流し雛      117句

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作品
作者
掲載誌
掲載年月
流し雛おく水勢を怖れつつ 水野節子 雨月 199906
川風に頬なでられて流し雛 山下由理子 199906
流し雛面ざしのみな不憫なり 水野節子 雨月 199906
花屑のやうに片寄り流し雛 田中藤穂 水瓶座 200002
流し雛遠く亡き子のものとなる 川島真砂夫 200004
流し雛指浸けしまま見送りぬ 岡田万壽美 俳句通信 200006
流し雛早瀬に早も消えにけり 水田清子 200006
水底の影したがへて流し雛 高木悠悠 200009
流し雛あれよあれよと流れゆく 金森教子 雨月 200101
流し雛あはれ確かな目鼻立 岡本眸 200103
土橋をくぐれば速し流し雛 内藤三男 ぐろっけ 200106
年ごとに異なる別れ流し雛 内藤三男 ぐろっけ 200106
片雲にひつかかりたる流し雛 和田照海 京鹿子 200107
流し雛見えなくなりて子の手取る 能村登四郎 200108
ゆるやかな流れもあらむ流し雛 大坂蛍火 200112
今いちど髪を撫でやる流し雛 岩崎皓子 雲の峰 200205
加齢なき故の咎とも流し雛 佐藤佐代子 200206
もう声の届かぬ流し雛かな 久崎富美子 200206
雛流し雛は行き先知らされず 岩林勇雄 築港 200305
この雨に濡れゆくままに流し雛 岩林勇雄 築港 200305
おぼつかな岸離れゆく流し雛 内山定子 築港 200305
刻刻と人の集まる流し雛 岸しのぶ 築港 200306
伏すは嘆き仰ぐは怨み流し雛 岡本眸 200403
流し雛やさしい波に託しけり 松本圭司 200405
一心の瞳そそがれ流し雛 吉武千束 200405
たれかれにかよふおもざし流し雛 岡部玄治 200406
流し雛ちぎれんとして追ひすがる 野崎ゆり香 馬醉木 200406
人の世の業流し雛にぎやかに 岸本林立 雨月 200406
淵に息しばしととのへ流し雛 八染藍子 200406
流し雛潮目越えなば伊予の国 工藤義夫 馬醉木 200406
飛ばされし帽子も流し雛に蹤く 八染藍子 200406
激流に奔放となる流し雛 木下栄子 築港 200407
こちら向くまま遠ざかる流し雛 有吉桜雲 200407
美しき身に厄を負ひ流し雛 後藤政子 200407
まづ影が波に乗りけり流し雛 田中英子 火星 200408
儚さの袖重ね合ふ流し雛 北川英子 200505
鳥となり魂かへり来る流し雛 安達実生子 200506
野の花を添えてやりけり流し雛 高橋照葉 ぐろっけ 200506
漣に身を任せたる流し雛 野村由美 200506
遠き日を追ふごと流し雛追うて 清水節子 馬醉木 200506
送る瀬の浅きに傾ぎ流し雛 一民江 馬醉木 200506
流し雛もとより目鼻なきものを 坂本敏子 京鹿子 200507
岩かげをゆらめき過ぎて流し雛 遠藤若狭男 200507
大海に出よと押しやる流し雛 荒原節子 200605
うつし世の修羅たづさへて流し雛 松村多美 四葩 200605
ある日波に曳かれゆくなり流し雛 松村多美 四葩 200605
折紙の奴を供に流し雛 林敬子 酸漿 200606
笙の音の風に撰はれ流し雛 川上恵子 雨月 200606
流し雛巨船の波に傾ぎける 川上恵子 雨月 200606
流し雛清めの酒に酔ひにけり 黒沢宮雄 四葩 200606
流し雛時流に乗つて流れをり 高橋将夫 200606
船笛の促しゐるか流し雛 川上恵子 雨月 200606
ひと枝の蕾を添へて流し雛 荏原やえ子 200606
親と子の絆深めし流し雛 佐原正子 六花 200607
慈の色に沖ありにける流し雛 栗栖恵通子 200705
流木にしばし凭るる流し雛 前川明子 200706
流し雛襟を正しく流れ去る あさなが捷 200708
紀の川の奔流にのる流し雛 田中佐知子 風土 200806
言問へば憂ひあるべし流し雛 水野節子 雨月 200806
