梅 雨 16  200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
過呼吸の解けず分水嶺も梅雨 田尻勝子 六花 201309
文節の短き弔辞梅雨荒るる あかさか鷹乃 ろんど 201309
発火点低き父なり梅雨の月 あかさか鷹乃 ろんど 201309
麦味噌のよくにほふなり梅雨じめり 伊勢きみこ 火星 201309
薄墨の空に流るる梅雨曇 出口誠 六花 201309
屋根からの梅雨がパイプを流れ出づ 出口誠 六花 201309
梅雨湿り真っ直ぐ射抜く四半的 名倉悦子 ろんど 201309
梅雨空におもちやの音の届きけり 出口誠 六花 201309
梅雨闇の谷の深さよ閻魔帖 あかさか鷹乃 ろんど 201309
梅雨の間を不二の穴観せ飛機南下 菅野雅生 ろんど 201309
黒雲の疾さ流れや梅雨の月 松本文一郎 六花 201309
雨粒をひらりと交はす梅雨の蝶 住田千代子 六花 201309
古鉛筆削り並べて梅雨のひま 脇澤久子 末黒野 201310
大楠の高みへ蝶や梅雨の明け 山崎稔子 末黒野 201310
待つ人の増える踏切梅雨の事故 行川秀雄 末黒野 201310
桑の木の池辺に傾ぐ梅雨曇 渡邉孝彦 やぶれ傘 201310
一冊を抜けば倒れる梅雨の棚 松田都青 京鹿子 201310
空ラ梅雨や女ばかりの食事会 中山純子 万象 201310
「ここまで」の標識悲し梅雨じめり 山崎青史 ろんど 201310
あらざらむ隙だらけなる梅雨の傘 金子野生 京鹿子 201310
どしや降りの中をじぐざぐ梅雨の蝶 廣畑育子 六花 201310
土砂降りの梅雨の石段昇りけり 國保八江 やぶれ傘 201310
がうがうと眠りの中の梅雨の川 瀬戸悠 風土 201310
顔近く脈とる女医や梅雨湿り 西村節子 火星 201310
寝不足の眼をよぎる梅雨の蝶 井上あき子 ぐろっけ 201310
梅雨の靄北山杉の秀の隠れ 石黒興平 末黒野 201310
白日の風やもつるる梅雨の蝶 岡野里子 末黒野 201310
煌煌と看取り帰りを梅雨の月 小田嶋正敏 末黒野 201310
檜葉の香の身に滲みにけり木曽の梅雨 沼崎千枝 末黒野 201310
朦朧体寄せ来る雲に梅雨の月 田尻勝子 六花 201310
藁屑を焼いてけぶらす梅雨の空 白石正躬 やぶれ傘 201310
子ら悲鳴荒梅雨しぶく飛礫(つぶて)打ち 村田とくみ ぐろっけ 201310
旅程組む梅雨の机に木曽の地図 脇澤久子 末黒野 201310
碧眼の若きら梅雨の街ぬれつ 吉田光子 ぐろっけ 201310
菩提寺の百年の庫裏梅雨灯す 大川暉美 末黒野 201310
野菜もぐ畑に数多梅雨の蝶 有賀昌子 やぶれ傘 201310
借景も墨絵の如し梅雨の寺 野村鞆枝 京鹿子 201310
いつの間にか松を離れし梅雨満月 雨村敏子 201310
車種変へて梅雨の最中を試連転 秋元久子 やぶれ傘 201310
毎日が晴天とあり梅雨の天 北村香朗 京鹿子 201310
家中の時計が狂ひ梅雨長し 田村嘉章 ぐろっけ 201310
杉の美林下るトロッコ梅雨湿り 沼崎千枝 末黒野 201310
正直な返事下さい梅雨の恋 松田都青 京鹿子 201310
参道の手すり頼りて梅雨さ中 野村鞆枝 京鹿子 201310
梅雨鴉嫌ふともなく嫌ひけり 下平しづ子 雨月 201310
梅雨滂沱明日への仕事溜りゆき 師岡洋子 ぐろっけ 201310
梅雨満月昨日という日重ねきて あかさか鷹乃 ろんど 201310
梅雨蝶の息荒々し石の上 松本三千夫 末黒野 201310
梅雨真中葬に二日使ひけり 田村すゝむ 風土 201310
梅雨出水あふれて畑の薯洗ふ 山形悦子 万象 201310
梅雨時雨半パンの主婦傘ささず 水野弘 ぐろっけ 201310
