牡 丹 7      200句

薄紙にひかりをもらす牡丹かな  急候

牡丹  緋牡丹  白牡丹  黒牡丹  大牡丹  夕牡丹

牡丹園  牡丹散る  牡丹崩る  ぼうたん  ぼたん

作品
作者
掲載誌
掲載年月
白牡丹静御前の舞姿 小林共代 風土 201608
青空を残して暮るる夕牡丹 布施まさ子 風土 201608
園晴れてふつくらふはり白牡丹 佐々木永子 末黒野 201608
風に揺れ日に崩れ行く牡丹かな 山本かつみ 末黒野 201608
解るまで無垢でありなむ白牡丹 飯田久美子 末黒野 201608
信長公墓処大輪の牡丹咲く 橋添やよひ 風土 201608
一輪の牡丹が咲いて小宇宙 小林共代 風土 201608
牡丹に少し離れて牡丹見る 小林共代 風土 201608
万国旗そよぐかに風の牡丹園 齋藤晴夫 春燈 201608
紅白の牡丹よりそひ多佳子の忌 河合佳子 馬醉木 201608
金閣寺大書院襖絵の牡丹 田部井幸枝 201608
船酔のここち風ある牡丹園 松本正生 やぶれ傘 201608
牡丹に重たき風の来てゐたり 白石正躬 やぶれ傘 201608
白牡丹四方より闇の来て包む 久保東海司 201608
おとがひの外れさうなる牡丹かな 近藤喜子 201608
大寺の障子がうごく紅牡丹 佐藤喜孝 あを 201609
白牡丹チェストの上の別世界 おーたえつこ 201609
ビンに挿す風に折られて白牡丹 中村弘 末黒野 201609
白牡丹虫一匹を包みこみ 山口登 末黒野 201609
牡丹に緑の蜘蛛の眠るかな おーたえつこ 201609
神影の瞬間ときを映せり白牡丹 伊藤希眸 京鹿子 201609
牡丹のうごかぬときに雀くる 佐藤喜孝 あを 201609
緋牡丹の源氏の君を待つごとく 竹下陶子 ホトトギス 201610
太陽を燃え立たせゐる牡丹かな 竹下陶子 ホトトギス 201610
散りやすきことよ牡丹でありしこと 嶋田一歩 ホトトギス 201611
融点のあるごと牡丹散りにけり 七種年男 輪中の空 201612
艶めくや睡余の佳麗牡丹花 王岩 あを 201701
融点のあるごと牡丹散りにけり 七種年男 201701
かな文字の筆のそよぎや白牡丹 赤坂恒子 船団 201701
白牡丹空はゆつくり暮れてゆく 嶋田一歩 ホトトギス 201702
紅白をいづれも極め初牡丹 三村純也 ホトトギス 201702
今日来よと今来よといふ牡丹かな 三村純也 ホトトギス 201702
紅白の牡丹に獅子や能始 後藤比奈夫 ホトトギス 201702
白牡丹虫一匹を包みこみ 山口登 末黒野 201704
緋牡丹の屈託といふ翳りかな 芝田幸惠 末黒野 201704
袖垣の棕櫚の緒固し牡丹園 加瀬伸子 末黒野 201704
牡丹咲き魚文の扁壺ゆるぎなし 水原秋櫻子 馬醉木 201705
緋の牡丹手折りて胸の炎となせる 押田裕美子 201706
白牡丹おのれの影に崩れけり 根岸善雄 馬醉木 201707
牡丹咲く蕊より金の虫立てり 後藤マツエ 201707
白牡丹ポーの黒猫横たはる 中田禎子 201707
微酔ほど影のゆらめく夕牡丹 柴崎英子 201707
洋傘さして傘の中なる牡丹見る 中江月鈴子 201707
けだるさの雨となりたる牡丹苑 藤岡紫水 京鹿子 201707
唐寺の低き土塀や白牡丹 秋山信行 やぶれ傘 201708
牡丹の崩れかけたる前に佇つ 藤井美晴 やぶれ傘 201708
花見るも風下のよし牡丹園 小木曽文明 雨月 201708
遠景の塔を隠して大牡丹 後藤比奈夫 ホトトギス 201708
