梅 雨 6  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨戸締むとき雲間より梅雨の月 北村香朗 京鹿子 200311
ビル群の列柱めきし梅雨の底 吉田三保 200311
蘭鋳の身をもて余す梅雨曇 羽田岳水 馬醉木 200311
修験者の懸腕直筆梅雨の明く 大森美恵 風土 200311
園城寺梅雨に洗はる屋根の反り 竹内方乃 ぐろっけ 200312
梅雨深しいやいやと振る象の鼻 物江晴子 八千草 200312
病状の一進一退もどり梅雨 山本怜子 ぐろっけ 200312
梅雨満月百日祝いの御膳かな 竹井桂子 200312
久に会ふ友の遅かり梅雨止まず 長谷川登美 ぐろっけ 200312
梅雨のなき空港に見る牛の群 富田志げ子 酸漿 200312
難民の顔あり梅雨の雑草に 芝川百合子 京鹿子 200312
梅雨のなき利尻の富士や雪残り 富田志げ子 酸漿 200312
梅雨湿り居場所をなくす愛煙家 中島英子 八千草 200312
深みへと影引き摺つて梅雨鯰 石平周蛙 対岸 200402
濁流に神の威ありて梅雨木立 能村研三 滑翔 200402
梅雨いとま父同道の伊勢詣 能村研三 滑翔 200402
梅雨空に凪ぎ時ありて遷宮地 能村研三 滑翔 200402
はた目には誰も倖せ梅雨深し 橘沙希 「月の雫」 200404
梅雨に病みのぞけばくらき万華鏡 橘沙希 「月の雫」 200404
空の旅梅雨の財布に守り札 橘沙希 「月の雫」 200404
自刃の詩墨痕淋漓梅雨屋敷 大貫鬼灯 帆船 200404
梅雨深し軋む寺門に彈丸の痕 橘沙希 「月の雫」 200404
梅雨たのし傘が歩くよ一年生 橘沙希 「月の雫」 200404
梅雨近き雨傘のすぐ役に立つ 稲畑汀子 ホトトギス 200405
蒟蒻の芽のほぐれつつ梅雨曇 小林優子 酸漿 200405
大地いま梅雨に包まれゆきにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200406
旅先に忘れて来しか梅雨の傘 稲畑汀子 ホトトギス 200406
予定なき梅雨の家居の経ち易く 稲畑汀子 ホトトギス 200406
晴れゐてもどこかにありぬ梅雨じめり 稲畑汀子 ホトトギス 200406
降り出して梅雨のハンドルさばきかな 稲畑汀子 ホトトギス 200406
読み更けて今日が昨日に梅雨灯 岡本眸 200406
燻銀の日を一身に梅雨の蝶 佐藤喜孝 あを 200406
鉢植ゑの山椒ひよろりと梅雨の前 藤田あけ烏 草の花 200406
老兵の靴の禿りに梅雨催ふ 宇都宮滴水 京鹿子 200406
内子座の 点床 ちょぼゆか のぞき梅雨じめり 能村研三 200407
梅雨近し何処へ行きても陀羅尼助 関根洋子 風土 200407
草の香の水と歩みて梅雨のひま 岡本眸 200407
稽古三味聞え八尾の梅雨深し 朝妻力 雲の峰 200407
濁流の重なり合ひて梅雨大河 栢森定男 「風よ」 200407
梅雨の像津波みつけし遠まなざし 品川鈴子 ぐろっけ 200407
梅雨兆す武庫の川波ややあらし 志水千代子 雲の峰 200407
梅雨茂つつかひ棒にのしかかる 佐藤喜孝 あを 200407
子規ばかり讃ふる町に梅雨兆す 能村研三 200407
皆濡れて着く会場の梅雨深し 稲畑汀子 ホトトギス 200407
梅雨緑青まとふフロック梧陵像 品川鈴子 ぐろっけ 200407
梅雨嵐グスタフレオンハルトのチェンバロ 佐藤喜孝 あを 200407
かたくなに下駄を商ふ梅雨灯 朝妻力 雲の峰 200407
また征きて外地と為さん戻り梅雨 吉弘恭子 あを 200407