梅雨ふかき昼点しても点さでも 小倉正穂 末黒野 201310
梅雨の雷出羽丘陵を冥めたり 見田英子 春燈 201310
梅雨の木にまだ棲みついてゐる昭和 直江裕子 京鹿子 201310
梅雨の川街のネオンを巻き込んで 古川夏子 201310
梅雨のある国に生まれて梅雨を待つ 井上浩一郎 ホトトギス 201310
骨片となりし貝殻梅雨の浜 平居澪子 六花 201310
園児らや梅雨の晴間の縄電車 大川暉美 末黒野 201310
香具師たちの軍手に梅雨の明けにけり 蘭定かず子 火星 201310
降りさうで降らぬ梅雨空傘を振る 松村光典 やぶれ傘 201310
荒梅雨の水域越さむ土佐堀川 大橋晄 雨月 201310
登り来し門前町は梅雨さ中 野村鞆枝 京鹿子 201310
昂ぶれど梅雨の噴水きらめかず 田村嘉章 ぐろっけ 201310
山霧の行きつく所梅雨の空 藤波松山 京鹿子 201310
ケイタイを落した土地は梅雨曇 向江醇子 ぐろっけ 201310
愛用の杖を棺に梅雨ふかし 原田しずえ 万象 201310
クラフト紙の鮫折る夫や梅雨深し 山崎稔子 末黒野 201310
ねだりたる長沓うれし戻り梅雨 村田とくみ ぐろっけ 201311
梅雨鯰監視カメラに覗かるる 鴨下昭 201311
開眼の弥陀に梅雨の燭揺るる 竹内喜代子 雨月 201311
学生と二人や梅雨の資料館 小山陽子 やぶれ傘 201311
何やかと梅雨のひと日のすぎゆけり 佐藤喜仙 かさね 201311
梅雨蝶の晴れれば土の湿り恋ふ 中村襄介 ホトトギス 201311
梅雨空の色を刻みしさざれ波 橋本くに彦 ホトトギス 201311
梅雨らしくなりゆくことに落ち着きぬ 水田むつみ ホトトギス 201311
ののさまと歌ふ園児や梅雨の堂 竹内喜代子 雨月 201311
後見とふ妻の代理や梅雨深む 藤丸誠旨 春燈 201312
老僧の浮くごと歩み梅雨の月 田岡千章 201312
陽気にて淋しがり屋の梅雨仏 瀧春一 花石榴 201312
梅雨鴉飢えをつぶやく声ならむ 瀧春一 花石榴 201312
梅雨滝に風も呑まれてゐる秘境 藤浦昭代 ホトトギス 201312
梅雨傘を拭ひてをさむ旅鞄 安原葉 ホトトギス 201312
一粒の梅雨をしばらく見つめけり 市川伊團次 六花 201312
戻り梅雨根切りもやしの気になる根 中谷三千子 船団 201401
母の忌やほどよく梅雨の月欠けて 半田稜 ろんど 201402
回廊は風の抜け道梅雨の蝶 小山繁子 春燈 201403
ポストまで梅雨の湿りの文をもて 小山繁子 春燈 201403
荒梅雨や土嚢積み足す声忙し 斉藤マキ子 末黒野 201404
黒塗りの教科書繰りぬ梅雨曇 坂根宏子 野山の道 201404
生きて来し証残さず梅雨仏 稲畑汀子 ホトトギス 201405
生きてゆく力尽きしや梅雨仏 稲畑汀子 ホトトギス 201405
梅雨荒るることなく会の終りたる 稲畑汀子 ホトトギス 201405
会うてはや別るる梅雨の灯を明く 稲畑汀子 ホトトギス 201405
見よとかや今宵大きな梅雨の月 稲畑汀子 ホトトギス 201406
恵那山は見えぬ梅雨雲あのあたり 稲畑汀子 ホトトギス 201406
生涯を栞る仕事も梅雨半ば 稲畑汀子 ホトトギス 201406
水音と違ふ雨音梅雨のもの 稲畑汀子 ホトトギス 201406
快晴を発ち梅雨空に着陸す 稲畑汀子 ホトトギス 201406
癒えられしことはすなはち梅雨の晴 稲畑汀子 ホトトギス 201406
梅雨のなき蝦夷地の旅に心置く 稲畑汀子 ホトトギス 201406
梅雨霧に縁を浄めてをりにけり 山田六甲 六花 201406
梅雨雲を支へ切つたる摩天楼 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
