牡 丹 6      200句

伏す犬の尾強く巻ける牡丹かな  松本たかし  鷹

牡丹  緋牡丹  白牡丹  黒牡丹  大牡丹  夕牡丹

牡丹園  牡丹散る  牡丹崩る  ぼうたん  牡丹焚  ぼたん

作品
作者
掲載誌
掲載年月
牡丹籠背負ひて島の行商女 田下宮子 201108
ひらきゆく牡丹に炉心思ひをり 古川夏子 201108
越前壺牡丹の映ゆる肌理粗し 木曽鈴子 ぐろっけ 201108
雨粒を鎮め牡丹開きけり 藤本節子 万象 201108
これでもかこれでもかてふ牡丹かな 原田達夫 201108
染寺の音なき雨の牡丹かな 柳生千枝子 火星 201108
写経終へ牡丹の庭に立ちゐたり 伊勢きみこ 火星 201108
株に百花還暦迎へたる牡丹 柴田良二 雨月 201108
牡丹どっと咲くや主のみまかりて 森礼子 雨月 201108
牡丹に心移して小半時 外山生子 末黒野 201108
躊躇ひを内に残して牡丹切る 渡邊英子 馬醉木 201109
牡丹の盛り日時計正午指す 博多永楽 雨月 201109
別院の闇にただよふ牡丹の香 小林千草 馬醉木 201110
風過ぎしあと牡丹の匂ひくる  上崎暮潮 ホトトギス 201112
万太郎忌敦の牡丹開きけり 成瀬櫻桃子 春燈 201201
恋文のごとく書き溜め牡丹の句 安住敦 春燈 201203
牡丹千天を暗しと思ひけり 岡崎伸 遠眼鏡 201203
もじやもじやと解けてきたる牡丹かな 志方章子 蟋蟀 201203
その辺の色抜きんでて牡丹咲く 稲畑汀子 ホトトギス 201205
かけがへのなき牡丹の命とて 稲畑汀子 ホトトギス 201205
一木の観音菩薩牡丹咲く 神蔵器 風土 201206
牡丹咲く釈迦苦行像鬚伸びて 神蔵器 風土 201206
牡丹の蕾かすかに紅を差し 鈴木阿久 201206
過ぎりけり牡丹を盗む目つきして 山田六甲 六花 201206
思ひいれ深き牡丹ながめつつ 早崎泰江 あを 201206
開ききる牡丹のいのち豪華なり 竹内悦子 201207
濡れ縁に妹とゐる夕牡丹 福永みち子 馬醉木 201207
牡丹のあまりに短き盛りかな 青木英林 かさね 201207
み仏の花とも思ふ牡丹かな 郡山真帆 かさね 201207
ヘルパーさん初めて来たり牡丹咲く 森さち子 201207
牡丹の傘さす雨となりにけり 神田恵琳 春燈 201207
杭打ちの谺となりし牡丹寺 根本ひろ子 火星 201207
突風やどんと牡丹の総崩れ 吉田政江 201207
牡丹の花の静けさ耀けり 鈴木初音 201208
たまさかの牡丹日和や孫次郎 岩月優美子 201208
手塩かけ咲きし牡丹や陽は柔く 安藤虎酔 かさね 201208
園丁の腕を競ひし大牡丹 安藤虎酔 かさね 201208
牡丹や思ひ出したる訪問着 柴田久子 風土 201208
牡丹の開ききつたる静寂かな 中村洋子 風土 201208
合掌す牡丹五百の建長寺 中村洋子 風土 201208
その中に乱世の炎牡丹咲く 鈴木庸子 風土 201208
残んの香放ち崩るる牡丹かな 柿沼盟子 風土 201208
人恋へば闇にとけゆく夕牡丹 河崎國代 春燈 201208
牡丹に番傘の破れ遠忌寺 岡井しげ女 春燈 201208
高ぶらず氏神様の牡丹かな 小倉正穂 末黒野 201208
牡丹の蕊の光や雨雫 青木由芙 末黒野 201208
お背戸より女でてゆく夕牡丹 川井秀夫 ろんど 201208
牡丹や天女のほがみ思ひをり 西田孝 ろんど 201208
夕牡丹地に置く影を濃くしたり 藤岡紫水 京鹿子 201208
をちこちに姫傘も咲く牡丹寺 平田恵美子 ぐろっけ 201208
狼籍の雨が崩せり庭牡丹 松本恒子 ぐろっけ 201208
不揃ひのざぶとん並べ牡丹寺 福本郁子 火星 201208
大法会果てたるしじま夕牡丹 宮原悦子 雨月 201208
虻溺れ金粉まみれ大牡丹 宮原悦子 雨月 201208
雨に咲き雨に崩れてゆく牡丹 柴田良二 雨月 201208
牡丹の白さ眩しき島の昼 栗山恵子 雨月 201208
牡丹や作務衣でとほす哲学者 中條睦子 万象 201208
花びらの内より暮るる牡丹かな 藤生不二男 六花 201208
或る夕べ牡丹の花を雹が打つ 今井千鶴子 ホトトギス 201209
牡丹を離れられざる蝶と居る 井上浩一郎 ホトトギス 201209
ことごとく泰然とある牡丹かな 松田利秋 かさね 201209
降りしきる雨の牡丹となりにけり 國保八江 やぶれ傘 201209
牡丹吐き綾の鼓の連打かな 延広禎一 201209
牡丹の迷宮咲きと思ひけり 細川洋子 201209
牡丹咲き蜂の陶酔花の陶酔 池田加代子 風土 201209
子供傘差し掛けられし大牡丹 松井洋子 ぐろっけ 201209
牡丹の崩るるままに声明す 松本文一郎 六花 201209
牡丹のゆるる揺れゐて影に色 吉弘恭子 あを 201209
朝には朝夕べは夕べの牡丹かな 半田稜 ろんど 201209
入口にひと鉢を置く牡丹園 丑久保勲 やぶれ傘 201210
禅僧の字ハガキを買ふ牡丹展 田中貞雄 自註句集 201301
あめつちに牡丹よりなき日数経ぬ 伊藤白潮 201304
一片の震へ牡丹の暮れ初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
牡丹の咲く頃の雨今年また 稲畑汀子 ホトトギス 201305
牡丹の色を消したる雨一日 稲畑汀子 ホトトギス 201305

