梅 雨 5  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
知らぬ子のさよならといふ青葉梅雨 中上照代 火星 200309
梅雨上る禽の国にも三枝の礼 鈴鹿仁 京鹿子 200309
送り梅雨人にけぶりて現れし 蓮井崇男 対岸 200309
梅雨空へ御柱となる樹の霊気 宮坂恒子 200309
仏足石梅雨に法輪水浸し 田中嘉代子 ぐろっけ 200309
野良猫のさっと横切る梅雨の月 山内栄美子 ぐろっけ 200309
雨靴がたゝきに並び梅雨長し 鎌倉喜久恵 あを 200309
一時の日ざし煙めく梅雨最中 篠崎荘市 酸漿 200309
梅雨空をささへ太陽の塔聳ゆ 高垣和恵 雨月 200309
梅雨の海砂利船砂利を運びをり 永川絢子 築港 200309
梅雨の月大きく出でて欠けゐたり 宮津昭彦 200309
梅雨の池亀真ん中を泳ぐかな 石平周蛙 対岸 200309
梅雨の町容姿現す 伊藤政子 築港 200309
梅雨空に似合ふ色をと靴えらぶ 小黒加支 酸漿 200309
梅雨鯉の大食をなし泡なし 市場基巳 200309
梅雨湿り重たき髪を梳る 笠嶋陽子 築港 200309
あだたら忌梅雨の西より晴れてくる 伊藤白潮 200309
梅雨霧の渓間明りに鳥の声 中里カヨ 酸漿 200309
煉瓦詰めし焚き口梅雨の休み窯 井手由紀江 築港 200309
犬と歩く主婦の日課や梅雨長し 吉成美代子 あを 200309
梅雨霽れむ遠白波の存在感 林翔 200309
ヘリに乗り梅雨の船旅佐渡に着く 糸川白水郎 築港 200309
接岸のぎくしやくとして梅雨埠頭 塩川雄三 築港 200309
半月に全円の暈梅雨きざす 秋元きみ子 200309
強弱に鐘打ちにけり梅雨の丘 加藤峰子 200309
河童忌を迎ふも梅雨のまだ明けず 松崎鉄之介 200309
水色の検査着梅雨の深まりぬ 大柳篤子 雲の峰 200309
深梅雨や一歩に噎せるワイン蔵 藤原照子 200309
織姫が上陸の淵梅雨はげし 米倉よしお 雲の峰 200309
贋作にそれなりの佳さ梅雨の蝶 坂本京子 200309
深庇猫眠りをり梅雨激し 樋口美津子 築港 200309
梅雨滂沱たりたたなはる嶺も湖も 大橋敦子 雨月 200309
信楽の壺の荒肌梅雨兆す 乗光雅子 雨月 200309
梅雨礎石思ひのなかに柱立て 今瀬剛一 対岸 200309
回廊も本堂もみな梅雨湿り 樋口美津子 築港 200309
梅雨容赦なき白干しの扇骨に 河村泰子 ぐろっけ 200309
馥郁と匂ふ梅雨傘借り申す 泉田秋硯 200309
梅雨埠頭コンテナ船に人見えず 大石登志美 築港 200309
梅雨の窓剃髪の吾尼僧めく 持舘美津恵 200309
大空に梅雨の噴水濁りなし 高橋としを 酸漿 200309
午砲(どん)知らぬ子等は撫づまま城は梅雨 水島夜雨 京鹿子 200309
樟脳の匂ひ幽かに梅雨の部屋 長谷川守可 百鳥 200309
梅雨兆す父の三十三回忌 川崎光一郎 京鹿子 200309
外出せむに今日も降るぞと梅雨鴉 高垣和恵 雨月 200309
だらだら梅雨三半規管鈍りきし 高田令子 200309
長梅雨の霧の深さに杉の影 阿部ひろし 酸漿 200309
お代りのコーヒー窓の梅雨滂沱 宮入河童 200309
紫陽花のなほ咲きつぎて梅雨深し 阿部ひろし 酸漿 200309
棲み心地よき濁りやう梅雨鯰 早乙女信 対岸 200309
梅雨満月遊行上戸の影ゆるる 延広禎一 200309
