梅 雨 17  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅雨鴉ますます黒く声太く 内海良太 万象 201409
梅雨鯰のつぺり顔の大あぐら 鶴巻誉白 ろんど 201409
梅雨穂草捨つるに始まる老ひ支度 北川孝子 京鹿子 201409
梅雨曇子鼠の尾の一文字 赤座典子 あを 201409
梅雨蝶や窯入れを待つ素干し壺 塩路隆子 201409
梅雨苔の瑞の精気よ踏むまじく 渕上千津 201409
梅雨深し薬の数のまた増えて 中村喜美子 春燈 201409
梅雨深し久し振りなる針仕事 川村亘子 末黒野 201409
梅雨深し噛みて甘味の五穀米 宮内とし子 201409
梅雨空や水の重さの深轍 川村亘子 末黒野 201409
梅雨雲の垂るるもはきと六甲 山山本漾子 雨月 201409
梅雨の灯に最終便の着陸す 柴田志津子 201409
梅雨の蝶離れては寄る潮来笠 綱川恵子 万象 201409
梅雨の蝶草に沈みて草揺るる 石橋邦子 春燈 201409
梅雨の蝶重さは花に任かせけり 中江月鈴子 201409
梅雨の傘昭和賑はふランドセル 鴨下昭 201409
梅雨しとど大和三山烟らせて 山本漾子 雨月 201409
梅雨ぐもり眠れる母の誕生日 川崎利子 201409
胸詰る追悼句集梅雨深し 磯野しをり 雨月 201409
堂裏の梅雨闇照らすイハガラミ 田中一美 ろんど 201409
曲家に鞍のみ残り梅雨の燭 間宮あや子 馬醉木 201409
石庭の大海原や梅雨の蝶 橋添やよひ 風土 201409
点滴の音なく落ちて梅雨深む 中江月鈴子 201409
ワラヒカハセミ真顔で梅雨を嘆じけり 木村傘休 春燈 201409
ふと魂(たま)のぬける心地す梅雨の月 有松洋子 201409
多羅葉の文を流るる梅雨雫 大坪景章 万象 201409
右手足不調を梅雨のせいにする 田中藤穂 あを 201409
雨上がり浮かべる梅雨の月まどか 中野久雄 末黒野 201409
リモコンに釦ぎつしり梅雨長し 林昭太郎 201409
井戸蓋に鬼瓦据ゑ梅雨曇 林範昭 火星 201409
まなじりも梅雨の晴間や如来像 杉原ツタ子 201409
雨音の遠くより来たり梅雨の夜 斉藤裕子 あを 201409
地下鉄の下を地下鉄梅雨深し 吉澤恵美子 春燈 201410
呼吸器科の半期検診梅雨の明け 加藤八重子 末黒野 201410
丹念に身を舐めてをり梅雨の猫 梅村すみを 201410
源氏車仰ぎて上る梅雨の寺 佐藤いづみ ろんど 201410
ねむれずにくぐもる魚と梅雨の月 鈴鹿けい子 京鹿子 201410
船笛の空押し広げ梅雨の明 平由はつみ 馬醉木 201410
どんよりと流れの重き梅雨の河 大橋晄 雨月 201410
石なげて月のみぢんや梅雨の池 忽那みさ子 やぶれ傘 201410
水韻く方へ漂ひ梅雨の蝶 萩庭一幹 馬醉木 201410
深梅雨の冥さに鯉の浮いて来し 佐津のぼる 六花 201410
岩谷観音十まで数へあとは梅雨 半田稜 ろんど 201410
小げら打つ梅雨の晴間を広げゆく 岡山敦子 京鹿子 201410
醜草の根性欲しや梅雨に臥し 戸田澄子 末黒野 201410
利休色流して暮るる梅雨の川 中村紀美子 春燈 201410
梅雨に濡れ戦場で濡れ兵の墓 松田都青 京鹿子 201410
梅雨穂草見舞ふ暇のなくて悔ゆ 田中貞雄 ろんど 201410
夕烏に森のふくらむ梅雨の底 河合とき 末黒野 201410
我につく何の化身ぞ梅雨の蝶 熊川暁子 201410
したたかなる噴煙叩く梅雨の雨 今野明子 末黒野 201410
傘傾ぐ江戸の仕草や梅雨の道 河本由紀子 春燈 201410
