虫の声 2    100句

本読めば本の中より虫の声   富安風生  冬霞

  虫時雨  虫しぐれ  虫すだく  虫の声  虫の音

虫の闇  虫の夜  虫売  昼の虫  残る虫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
虫の声窓に講座の椅子堅し 中原吟子 雨月 201412
沛然と降りたる後の虫の声 菊谷潔 六花 201412
十六夜の月をみがくや虫の声 菊谷潔 六花 201412
松虫のこゑ加わりて暮色濃し 吉田順子 201501
交差する電車が消しぬ虫の声 秋田典子 六花 201502
雨戸閉め家族息災虫の声 神田惣介 京鹿子 201503
虫の声万葉仮名の混じりをり 寺田すず江 明日葉 201505
鈴虫の声の余白を埋める闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201509
夜の秋の電子辞書より虫の声 齊藤いさを 馬醉木 201510
先がけの青松虫の声降れり 斉木永久 馬醉木 201511
激しくも静寂を生む虫の声 四條進 201511
石庭の箒目にある虫の声 森岡正作 201511
虫の声透し欄間の草や花 上柿照代 馬醉木 201512
虫の声あはれと聞けば哀れなり 寺田すず江 201512
宅配便青松虫のこゑにくる 箕輪カオル 201512
季の移り幽き虫の声聴けり 野村重子 末黒野 201512
虫の声闇を揺らしてをりにけり 和田華凛 ホトトギス 201601
真夜に覚め重なる虫の声を聴く 服部珠子 雨月 201512
戸を鎖せる横笛庵の虫の声 堀田こう 雨月 201512
嬰の声寝息に変はり虫の声 佐藤みち子 京鹿子 201601
砂場には玩具がひとつ虫の声 神田惣介 京鹿子 201601
母逝きぬ三日三晩の虫の声 佐藤喬風 末黒野 201601
山寺の暮るるは早し虫の声 佐藤花木 雨月 201602
慈雨の夜の明けて再び虫の声 青木朋子 201602
虫の声急に止みをり空気圧 石森理和 あを 201611
亡き夫の囁きかとも虫の声 吉田とよ子 春燈 201611
暁方のしげくなりゆく虫の声 久保晴子 雨月 201612
かすかにも雨の間合を虫のこゑ 中嶋昌子 春燈 201612
待たされて舌打つ影に虫の声 藤丸誠旨 春燈 201612
ひと雨の草に残りぬ虫のこゑ 黒滝志麻子 末黒野 201612
芳一に聞かせやりたや虫の声 和田華凛 ホトトギス 201701
さまざまな虫の声きく万歩計 竹内悦子 201701
帰宅してやがてしづかに虫のこゑ 井上静子 201701
受話器取る真夜中虫の声途絶ゆ 下田奉枝 雨月 201702
湯ぶねに目閉ぢて更なる虫の声 白水良子 201702
漢字ひとつ調べてをれば虫の声 篠原京子 201709
暁闇の藁屋どこより虫の声 池野つむぎ 馬醉木 201711
高牧の闇降りてくる虫の声 小森泰子 馬醉木 201712
虫の声降らせて夜の桜の葉 田中藤穂 あを 201711
指折りつ引き算する子虫の声 岡崎春菜 万象 201712
宴果てて洗ふグラスや虫の声 山崎稔子 末黒野 201712
ヘッドホン耳に飛び込む虫の声 飯田久美子 末黒野 201712
ぬばたまの闇につまづく虫の声 三代川玲子 春燈 201712
草叢に譜面を隠し虫の声 室井津与志 春燈 201712
晩酌の一本すすむ虫の声 荻布貢 201712
賑やかに祇園精舎の虫の声 高橋将夫 201801
虫のこゑ祈りのあとの息深く 杉田智榮子 馬醉木 201801
朝までもひびいてをりぬ虫の声 出口誠 六花 201712
隣家との狭き間に虫の声 大野芳久 やぶれ傘 201712