惑ひ咲く梅雨の最中の姫辛夷 和田喜智子 酸漿 200309
せせらぎの風の軽さや梅雨あくる 川村政枝 築港 200309
静脈の浮き立ついのち梅雨深む 林翔 200309
轆轤ひく音の漏れゐる梅雨月夜 野口伊久子 馬醉木 200309
明日は明日梅雨蜩に埋没す 林翔 200309
水城青田水城青田と梅雨最中 今瀬剛一 対岸 200309
家元の大きさ見ゆる梅雨舞台 岩上とし子 200309
病室へ梅雨の晴間の陽のななめ 持舘美津恵 200309
姫室に大樟の傘梅雨深し 米倉よしお 雲の峰 200309
卑怯なる沈黙梅雨に籠るとて 泉田秋硯 200309
梅雨深し懸路に女人結界碑 岡本明美 雲の峰 200309
梅雨湿り陶椅子の藍深めけり 阿部正枝 遠嶺 200309
梅雨ふかしばさと降り来し大鴉 早乙女信 対岸 200309
国中(くんなか)を動かぬつもり梅雨の雲 柴田英彰 200309
酒蔵に主の気配梅雨曇 陶山泰子 ぐろっけ 200309
梅雨の灯の川面に揺るる家郷かな 石川英利 百鳥 200309
荒梅雨にサーカス屋根に樋の無し 笠嶋陽子 築港 200309
黒を着て喪心重し梅雨湿り 中山勢都子 200309
湯上りに犬の遠吠梅雨の月 本山卓日子 京鹿子 200309
梅雨あがる芦群分けて風つのり 米倉よしお 雲の峰 200309
さからひて鯉流さるる梅雨の川 岡久枝 酸漿 200309
行く先は梅雨雲の中茶臼岳 吉成美代子 あを 200309
荒梅雨や倒木の根は天を指し 梅谷昌弘 雲の峰 200309
卓上に箸立梅雨の定食屋 生方ふよう 200309
荒梅雨や茫とけぶれる天王山 岡和絵 火星 200309
梅雨近き身辺整理愚図つきぬ 関口みよ子 帆船 200309
梅雨の雷響き雨音しげくなり 高木昌子 築港 200309
梅雨の宿三山の名の部屋捜す 石井邦子 酸漿 200309
梅雨雲を炙りてコンビナートの火 刈米育子 200309
ほんのりと更け行く窓の梅雨の月 和田喜智子 酸漿 200309
梅雨空を裏がへりたる雨虎 山尾玉藻 火星 200309
梅雨出水牛舎の蠅の溺れゐる 河口仁志 200309
梅雨夕ベ友と校歌を口ずさむ 石井邦子 酸漿 200309
葉先だけ小さく揺れをる梅雨の庭 吉成美代子 あを 200309
登り窯荒莚着て梅雨休 井手由紀江 築港 200309
梅雨ぐもり端唄の会の着物の香 小黒加支 酸漿 200309
ふつふつと滾る湯畑梅雨の空 佐藤なか 遠嶺 200309
饂飩屋の三和土に梅雨の傘たたむ 米倉よしお 雲の峰 200309
通草の実青くさがれり梅雨最中 池田いつ子 酸漿 200309
黄鐘の聞けぬが梅雨を深うしぬ 岩垣子鹿 円虹 200309
長梅雨や夜の堰音とどろける 井関祥子 酸漿 200309
梅雨が明け雲に太郎や次郎の名 丸山佳子 京鹿子 200309
梅雨の航対岸の景煙り見ゆ 美波治恒 築港 200309
梅雨の航沖不確かな景にして 大石登志美 築港 200309
引出に爪切四つ梅雨深し 田中藤穂 あを 200309
フルムーンを妬かれもせずに梅雨の旅 達山丁字 200309
梅雨見舞追伸にある「転ぶなよ」 中上照代 火星 200309
梅雨深し靴に新聞詰めしまま 板倉幸子 築港 200309
梅雨深き高尾の山気身に纏ふ 中里カヨ 酸漿 200309
梅雨曇盥舟にて旅終る 糸川白水郎 築港 200309
太陽の塔に一声梅雨鴉 加藤サヨ子 築港 200309