 祝塚本令嬢御結婚

牡丹の色をそろへし祝心

稲畑汀子 ホトトギス 201305
余すなき曙光に牡丹開きそむ 松本幹雄 馬醉木 201306
牡丹に開けたて重き襖かな 中野あぐり 春燈 201306
緩急の見えて牡丹過ぐ2021年5月21日 201306
牡丹咲く太陽を恋ひ月を恋ひ 神蔵器 風土 201306
咲き盛る牡丹に昼の暗さあり 神蔵器 風土 201306
月光の白王獅子や恋牡丹 神蔵器 風土 201306
牡丹百咲きて一石日和かな 神蔵器 風土 201306
気前よく剪りて惜しみし牡丹かな 中島玉五郎 201306
牡丹落つあたりの何も動かさず 黒澤登美枝 201306
羽衣を脱ぎ捨てたかに牡丹散る 塩千恵子 201306
吉日や呵呵喃喃と牡丹晴 佐藤凉宇子 ろんど 201306
千姫もかくやと牡丹艶やかに 加納淳子 六花 201306
牡丹を咲かせて留守の庭真昼 木村茂登子 あを 201306
鐘楼を囲む牡丹の二千株 飯田美千子 201307
牡丹咲き古刹華やぐ季となりぬ 和田郁子 201307
白牡丹兄の遺影の笑まふかに 中村ふく子 201307
牡丹へ絵具のように溶けてゆく 古川忠利 ろんど 201309
廻り道してまで見たし牡丹咲く 溝渕弘志 六花 201309
牡丹の花の豊かな起伏とは 稲岡長 ホトトギス 201310
俳聖の山に枝折りの牡丹咲く 伊藤希眸 京鹿子 201310
山門の灯ともし頃や牡丹見に 内海保子 万象 201310

