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今日も生きて虫なきしみる倉の白壁   尾崎放哉   尾崎放哉選句集

  虫時雨  虫しぐれ  虫すだく  虫の声  虫の音

  虫の闇  虫の夜  虫売  昼の虫  残る虫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
窓際に虫の寄り来るひとり住み 吉田希望 201110
夜はすでに虫の海なり寧く寝む 大畑善昭 201110
虫細る晩酌の間となりにけり 山田六甲 六花 201110
描き上げし俳画を前に夜半の虫 川崎利子 201111
虫鳴いて命の嵩をへらしけり 川崎真樹子 春燈 201112
虫に覚め虫に耳貸す独りの夜 藤岡紫水 京鹿子 201112
雨の止み俄かに虫の宿となり 稲垣佳子 末黒野 201112
長雨の果てたる宵の虫幽か 溝内健乃 雨月 201112
通勤の足を急かする朝の虫 椋本一子 雨月 201112
東京も世田谷あたり虫の秋 今井千鶴子 ホトトギス 201201
平面を高低に鳴き虫の原 湯川雅 ホトトギス 201201
虫鳴くやテノールバリトンバスもあり 中田寿子 ぐろっけ 201201
急坂を来り行基寺虫浄土 手島伸子 雨月 201201
旅装解く虫の坩堝に阿蘇眠り 禰寝瓶史 京鹿子 201203
厨とはしみじみ虫を聴くところ 岡崎伸 遠眼鏡 201203
深山の一法灯や虫わかす 豊田都峰 水の唄 201203
耳塚やこの世のものに草と虫 桂樟蹊子 201208
草引けば虫の浮世が在りにけり 斉藤裕子 あを 201209
草引くは想定外と虫嗤ふ 斉藤裕子 あを 201209
帰りきて厨の蟲が鳴きすがる 丸山佳子 京鹿子 201210
宿坊の眠れぬ夜や虫の秋 西田史郎 201211
虫鳴ける夜半の目覚めや不眠症 辻知代子 201211
川風の丁字路に出て虫の秋 前川ユキ子 201211
鬼来迎鬼に抱かるる虫の秋 亀卦川菊枝 末黒野 201211
家事終へて眠り補ふ虫の昼 坂本依誌子 春燈 201211
カフェバーの薄暗がりに籠の虫 河崎尚子 火星 201211
虫の宿酒は人肌武田節 木村茂登子 あを 201211
虫たちの楽園となる狭庭かな 中山静枝 201212
仕舞湯の暗き灯一つ虫一つ 荒尾茂子 京鹿子 201212
虫籠ののる座布団の錆朱いろ 山本耀子 火星 201212
潮騒に勝りてをりぬ秋の虫 永田万年青 六花 201212
物忘れ度忘れ楽し虫の秋 鈴木藤子 ろんど 201212
わが庭の虫鳴くホ句の小天地 竹下陶子 ホトトギス 201301
帰国して四季ある国の虫を聞く 和田崎増美 雨月 201301
虫絶えぬ深夜テレビの方丈記 田中藤穂 あを 201301
此の虫も美声の波に呑み込まれ 吉村摂護 201301
虫籠を置きて廊下の暗くなる 柴田佐知子 201302
地獄耳なりしが虫も聞えずに 後藤比奈夫 ホトトギス 201303
豆煮える匂ひ虫とぶ勝手口 中山純子 万象 201304
網戸立て囚はれ虫の気持ちかな 布川直幸 201307
山遊びうなじの小虫払ひけり 田中清秀 かさね 201307
耳は虫聴いてゐる目は君を見て 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
虫籠をのぞく漢の真顔かな 笹村政子 六花 201311
虫しげし俳句の虫といふが逝く 原田しずえ 万象 201311
少年の虫籠囲む園児の目 吉田美智子 末黒野 201311
秋の虫丑三つ時の宴かな 山本草風 かさね 201311
歯を見せて笑む妻無言朝の虫 小川玉泉 末黒野 201311
仏性の句碑に傳き虫初音 田中貞雄 ろんど 201311
ひとときを妻の遺影と虫を聴く 小川玉泉 末黒野 201311
町の名に「湯」の名冠して虫の宿 能村研三 201312
虫しげし母のひそかに泣きし場所 原田しずえ 万象 201312
鍵掛けぬ暮しありけり虫の秋 須賀敏子 あを 201312
体調の整ひとみに虫高音 椿和枝 201312
少年の虫籠の蟲のひとつ死す 水野恒彦 201312
すがれ虫ひとり歩くをせかしをり 篠田純子 あを 201312
刈り草を蹴れば虫立つ香り立つ 泉一九 やぶれ傘 201312
目覚めたるままに聞き入り夜半の虫 大橋弘子 末黒野 201312
二坪の中庭に虫鳴いてゐる 小野寺節子 風土 201312
B面がA面となる夜の虫 中野京子 201312
