2024年3月5日
紙 雛       132句

帋びなやこける時にも女夫づれ   存義

雛の日  雛祭  白酒  紙雛  雛壇  立雛

雛あられ 雛人形 雛納 桃の節句 雛遊び  流し雛  雛の家

作品
作者
掲載誌
掲載年月
文机は根朱塗なり紙雛 三神あすか ヒッポ千番地 199910
雛壇に子のつくりたる紙雛も 宮下本平 200005
紙雛色をこぼして流れゆく 水原春郎 馬醉木 200006
中段に紙雛が立ち祖母の家 坪内稔典 船団 200007
生真面目な折り目の残り紙雛 七種年男 200101
紙ひひな角あいまいの祟るなり 中原道夫 銀化 200103
紙雛の白帆のやうな裳裾かな 飯塚ゑ子 火星 200103
紙雛を開いてメモをしておりぬ 市川伊團次 六花 200104
受付にだれもゐなくて紙ひひな 赤川孝子 200105
紙雛を添へあり昼の患者食 田下宮子 200105
色紙雛掲げ生誕祝ぎにけり 大西正栄 雨月 200105
娘の折つてくれし紙雛飾りけり 辻享子 六花 200107
病室の窓辺に飾る紙雛 河合笑子 あを 200204
紙雛を上げて園児等横断す 七海笑涙 築港 200206
百才の媼の折りし紙雛 毛塚静枝 200305
下駄箱の上に紙雛飾りあり 庄司由里 築港 200305
菓子箱に畳みて仕舞ふ紙雛 八木玲子 百鳥 200306
京雛より江戸雛より紙雛かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200403
見舞ひたる友の折りゐる紙雛 北吉裕子 雲の峰 200404
吾を待つ折り紙教室紙雛 芝宮須磨子 あを 200404
紙雛のやや傾いて立ちにけり 大野信子 草の花 200405
折り足してさびしかりけり紙雛 城孝子 火星 200405
一寸を余す生涯紙雛 林裕子 風土 200405
紙雛飾る編集デスクかな 中田尚子 百鳥 200406
去年折りし亡妻の紙雛飾りけり 鈴木とおる 風土 200406
紙雛の赤茶青桃黒白黄 足立幸信 200504
紙雛去年折りくれし友は亡し 市川玲子 春燈 200505
紙雛を飾りベツドの母眠る 徳田正樹 河鹿 200505
紙雛のめぐし思はず手触れたる 青垣和子 雨月 200505
紙雛うすきひかりに立ちたまふ 服部早苗 200507
足元のおぼつかなくて紙雛 青山悠 200507
緋袴の少し長目の紙雛 八田マサ子 馬醉木 200605
雅かな紙雛となる手漉き和紙 松本圭司 200605
原爆の地より紙雛送りきし 大西八洲雄 万象 200605
目も鼻もなき淋しさの紙雛 長沼紫紅 200605
窓に降る雪の明るさ紙雛 長沼紫紅 200605
本箱はよき飾り棚紙雛 長沼紫紅 200605
紙雛を橋の真中へ来て流す 大西八洲雄 万象 200606
保育士の泣く子に持たす紙雛 小松敏郎 万象 200606
紙雛胸に抱きしむ飾らずに 安部里子 あを 200704
ひとときを吾子と手作り紙ひいな 芝宮須磨子 あを 200704
紙雛胸の修復ままならぬ 富沢敏子 200705
目と口のいまだはひらず紙雛 足立幸信 200705
小児科医院受付の紙雛 伊藤百江 春燈 200705
小さき手をもて折り出せり紙雛 黒澤登美枝 200705
ひとり夜の襟深く折る紙雛 菊地光子 200705
紙雛に折り直しあと保育園 坂本たま子 200705
紙雛面輪おぼろに立ち給ふ 川合八重子 酸漿 200705
紙雛重なつてをり震度三 懸林喜代次 春燈 200706
紙雛仕舞ふ平らといふ姿 福地初江 200801
紙雛といふ一塊の流れゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
紙雛に繧繝縁の御座のあり 大橋敦子 雨月 200804
紙雛に随喜の京の菓子ありて 大橋敦子 雨月 200804
目を入るやすぐに紙雛息づける 久保田雪枝 雨月 200805
浅草のそば屋の棚の紙ひひな 藤井昌治 200805
子の指の温もり残る紙雛 林八重子 馬醉木 200806
紙雛をかさね合はせて納めけり 原田慶子 200806
さりげなく茶箪笥の上の紙雛 松野睦子 遠嶺 200806
食卓に妻の手折りし紙雛 木暮剛平 万象 200806
紙雛作りし園児の顔うかぶ 川合まさお ぐろっけ 200806
潮騒や駅長室の紙雛 浜口高子 火星 200806
紙雛に妻の落款あきらかに 廣瀬義一 雨月 200806
傾ぎぐせ二つ三つある紙雛 鶴岡加苗 200807
