時 雨 3     158句

塔しのぐもののなければしぐれくる   上田五千石

春時雨  秋時雨  初時雨  時雨  青時雨 青葉時雨

村時雨  片時雨  時雨雲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
時雨るるや三階建の貸家立つ
安陪青人
雨月
200412
物売の声通り過ぐ片時雨
安陪青人
雨月
200412
越(こし)に入る時雨列車の一睡に
品川鈴子
ぐろっけ
200412
時雨るるや護符をめぐらす太柱
遠野萌
200501
蓮着寺寄進瓦の時雨けり
大西八洲雄
万象
200501
茅屋根の苔のつやめく叢時雨
谷野由紀子
雲の峰
200501
大川の平たき時雨遠離る
土肥屯蕪里
雲の峰
200501
看板の紅がくづれる街時雨
土肥屯蕪里
雲の峰
200501
茅屋根の千木に北山時雨かな
中川晴美
雲の峰
200501
朝時雨杉の秀揃ふ美山町
川野喜代子
雲の峰
200501
時雨来よ張三李四の軒々に
定梶じょう
あを
200501
篁に時雨さやぐや嵯峨野径
松村富子
200501
夜は瀬音時雨るる峡のカッポ酒
水原春郎
馬醉木
200501
聖堂の床に雫す時雨傘
品川鈴子
六香
200501
ワゴン車のピザ屋台へと海時雨
品川鈴子
六香
200501
時雨雲朝日を零しはじめけり
稲畑汀子
ホトトギス
200501
火山灰埃お標ほどの時雨跡
小旙普士男
対岸
200501
おふくろの味と書きある時雨の灯
北嶋薫
築港
200501
片時雨赤松林を抜けにけり
田代ヨシ
河鹿
200502
はやばやと門灯点す夕時雨
千田久美子
築港
200502
時雨来て和服の人の蛇の目傘
高木昌子
築港
200502
幾時雨して方丈の冥きかな
高橋照子
雨月
200502
時雨虹倉吉市街ひと跨ぎ
河中透水
雨月
200502
殿のつく法名長し夕時雨
松林順子
雨月
200502
綾子恋ひ来て丹波路の時雨かな
笹倉さえみ
雨月
200502
時雨るるや高層ビルに日を残し
伊藤たいら
雲の峰
200502
焼畑の炎のちろちろと時雨くる
浜口高子
火星
200502
にはとりの砂掻く音や夕時雨
柿澤喜三郎
百鳥
200502
旅果に逢ふ嵯峨野路の片時雨
佐藤よしい
風土
200502
味噌蔵に並ぶ時雨の醤油蔵
田村すゝむ
風土
200502
今日いち日赤城を隠す時雨雲
田村すゝむ
風土
200502
時雨止み妻の気に入る句を作る
小林山狸
六花
200502
山裾へ起伏のまちや夕時雨
能村研三
200502
ちよつとそこまで透明な時雨傘
風間史子
200502
ボールペンの芯替へてより時雨くる
高橋道子
200502
時雨来て光悦垣に止みにけり
大島翠木
200503
時雨きらきら蕎麦屋の昼をひとり酌み
鎌田篤
雨月
200503
片時雨野辺の送りの列長く
高垣和恵
雨月
200503
櫓皮屋根おしめりほどの時雨かな
上西ハナヱ
200503
竹の奧時雨れて苔の墓いくつ
渡邉友七
あを
200503
杉の秀に触れ流れけり時雨雲
石榑正徳
栴檀
200503
時雨るるや足音に寄る鯉の群
徳田正樹
河鹿
200503
「着信あり」の明滅憂きや小夜時雨
佐藤仁
200503
軍歌とは哀しきものよ片時雨
三浦澄江
ぐろっけ
200504
太陽のどこかにありて時雨空
粟津松彩子
ホトトギス
200504
時雨やむまでの相席カプチーノ
辰巳比呂史
200504
鳶一羽電柱に居て時雨けり
徳田正樹
河鹿
200504
照りもせず曇りも果てず時雨けり
徳田正樹
河鹿
200504
人声も時雨も聴いて「眠り猫」
小林晋子
200504
京といふ時雨の香りありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200505
寸計る金堂礎石片時雨
間島あきら
風土
200505
敵も亦薩摩の士族時雨坂
原田竜子
河鹿
200505
濡れ帰るブーメランには片時雨
松本恒子
ぐろっけ
200505
鴨威す板木吊さる時雨雲
芦川まり
八千草
200505
亡き人の風韻時雨ひと走り
若泉真樹
200505
一湾を一重瞼の時雨過ぐ
梶浦玲良子
六花
200505
時雨傘たたみ蒔絵の格天井
