虫すだく     171句

糸切歯いまだ健在虫すだく   伊達みえ子  ザ・俳句

  虫時雨  虫しぐれ  虫すだく  虫の声  虫の音

 虫の闇  虫の夜  虫売  昼の虫  残る虫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
精神薬八錠飲んで虫すだく 佐伯のぶこ 船団 199812
死にたくば死ねよと秋の虫すだく 保坂加津夫 いろり 199910
海底の戦艦大和虫すだく 近藤千雅 船団 199912
目ぐすりの染みとほりけり虫すだく 植野あき子 200012
虫すだく蕉翁矢立始めの地 館容子 200101
虫すだく立ち往生となりにけり 花島陽子 遠嶺 200101
休止符も終止符もなく虫すだく 辻享子 シャガールの女 200108
虫すだく喜怒哀楽の将外で 松山律子 六花 200109
青松虫南京黄櫨はぜの木にすだく 松崎鉄之介 200111
ゆく末の住処は高野虫すだく 南光翠峰 馬醉木 200112
虫すだく壺の肩口いびつなる 岡和絵 火星 200112
身ほとりの闇にさざ波虫すだく 坂本京子 200112
虫すだく売り家の幟なびきたる 金田美恵子 ぐろっけ 200112
虫すだく老人ホーム開所せり 金田美恵子 ぐろっけ 200112
虫すだく政宗公の湯殿とや 小菅美代子 ぐろっけ 200202
薄紙のやうな雨なり虫すだく 市場基巳 200203
虫すだくこの溝跳び越えたら大人 山田六甲 六花 200209
蟲集く寢返りうつに耳が邪魔 中原道夫 銀化 200211
雨の音かき消すほどに虫すだく 赤座典子 あを 200211
虫すだく参拝歩道砂利歩道 塩川雄三 築港 200212
虫すだく薪歌舞伎のにぎはひや 高安勝三 遠嶺 200212
虫すだく真つ只中に投函す 高柳かつを 百鳥 200301
人形劇の幕閧アんなに蟲集く 佐藤喜孝 あを 200312
南極へ行くてふ別れ虫すだく 泉田秋硯 200312
虫すだく庭を通つて貰ひ風呂 水谷とく 築港 200312
病棟の消灯早し虫すだく 久保一岩 雲の峰 200410
真夜中の国旗と国歌虫すだく 須賀敏子 あを 200410
欠け仏集めし奈落虫すだく 横山茂子 200411
長泣きの嬰の寝入りしや虫すだく 須賀敏子 あを 200411
虫すだく六つ重ねる飯茶碗 佐藤喜孝 あを 200411
虫すだく闇に濃淡ありにけり 千田百里 200412
ライトアツプの仁王の迫力虫すだく 丹生をだまき 京鹿子 200412
赤い靴脱ぎ捨て玄関虫すだく 長村雄作 200412
読みすすむ寂聴源氏虫すだく 松林順子 雨月 200412
椰子の実の音符の歌碑に虫すだく 竹内喜代子 雨月 200502
虫すだく鉢物多き路地の花舗 内山けい子 200503
虫すだく闇に奥行生まれけり 成井侃 対岸 200511
灯に浮いて卓の灰皿すだく虫 仲村青彦 200511
街の灯の途切れしところ虫すだく 栗城静子 200512
公達の恋よ嘆きよ虫すだく 長谷川子 馬醉木 200601
虫すだくなり夜つぴての工事中 伊藤早苗 200601
虫すだく中の一つに耳立つる 安達風越 雨月 200602
更地となる老舗テント屋虫すだく 舟橋千枝子 八千草 200603
行間の乱るが侭に虫すだく 宇都宮滴水 京鹿子 200611
眠らむと力を抜きぬ虫すだく 荒井千佐代 200612
虫すだく夜光時訃の青き針 栗原公子 200612
身罷りの日と思はずに虫すだく 天野きく江 200612
虚子句碑に大観峰の虫すだく 竹内喜代子 雨月 200612
教会を見上げるベンチ虫すだく 伊藤公女 ぐろっけ 200701
虫すだく簷に立てある粗朶の束 守屋井蛙 酸漿 200701
街騒の次第に消えて虫すだく 岡本直子 雨月 200702
虫すだく起き臥し淡くなるばかり 坪井洋子 200712
すだく虫三つ聞き分け眠り落つ 青森公子 200801
すだく虫楽士足らぬか早仕舞 岩崎可代子 ぐろっけ 200801
篆刻の帰去来の碑や虫すだく 小泉三枝 春燈 200802
岬の灯届きし丘やすだく虫 邑橋淑子 遠嶺 200802
虫すだく嵯峨野宮の小柴垣 山村修 酸漿 200805
所沢二分歩けば虫すだく 須賀敏子 あを 200811
虫すだくこの世にあまた別れ道 伊東和子 200812
虫集く日付変はりてなほ激し 来海雅子 200901
山小屋をつつむ夕暮虫すだく 樋口みのぶ 200902
虫すだく草を踏まねば行けもせで 池田倶子 雨月 200902
おちこちに虫の音すだく家路かな 大木清美子 200912