塔のへつり一石ごとに虫鳴けり 村田岳洋 ろんど 201312
虫籠を終の住み処として鳴けり 松田明子 201401
虫絶えて考へること多くなり 笠井敦子 201401
枕木の下の砂利にも虫鳴ける 鳳蛮華 201401
尾根すぢは赤松林細る虫 大島英昭 やぶれ傘 201401
虫籠を終の住み処として鳴けり 松田明子 201402
日向より声を出したる終の虫 工藤ミネ子 風土 201402
虫除けに葡萄の蔓の表皮剥く 森理和 あを 201405
虫の名を忘れをりしを飛び去らる 熊谷ふみを ろんど 201409
地の闇や虫のいのちをいとほしむ 伊藤厚子 ろんど 201411
虫の鳴く菜園に鍬打ちにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201411
星降りて虫の浄土となりにけり 山本喜朗 雨月 201411
青空を夜に継ぐ虫のか細さに 熊谷ふみを ろんど 201412
虫鳴くや闇の吐息と吾が吐息 中山皓雪 201412
虫鳴きて闇に凹凸生れにけり 甕秀磨 201412
土管の中で鳴く虫月がきらいな虫 堀内一郎 堀内一郎集 201412
虫鳴いてこの世に未練ありにけり 西村雪園 風土 201412
あれほどに鳴きゐし虫の行方かな 飛高隆夫 万象 201501
新しき耳ほしくなる虫の楽 田中一美 ろんど 201501
終の虫忌日の数をふやしつつ 熊谷ふみを ろんど 201501
平家谷かかれば虫のまんじ鳴き 和田照海 京鹿子 201501
その中に鳴くを怠けてゐる虫も 押田裕見子 201502
虫老いて風の骸を抱いてをり 鈴鹿呂仁 京鹿子 201502
鳴く虫も鳴かぬ蜻蛉も大原路 半田稜 ろんど 201502
草原の一枚虫に明け渡す 稲畑汀子 ホトトギス 201508
虫聴くや一つは補はれ虫のもの 布川直幸 201509
暗闇を声もてほぐし虫浄土 布川直幸 201509
虫の家に戻りてみれば文の山 山田六甲 六花 201509
虫聴くや一つは補はれ虫のもの 布川直幸 201509
暗闇を声もてほぐし虫浄土 布川直幸 201509
虫の家に戻りてみれば文の山 山田六甲 六花 201509
虫ごゑのしじなる中の石の声 伊藤白潮 201509
蕉翁の碑に存問の虫を徹す 久保東海司 201511
戸袋に一匹の虫消へ入りさう 森理和 あを 201511
鳴く虫を聴き分くひとつふたつまで 吉田政江 201511
虫たちはパーティー我はひとり酒 千田百里 201512
外灯の照らす縁石虫の秋 渡邊孝彦 やぶれ傘 201512
ふるさとや旅人として虫を聴く 木多芙美子 春燈 201512
灯を消して寧けき闇に虫を聴く 曽根京子 春燈 201512
平穏に夫の寝息や虫すずろ 高橋ひろ 万象 201512
虫鳴やそろりと腰を上げてゆく 長崎桂子 あを 201512
ロック止み虫聞き分けて平和論 鴨下昭 201512
冥土から恋ひし悲しと宵の虫 上原重一 201512
季の移り幽き虫の声聴けり 野村重子 末黒野 201512
耳澄ます耳の虫やら庭の虫 村高也 末黒野 201512
挽臼の庭石となり虫の宿 大内幸子 六花 201512
天に星地に虫声の満ちにけり 大橋伊佐子 末黒野 201601
一山の虫の浄土となりにけり 佐藤花木 雨月 201602
陽が廻り社に虫の一縷かな 工藤ミネ子 風土 201611
灯を消せば二階かぶさり虫しげし 佐藤淑子 雨月 201611
三更に虫の浄土となりにけり 石黒興平 末黒野 201612
吾が庭をよくぞ住処に虫鳴けり 武藤節子 やぶれ傘 201612
落語会終り廊下に虫を聴く 福島せいぎ 万象 201612
切株を座とし月待つ虫を待つ 能勢俊子 馬醉木 201612
能果てて虫の磧となりにけり 佐藤貞子 雨月 201612
まだ生きてゐるかと覗く虫の籠 志方章子 六花 201701
虫止んで星々からのとどく音 本多俊子 201701
虫絶えて筧の水音もどりけり 江木紀子 雨月 201701
鳴き終へし虫を啄む鴉かな 飛高隆夫 万象 201702
昼の虫消え入りさうな尼寺かな 山田六甲 六花 201710
曲者の誤植をさがす昼の虫 高橋道子 201710
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2021年9月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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