梅雨蜩夕餉仕度の酢の香り 久保田美代子 酸漿 200309
屋台みな括りて樹下に梅雨深し 香月公恵 200309
言の葉に悔残る日や梅雨しとど 山内栄美子 ぐろっけ 200309
梅雨湿り船は帆を巻き出航す 美波治恒 築港 200309
鹿太鼓韻く一番庭の梅雨 吉川隆史 200309
四間取りの襖はづさる梅雨の月 城孝子 火星 200309
筆濯ぐ音ひびきけり梅雨の月 宮川みね子 風土 200309
沙羅に立ち菩提樹に立ち梅雨長し 岩垣子鹿 円虹 200309
爺杉てふ根の祀られて梅雨深し 吉川隆史 200309
御子息に梅雨の晴間といふことを 中岡毅雄 円虹 200310
コンピューターウイルスに位き返り梅雨 梅村すみを 200310
御廐の神馬の腹帯梅雨湿り 田中嘉代子 ぐろっけ 200310
大阪の午後大梅雨にはまり込む 海輪久子 円虹 200310
梅雨長し眠られぬ夜夫想ふ 日高久子 築港 200310
送り梅雨の朝珈琲の封を切る 竹内喜代子 雨月 200310
勤行の座布団干して梅雨の閑 杉山真寿 200310
車中の 幼子 絵本で遊ぶ梅雨激し 安部美和子 ぐろっけ 200310
幾日も泊り客無き梅雨の宿 南英子 ぐろっけ 200310
深梅雨の大たるみして勧請縄 内山芳子 雨月 200310
浮島は緑の砦梅雨ぐもり 浅野恵美子 酸漿 200310
蔵朽ちて土塊となり梅雨の村 藤井圀彦 200310
梅雨出水岸に捜索犬待機 金森恭子 築港 200310
梅雨空の晴れ間よろこぶ 青木努 円虹 200310
大寺の座布団重し梅雨曇 萩谷幸子 雨月 200310
墨の香が少し残りし梅雨畳 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 200310
大玻璃に雨の緞帳梅雨滂沱 竹内悦子 200310
百号を梅雨の晴れ間もいはひけり 青木秀美 円虹 200310
梅雨雲を打ち破りたり大太鼓 藤井君江 馬醉木 200310
蛇籠編む梅雨蜩のかそけさに 松本幹雄 馬醉木 200310
濡れ尽くす氷川丸より梅雨の傘 青山丈 200310
ひとときを晴れてや梅雨の蝶の道 大竹淑子 風土 200310
刃物研ぎ梅雨の軒端に中休み 津田霧笛 ぐろっけ 200310
流れ橋渡る十歩に梅雨の蝶 葛馬房夫 雨月 200310
梅雨霧の沈めてをりぬ山の音 吉村玲子 円虹 200310
梅雨の闇墨絵暈しの天城越ゆ 中田征二 ぐろっけ 200310
天草や海を濁して梅雨上がる 塩沢とき子 対岸 200310
高千穂の彫際やかに梅雨あがる 渕脇登女 200310
すつぽりと梅雨にぬりつぶされし街 海輪久子 円虹 200310
梅雨の雨飯桐の実の青きかな 大内恵 酸漿 200310
ひんやりと畳はありて梅雨の月 土屋酔月 火星 200310
賜はりし匂ひ袋に梅雨忘る 伊藤光子 ぐろっけ 200310
梅雨ながら露店にて見る支那茶碗 永岡セツ 酸漿 200310
梅雨の雷そこのけ急げ救急車 南英子 ぐろっけ 200310
梅雨の旅明石大橋眠り過ぐ 森下康子 200310
梅雨ふかし父母の知らざる町に住み 村田文一 遠嶺 200310
梅雨荒し全山水の衣きて 平居澪子 六花 200310
荒梅雨や石灯籠に浮く力 西村葉子 京鹿子 200310
梅雨深きチェリージュビレに火の雫 中岡毅雄 円虹 200310
梅雨深し並ぶ雲水白き足 金子慶子 遠嶺 200310
梅雨鯰の泥吐いてをる祇園かな 延広禎一 200310
祝ぎ心梅雨の青空仕上げたる 塙告冬 円虹 200310