川克
遠嶺
200506
炎天下晴後曇一時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200507
時雨虹青空までは伸びきれず
藤浦昭代
ホトトギス
200507
夕映もまた片寄せて沖時雨
藤浦昭代
ホトトギス
200507
日矢共に連れゆく時雨雲速し
藤浦昭代
ホトトギス
200508
校正の朱の浮き立てり夕時雨
卓田謙一
万象
200509
たちまちに木の実時雨を誘ふ風
稲畑汀子
ホトトギス
200510
片時雨月に押されてをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
時雨傘一尺前に君が居り
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
五分十六秒前の時雨かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
時雨傘一本で足る君と僕
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
鏡湖を磨き上げたる朝時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
大会の序曲となりし朝時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
厨子開く弥陀にかなかなしぐれかな
武久昭子
風土
200511
口能登の刈田時雨を急ぐかな
能村研三
200512
しぐれ巌海鵜はなべて韓へ向く
品川鈴子
ぐろっけ
200512
磯茶屋に時雨持ちこむ旅始
大見川久代
馬醉木
200601
九段坂兵の足音しぐれたり
淵脇護
河鹿
200601
駕籠置石しぐれのあとのありにけり
杉浦典子
火星
200601
あれほどの若狭日和も今日しぐれ
鷹羽狩行
200601
しぐれ来て砂にまぎるるますほ貝
鷹羽狩行
200601
しぐれはやそばへとなりて色の浜
鷹羽狩行
200601
山ひとつ動くと見しはしぐれ雲
鷹羽狩行
200601
顔かしげ時雨の音を飛鳥仏
江崎成則
栴檀
200601
子の手引く銀閣坂夕しぐれ
山田耕子
京鹿子
200601
葬り来し少し傾く時雨傘
森洋子
京鹿子
200601
問診のひらがなばかり時雨来る
西野初音
京鹿子
200601
時雨傘会ひたい人に会ふために
瀬下るか
200601
時雨来る定家庵(いおり)に石一つ
神蔵器
風土
200601
時雨過ぐ鞍馬に「尊天」漲らふ
林いづみ
風土
200601
マンションの柱状灯る夕しぐれ
岡本眸
200601
立ちしままバスを待つ間の夕時雨
芝尚子
あを
200601
いねがての戸締りに聞く小夜時雨
芝尚子
あを
200601
藁買ひの荷を積みいそぐ遠時雨
定梶じょう
あを
200601
時ならず目覚まし鳴つて時雨かな
定梶じょう
あを
200601
百幹の撓る青さよしぐれたり
淵脇護
河鹿
200602
しぐれ来と記念撮影急かすなり
菅野啓子
百鳥
200602
象潟の憾むがごとき時雨かな
小澤克己
遠嶺
200602
天台か曹洞宗かしぐれ寺
小澤克己
遠嶺
200602
荒時雨ひとり戻らぬ暮の寺
小澤克己
遠嶺
200602
時雨るるや胃カメラ少し気になりて
嶋木勝次郎
遠嶺
200602
深山木へ苔を被せゆく霧時雨
村田菊子
遠嶺
200602
篠笛の東の廓小夜時雨
塩由造
万象
200602
しぐれつつ夕映えおよぶ文学館
中野了一
200602
喪の家の灯の洩れ来り夕時雨
細川コマヱ
雨月
200602
犬の歩の進まぬ時を時雨来る
加古みちよ
火星
200602
虹かけて山峡渡る時雨かな
小松渓水
酸漿
200602
一人居の人恋しさや夕時雨
南原正子
酸漿
200602
切株の年輪濡れて時雨過ぐ
小林和子
風土
200602
裂織の布裂く夜の時雨かな
菅原末野
風土
200602
武蔵野の白鳳仏にしぐれをり
浜口恵以子
風土
200602
釈迦堂の背山より来し時雨かな
岡村葉子
栴檀
200602
旅愁ふと時雨宿りの岬茶屋
名取袿子
200603
住み古るも流離の思ひ夜時雨
野中啓子
200603