地に近く牡丹は色をひそめけり 永井惠子 春燈 201708
見競ぶる真砂女が詠みし牡丹と句 小張昭一 春燈 201708
蘂ひとつ残し牡丹散りにけり 住田千代子 六花 201708
牡丹や出入り自由に寺の門 伊川玉子 万象 201708
白牡丹蕊は室戸の浪を聴く 山崎靖子 201708
牡丹の崩れしのちの静けさよ 中貞子 201708
八十のいのち高ぶる紅牡丹 山田春生 万象 201708
敷き詰めて褪せぬ緋色や大牡丹 森屋慶基 風土 201708
雨粒に緋の色映える牡丹かな 森屋慶基 風土 201708
大輪の緋牡丹を剪る躊躇なく 森屋慶基 風土 201708
雨音の奥の静けさ白牡丹 奥澤よし江 万象 201708
たまゆらの風を誘ひて白牡丹 布施まさ子 風土 201708
寂寞の夕べを呼べり黒牡丹 綱徳女 春燈 201708
憤死にも似て牡丹のくづほるる 荒井千瑳子 201708
アルトならむ牡丹に声ありとせば 栗原公子 201708
百咲いて百の孤独の白牡丹 今瀬一博 201708
御開帳の供華大輪の白牡丹 櫛橋直子 雨月 201708
母と立つ万の牡丹の香の中に 横山昭子 雨月 201708
匂ひたつ王者の気品牡丹園 小木曽文明 雨月 201708
敦忌の墓碑を彩る牡丹かな 安立公彦 春燈 201709
牡丹の八重の深きに濃紫 おーたえつこ 201709
緋牡丹や不貞といふ字見当らぬ 伊藤希眸 京鹿子 201709
牡丹のひとひらづつに風かよふ 松田明子 201709
番傘の福の筆文字白牡丹 上月智子 末黒野 201709
唐寺の低き土塀や白牡丹 秋山信行 やぶれ傘 201709
仙人も立ち止まるなり緋の牡丹 高橋将夫 201709
人声を溜めて重たき夕牡丹 高橋和女 風紋 201709
たおやかに鳥の仕業の牡丹咲く たかはしすなお 201709
あいさつをし合うて牡丹日和かな おーたえつこ 201709
牡丹に唐傘立ててゆく手際 おーたえつこ 201709
白牡丹むかし御典医たりし家 佐藤雄二 万象 201712
白牡丹そのまま月の牡丹かな 神蔵器 風土 201712
夕暮れは刻々と来て白牡丹 嶋田一歩 ホトトギス 201802
地に近く牡丹は色をひそめけり 永井惠子 春燈 201803
何時の間に咲きしや風の白牡丹 稲畑汀子 ホトトギス 201804
楚々と生く藁屋住まひの菰牡丹 秋葉雅治 201804
日に燃えて翳れば愁ふ牡丹かな 竹下陶子 ホトトギス 201804
手作りの牡丹餅春の句会かな 須賀敏子 あを 201805
君現れてより牡丹は脇役に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
大牡丹剪り落したる余白かな 柴田昭子 雨月 201806
閑けさやほむら総立つ牡丹園 佐久間由子 201806
紫を散り尽したる牡丹かな 今井肖子 ホトトギス 201806
緋牡丹のかすかなる揺れ雨あがる 町山公孝 201806
牡丹散る決裁済みの印五つ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201806
牡丹の白に傅く朝かな 佐藤喜孝 あを 201807
一風に牡丹身を処す夕間暮 岩波千代美 馬醉木 201807
父の世の牡丹小さく咲き終る 松本幹雄 馬醉木 201807
体調の崩れにも似て牡丹散る 呂秀文 春燈 201807
花器を賞で葉を愛でてより白牡丹 林いづみ 風土 201807
牡丹の今開かんとおちよぼ口 榎本ふじえ 風土 201808
臠ししむら)とたましひ鬩(せめ)ぐ大牡丹 水野恒彦 201808