 祝句集上梓

夕牡丹てふ新涼の句集かな

岡田史女 末黒野 201311
六月やただ青々と牡丹園 瀧春一 花石榴 201312
けふのほかなき牡丹の色に佇つ 生田恵美子 風土 201401
番傘の油のにほふ牡丹園 山本耀子 絵襖 201404
牡丹の全き俯瞰なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201404
遣らずの雨狐の牡丹咲き満ちて 加藤みき 201405
やんごとのなき牡丹に近うゐて 伊藤白潮 210405
牡丹に触れては過ぐる風の贅 湯橋喜美 201406
牡丹切る心に乱れ来ぬうちに 湯橋喜美 201406
紅牡丹ひそやかに咲きゐて華麗 辰巳あした 雨月 201406
競ふ牡丹まづ庭石に誉めらるる 茂木なつ 春燈 201407
巌噛む怒濤真近に牡丹園 碇天牛 雨月 201407
花弁散り今放心の牡丹蕊 吉田陽代 201407
手びさしに待つ真昼間の牡丹園 野上杳 201407
満開のその後を知らぬ牡丹かな 石田きよし 201407
満一歳の嬰を祝ふかに牡丹咲く 竹内悦子 201407
牡丹や歓喜の渦となりゐたる 寺田すず江 201407
牡丹に午後の日射しは重たくて 頓所友枝 201407
玻璃あかりあつめて夜の牡丹かな 山口弘子 201408
牡丹の蕾に立つるボール除け 椿和枝 201408
海中や牡丹の島の暮れ残る 大山文子 火星 201408
外人と手振りの会話牡丹寺 佐藤三男 万象 201408
放哉の伏目の過ぎる牡丹かな 南うみを 風土 201408
牡丹散る人に告げたき話あり 松田泰子 末黒野 201408
牡丹やなべてひと世を謳歌せり 寺田すず江 201408
牡丹の白も色なり闇の中 山田正子 201408
牡丹の帯や搦手殺気満つ 岡田桃子 201408
牡丹の色の色々蕊は金 田尻勝子 六花 201408
牡丹いま弱みは見せず崩る闇 中野英伴 春燈 201408
悪戯に鐘つく幼夕牡丹 高橋明 末黒野 201408
植物園先づは敦の牡丹かな 加藤良子 春燈 201409
牡丹の首に斜めの日暮くる 梶浦玲良子 六花 201409
牡丹のごとくに崩れかき氷 山田六甲 六花 201409
母の忌や供華の牡丹の花明かり 吉田きみえ 末黒野 201410
牡丹の崩るにまかせ闇の木戸 上家弘子 ろんど 201410
百ほどの牡丹の影の重さかな 浜崎素粒子 ホトトギス 201411
華やぎに秘むる危ふさ大牡丹 吉武千束 太古のこゑ 201411
牡丹の敷藁美しき札納 山尾玉藻 火星 201501