平凡な暮らしの続く梅雨の家 栢森定男 風よ 200407
更けて帰る梅雨の外燈葉ごもりに 岡本眸 200407
梅雨深む眼前の岩遠ちの樹々 岡本眸 200407
平凡な暮しの続く梅雨の家 栢森定男 「風よ」 200407
鎖国時の塾は梅雨の戸軋ませて 品川鈴子 ぐろっけ 200407
梅雨といふ美しき山並こそ三瓶 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
梅雨空に連夜の六甲おろしかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
梅雨雲は富士が一手に引き受けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
梅雨の旅みちのくだけが晴れてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200407
荒梅雨や海が地球にへばりつき 山田六甲 六花 200407
浮島の梅雨に躍つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
パチパチと剪定の音梅雨よこい 寺門武明 あを 200407
茶杓拭く手元ゆるめて梅雨の雷 森山のりこ あを 200408
現状に甘んじてをり梅雨の墓碑 今瀬剛一 対岸 200408
上履きに梅雨の近しと思ひけり 志水芳秀 雲の峰 200408
走梅雨額いつぱいに鯉泳ぐ 中谷喜美子 六花 200408
稽古日の梅雨台風となりにけり 芝尚子 あを 200408
深梅雨やしるべおぼるる弘法井 羽田岳水 馬醉木 200408
真夜中の天あをあをと梅雨の月 阿部ひろし 酸漿 200408
梅雨に棲む自殺防止の窓の幅 戸田和子 200408
梅雨兆す神田に出会ふ蛇笏の書 林裕子 風土 200408
人形の首の接ぎ痕ひでり梅雨 竹内弘子 あを 200408
大姉名の子の袈裟梅雨の月に濡れ 羽田岳水 馬醉木 200408
病窓の梅雨空のまま暮れゆけり 福嶋紀子 築港 200408
お酒落忘れし野良猫に梅雨深むかな 林翔 200408
百色の折紙散らす梅雨の部屋 田中藤穂 あを 200408
荒梅雨や長藻くねらせ夜の川 淵脇護 河鹿 200408
弱肉強食多言饒舌梅雨のドン 吉弘恭子 あを 200408
厄除けの石室梅雨の灯を暗く 長沼紫紅 200408
梅雨の晴一二いちにを繰り返す 東亜未 あを 200408
おはようの歌声のせて青き梅雨 石川元子 酸漿 200408
梅雨の雷蟄居のごとく座してをり 高橋あさの 200408
梅雨蝶のもつれつしづむ無明谷 羽田岳水 馬醉木 200408
渋滞の尾燈つらねて梅雨深し 沼口蓬風 河鹿 200408
梅雨深し軽量の傘持ち歩き 福嶋紀子 築港 200408
紅塵の街のどんより梅雨兆す 赤星惠子 あを 200408
混沌の世に生まれけり梅雨の蝶 須賀敏子 あを 200408
荒梅雨や土塁を噛んで椎大樹 諸岡和子 200408
赤合羽梅雨のさ中をペダルこぐ 赤星惠子 あを 200408
コロニーに鷺の沸き立つ梅雨の晴 浅川正 雲の峰 200408
梅雨の河自信に満ちて曲るなり 小野さとし 対岸 200408
梅雨なれや梅雨の風情の詩仙堂 安西静 帆船 200408
梅雨の月軒のしずくにゆがみけり 鎌倉喜久恵 あを 200408
梅雨の夜音だけの世界雨が止む 斉藤裕子 あを 200408
梅雨兆す女子大は昼ともしつつ 志水芳秀 雲の峰 200408
梅雨長く己に少し倦みてをり 松本圭司 200408
傘の柄を伝ひて梅雨の荒さかな 宮永順子 雲の峰 200408