記念樹の牡丹一輪咲きにけり 亀卦川菊枝 末黒野 201808
訪へば一花残れる牡丹かな 岡井マスミ 末黒野 201808
神苑の無垢を尽くせり白牡丹 森清信子 末黒野 201808
剥落の仁王へ百の夕牡丹 松本三千夫 末黒野 201808
万の目に疲れも少し大牡丹 岡田正義 雨月 201808
暮れ残る余白の中の白牡丹 宮本俊子 雨月 201808
ぼうたんの蔭の牡丹へ腰屈め 松本三千夫 末黒野 201808
刻少し余し立寄る夕牡丹 岡井マスミ 末黒野 201808
牡丹より牡丹へ青き風わたる 平沢恵子 春燈 201808
六段のしらべ牡丹の風にのり 中村紀美子 春燈 201808
満開といふ寂しさの白牡丹 小山繁子 春燈 201808
牡丹の咲ききり連休終はりたる 和田絢子 春燈 201808
くれなゐの想ひありけり白牡丹 阪倉孝子 201808
牡丹の崩るる音と思ふかな 寺田すず江 201808
白牡丹闇ふるはせて崩れけり 榎本ふじえ 風土 201808
咲き急ぐ一気に牡丹桜まで 熊埜御堂義昭 ホトトギス 201809
どの間にも牡丹を活けて留守居かな 河原敬子 201809
回廊に雨の降り込む牡丹かな 岸洋子 201809
牡丹や寺院の縁の小座布団 戸栗末廣 201809
白牡丹人たち映えて佇めり 齋藤晴夫 春燈 201809
生くるとは翳りもつこと白牡丹 有松洋子 201809
牡丹咲いて同じ色とて無かりけり 大橋晄 雨月 201809
牡丹の残像のみを置きし庭 水田むつみ ホトトギス 201809
結婚を二度も三度もして牡丹 粟津さくら 201809
光にも重さのありし白牡丹 立村霜衣 ホトトギス 201810
天つ日をはなさず牡丹風の中 佐久間由子 201810
牡丹のいまうたかたの白さかな 佐久間由子 201810
牡丹の寺から流れくるけむり ふけとしこ 船団 201811
甦りたる牡丹にある月日 稲畑汀子 ホトトギス 201811
ちりちりと乾く牡丹の三日かな 沼田巴字 京鹿子 201903
壊される見て見ぬふりの白牡丹 田村すゝむ 風土 201903
咲き終りたる牡丹の所在失せ 稲畑汀子 ホトトギス 201905
大白のゆるびそめたる牡丹かな 大橋櫻坡子 雨月 201905
早々と咲き終りたる牡丹かな 稲畑汀子 ホトトギス 201905
見付けたぞこれが狐の牡丹とや 加藤みき 201906
猫の目の金色にして牡丹かな 飯塚トシ子 201907
花終ふる牡丹に安堵お礼肥 浅田セツ子 春燈 201907
白牡丹色あるものを圧倒す 宮内とし子 201907
刻移り終の一輪白牡丹 加藤北天 雨月 201907
咲く力秘めて鎮もる牡丹かな 伊藤よし江 201907
暁の路地の香ほのと牡丹咲く 中澤弘 春燈 201907
牡丹桜曲げて地蔵の上に咲く 永田万年青 六花 201908
牡丹の妖しきまでに紅に 谷口一献 六花 201908
耳欠けし青磁に生ける白牡丹 延川五十昭 六花 201908
白昼の暗みてきたる牡丹かな 藤生不二男 六花 201908
寺領はや残る三本黄の牡丹 滝沢いみ子 末黒野 201908
白日の牡丹くづるる音すなり 沼崎千枝 末黒野 201908
夕牡丹をみな漫ろに佇める 今村千年 末黒野 201908
屈まりて牡丹一花に向き合へり 村上葉子 201908
みづからの重みとなりぬ緋の牡丹 中村洋子 風土 201908
自国天かつと目を開き緋の牡丹 中村洋子 風土 201908
咲き満ちて天地無用の白牡丹 田村すゝむ 風土 201908
ちりてなほあはれをとどめ白牡丹 岡野里子 末黒野 201908
