梅 雨 4  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅雨ふかし違へし道を戻りけり 羽根田和子 百鳥 200209
梅雨荒れて新美術館閑とせり 原鐵也 ぐろっけ 200209
肩に来て梅雨の蝶とは重からむ 蔵持柚 銀化 200209
病友の幽けき文字や梅雨さむし 中川壽子 百鳥 200209
長梅雨や人来てひと日心足る 後藤志づ あを 200209
梅雨深しむくみの出たる母の足 岡田章子 ぐろっけ 200209
津国に荒れし御陵や梅雨深む 早川衛津子 雲の峰 200209
噛み合はぬ話の続く梅雨曇 武本節子 築港 200209
父眠り寂寞とあり梅雨の井戸 森脇多恵子 帆船 200209
梅雨の月赤く里人早寝せる 滝川あい子 雨月 200209
梅雨さなか飯島晴子偲ぶ会 宮津昭彦 200209
梅雨じめり馬蹄の音を消してをり 若本彰子 酸漿 200209
梅雨の雲峰より低く流れくる 長山野菊 雲の峰 200209
梅雨の朝鳶の声の濁りなく 加藤たかね 風土 200209
梅雨の灯の下に看護婦引継ぎす 高橋としを 酸漿 200209
沖を航く巨船水色梅雨払ふ 加藤たかね 風土 200209
梅雨空に「束脩」と書き入門す 松木清川 ぐろっけ 200209
梅雨空を塒へ急ぐ鴉二羽 松本米子 あを 200209
梅雨深し一島やがて眠り落つ 樋口多嬉子 雲の峰 200209
梅雨憂しや噂一つが跳ね廻り 利根川妙子 200209
三毛猫の爪研ぐ音や梅雨深し 川瀬里江 雲の峰 200209
山越えて行く気なりけり梅雨の蝶 大東由美子 火星 200209
船底へドスンと砕け梅雨の濤 加藤たかね 風土 200209
呆けたりと言ひつつ忘る梅雨の傘 毛塚静枝 200209
切株の育てしかとも梅雨長し 片山由美子 200209
一団の波乗り梅雨の雨の中 渋谷ひろ子 酸漿 200209
石庖丁などをも展示梅雨曇 河中透水 雨月 200209
梅雨の雨真珠の育つ海静か 若本彰子 酸漿 200209
絵で記すご法度の触れ梅雨深し 中川晴美 雲の峰 200209
神戸モザイクもつれくる梅雨の蝶 戸田春月 火星 200209
気疲れの取れず籠りし梅雨一日 武本節子 築港 200209
梅雨雲や明日の天気はあす判る 田中呑舟 火星 200209
梅雨青し明石藩主を祀る寺 樋口多嬉子 雲の峰 200209
小さき目の訴へかける梅雨の鳩 竹田博通 ぐろっけ 200209
書をおきて梅雨の晴間の小買物 塩谷はつ枝 馬醉木 200209
茫然と物干し立ちぬ梅雨の中 貝森光大 六花 200209
森こぼすものより梅雨の蝶となる 松永唯道 円虹 200209

 W杯サッカー

韓国は真つ赤梅雨空押し上ぐる

成宮紀代子 200209
梅雨蔓草うばゆりの木をのぼりきる 永見博子 酸漿 200209
夫婦杉の天辺取つたか梅雨鴉 大浦ヤ 帆船 200209
梅雨灯弥生の出土品多様 河中透水 雨月 200209
梅雨深し禁制札の文字かすれ 宮永順子 雲の峰 200209
萱草や堰に轟く梅雨の川 永見博子 酸漿 200209
洗面器の大波小波梅雨の明く 神蔵器 風土 200209
御馬屋の神馬影なく梅雨じめり 鈴木美枝 酸漿 200209
閘門のくろがねに来し梅雨の蝶 山尾玉藻 火星 200209
子規虚子の世界に浸り梅雨ひと日 中島真沙 円虹 200209
迎梅雨あひる・あひがもよろこびぬ 奥田節子 火星 200209
声高く鴨飛びゆけり梅雨の空 渋谷ひろ子 酸漿 200209
