遮断機の向ふまで来た梅雨迎ふ 鎌倉喜久恵 あを 200608
鳴き声がして犬がゐて梅雨の月 宮津昭彦 200608
実朝の初島の無し梅雨の靄 阿部ひろし 酸漿 200608
母の手に似たる人あり梅雨の寺 斉藤裕子 あを 200608
不意と謂ふ昂りのあり梅雨の蝶 鈴鹿仁 京鹿子 200608
浜独活はそびゆる草や梅雨曇 阿部ひろし 酸漿 200608
木の洞に地蔵のおはす梅雨の寺 清水伊代乃 酸漿 200608
老人のつぶやく梅雨のはしりかな 荒井和昭 200608
梅雨は霽れ緑の炎立ちあがる 林翔 200608
梅雨のあとさき弔問をさしはさむ 伊藤白潮 200608
音読を父にすすめる梅雨間近 森山のりこ あを 200608
梅雨滝のみなぎる力総身に 谷榮子 雨月 200608
梅雨滝に石の混じれる音したる 山田六甲 六花 200608
梅雨深し猫を抱きてしづごころ 芝尚子 あを 200608
梅雨最中二日がかりでジャムを煮る 鈴木多枝子 あを 200608
梅雨最中手を借りて池渡りをり 芝尚子 あをかき 200608
梅雨ふかし雑多な用の中の句会 竹内弘子 あを 200608
梅雨の雷鼓無性に吾を打ちに打つ 大橋敦子 雨月 200608
梅雨の日や海鳴の松を横たへて 阿部ひろし 酸漿 200608
梅雨の道はや露草の瑠璃かざる 阿部ひろし 酸漿 200608
梅雨の蝶犬猫墓地をさまよへり 岡光子 酸漿 200608
梅雨の月青きポストに投函す 篠田純子 あを 200608
梅雨じめり窟に硬貨ちらばれる 竹内弘子 あを 200608
黄の傘のつづく校門はしり梅雨 谷村修二 200608
妻の祈り夜毎に深し梅雨の月 大橋晄 雨月 200608
香奠へいくら包まう梅雨さ中 定梶じょう あを 200608
決断を迫らる一事梅雨激し 戸熊岡俊子 雨月 200608
荒梅雨や病臥の息のただならず 戸熊岡俊子 雨月 200608
茫々の梅雨や余命を知らさるる 戸熊岡俊子 雨月 200608
一徹の啼きは風裂く梅雨がらす 鈴鹿仁 京鹿子 200608
引き残る潮に梅雨の日映る浜 阿部ひろし 酸漿 200608
ほたるぶくろ仄々白し梅雨の島 阿部ひろし 酸漿 200608
メタセコイアの総身の梅雨雫 田中藤穂 あを 200608
挨拶はよく降りますね梅雨滂沱 福地淳祐 春燈 200608
モナリザの日の鳶色に梅雨兆す 上谷昌憲 200608
町名がひらがなになり梅雨ながし 達山丁字 200609
「どなたさま」姉に聞かるる梅雨じめり 水上貞子 ぐろっけ 200609
湖中句碑に寄す浪荒し梅雨兆す 石垣幸子 雨月 200609
ひとつづつ舞ひ来て梅雨の蝶となる 福澤乙 酸漿 200609
竹を編む一灯ありぬ梅雨の月 野口香葉 遠嶺 200609
白浜の砂の波型梅雨曇 関まさを 酸漿 200609
知らぬ間に爪伸びてをり梅雨の夜 くらたけん 200609
脱稿の水を一気よ梅雨の星 中尾杏子 200609
大原の恋歌の碑や梅雨の里 平島利男 酸漿 200609
検診を待つ椅子かたし梅雨じめり 亀卦川茂男 200609
天水桶溢れ溢れて梅雨はげし 石井たを子 200609
藻を掛絡に南無三髭の梅雨鯰 禰寝瓶史 京鹿子 200609
荒梅雨に取り残されし海の家 高橋美智子 200609
群雲の深きより出づ梅雨満月 工藤ミネ子 風土 200609
洗濯の日ざし戻れり梅雨最中 田中喜久子 酸漿 200609