人誘ふ牡丹一鉢ありにける 中田禎子 201908
散り際の牡丹乱心かも知れぬ 岩月優美子 201908
牡丹や風重さうに軽さうに 石黒興平 末黒野 201908
たましひに文体あり白牡丹 本多俊子 201908
夕照の彩深めたり牡丹園 今村千年 末黒野 201908
癒さるる彩とりどりの牡丹畑 小菅礼子 春燈 201908
一島の要の寺や牡丹咲く 川原博美 馬醉木 201908
かはたれの庭の明るし白牡丹 小田嶋野笛 末黒野 201909
華やかにそして孤独に散る牡丹 江島照美 発火点 201909
崩るるも牡丹のかたち山の晴 良知悦郎 201909
やはらかく人を拒みぬ夕牡丹 大杉映美 馬醉木 201909
金の蕊残して牡丹散華かな 山田佳乃 ホトトギス 201910
別離とはこんなものかや牡丹散る 赤川誓城 ホトトギス 201911
牡丹の今崩れんとする気品 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
音合せの途中をひらく白牡丹 井上菜摘子 京鹿子 202005
牡丹の今崩れんとする気品 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
白牡丹蕊より小虫出でにけり 有賀昌子 やぶれ傘 202007
しつかりとほぐるる迄を白牡丹 鈴木友子 末黒野 202007
少しづつ憂き心消ゆ白牡丹 甲州千草 202007
崩るるも牡丹の容山の晴 良知悦郎 202007
訪ふ人の絶えて牡丹の彩の濃し 平居澪子 六花 202007
おりてくる闇寄せつけず白牡丹 平居澪子 六花 202007
日の暮れていよいよ白き牡丹かな 箕田健夫 やぶれ傘 202007
風変る五分咲き牡丹剪りにけり 林いづみ 風土 202007
散牡丹はぢらひほどの紅を刷く 森田節子 風土 202007
幸せは崩れやすくて白牡丹 飯田久美子 末黒野 202008
白牡丹久に繙く漢詩集 本郷公子 京鹿子 202008
観音へ牡丹の磴をゆるゆると 山中志津子 京鹿子 202008
牡丹の開花うながす葉のそよぎ 山浦紀子 京鹿子 202008
暮れなづむ頃や孤高の白牡丹 阪倉孝子 202008
紅白の牡丹に胡蝶鏡獅子 犬嶋テル子 京鹿子 202008
影もたず翳を生みゆく白牡丹 菊池和子 京鹿子 202008
曲折は世の常牡丹散りにけり 岩月優美子 202008
量感は存在なりし黒牡丹 江島照美 202008
くれなゐの思ひありけり白牡丹 阪倉孝子 202008
牡丹寺へつづく戸毎の火伏護符 鷺山珀眉 京鹿子 202008
牡丹の重なり散りぬ昨夜の雨 岡美智子 末黒野 202008
御符揺るる寺深閑と大牡丹 喜田君江 末黒野 202008
諦めと悟りのあはひ牡丹散る 石田朝子 末黒野 202008
秩父路の同行二人白牡丹 中山未奈藻 202009
遠き日も母伴いて白牡丹 大山夏子 202009
崩れても残る気高さ白牡丹 村上國枝 春燈 202009
牡丹植ゑくれしことあり逝きにけり 今井千鶴子 ホトトギス 202009
白牡丹一穢の虫を宿しけり 亀井福恵 京鹿子 202009
見つめらる牡丹日暮れの吐息かな 本郷公子 京鹿子 202009
彼の人もこの人も逝き牡丹咲く 加藤みき 202009
一間の間合ありけり緋の牡丹 雨村敏子 202009
牡丹を入れて自撮りの定まらず 菅野日出子 末黒野 202009
牡丹 →8      

 

2022年5月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。