山門を残す公園梅雨深し 前阪洋子 雲の峰 200408
鳩時計ぱたんと閉ざし梅雨つづく 宮津昭彦 200408
梅雨兆す学生街の日曜日 平田紀美子 風土 200408
梅雨兆す日毎に違ふ子の機嫌 近藤倫子 ぐろっけ 200408
梅雨走りベンガル湾まで延びる雲 小田切陽子 帆船 200408
梅雨近し仏御前の像に香 徳村二郎 築港 200408
梅雨の傘登校の児と触れ合へり 松崎鉄之介 200408
梅雨の雨雀が覗く厨窓 北島上已 酸漿 200408
梅雨ぐもり鷹の伊良湖に鳶仰ぐ 櫻井幹郎 百鳥 200408
東寺の塔梅雨空に立つきりつと立つ 村上和子 対岸 200408
隣より壜割れし音梅雨の月 田中藤穂 あを 200408
梅雨の木となりて楷樹の枝ひろぐ 門伝史会 風土 200408
厄除けの一燈梅雨を深めけり 長沼紫紅 200408
厄除けの手摺ひややか梅雨しづく 長沼紫紅 200408
一合の梅雨の重みの米をとぐ 望月晴美 200408
ベランダの干し物を訪ふ梅雨の蝶 沼口蓬風 河鹿 200408
庭一面の都わすれに梅雨近し 金子八重子 酸漿 200408
夜狐の声破れてをり梅雨の沢 長田秋男 酸漿 200408
梅雨空をさきて飛び立つ戦闘機 芳賀桃主 ぐろっけ 200409
快晴の梅雨の満月閑かなり 斉藤利枝子 対岸 200409
犬どちのはやも戯れ梅雨あがる 林翔 馬醉木 200409
かなかや梅雨さなかなる日暮どき 青木政江 酸漿 200409
折れ目どほり包み直しただけの梅雨 直江裕子 京鹿子 200409
梅雨月の照れる宿坊筬欄間 紺野とも子 200409
仲の良い鳩をみてゐる梅雨の猫 丸山佳子 京鹿子 200409
梅雨雲の走り出したる岬かな 松本安弘 六花 200409
貯木場にうすくかかれる梅雨の月 中和田洋美 万象 200409
朝厨刃さきに白き梅雨の蝶 中野京子 200409
午后の晴れ予報通りの梅雨走り 北村香朗 京鹿子 200409
長靴と傘の好きな児梅雨最中 福田かよ子 ぐろっけ 200409
梅雨の蝶胸突畑に遊びをり 川島澄子 酸漿 200409
梅雨の雷妻の眉もて針使ふ 山本令夏 風土 200409
梅雨ふかし天主堂ある坂の街 彦坂範子 ぐろっけ 200409
ほしいまま湯に四肢伸ばす梅雨の宿 森本美智子 築港 200409
梅雨満月地球はまるく何故ならぬ 長崎桂子 あを 200409
音のみが追いかけてくる梅雨出水 岩田登美子 ぐろっけ 200409
梅雨月夜草かぶれせし身の火照り 河合佳代子 栴檀 200409
川音のやうな雨音梅雨深し 吉田眞弓 雨月 200409
千里浜梅雨の白波一文字 長崎桂子 あを 200409
なにか芽の出てゐる畑や梅雨旱 青木陽子 酸漿 200409
梅雨鴉深き眠りの古墳群 沼口蓬風 河鹿 200409
巫女の鈴しやらんと梅雨の明けにけり 坂ようこ 200409
六面に剥けるはがきや梅雨深し 飛鳥由紀 200409
真向ひて呆とをりけり梅雨の月 細井紫幸 草の花 200409
帰去来の詩を呟けば梅雨の雷 柴田孤岩 草の花 200409
枕頭にガリア戦記や梅雨深し 若山実 京鹿子 200409
照梅雨を嘆きて啼くか朝鴉 井関祥子 酸漿 200409
深梅雨の海蒼茫と丹後かな 柴野静 200409
小揺らぎもなく教会の梅雨の燭 中島瑞枝 百鳥 200409
だんごやの奥のふかくて梅雨灯す 長沼紫紅 200409
身をこいで悪声放つ梅雨鴉 田口たつお ぐろっけ 200409
荒梅雨の昼を灯して歯を削る 沼口蓬風 河鹿 200409
づかづかと来てながながと梅雨の雷 大坪景章 万象 200409
