残る虫 2    56句

殘る虫石仏石に還りつつ   富安風生   傘寿以後

  虫時雨  虫しぐれ  虫すだく  虫の声  虫の音

虫の闇  虫の夜  虫売  昼の虫  残る虫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
柴門の外にも内にも残る虫 赤松郁代 万象 201203
昼暗き幽閉洞や残る虫 粥の味 和田郁子 201209
実験室裏に死神・残る虫 安居正浩 201211
残る虫鳴かねばさみし鳴けばなほ 佐津のぼる 六花 201211
叢の第四楽章残る虫 三川美代子 201301
コンビニの空缶入れに残る虫 仁平則子 201301
腫れものを切つて焼かれて残る虫 白数康弘 火星 201311
残る虫に耳傾けて一人酌む 小池清司 かさね 201312
残る虫九つ鳴いて七つ鳴く 山田六甲 六花 201312
残る虫八十路教師の家路かな 土屋光男 春燈 201312
足音に応へてくれし残る虫 山田六甲 六花 201312
なほ縷々と露地口あたり残る虫 荒木稔 ぐろっけ 201312
新しき切株ひとつ残る虫 西岡啓子 春燈 201401
この先は化野道と残る虫 山田六甲 六花 201411
残る虫なれど正調貫きて 国包澄子 201412
残る虫月を齧つてゐるらしく 熊川暁子 201412
残る虫鶏頭句碑のこゑかとも 原田しずえ 万象 201412
酔ひざめのうたた寝の辺に残る虫 四條進 201412
残る虫思ひのままといふけれど 熊谷ふみを ろんど 201501
抜け道の土の湿りや残る虫 中野久雄 末黒野 201502
残る虫大師の慈悲に鳴きにけり 鈴木静恵 花こぶし 201508
少年兵の安らぎを鳴く残る虫 鴨下昭 201511
月光の染むる岩陰残る虫 小川玉泉 末黒野 201512
薬膳のほどよき渋さ残る虫 丸井巴水 京鹿子 201601
濁る世に残すは何ぞ残る虫 沼田巴字 京鹿子 201602
大樟の根方の洞や残る虫 森清堯 末黒野 201602
残る虫気分が乗らぬ弾き語り 江島照美 201701
残る虫間遠に次ぎし間遠かな 中村嵐楓子 春燈 201701
独唱となりての個性残る虫 荒井千瑳子 201701
はらませることのむりな夜残る虫 元橋孝之 京鹿子 201702
残る虫捕鯨絵巻の奥の院 中川句寿夫 ここのもん 201705
残る虫大箱燐寸使ひ切る 中川句寿夫 ここのもん 201705
野良に干す野良着ゆらゆら残る虫 松本美簾 馬醉木 201801
残る虫弘法寺の階踏みゆけば 安立公彦 春燈 201801
ひと足を踏み出せぬまま残る虫 篠原幸子 春燈 201801
残る虫地図にも載らぬ出城址 大文字孝一 春燈 201801
草の秀の震への止まず残る虫 森清堯 末黒野 201802
追伸の文言多し残る虫 芝田幸惠 末黒野 201802
残る虫老いてあせるを見透され 中川のぼる 201811
暁闇に声削ぎ尽くす残る虫 森村江風 201812
残る虫草も大樹も闇はおり 藤井寿江子 馬醉木 201901
残る虫湯槽に今日の無事感謝 本多正子 雨月 201901
残る虫闇の深さを鳴きにけり 鈴木鳳来 春燈 202001
残る虫語彙の少なくなりにけり 三上程子 春燈 202001
残る虫に五分の魂ありにけり 近藤喜子 202002
書庫奥の荷風あたりに残る虫 森村江風 202101
残る虫高速道路くぐるとき 大島英昭 やぶれ傘 202101
土手行けばところどころに残る虫 白石正躬 やぶれ傘 202101
雨少し風の少しや残る虫 岡野里子 末黒野 202102
身辺整理いそげ急げと残る虫 菅澤陽子 春燈 202112
調律のご無理御尤も残る虫 鈴鹿呂仁 京鹿子 202112
はしごする病院三つ残る虫 布施由岐子 末黒野 202201
残る虫耳さとくゐる一人の夜 升田ヤス子 六花 202202
残る虫昼の日向に鳴き合へる 篠田純子 202202
身辺整理いそげ急げと残る虫 菅澤陽子 春燈 202212
人生の始末の仕方残る虫 坂井博 202301
残る虫 →1      

2023年10月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。