梅雨の月満ちゆく序曲奏でつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
やうやくに梅雨の最中と思ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201406
下町の音を吸ひ上げ梅雨曇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
梅雨滂沱さうよ私が悪いのよ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
梅雨傘を駅に買ひたることも旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
梅雨激し街の舗道の高低差 篠田純子 あを 201407
梅雨雲や言葉の蛇口全開に コ田千鶴子 馬醉木 201407
梅雨雲の降りてくるビル伸びてゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
梅雨雲のスカイツリーを捩り上げ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
地下壕に音なき音や梅雨兆す 能村研三 201407
鯉が亀が見定めに来し梅雨の傘 山尾玉藻 火星 201408
太陽は垂直梅雨は水平に 辻美奈子 201408
赤子抱き駆け込む医院梅雨激し 西田史郎 201408
また度数強める眼鏡梅雨の月 甲州千草 201408
親ごころてふ持て余し送り梅雨 コ田千鶴子 馬醉木 201408
幾光年の光やうやく梅雨の星 大木清美子 201408
天網の疎にして梅雨のざんざ降り 千田百里 201408
荒梅雨の午後の薄日となりにけり 大島英昭 やぶれ傘 201408
高階の水槽籠り梅雨の街 七田文子 201408
燕二羽揃うて反る梅雨の隙 河崎尚子 火星 201408
処女林をあやなす梅雨の鳥の声 四條進 201408
漱石の草稿滲む梅雨催 塩路隆子 201408
梅雨空の平ら家並みのほぼ平ら きくちきみえ やぶれ傘 201408
梅雨深む人間失格読めばなほ 村上倫子 201408
街頭にジャズのライブや梅雨の古都 笠井清佑 201408
十三日金曜梅雨満月赤し 千田敬 201408
北夜空ひらひら光る梅雨の雷 上原重一 201408
自己嫌悪さらつてくるる梅雨の月 茂木なつ 春燈 201408
果実酒を揺する外なし梅雨永し 小林朱夏 201408
偏西風蛇行す梅雨の物思ひ 渕上千津 201408
別れぎは話のはづむ梅雨満月 村上倫子 201408
肌のぬくみの時計をはづす梅雨灯 吉田陽代 201408
梅雨長しなほ長々し傘袋 辻美奈子 201408
梅雨兆すブルスケッタを丸齧り 森下康子 201408
梅雨真近雨降らずの日続きける 竹内悦子 201408
梅雨深し喪服の裾をかばひつつ 武政礼子 雨月 201408
梅雨深し手も足も貸す物探し 千田百里 201408
梅雨空を噛むかに河馬の口開く 安藤久美子 やぶれ傘 201408
梅雨気配相輪橖の照り翳り 田中貞雄 ろんど 201408
梅雨の雷若き阿修羅に近づき来 山田美恵子 火星 201408
梅雨の傘歌舞伎座前に救急車 篠田純子 あを 201408
清女紫女無垢の手ざはり梅雨長し 湯橋喜美 201408
突然の褒美のやうに梅雨満月 七田文子 201408
荒梅雨やにんげんの分知らさるる 吉田陽代 201408
束の問の梅雨満月を仰ぎけり 川崎良平 雨月 201408
をみならの服晴れやかに梅雨句会 田中藤穂 あを 201408
またひとつ老舗閉づるや梅雨深き 石川かおり 201408