 晩年の欣一先生

虫すだく雨戸を引きつなんまんだぶ

大坪景章 万象 200912
天変の無きごと虫のすだく夜や 青木陽子 酸漿 200912
うすれ来しふるさとの血や虫すだく 平野千江 200912
本阿弥の一族の墓虫すだく 大石よし子 雨月 201001
虫集く指揮とる虫のをりにけり 来海雅子 201002
虫すだく指に馴染みしキーボード 松嶋一洋 201011
バス停の傾ぐベンチや虫すだく 柿沼盟子 風土 201011
虫すだく屋敷林より灯のひとつ 小島昭夫 春燈 201012
虫すだく電器まかせの皿洗ひ 森茉明 京鹿子 201012
子の発ちし轍の闇に虫すだく 辻本俊子 京鹿子 201101
飛び込みし木星胸に虫すだく 冨松寛子 201102
虫すだき夜の静けさの深みゆく 辰巳あした 雨月 201111
震災を生き来し仲や虫すだく 谷山友夫 春燈 201112
虫すだく漁家の灯低くこぼれをり 松本三千夫 末黒野 201112
虫すだく闇に五体を沈め寝る 三浦澄江 ぐろっけ 201201
明日の水汲みおく慣虫集く 栗下廣子 万象 201202
天心の櫛月に虫すだくかな 山田六甲 六花 201209
葬を待つ死者の静けさ虫すだく 辻美奈子 201211
満天の星降る牧場虫すだく 黒滝志麻子 末黒野 201211
虫すだく夜半の厠に織の音 川井素山 かさね 201212
虫すだく姉川堤戦の碑 三枝邦光 ぐろっけ 201212
妻と子の会話の外や虫すだく 松嶋一洋 201212
灯台の光濃くなり虫集く 永田万年青 六花 201212
虫すだき野にゐる心地夜の更けて 桂敦子 201301
伝道訪問に真剣応酬虫すだく 山本町子 風土 201312
虫すだく鐘楼門を辞するとき 内藤静 風土 201312
虫すだく極楽橋を渡りけり 樺山翠 雨月 201312
写経会や夜の阿弥陀寺の虫すだく 石谷淳子 雨月 201312
虫すだくベストセラーも終盤に 中村吟子 ぐろっけ 201401
虫すだくくずれ土塀の御師屋敷 荒木稔 ぐろっけ 201401
総持寺の暁天坐禅虫すだく 星芳子 馬醉木 201401
虫すだく写経心の灯をともし 下平しづ子 雨月 201402
一村の夜の重さに虫すだく 下平しづ子 雨月 201402
虫すだく隣りの庭は闇の底 小川玉泉 末黒野 201411
虫すだく昼のグランドがらんどう 松本三千夫 末黒野 201411
風通すのみに来る家虫すだく 鈴木石花 風土 201412
虫すだく寸時の留守に灯を残す 本間羊山 風土 201412
石庭の影濃きところ虫すだく 杉本光 201501
老境も亦佳からずや虫すだき 隅田恵子 雨月 201501
虫すだく何やら心せかれをり 佐々木永子 末黒野 201502
虫すだくほうろく鍋に塩敷いて 中島陽華 201502
虫集く夜のアイマスク眠りに行く 柳本渓光 ろんど 201502
虫集く桧の香る露天風呂 大木清美子 201511
虫集く早く寝よやと聞こえけり 須賀敏子 あを 201511
夫婦塚影をひとつに虫すだく 大上充子 馬醉木 201512
暮がての寸暇惜しんで虫すだく 中村三郎 京鹿子 201512
虫すだく宵を歩めば懐かしき 長崎桂子 あを 201512
虫すだくスカイツリーは点滅す のざきまみこ 201512
競演のやがて共演虫すだく 青木朋子 201602