 祝「桑海」五百号

祝ぎ心もて牡丹の彩れる

稲畑汀子 ホトトギス 201502
牡丹剪る亡き両親に亡き妻に 野沢しの武 風土 201502
絶えて久し目礼する牡丹かな 田口鷹生 201505
癒えませと言伝てばかり牡丹剪る 稲畑汀子 ホトトギス 201505
快晴に忽ち牡丹咲き終へし 稲畑汀子 ホトトギス 201505
牡丹の莟をすべる雨の粒 野上杳 201505
牡丹剪り壺の白きを選びをり 水原春郎 馬醉木 201506
妻と待つ牡丹の莟今年いくつ 齋藤晴夫 春燈 201507
牡丹咲くこの世に時間まだ残し 吉田政江 201507
期待とは含む牡丹の青蕾 吉田政江 201507
牡丹の拳ゆるめの日和なり 甲州千草 201507
牡丹見る一人ひとりの持ち時間 河口仁志 201507
白といふ無償の重み夕牡丹 菊地光子 201507
大根島の牡丹その名も島娘 落合絹代 風土 201507
牡丹散り何か無くせし思ひかな 辰巳あした 雨月 201507
ひと粒の雨に揺れたる牡丹かな 飛高隆夫 万象 201507
武運長久などと牡丹花水木 佐藤喜孝 あを 201507
牡丹の崩るる如し夜半の雨 武石京子 やぶれ傘 201508
牡丹を縁取りにして石の庭 時田義勝 やぶれ傘 201508
妣の牡丹花数去年の四半分 門間としゑ 末黒野 201508
風生まれくづれを誘ふ牡丹かな 佐々木永子 末黒野 201508
鳩居堂の一筆箋に牡丹二句 福島照子 京鹿子 201508
牡丹散り歌舞音曲のとだえけり 齋藤晴夫 春燈 201508
柏槙の老木支ふ牡丹寺 箕輪カオル 201508
牡丹のさかりも散るも潔く 箕輪カオル 201508
牡丹の崩るる音のなかりけり 鈴木良戈 201508
牡丹の寝息聴いてゐる獅子頭 鴨下昭 201508
二三片残しで牡丹散りにけり 藤生不二男 六花 201508
夕牡丹みほとけへ戸を少し開け 岡淑子 雨月 201508
大根島牡丹その名も島娘 落合絹代 雨月 201508
虚子の句を口ずさみつつ牡丹見る 桜井知恵子 雨月 201508
観音の寺格に叶ひ大牡丹 谷村祐治 雨月 201508
幸多き富貴の家や牡丹花 王岩 あを 201508
喪ごころや牡丹の花は重すぎる 長山あや ホトトギス 201509
乙訓の牡丹の噂春惜む 後藤立夫 ホトトギス 201509
鐘楼を囲む百花の牡丹かな 岡野里子 末黒野 201509
牡丹の苗のあふるる背負籠 福島せいぎ 万象 201509
牡丹の色とりどりや登廊 横山昭子 雨月 201509
牡丹咲く五重塔の丹の色に 横山昭子 雨月 201509
午の刻告ぐる法螺の音牡丹寺 横山昭子 雨月 201509
風の出て揺るるひとひら夕牡丹 山内繭彦 ホトトギス 201510
ひとひらの散れば牡丹くづほるる 山内繭彦 ホトトギス 201510
牡丹や女人は待つ身女人寺 和田華凛 ホトトギス 201510
牡丹や嫁に頼みてビルに住む 布川孝子 京鹿子 201510
廻廊の寺苑に牡丹百程に 久保東海司 風鈴 201512
菰巻の松端然と牡丹園 中根美保 風土 201602
アラサーとシルバー別れ牡丹園 千坂希妙 船団 201602
牡丹の崩れて崩れざる気品 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
法の庭てふ牡丹のありどころ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
咲き初めて牡丹に雨の二日とて 稲畑汀子 ホトトギス 201605
夕牡丹一片崩れそめにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201605
牡丹に白は淋しき色ならず 稲畑汀子 ホトトギス 201605
赤ばかり咲いて淋しき牡丹かな 稲畑汀子 ホトトギス 201605
牡丹真紅一花を庭の贅となす 水原春郎 馬醉木 201606
唐傘をたしかに外れてゐし牡丹 山田六甲 六花 201606
牡丹咲く雨滴に紅を滲ませて 久染康子 201606
空家めき牡丹芍薬咲き継ぐる 山荘慶子 あを 201607
富貴は天牡丹は地に崩れけり 山田正子 201607
白牡丹水のやうなる夜を呼び 藤岡紫水 京鹿子 201607
緋牡丹に補色の溶む真昼かな 上谷昌憲 201607
鰐口の叩けば澄む音白牡丹 内山花葉 201607
牡丹や梯子下りくる寺男 小林共代 風土 201607
雨粒を弾く牡丹の蕾かな 佐藤博重 春燈 201607
開園へ苔ととのふ牡丹寺 吉田政江 201607
草色の時の弛びや緑牡丹 上谷昌憲 201607
白牡丹見る深淵を覗くごと 上谷昌憲 201607
白にしろかさねて暗む牡丹かな 今瀬一博 201607
白牡丹堂の裏より風来たる 今瀬一博 201607
三門を入れば掌上白牡丹 今瀬一博 201607
白牡丹風のたはむれ怺へをり 田所節子 201607
閉じ方を覚へたもれや白牡丹 高野昌代 201608
許さるる邪心どこまで白牡丹 岩月優美子 201608
花なごり名札の並ぶ牡丹園 町山公孝 201608
頬杖の午後を崩るる白牡丹 西村操 雨月 201608
唐傘をはみ出してゐる牡丹かな 住田千代子 六花 201608
一株のもろとも崩れ大牡丹 笹村政子 六花 201608
借景の山をけぶらす夕牡丹 笹村政子 六花 201608
牡丹 →7

 

2021年5月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。