湖南へと走れる梅雨のさざなみは 山田六甲 六花 201408
異次元へ立つ梅雨の夜の巨きな木 大畑善昭 201408
雨音によろづの景色しのぶ梅雨 四條進 201408
地べたよりはじまる石段梅雨の闇 古林美世子 京鹿子 201409
苔胞子息するさまに梅雨を浴び 伊藤和子 201409
村井戸の水吐く闇や梅雨の蝶 比嘉半升 万象 201409
にほひより持ち込まれたる梅雨の泥 大豆生田耕一 ろんど 201409
浅間嶺の雲の切れ間や梅雨の月 鈴木静恵 春燈 201409
空碧く一刷毛塗りて梅雨あがる 高野昌代 201409
空よりも湖にけざやか梅雨の月 間宮あや子 馬醉木 201409
生と死の隙間往き来す梅雨の闇 中江月鈴子 201409
水輪から水輪へ尾鰭梅雨さかり 吉弘恭子 あを 201409
真間の井の裏はすぐ崖梅雨の蝶 内海良太 万象 201409
「おとうさん」と妻のひと声梅雨の闇 中江月鈴子 201409
岩壁を埋む思惟仏梅雨の隙 田中貞雄 ろんど 201409
岩を撥ね撥ねて気負へる梅雨の滝 安部和子 雨月 201409
色形とりどりにあり梅雨の森 田尻勝子 六花 201409
照り降りの落着きたりしか梅雨の月 長崎桂子 あを 201409
だみて鳴く鴉のつがひ梅雨曇 大村かし子 万象 201409
勝利なきサムライブルー梅雨湿り 渡部法子 201409
笙の音にはじめありけり梅雨曇 山田美恵子 火星 201409
漱石の「こころ」再読梅雨ふかし 早崎泰江 あを 201409
梟待つ梅雨に濡れたる洞の縁 古川忠利 ろんど 201409
貼り足せる切手いちまい梅雨じめり 坂場章子 201409
列島を淡く包んで梅雨深む 有松洋子 201409
縁側へまはつてきたる梅雨の貌 坂口夫佐子 火星 201409
術後を泣き人の情に泣きて梅雨 玉置かよ子 雨月 201409
旅の留守新聞止めて梅雨の家 竹内悦子 201409
梅雨の月ここぞとばかり奥に入る 鈴木初音 201409
梅雨空に雨傘アート創りたる 田中信行 201409
梅雨深し波打つてゐる電話帳 菊川俊朗 201409
蝦夷梅雨やストーブいまだ居座れり 土屋草子 ろんど 201409
毛筆の親父の小言梅雨じめり 平居澪子 六花 201409
手鏡のなにも映さず梅雨更くる 中山純子 万象 201409
山頭火よあれがホテルの梅雨灯り 古川忠利 ろんど 201409
あづき色の吊橋渡る梅雨出水 上原悦子 火星 201409
しとしとの梅雨なつかしやゲリラ雨 長崎桂子 あを 201409
傘の滴切つてより押す梅雨のベル 野上杳 201409
梅雨満月夕陽ケ丘のシルエット 谷岡尚美 201409
梅雨曇り待合室のハーブティ 高橋泰子 201409
麻酔より覚めてうつし世梅雨最中 玉置かよ子 雨月 201409
墨絵のごと瀬田の唐橋梅雨最中 武生喜玖乃 雨月 201409
亡き人の声に目覚めし梅雨のあめ 大上充子 馬醉木 201409
亡き妻の声再びの梅雨の夜よ 中江月鈴子 201409
紙で折るトリケラトプス梅雨湿り 五十嵐紀子 201409
合流の川の濁りや梅雨出水 河口仁志 201409
荒梅雨やジャムを煮詰めてゐて不安 はしもと風里 201409
夫に留守頼みての旅梅雨あがる 増田一代 201409
病床に聞く人の訃や梅雨荒るる 玉置かよ子 雨月 201409
散り敷けるハンカチの花梅雨滂沱 升田ヤス子 六花 201409

 悼

山影を見上ぐる梅雨の別れかな

木村傘休 春燈 201409
梅雨→17      

 

2016年6月27日 2016年6月27日 ">2016年6月27日 class="style4">

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。