梅雨雲の落ち込む盆地僧山へ 丸井巴水 京鹿子 201410
負の連鎖も神の手の内はしり梅雨 鈴鹿けい子 京鹿子 201410
荒梅雨を乾門へと蛇の目傘 石倉千賀子 ろんど 201410
荒梅雨の竹百幹をなぶりけり 菊池ひろ子 やぶれ傘 201410
茫々と草打ち伏して梅雨の果 米尾芳子 馬醉木 201410
朽舟の水漬く川辺や梅雨深し 山崎幸夫 末黒野 201410
梅雨長しサプリメントを食卓に 戸田澄子 末黒野 201410
梅雨上がる黄昏長き副都心 深川敏子 春燈 201410
梅雨空の湖に沿ひゆく湖西線 藤生不二男 六花 201410
梅雨の夜の一筆箋に書く返書 玉置かよ子 雨月 201410
梅雨の朝葉書に二円切手貼る 伴秋草 末黒野 201410
梅雨の月選旬疲れの眼の痒し 松本三千夫 末黒野 201410
梅雨の月女世帯に男傘 中谷富子 201410
梅雨の果て日本列島しだらでん 岩下芳子 201410
梅雨の雲逃げてをり追ひかけてをり 大橋敦子 雨月 201410
梅雨じめり記憶の持続澱みなし 村田岳洋 ろんど 201410
日に三度食器洗ひて梅雨深し 酒井みち子 201410
銅版画めくや雲間の梅雨満月 高橋道子 201410
荒梅雨や土留の杙の朽ちてをり 杉山弥生 末黒野 201410
荒梅雨や手窪を満たす百草丸 村上倫子 201410
荒梅雨や一句とどむる薯袋 西川みほ 末黒野 201410
一塊の撫牛据る梅雨の底 萩庭一幹 馬醉木 201410
ハンガーの爪の欠けたる梅雨上がる 小林正史 201410
一声の嘲笑曳きて梅雨鴉 岸本久栄 雨月 201410
カステラの匂ふ路地裏梅雨上る 木下慈子 馬醉木 201410
よべ梅雨のあえかな月を見し辺り 今井千鶴子 ホトトギス 201411
愚痴禁止溜息厳禁梅雨最中 有松洋子 緑光 201411
我がベッド孤島のごとく梅雨の中 有松洋子 緑光 201411
雀来てやや考へる梅雨の窓 今井千鶴子 ホトトギス 201411
水溜り跳んで飛石跳んで梅雨 湯川雅 ホトトギス 201411
御手洗に雀水浴ぶ梅雨の晴 杉本裕子 末黒野 201411
梅雨月とハミングをする露天風呂 児玉有希 京鹿子 201411
姑の忌の捧げし経や梅雨深し 野中圭子 京鹿子 201411
頼政の扇の芝や梅雨しぐれ 北村淳子 ろんど 201411
送り梅雨灯をとびとびに平家村 柴田志津子 201411
梅雨台風うねり湧きたつ鳴くカラス 神田美千留 京鹿子 201411
梅雨の洞迷ひ道せり行者道 岸上道也 京鹿子 201411
ホトトギス巻頭を祝ぐ梅雨の明け 山田夏子 雨月 201411
正直な梅雨雷の一暴れ 岸本久栄 雨月 201411
戦場のごと荒梅雨の中をゆく 岩岡中正 ホトトギス 201412
梅雨の傘地球の雨を地へこぼす 織田高暢 201412
帰途につく石鳴き浜や遅れ梅雨 赤松赤彦 六花 201412
老漁夫のすべる長靴梅雨兆す 堀内一郎 堀内一郎集 201412
孤独たのしみてや梅雨の蝶も吾も 木村享史 ホトトギス 201412
巴里祭より河童忌のあひ梅雨しとど 秋葉雅治 201501
一仏の一灯梅雨にゆるがざる 乗光雅子 雨月 201501
梅雨を待つ北山杉の息づかひ 吉田愛子 京鹿子 201501
梅雨空を蹴ってヒップホップの少年ら 中井保江 船団 201502
送り梅雨会員名簿重く届く 野沢しの武 風土 201503
とり残さるる思ひホームに梅雨長引く 野沢しの武 風土 201503
野菜畠ぬけて彼方へ梅雨の蝶 山荘慶子 あを 201504
焙烙(ほうろく)の胡麻の爆ぜ飛ぶ走梅雨 鈴木鳳来 故山 201505