こまやかな波にまかせて流し雛 小阪喜美子 遠嶺 200807
流し雛補陀落へ向け押しやりぬ 内海良太 万象 200807
流し雛沖のひかりに立ち上がる 柴崎甲武信 月日 200811
流し雛刃物の街を流れけり 北悠久 炎環 200905
行く雲を仰ぎ給ひて流し雛 田中春生 200907
流し雛相寄りて瀬に消えにけり 清水美子 春燈 201005
流し雛行けるとこまで行きまする 柴田佐知子 201005
来し方も行く末もなし流し雛 柴田佐知子 201005
人ごゑも流れゆくなり流し雛 鈴木順子 京鹿子 201006
流し雛手許はなるる時ふるふ 熊切光子 末黒野 201006
要塞の島抱く浦の流し雛 溝内健乃 雨月 201006
タンカーのたてる波越ゆ流し雛 竹下昭子 ぐろっけ 201006
ちちははへ伝言託し流し雛 馬田信子 201007
流し雛目を逸らさずに遠ざかる あさなが捷 201008
ゆらゆらと浅瀬彩る流し雛 八田マサ子 馬醉木 201106
從容と渦にのまるる流し雛 小野喬樹 馬醉木 201205
流し雛たちまち水に畳まるる 柴田佐知子 201205
流し雛川の流れにまかせけり 安藤虎酔 かさね 201205
流し雛ひとにも帰りたき処 柳川晋 201205
手を合はす子のゐて流し雛の町 江見巌 六花 201205
信玄の合戦跡や流し雛 鎌田洋子 万象選集 201205
板橋の上(かみ)より流し雛かな 石脇みはる 201205
天上を見しは束の間流し雛 柴田佐知子 201205
流し雛もんどり打つて波に乗る 笹村政子 六花 201206
芋水車くぐりぬけたる流し雛 穐好樹菟男 馬醉木 201304
川音に細き目をあぐ流し雛 内海良太 万象 201305
流し雛やにはに稚の大泣きす 川端俊雄 火星 201305
急湍の待つとも知らで流し雛 碇天牛 雨月 201305
流し雛補陀落に向く日差しかな 延広禎一 201306
流し雛ながれ光陰とどまらず 和田和子 馬醉木 201306
流し雛女雛抱きてゆかれけり 大橋淳一 雨月 201406
流し雛美しすぎて哀しとも 水野節子 雨月 201407
法要の南無阿弥陀仏流し雛 三輪温子 雨月 201407
流し雛流浪の旅を現じけり 南光翠峰 馬醉木 201505
流し雛鳶の悼む声の追ふ 南光翠峰 馬醉木 201505
流し雛袖ふれ合ふも波の上 石田康明 春燈 201505
川風に顫へやまざる流し雛 竹内弘子 あを 201505
流し雛生まれかはりて我がもとに 江島照美 201505
ためらひし手より離れて流し雛 久保東海司 201506
流し雛青きしじまのひとところ 片山煕子 京鹿子 201506
流し雛千体沈め海凪げり 荒井千佐代 201605
手を放すときを失ひ流し雛 窪田佳津子 雨月 201605
どの波に乗せんかと抱き流し雛 窪田佳津子 雨月 201605
流るるも止るも二人流し雛 和田華凛 ホトトギス 201607
小流れの底に影曵き流し雛 藤岡紫水 京鹿子 201705
流し雛手をとりあひて流れゆく 村上美智子 雨月 201706
流し雛俵の舟に身を寄せて 江島照美 201706
流し雛別れあること子に教へ 山田正子 201706
殉ずると言ふは美し流し雛 高橋和女 風紋 201709
空の青すぎれば哀し流し雛 和田華凛 ホトトギス 201710
指先を水の哀しむ流し雛 夏生一暁 馬醉木 201805
流し雛棧俵ぼっち手を離れ 大日向幸江 あを 201904
水を得て自由となれる流し雛 高倉和子 201909
流し雛水面に映る妻の顔 延川五十昭 六花 202005
山国の日の残りたる流し雛 藤生不二男 六花 202006
流し雛空の青さの波の上 住田千代子 六花 202206
沈みつつ帯ほどけゆく流し雛 荒井千佐代空 202211

 

2023年3月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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