点滴の一滴ごとに虫すだく 河本由紀子 春燈 201611
虫すだくすこし忘れて死者のこと 辻美奈子 201612
捨舟の朽ちゆくままに虫すだく 下平しづ子 雨月 201612
虫すだく小公園を友として 溝内健乃 雨月 201612
虫すだくすこし忘れて死者のこと 辻美奈子 201612
捨舟の朽ちゆくままに虫すだく 下平しづ子 雨月 201612
虫すだく小公園を友として 溝内健乃 雨月 201612
虫すだく今宵華やぎ賑はしき 長崎桂子 あを 201709
眠れねば眠らぬでよし虫すだく 能村研三 201711
虫すだく夜や煎じる和漢薬 岡田史女 末黒野 201712
琴の音の流るる野点虫すだく 片岡さか江 末黒野 201712
ひとり居の風呂場の窓や虫すだく 山口地翠 春燈 201712
アラビアン・ナイト千夜一夜に虫すだく 吉武美子 201712
香煙の柱となりて虫すだく 佐藤花木 雨月 201801
鯖街道口の碑虫すだく 横山昭子 雨月 201801
虫すだく見目も生れもこだはらず 山本正 京鹿子 201801
庭石に残る火照りや虫すだく 中里よし子 春燈 201810
山頂は星の海原虫すだく 永尾春己 201811
虫すだく眉目かげらす阿修羅像 村田あを衣 京鹿子 201812
虫すだく闇の世界の深さかな 時澤藍 201812
嫌な虫嫌じやない虫すだく虫 辻響子 201812
虫すだく夜伽に死者の武勇伝 井上和子 201902
参道に百基の鳥居虫すだく 森田明成 201905
享年にすれば百歳虫すだく 山田六甲 六花 201910
虫すだく時に濃き闇淡き闇 森村江風 201911
虫すだく夜ごと音色の増えゆける 山田天 雨月 201911
妹いま銀河鉄道虫すだく 中田みなみ 201912
虫集くヒソヒソヒソと風の庭 辻響子 201912
ワレワレハねむれない族虫すだく 松井季湖 201912
海沿ひの古びたる宿虫すだく 永田万年青 六花 201912
竜頭鷁首めぐる池塘や虫すだく 南光翠峰 馬醉木 201912
武家屋敷頼も頼もと虫すだく 隅田恵子 雨月 202002
山の日の峰のはるかや虫すだく 和田慈子 末黒野 202011
虫すだく夕べ今宵も賑賑し 長崎桂子 あを 202011
たわいなき一書の途中虫すだく 大矢恒彦 202012
虫すだく酔ひの回ればむかし事 遠城健司 202012
虫すだく小庭の闇の深まりぬ 大川暉美 末黒野 202012
小野小町の腰掛けし石虫すだく 小林和子 202101
虫すだく屋号息づく旧街道 森村江風 202105
虫すだく空家となりし両隣 福島茂 202111
古地図の牧彷徨いて虫集く 楠本和弘 202112
虫すだく月の光を揺らすごと 山岸明子 202201
富士残照遠くに見えて虫集く 渡部恭子 202212
読み返す考の手紙や虫すだく 長尾タイ 末黒野 202212
田のそばに住むしあわせや虫すだく 廣畑育子 六花 202212
本堂の裏は浄土や虫すだく 岡野里子 末黒野 202301
虫すだく古るる閻魔に立ち疎み 宮元陽子 末黒野 202301
曾祖父の鴨居の額や虫すだく 吉村さよ子 202301
虫すだく一人の夜道守られて 荒木加代子 京鹿子 202301

 

2023年9月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。