病棟も東京タワーも梅雨最中 高橋としを 酸漿 200209
磔刑の髭の漢に梅雨滂沱 西田もとつぐ 雲の峰 200209
首環 ネックレス 梅雨の出口を捜しをり 暮岸江 銀化 200209
金の生る木育てて梅雨の憂さあらじ 西村しげ子 雨月 200209
農耕の民の裔とし梅雨を耐ふ 久保田雪枝 雨月 200209
煤けたる空の戸が開く梅雨の月 田中英子 火星 200209
パソコンの動き重たし梅雨最中 高橋作之助 雲の峰 200209
梅雨河原穂を伸ばす草実る草 永見博子 酸漿 200209
梅雨の灯に弥生時代の石斧見る 河中透水 雨月 200209
梅雨の蝶神宮道を過りけり 杉浦典子 火星 200209
梅雨の宿暮れきり瀬音はげしけれ 池田草曷 雨月 200209
梅雨ながら幼馴染と浅草へ 森脇多恵子 帆船 200209
ぽとぽとと雀こぼるる梅雨の道 芝尚子 あを 200209
点滴に利き手奪はれ梅雨最中 高橋としを 酸漿 200209
電線に孤独なからす梅雨深し 萩原記代 200209
梅雨深し因幡は弥生王国で 河中透水 雨月 200209
復元の古墳に梅雨の穢れなく 吉田節子 円虹 200209
梅雨の月白樺林のぼりゆく 志村秀子 風土 200209
梅雨を病みラジオも無きを楽しめり 高橋としを 酸漿 200209
団欒のかたちに干しぬ梅雨の靴 うまきいつこ 200209
梅雨空に右近の像の聳え立つ 林和子 雲の峰 200209
ローリングする梅雨空へ乗船す 加藤たかね 風土 200209
梅雨深し日記書くにも辞書を引き 神田一瓢 雨月 200209
またたびや一隅ひらく梅雨の天 永田二三子 酸漿 200209
荒梅雨や目盛汚れて水位標 辻井桂子 雲の峰 200209
荒梅雨や池塘に据ゑし蛇紋石 西田もとつぐ 雲の峰 200209
菩提寺に瓦の寄進日照梅雨 三浦てる 風土 200209
行きづりに軽き礼あり梅雨菩薩 村田さだ子 酸漿 200209
梅雨の雷昨日も今日も人逝きぬ 高橋作之助 雲の峰 200209
妻の箸ひそかに使ひ梅雨ひとり 仲村青彦 200209
千の葉に千の雫や梅雨深し 蔵本博美 ぐろっけ 200210
梅雨最中レスキュー隊の綱渡り 岡谷栄子 200210
梅雨空を尖塔刺せり港町 近藤幸三郎 風土 200210
梅雨桔梗宇治十帖の碑のほとり 坂上香菜 200210
梅雨も果齢隔てぬ叔母の訃が 藤田誉子 雨月 200210
梅雨の灯の滲む議事堂永田町 吉田久子 200210
病室のテレビを點けず梅雨の夕 佐藤喜孝 あを 200210
鮒焼きて梅雨の一日を過しけり 岡田信雄 百鳥 200210
鳩飲めるタイルの溝の梅雨の雨 高橋大三 ぐろっけ 200210
橋桁で裂けし生木や梅雨出水 橋本梢明 200210
風もなく梅雨空重し鴎舞ふ 前田陽子 200210
梅雨曇九官鳥のよくしゃべる 陶山泰子 ぐろっけ 200210
季外れの軸の下がれる梅雨ふかし 渡邊誓不 200210
患者食梅雨老醜の首並べ 本山卓日子 京鹿子 200210
どうどうと夢に梅雨来る渓泊り 杉山真寿 200210
昔話の虚実ないまぜ梅雨の宿 鈴木喜三郎 ぐろっけ 200210
棒ズリの音の倒るる梅雨港 加古みちよ 火星 200210
寡黙ほど饒舌は無し梅雨しとど 津田吾燈人 200210
垂れこめし市場の魚臭梅雨深し 木内美保子 六花 200210
流れにも梅雨の騎りをおく疏水 橋本佐智 円虹 200210
荒み魂もうもうと梅雨葎かな 奥田節子 火星 200210