千年の光陰刻む梅雨の杉 松村多美 四葩 200609
金槐集ひらけば梅雨の明けてをり 神蔵器 風土 200609
梅雨闇に姫娑羅の幹赤光り 岩月優美子 200609
興奮の坩堝のドーム外は梅雨 早崎泰江 あを 200609
梅雨湿りの髪梳くによく絡みつく 太田絵津子 200609
晴れゐても灘のくらさや梅雨漁港 小山香月 酸漿 200609
雀らにこゑあり梅雨の中休み 浜明史 風土 200609
つくねんと川を見下ろす梅雨烏 安田とし子 ぐろっけ 200609
観劇や梅雨のさ中の氣を直す 長崎桂子 あを 200609
干物にうす日賜はる梅雨最中 藤原さちよ 酸漿 200609
干し物の満艦飾や梅雨の部屋 名和政代 万象 200609
女下駄置かぬ玄関梅雨の月 戸田春月 火星 200609
助走して梅雨空へ翔つ鸛 石川慧 200609
巡礼の鐘の音に問ふ梅雨の寺 下山田美江 風土 200609
檳榔樹葉を張り梅雨も今日明けむ 林翔 200609
それぞれのホテルの窓の梅雨満月 金澤明子 200609
海へ出て尚ごろごろと梅雨の雷 高橋美智子 200609
紋ひそと樹幹にやすめ梅雨の蝶 大沢美智子 200609
捨苗のみどり可惜し梅雨の蝶 永田二三子 酸漿 200609
北一硝子 キタイチ のお眠りランプ梅雨に灯す 泉田秋硯 200609
暴れ梅雨山を溶かして了ふのか 篠田純子 あを 200609
国技館の彈けるちから梅雨重し 芝尚子 あを 200609
菊水楼より差しかけられし梅雨の傘 加藤廣子 火星 200609
梅雨長しお城が空を飛ぶ映画 竹内弘子 あを 200609
梅雨深し草の匂ひの灯をともす 佐久間多佳子 京鹿子 200609
梅雨空へわらひかはせみ高笑ひ 柳沢典子 酸漿 200609
梅雨の夜のひるがへる葉の白さかな 坂口夫佐子 火星 200609
梅雨ぐもり窓から子供御輿の声 竹内弘子 あを 200609
梅雨夕日引きくにびきの帰漁船 禰寝瓶史 京鹿子 200609
梅雨曇陣馬の里の狐雨 関戸文子 酸漿 200609
梅雨都心ごむ毬ほどの日の浮けり 高橋道子 200609
梅雨蝶の雨へ発ちたる勢かな 坪井洋子 200609
梅雨兆す壁のメニューを仰ぎけり 松井倫子 火星 200609
梅雨知らぬ小樽運河は空の色 泉田秋硯 200609
梅雨深し鬼面を吊りてひとり住む 田村愛子 万象 200609
梅雨湿る石切り跡の窟かな 下山田美江 風土 200609
梅雨最中外には行かず句と遊ぶ 木村迪子 酸漿 200609
梅雨最中CTスキャンくぐりゐる 加藤廣子 火星 200609
梅雨機翼むすめ一家を連れ去りぬ 松村多美 四葩 200609
梅雨雲の上には常に晴がある 泉田秋硯 200609
梅雨一日寝姿山のけぶり見ゆ 阿部ひろし 酸漿 200609
梅雨闇やほろ酔の客門口に 木下もと子 200609
梅雨ふかし見越しの松の蔵屋敷 中島節子 春燈 200609
梅雨の夜や灯点さず部屋に居り わかやぎすずめ 六花 200609
梅雨の夜に来てすぐ帰る夢の客 丸山佳子 京鹿子 200609
梅雨の灯に樺美智子の詩を添へて くらたけん 200609
梅雨の瀬の渦巻く中に青鷺立つ 石川慧 200609
梅雨の月御ン生涯の美はしく 高橋照子 雨月 200609
梅雨→ 9      

 

2021年6月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。