耐久舎四十三畳梅雨じめる 木野裕美 ぐろっけ 200310
山の彩戻して去りし梅雨の霧 吉村玲子 円虹 200310
うづくまり木の株めくや梅雨の鹿 井手由紀江 築港 200310
梅雨の外を見てゐしが地震どんと来る 橋本梢明 200310
梅雨空へ光の遊ぶ観覧車 井上良久子 帆船 200310
梅雨滂沱「熱情」いよよアレグロへ 白髭美佐子 200310
白樺の高きへ梅雨の日差かな 前田永子 200310
夫婦箸おろす清しさ梅雨あがる 鈴木夫佐子 200310
梅雨満月蹠に水を感じをり 雨村敏子 200310
銀行の角に易断梅雨の月 平野きらら 百鳥 200310
宗吾様の世も長梅雨でありしかな 斎藤博子 対岸 200310
何せんと来し厨房や梅雨嵐 白岩三郎 馬醉木 200310
壊さるる煙突梅雨の厚ごろも 山崎靖子 200310
刀自逝きて誰もゐぬ家に梅雨ともし 乃美隆子 200310
梅雨滂沱男傘さし巫女来る 金森教子 雨月 200310
梅雨霧の狂はせてゐる人の距離 吉村玲子 円虹 200310
梅雨霧ののしかかりゐるリュックかな 吉村玲子 円虹 200310
梅雨湿りいぼとり地蔵の塩の嵩 上田繁 遠嶺 200310
梅雨雲の山雨をこぼし日をこぼし 安達風越 雨月 200310
梅雨雲に青き楓の大樹かな 永岡セツ 酸漿 200310
梅雨の底沢庵の墓磐座めく 堀田政弘 200310
梅雨の夕初かなかなの声のあり 大内恵 酸漿 200310
梅雨のこゑもて解体の湯船かな 山崎靖子 200310
梅雨ながし猫腹の毛をなめつくす 平居澪子 六花 200310
法要の読経の部屋は梅雨じめり 小田知人 ぐろっけ 200310
旧友の帰国の便り梅雨の月 石川英利 百鳥 200310
手作りのぺーパーナイフ戻り梅雨 吉田明子 200310
二の腕の梅雨の寒さを敏感に 小林佐江子 雨月 200310
梅雨深き庭に稲荷社奈良ホテル 井手由紀江 築港 200310
島の子の梅雨の晴れ間を連れ来たる 越村蔵 円虹 200310
屋上の縁をあるける梅雨鴉 中島霞 ぐろっけ 200310
稲妻形の非常階段梅雨深し 白髭美佐子 200310
シャツ干してありぬ梅雨の譜面台 小川えいいち 遠嶺 200310
メモ帳も心もブルー梅雨ながき 金子慶子 遠嶺 200310
一と色となり梅雨川の幅となる 海輪久子 円虹 200310
虫干しの三日の晴や戻り梅雨 平田安生 風土 200310
摘出の胆なうあはれ梅雨深む 村田文一 遠嶺 200310
適塾の梅雨の昏さを集めゐし 海輪久子 円虹 200310
教会に被さる梅雨の大欅 中島瑞枝 百鳥 200310
くるり棒触れずに梅雨の資料館 今村文江 帆船 200311
竹林の黙の勢ひや梅雨盛ん 宮沢千恵子 200311
己が夢じつとたたみて梅雨の蝶 大石たか 遠嶺 200311
笊を干す梅雨の晴間の男かな 坊城俊樹 ホトトギス 200311
申し分なきまんまるの梅雨の月 嶋田摩耶子 ホトトギス 200311
城山をうつすら沈め梅雨の湖 今村文江 帆船 200311
伸び速き嬰の爪透く梅雨の明け 代田正雄 ぐろっけ 200311
車中の児絵本で遊ぶ梅雨激し 安部美和子 ぐろっけ 200311
湯の宿の番傘梅雨の明けにけり 堀光子 遠嶺 200311
梅雨 →6      

 

2021年6月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。