雉鳩に水音ふゆる梅雨の月 松本恭昂 火星 200210
読み耽る久女の伝記梅雨深し 岡淑子 雨月 200210
八雲邸寝間の畳も梅雨湿り 小林玲子 ぐろっけ 200210
下駄箱に女等の声梅雨の寺 嵯峨根鈴子 火星 200210
槙の葉の青濃く梅雨を深くしぬ 高橋さえ子 200210
梅雨鴉美白エステの看板に 鈴木照子 200210
梅雨満月荒塩嘗めてをりにける 延広禎一 200210
梅雨深し揚げ舟底を天に向け 鳴海清美 六花 200210
梅雨最中帳場格子の前に座す 川野喜代子 雲の峰 200210
梅雨果ての雲がうがうと行きにけり 金澤明子 火星 200210
梅雨深し路傍の草の汚れきり 生方ふよう 200210
灯に寄れば方舟に似て梅雨茶房 杉山真寿 200210
梅雨あがる兎走りの波がしら 飯塚雅子 200210
香炷いて拂へるならば梅雨濕り 白石峰子 円虹 200210
ネクタイに包む全身梅雨の汗 根岸善行 風土 200210
飲食の枷に疲るる戻り梅雨 乗光雅子 雨月 200210
犬の鼻乾き加減に梅雨上る 小林清之介 風土 200210
エジソンの電子飛び交ひ梅雨病床 本山卓日子 京鹿子 200210
雨音の底に海鳴る梅雨深し 中島たまな 200210
荒梅雨に落されたるか小鳥の巣 指尾直子 雨月 200210
荒梅雨のまつただなかの札所寺 岡和絵 火星 200210
家中が沈滞気味や梅雨に倦む 松尾緑富 ホトトギス 200211
雀憂し庭の砂場は梅雨に濡れ 大井貞一 京鹿子 200211
夢に覚め深閑として梅雨の月 増田八重 酸漿 200211
就中遊子の忌とは梅雨深き 今井千鶴子 ホトトギス 200211
梅雨深し子規の痛みを知りてより 水田むつみ ホトトギス 200211
おんおんと梅雨のにほひの廓跡 本山卓日子 京鹿子 200211
筆談のペンもノートも梅雨湿り 伊田和風 円虹 200211
浴槽に肩まで浸かり梅雨滂沱 西宮舞 200212
梅雨霧の真只中に飛込めり 川島澄子 酸漿 200212
鎌きらと女の沈む梅雨穂草 羽根嘉津 200301
吊皮に他人の体温梅雨深し 田中美智代 200302
梅雨傘の犇いてゐる太鼓橋 稲畑廣太郎 ホトトギス 200305
促され梅雨ふかき夜を入院す 高橋としを 酸漿 200306
梅雨蝶のひらひらひらと死の予感 瀬戸悠 風土 200306
禁制の学級園に梅雨の蝶 小林呼溪 200306
闘病と言ふほどでなし梅雨を病む 高橋としを 酸漿 200306
暗黒の壺中よ梅雨の寒さあり 瀬戸悠 風土 200306
壺の碑の背ずんぐりと梅雨兆す 吉田政江 200307
流離めく梅雨雲低き佐渡を指し 塩路隆子 花衣 200307
梅雨近き灯に小面の白浮ぶ 本郷桂子 円虹 200307
梅雨近き波の逆まく河口かな 大柳篤子 雲の峯 200307
からゆきのくもり鏡や梅雨最中 塩路隆子 花衣 200307
おほかたは描きし柳眉京の梅雨 品川鈴子 ぐろっけ 200307
棒でも投げて梅雨空に穴開けよ 松山律子 六花 200307
浮舟を読み終へ梅雨の窓を閉づ 朝妻力 雲の峯 200307
梅雨の夜無為の時間に重さあり 渡邉友七 あを 200307
島原の梅雨は格別大水車 浜田南風 200307
高きより光を曳いて梅雨の蝶 鷹羽狩行 200307
梅雨ふかき壁にかかげしゴッホの暉 塩路隆子 花衣 200307
梅雨の蝶鎌倉みちのいづこまで 水原春郎 馬醉木 200307
みづうみのごときを闇に梅雨滂沱 千代田葛彦 馬醉木 200308