皆梅雨に濡れ会場に集ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
喪心もまとひて梅雨の旅衣 稲畑汀子 ホトトギス 201506
梅雨憂しとせぬ明るさの家路とす 稲畑汀子 ホトトギス 201506
これよりの梅雨に処しゆく心あり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
旅心ありても梅雨を処す心 稲畑汀子 ホトトギス 201506
梅雨といふことを忘れてゐる家居 稲畑汀子 ホトトギス 201506
傷む芝梅雨に預けてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
降つてゐるやうで日の差す梅雨の午後 稲畑汀子 ホトトギス 201506
梅雨に倦むことなく庭のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
晴といふ至福の時間梅雨半ば 稲畑汀子 ホトトギス 201506
梅雨雲を抜けたる富士の現るる 稲畑汀子 ホトトギス 201506
梅雨兆す館にほつほつ咲けるもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506

 「玉藻」千号記念祝賀会

梅雨傘を閉ぢて祝ぎへの一歩かな

稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
梅雨激し天に鬱憤あるごとし 布川直幸 201506
梅雨水輪かつ消え朝のユモレスク 伊藤白潮 201506
帰る道無き世の未知の梅雨の虹 中江月鈴子 201506
ホップ蔓絡み絡ませ梅雨兆す 能村研三 201507
葉を叩く音ひんやりと戻り梅雨 布川直幸 201507
おほどかや梅雨田濁りを湖は入れ 山田六甲 六花 201507
病室で漏れ聞く人生梅雨曇 斉藤裕子 あを 201507
百歳の自己流体操梅雨の虹 野原春醪 馬醉木 201508
箱書の銘の薄れや梅雨深き 野坂民子 馬醉木 201508
有線の曲は故郷梅雨の晴 小川玉泉 末黒野 201508
梅雨兆す手梳き鎮めの寝癖髪 能村研三 201508
草むらにいのちをたたむ梅雨の蝶 高橋あさの 201508
荒梅雨に女丈夫の息乱れ 和田政子 201508
絶食の窓に蛇行の梅雨の川 高橋泰子 201508
逆鱗に触れたる梅雨の出水かな 山田六甲 六花 201508
水風呂にちぢむも楽し梅雨は明け 山田六甲 六花 201508
襖絵の虎と眼の合ひ梅雨の寺 安部和子 雨月 201508
梅雨曇なべて失敗重ねたり 岸本久栄 雨月 201508
聖堂を出て野に開く梅雨の傘 謝花寛営 万象 201508
梅雨開けてスパイク磨くベンチ裏 ねじめ正一 船団 201508
けふもまた別れて出會ふ梅雨の妻 佐藤喜孝 あを 201508
グッピーの縞けざやかに梅雨兆す 竹内弘子 あを 201508
養魚場フィルム曇りに梅雨兆す 竹内弘子 あを 201508
がうがうと廃材を焚く梅雨兆す 竹内弘子 あを 201508
梅雨の星使途不明なる鍵二つ 田中藤穂 あを 201508
梅雨らしき梅雨と四つ組む傘を買ふ 森理和 あを 201508
梅雨の月うすずみ色に野も山も 秋川泉 あを 201508
梅雨の日に薬より効く母の葉書 斉藤裕子 あを 201508
枝伐つて梅雨の憂さをばやりすごす 佐藤きょうこ あを 201508
雲水の声のくぐもる梅雨じめり 藤井明子 馬醉木 201509
夕映の磯藻啄む梅雨鴉 大上充子 馬醉木 201509
七色の雨になりさう梅雨の虹 高橋将夫 201509