紙雛に心づくしのごもく寿司 三原利枝 200905
紙雛に子はまんまるの目を入れて 國保八江 やぶれ傘 200907
老いを送る紙雛五段飾り付け 野沢しの武 風土 201002
紙雛省略といふ無辺かな 千田敬 201004
ようさりの倒して遊ぶ紙雛 天谷翔子 火星 201005
紙雛飾りて心安らげり 小山ナオ子 酸漿 201005
春着の子流す色なき紙雛 柴田志津子 201005
紙雛に添はす出雲の雛天神 松本三千夫 末黒野 201006
紙雛を吊す漁船の操舵室 小川滋 やぶれ傘 201007
十二単軽々と着て紙雛 松田明子 201008
海にむく塗師ぬし工房の紙雛 瀬島洒望 やぶれ傘 201008
ATMのかたへに置かれ紙雛 有賀昌子 やぶれ傘 201008
独身寮無造作に置き紙雛 藤見佳楠子 201104
棟ごとのナース詰所の紙雛 和田郁子 201105
今更に手とり教はる紙雛 林美智 ぐろっけ 201105
玄関に迎へてくれし紙雛 池部久子 酸漿 201105
紙ひひな倒れる度に笑ひけり 城孝子 火星 201106
目鼻付き雅さ増しぬ紙雛 堺昌子 末黒野 201106
釣銭と共に渡さる紙ひいな 藤田京子 ぐろっけ 201106
三角に折つて畳んで紙雛 岩下芳子 201205
看護婦のつと起しゆく紙雛 田所節子 201205
紙雛の眼もとは母に似て画かれ 久保東海司 201206
紙雛船坂峠の風に向き 浜口高子 火星 201206
紙雛のクレヨンの赤くちびるは 坪内稔典 船団 201206
紙雛玻璃に貼りたる歯科医かな 小川玉泉 末黒野 201206
病床の母に握らせ紙雛 和田郁子 粥の味 201209
玄関にふたつの紙の雛かな 神山市実 やぶれ傘 201209
紙雛の折目正しく夜を見とる 久保東海司 201305
花束の花にまぎれて紙雛 十川たかし 201305
書庫と化す娘の部屋に紙雛 平居澪子 六花 201305
厚みなきことのあはれも紙雛 大崎ナツミ 雨月 201305
紙雛テレビの横に立ちにけり 根橋宏次 やぶれ傘 201305
伏し目勝ち小顔におはす和紙雛 田村園子 201306
然りげなく病室に置く紙雛 大橋伊佐子 末黒野 201306
雛段の角に紙雛飾りけり 國保八江 やぶれ傘 201306
受付に傾ぎ癖ある紙雛 涌羅由美 ホトトギス 201307
単行本の棚の片隅紙雛 河村啓花 ろんど 201406
紙雛添へて介護の朝の膳 山口誠 馬醉木 201406
高齢の指より生るる紙雛 村上倫子 201406
紙雛色を散らして流れけり 松田明子 201408
紙雛の小箱びっしり春を待つ 武生喜玖乃 雨月 201504
玄関に傭きゐたる紙雛 永田万年青 六花 201506
恙なし藁筒に立つ紙雛 陽山道子 船団 201508
紙雛人をらぬとき飛びにけり 中田禎子 201606
毎年よ本の付録に紙雛 高橋将夫 201606
またしても横を向きたる紙雛 森山暁湖 万象 201606
紙雛に紙のぼんぼり紙の菓子 藤井明子 馬醉木 201705
紙雛泣くこと知らず流れけり 石川充 馬醉木 201705
モンブランを買つておまけの紙雛 丑久保勲 やぶれ傘 201705
卒寿なる嫗のかざる紙雛神 犬嶋テル子 春燈 201805
紙雛の扇金色両の手に 安部和子 雨月 201806
紙雛の引目鉤鼻幼くて 松本三千夫 末黒野 201806
冠の少しかたぶき紙の雛 亀卦川菊枝 末黒野 201806
紙雛袂を広げ流れゆく 石橋幾代 201808
凭れ合ひ琴瑟和せる紙雛 森脇貞子 雨月 201905
紙雛添へて手料理届きけり 渡部恭子 馬醉木 201906
床の間に寝かせてありぬ紙雛 曽根富久恵 201909
工作の紙雛ならぶ児童館 木村瑞枝 やぶれ傘 202105
省略の終の表情紙雛 湯川雅 ホトトギス 202108
障子明りに妻が折る紙雛 松田那羅生 202110
紙雛の膝糊付けにして流す 中田みなみ 202206
開け閉ての度に倒るる紙雛 住田千代子 六花 202206
受付に立たされてゐる紙雛 松田明子空 202211
紙雛風に凭れて倒れけり 松田明子空 202211
愛ほしむ間もなく流す紙雛 石橋幾代 202212
嬰児の歯形あたらし紙雛 善野行 六花 202305
娘よりベッドヘ届く紙雛 菅野日出子 末黒野 202306
紙雛や誰の作やら柳腰 伊藤鴉 末黒野 202306

 

2024年3月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。