足早に横断歩道梅雨の傘 亀井香草 築港 200308
梅雨最中発掘続く宮の跡 河井史 築港 200308
竹下駄を揃へて梅雨の句会席 岸本敬子 築港 200308
大いなる梅雨満月に向き歩む 田中藤穂 あを 200308
海芋咲く遠流の梅雨とこそ幽か 千代田葛彦 馬醉木 200308
金精さま拝す母家の梅雨の闇 伊藤白潮 200308
開け放つ能舞台より梅雨の海 吉川ハマ子 築港 200308
瀬音して万葉歌碑に梅雨の蝶 河井史 築港 200308
捨てられし音符さびしき梅雨の底 高橋邦夫 風土 200308
小公園に隣る税務署梅雨深し 高橋邦夫 風土 200308
梅雨茫々岩波文庫といふ青春 高橋邦夫 風土 200308
落柿舎の投句用紙の梅雨じめり 岸本敬子 築港 200308
深梅雨や白狐を神として祀る 米倉よしお 雲の峯 200308
歩道橋雲より重く梅雨の人 宇都宮滴水 京鹿子 200308
新しき垂木の雫青葉梅雨 押尾弘子 対岸 200308
梅雨長し明るき色の服を着る 大杉千津子 築港 200308
酒の香や梅雨の間近き蔵の町 怱那保 雲の峯 200308
梅雨蝉や斑鳩寺の松の空 山田六甲 六花 200308
長梅雨につづく名忘れもの忘れ 高橋邦夫 風土 200308
長梅雨に靴の底敷き替へてをり 大杉千津子 築港 200308
梅雨仄し朱唇ほのかに観世音 高橋邦夫 風土 200308
梅雨深し点字は指と懇ろに 高橋邦夫 風土 200308
なたね梅雨訪ねし人は足を病む 松下幸恵 六花 200308
梅雨の傘連ね集団登校生 清水幸子 築港 200308
梅雨じめり身の幅ほどの治療台 鈴木多枝子 あを 200308
乳を飲む牛の瞳に梅雨の雲 十河恭子 雲の峯 200308
山門に無の羽根ふつて梅雨の蝶 丸山佳子 京鹿子 200308
荒梅雨に川の沈黙はじまれり 高橋邦夫 風土 200308
阿国の碑梅雨の四条の河原町 山田六甲 六花 200308
けふの髭また生えてくる梅雨じめり 高橋邦夫 風土 200308
梅雨しとど去来とのみの去来墓 岸本敬子 築港 200308
梅雨の中おはやしの苗ゆつくりと 亀井香草 築港 200308
の梅雨にけぶれるその 大橋敦子 雨月 200308
佛前に酒氣あるほかは梅雨の家 岡本眸 200308
梅雨の下校傘上げ下げの別れかな 高橋邦夫 風土 200308
梅雨闇のビルの谷間の素面(しらふ)猫 鈴鹿仁 京鹿子 200308
梅雨雲の奥処と炉辺をきざみ棲む 豊田都峰 京鹿子 200308
梅雨深しさびしがりやの古こけし 高橋邦夫 風土 200308
梅雨曇路面電車に揺られをり 大杉千津子 築港 200308
梅雨激し海は海色失はず 塩川雄三 築港 200309
鈍色の海に航跡梅雨の旅 大石登志美 築港 200309
押し撫でて他人めく顔梅雨滂沱 小田司 馬醉木 200309
荒梅雨の死に近き手を握りをり 田中藤穂 あを 200309
梅雨深し河口に揺るる舫ひ船 大関とし子 築港 200309
無駄口の恥を重ねし梅雨の雷 武司琴子 ぐろっけ 200309
大川は暮れかけ梅雨の灯の潤む 大柳篤子 雲の峰 200309
托鉢僧飴なめをりし梅雨の駅 山荘慶子 あを 200309
梅雨傘を寄せ合ひ吾子は妻となる 加藤峰子 200309
梅雨空へはつと行者の矢が飛びぬ 渡辺政子 雲の峰 200309
梅雨 →5      

 

2021年6月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。