僧形となる少年や梅雨鯰 中島陽華 201509
こもり鳴く青鳩に梅雨深きかな 近藤喜子 201509
坊さんが梅雨の由来を縷縷かたり 瀬川公馨 201509
悠悠と去つてゆきけり梅雨鼬 瀬川公馨 201509
はいはいと重ねてさびし梅雨の月 熊川暁子 201509
梅雨空にユトリロの絵の重さかな 田中信行 201509
梅雨空を支へてゐたる仁王門 中島昌子 201509
梅雨空に万年筆のインクの香 中谷富子 201509
幼な子の弾ける素肌梅雨開ける 羽賀恭子 201509
にはたづみ梅雨の時間といふがあり 松嶋一洋 201509
大利根の流れゆるやか梅雨青し 飯田ひでを 201509
梅雨しとど風呂場の電球切れにけり 仁平則子 201509
梅雨時のどこか偏屈真昼かな 黒澤登美枝 201509
木の家の木の香微かに梅雨じめり 鈴木セツ 201509
生き生きと微動だにせず梅雨鯰 秋葉雅治 201509
触るるものみな雫して梅雨の蝶 高橋あさの 201509
フーコーの振子が垂るる梅雨の底 上谷昌憲 201509
藍深き湖へ消えゆく梅雨の蝶 森岡正作 201509
沈黙は抗議のあかし梅雨の星 小松誠一 201509
採血の順番待ちや梅雨深む 鈴木良戈 201509
際立つも朽ちゆくも白梅雨の森 荒井千瑳子 201509
梅雨咲きの花を尋ねて彷徨す 岡真紗子 201509
小魚の水面に群れて梅雨あがる 廣瀬雅男 やぶれ傘 201509
掃除機の音の低音梅雨ぐもり きくちきみえ やぶれ傘 201509
梅雨曇り長く水脈引き渡船着く 白石正躬 やぶれ傘 201509
梅雨の晴白き巨船の句碑寂びず 小川玉泉 末黒野 201509
荒梅雨や郷社の石の大鳥居 小川玉泉 末黒野 201509
鰐口の布の太緒や梅雨じめり 松本三千夫 末黒野 201509
白々と森の昏さを梅雨の蝶 松本三千夫 末黒野 201509
塵出しの頭上掠めて梅雨鴉 松本三千夫 末黒野 201509
髭剃つて梅雨の無聊を払ひた 石黒興平る 末黒野 201509
梅雨の星疎遠となりし母郷かな 川西栄江 末黒野 201509
朝刊をゆつくりと読む梅雨の午後 磯部愛子 末黒野 201509
一瞬の刻を惜しむや梅雨の星 中村月代 末黒野 201509
片側に傾げ行き交ふ梅雨の傘 渕田則子 末黒野 201509
鷭鳴いて沼もいよいよ梅雨深む 内海良太 万象 201509
開け放ち荒梅雨の音に洗はるる 飛高隆夫 万象 201509
手術終へ腹据りたり梅雨の星 大橋雅子 万象 201509
敦忌と日記一行梅雨さむし 安立公彦 春燈 201509
直言は容れられ難し梅雨の蝶 綱徳女 春燈 201509
つと現れて梅雨の足場の漢かな 中村嵐楓子 春燈 201509
どこに身を置きても梅雨の湿りかな 那須禮子 春燈 201509
パーマ屋の古き看板梅雨の蝶 延川五十昭 六花 201509
声ありで深梅雨のほの明けにけり 井上信子 201509
赤水門めりはりのなき梅雨空に 高橋道子 201509
梅雨の蝶マリオネットのやうにかな 坂場章子 201509
散薬の切り口探す梅雨じめり 坂場章子 201509
お染久松恋路の塚や梅雨曇 大橋晄 雨月 201509
梅雨深し鴉重たき声落す 石垣幸子 雨月 201509
往診を待たず犬逝く梅雨激し 中原吟子 雨月 201509
拾ひ読みの何時か没頭梅雨深し 西村操 雨月 201509
梅雨→18      

 

2016年6月27日 2016年6月27日 ">2016年6月27日 class="style4">

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。