気に掛る医師の黙考梅雨の雷 辰巳比呂史 200409
画眉鳥はしやべり好きなり梅雨の雨 井口初江 酸漿 200409
中腹に梅雨雲逸る竜神杉 佐藤山人 200409
老画家と話弾める梅雨茶房 年森恭子 ぐろっけ 200409
母の忌の梅雨満月となりにけり 門伝史会 風土 200409
河とすぐ繋がる湾処梅雨出水 村岡紀美江 築港 200409
鵜篝の薪梅雨の地に拡げ干す 辻恵美子 栴檀 200409
目覚むるや虫歯に沁みる梅雨始め 松本安弘 六花 200409
湿度八十余梅雨を這ふ元気者 長崎桂子 あを 200409
骨折のがんじがらめに梅雨を病む 寺島順子 雨月 200409
山鳩の梅雨の深きに太く暗く 寺島順子 雨月 200409
梅雨ぐもり五百羅漢のうす泪 中川美代子 ぐろっけ 200409
梅雨滂沱厨に納豆練りてをり 山本令夏 風土 200409
梅雨深く肩を寄せあふ塚大小 乗鞍三彦 春燈 200409
梅雨出水の友へと掛くる長電話 宮城島たか子 200409
梅雨の夜波の音だけ日本海 長崎桂子 あを 200409
梅雨の夜の地震知らしめしシャンデリア 泉田秋硯 200409
百の階百まで数へ梅雨の寺 長沼紫紅 200409
奈良漬の酒のにほへり梅雨の街 五十嵐暢子 対岸 200409
梅雨の蝶羽搏き己れ励ますや 松田雄姿 百鳥 200409
梅雨の蝶墓所の太宰に鴎外に 落合絹代 雨月 200409
教室に転がる悲鳴梅雨の雷 沼口蓬風 河鹿 200409
勤行へ梅雨の朝日が赫と射す 佐藤山人 200409
濁流の刻刻増ゆる梅雨の川 薮口弥生 築港 200409
荒梅雨の棒めくをただ見詰めをり 宮城島たか子 200409
米櫃に積る月日よ梅雨深し 中桐葉子 春燈 200409
荒梅雨にはじまる空の展けゐし 木下もと子 200409
梅雨の月乳頭の湯に湯浴みしぬ 須賀敏子 あを 200409
梅雨の暮れ天女の裳裾のやうな雲 長崎桂子 あを 200409
これよりは何を恃まむ梅雨雀 高橋千美 京鹿子 200409
木洩れ日の揺るる坪庭梅雨の蝶 高畠英 河鹿 200409
父の忌の青極まれる梅雨の山 冨田みのる 200409
梅雨の川逆巻き白き飛沫あぐ 薮口弥生 築港 200409
梅雨湿り蒟蒻の芽の鳶いろに 永田二三子 酸漿 200409
白衣の胸つんと梅雨空跳ね返す 高橋瑛子 河鹿 200409
梅雨雲の分厚くなりし古戦場 齋藤たかを 百鳥 200409
この面は俺の生き様梅雨鯰 新井裕 六花 200410
鳶舞ふ梅雨の晴間の漁師町 藤田京子 ぐろっけ 200410
歓喜天おはす御堂に梅雨の蝿 澁江阿喜子 万象 200410
どこへともなく黄昏の梅雨の鳥 加藤京子 遠嶺 200410
月さして梅雨の庭木をしたたらす 江崎成則 栴檀 200410
起き抜けの蹠に伝ふ梅雨じめり 西口鶴子 遠嶺 200410
田も道も泥海と化し梅雨出水 中林たみを 築港 200410
貝塚の貝に影置く梅雨の蝶 須永トシ 栴檀 200410
梅雨傘を「月さま雨が」と幕下りる 岩崎憲二 京鹿子 200410
梅雨蝶に誘はれてゆく山路かな 岡本直子 雨月 200410
旅ごころ萎えてしまひし梅雨旱 久保晴子 雨月 200410
指先に磁気のはたらく梅雨ぐもり 高橋あゆみ 200410
梅雨の月照らす草むら鴨孵る 須永トシ 栴檀 200410
梅雨雲の背後を信じ反る塑像 松本鷹根 京鹿子 200410
自愛せり梅雨の毛布を掛け足して 安住敦 春燈 200410
梅雨 →7      

 

2021年6月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。