時雨るるに漁火数へゐたりけり
波多野キヨ子
200603
落葉松の影となりゆく時雨あと
丹羽啓子
馬醉木
200603
人待つ灯点して港しぐれけり
工藤義夫
馬醉木
200603
小倉山抜ければ嵯峨野時雨かな
稲岡長
ホトトギス
200603
日の暮は時雨佳しき日本海
稲岡長
ホトトギス
200603
俳磚に日の当りつつ時雨冷
桑田青虎
ホトトギス
200603
そこはかとある虚子館の時雨冷
桑田青虎
ホトトギス
200603
時雨るるや遠き列車に日当たりて
渡辺鮎太
200603
幼稚園しぐれていまだ退けぬかな
久保田万太郎
春燈
200603
ごまよごし時雨るゝ箸になじみけり
久保田万太郎
春燈
200603
鍋に火のすぐきいてくるしぐれかな
久保田万太郎
春燈
200603
水にまだあをぞらのこるしぐれかな
久保田万太郎
春燈
200603
つゝがなく二階ともれるしぐれかな
久保田万太郎
春燈
200603
押されつつ入る銀閣庭しぐれ
山田耕子
京鹿子
200603
外人も手を引かれ入る夕しぐれ
山田耕子
京鹿子
200603
七星の柄杓のこぼす時雨かな
喜子
200603
時雨るるや夜の屋台にギター弾き
近藤幸三郎
風土
200603
禅寺のふるまひの粥夕しぐれ
岡淑子
雨月
200603
一行詩の言の葉逃ししぐれ急
水谷芳子
雨月
200603
法要の間も故郷の時雨癖
椋本一子
雨月
200603
湖東ゆくいつもどこかにしぐれ雲
笹村政子
六花
200603
多摩しぐれ峠これより甲斐しぐれ
西口万佐子
200603
時雨るるや紅殻塗りの格子窓
川添フミ
対岸
200603
若狭湾日がな音なし時雨来し
稲岡長
ホトトギス
200604
若狭富士暗みしよりの時雨癖
稲岡長
ホトトギス
200604
更けし夜の北国時雨つのる宿
安原葉
ホトトギス
200604
一天の日や足ばやの時雨雲
安原葉
ホトトギス
200604
ひと時雨ありし芦屋の松並木
山田弘子
ホトトギス
200604
洛中の賑うてをり夕時雨
荒川ともゑ
ホトトギス
200604
沼の面の翳り俄かにしぐれきし
荒川ともゑ
ホトトギス
200604
しぐれつつ一つ大きく燃ゆる星
山田弘子
ホトトギス
200604
昼月とまがふ日輪奈良しぐれ
畑絹枝
馬醉木
200604
西の賀に時雨彩るものとして
稲畑廣太郎
ホトトギス
200605
時雨るるや河岸に総家と総本家
遠野萌
200605
敷石をしめらす程の時雨する
森津三郎
京鹿子
200605
牛馬童子に屈み差し掛く時雨傘
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200605
時雨るるや事を始めの白湯啜り
木内憲子
200605
空襲の斯かるしづけさ夕時雨
瀧春一
常念
200606
手を振つて見送る母や月しぐれ
山田耕子
京鹿子
200606
家居して時雨ありしと聞くばかり
稲畑汀子
ホトトギス
200611
時雨傘たためば乾きをりしこと
稲畑汀子
ホトトギス
200611
時雨来と少し仰ぎしほどのこと
稲畑汀子
ホトトギス
200611
時雨るるや湖北は歴史秘めしまま
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
鏡湖の水面騒がず片時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
時雨るるや余呉に明るさ移しつつ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
時雨るるや浪速は涙雨として
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
夕時雨湖北の神話繙かれ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
小夜時雨君が瞳を濡らすとき
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
時雨 4      

 

2022年11月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。