鈴虫の声家ぢゆうを席巻す 松田明子 201802
鈴虫の声虫籠にをさまらず 松田明子 201802
復活の兆しありけり虫の声 前田美恵子 201811
やすらぎと少し淋しさ虫の声 柴田靖子 201811
住み馴れし谷の賤が屋虫の声 川崎雅子 春燈 201811
虫の声や我が家を後に病床へ 石森理和 あを 201811
ジヤングルの庭だからこそ虫の声 出口誠 六花 201812
鈴虫の声遠のくや夢に落ち 渡辺富士子 末黒野 201812
虫の声傘すぼめをるところかな 竹内悦子 201812
夢うつつに聞いてをりけり虫の声 田中美惠子 201812
部屋隅に溜る暗さや虫の声 青谷小枝 やぶれ傘 201901
雨音の中より虫の声ひとつ 白石正躬 やぶれ傘 201901
切株の椅子のさまざま虫の声 有賀昌子 やぶれ傘 201901
右神戸左芦屋の虫の声 大久傑白村 ホトトギス 201901
虫の声些細なことは気に留めず 仲里奈央 201902
耳鳴りの耳も喜ぶ虫の声 出口誠 六花 201911
城跡に攻め入る如き虫の声 七種年男 201911
藍建の藍のほとりに虫の声 林八重子 馬醉木 201911
虫の声熊手ぼうきの並ぶ店 渡邊孝彦 やぶれ傘 201911
仏像の影かさなるや虫の声 たかはしすなお 201912
鈴虫の声溢れ出す留守の家 佐藤千恵 京鹿子 201912
風月を忘れ聞き入る虫の声 菊谷潔 六花 201912
夏の果てほつとしつつも虫の声 菊谷潔 六花 201912
酒仕込始まり虫の声せはし 谷口一献 六花 201912
秋の夜の厨に近く虫の声 増田祐司 やぶれ傘 201912
虫の声厨子の捨身に目を逸す 今泉忠芳 ある日の滴 201912
点々と暮しの灯あり虫の声 小林紫乃 春燈 201912
ふと会話途切るる間合ひ虫の声 大坂正 末黒野 202001
静寂の闇の深さや虫の声 大川暉美 末黒野 202001
一人居や楽し楽しと虫の声 及川照子 末黒野 202001
虫の声ふと我あるを気付きけり 志方章子 六花 202001
線香をくゆらす六階虫の声 平居澪子 六花 202001
切り株の椅子のさまざま虫のこゑ 有賀昌子 やぶれ傘 202002
雨の夜の渡り廊下に虫の声 白石正躬 やぶれ傘 202002
虫の声重なり合うて沈む闇 山田佳乃 ホトトギス 202003
虫の声昨夜の余韻を引き摺りて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
電車待つホームに虫の声のして 小山よる やぶれ傘 202010
虫の声つたなきながら始まりぬ 出口誠 六花 202011
四つ打ちが耳に残りて虫のこゑ 篠田大佳 あを 202011
オンライン句会の拾ふ虫の声 塙誠一郎 202012
虫の声降るやなぞへに沿ふ小道 佐藤克江 202012
虫の声促す風の阜かな 森清堯 末黒野 202012
湯上りの火照りしづめむ虫の声 岡田史女 末黒野 202012
灯を消せば身の内に棲む虫のこゑ 安田優歌 京鹿子 202101
虫の声土間の流しの辺りから 石塚清文 やぶれ傘 202101
失明後描かれし絵とや虫の声 青木朋子 202105
漆黒の闇を研ぐかに虫の声 沼田桂子 春燈 202112
深みゆく季節や虫の声しきり 前原マチ 末黒野 202112
明かり消しひとり聞く夜や虫の声 久島しんの 末黒野 202112
湯上がりの肌をさませり虫の声 秋千晴 202112
閑かさや虫のこゑ果つ夜の雨 浜崎喜美子 202112
虫の声 →3

 

2023年9月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。