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   鴨(群)  鴨(水尾)  鴨の陣  鴨鍋  浮寝鴨  真鴨

 通し鴨 夏鴨  夏の鴨

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
飛び石を行く人に慣れ池の鴨 小川玉泉 末黒野 201302  
幾山河越え来て鴨の撃たれたる 碇天牛 雨月 201302  
着水の鴨の水輪の重なりぬ 田村加代 末黒野 201302  
羽撃きの揃ひて堅し渡り鴨 田中涼平 201302  
羽ばたける音のしきりや鴨日和 城戸緑 末黒野 201302  
はるかより鴨来て水を疑はず 浅田光代 風土 201302  
「ゆく川の流れ」に鴨の諍へり 浅田光代 風土 201302  
念力に引かれてきたる鴨一羽 藤田素子 火星 201302  
かいつぶりちやつかり鴨に紛れても 藤田素子 火星 201302  
磔の形に鴨の立ち上がる 矢野百合子 201302  
初鴨に陸の草ぐさねんごろな 深澤鱶 火星 201302  
初鴨の水輪大きく繋がれり 小林正史 201302  
鴨の声沼の辺に花袋の碑 鈴木石花 風土 201302  
かたまつて遡りゆく鴨も人も 浅田光代 風土 201302  
渡り鴨仕留めたる夜の咄かな 井上石動 あを 201302  
ふかぶかと首を沈めし鴨流る 山内碧 201303  
日表へさざ波を分け池の鴨 新堀満寿美 末黒野 201303  
日暮鴨われを汀に佇ます 山田六甲 六花 201303  
波押へ勾玉池の鴨の聲 長崎桂子 あを 201303  
三四郎池飛石浮かべ鴨浮かべ 堀光子 春燈 201303  
温さうや鴨のしきりに潜る水 大坪景章 万象 201303  
夫婦別姓鴨の千羽にめまひする 伊藤希眸 京鹿子 201303  
鴨は餌を光の中に奪ひ合ふ 山田六甲 六花 201303  
鴨一羽置き大川の真つ平ら 川口崇子 万象 201303  
鴨集ふ池を掠めて都鳥 城戸緑 末黒野 201303  
あかつきの光ゲの交響鴨の沼 石川寿夫 ろんど 201303  
真つ向に沈む夕日や鴨の湖 三枝邦光 ぐろっけ 201303  
水玉を背なに遊ばすつがひ鴨 藤原千代子 万象 201303  
わつと鴨飛べば渚に人の声 岡野ひろ子 201304  
朝月や土手をへだてて鴨の声 白石正躬 やぶれ傘 201304  
俳人の色紙を額に鴨の宿 坂上香菜 201304  
首立てて見送る鴨も居りにけり 柴田佐知子 201304  
鴨の声ほかに音なき余呉の湖 三枝邦光 ぐろっけ 201304  
松明の水面の鴨のふためける 河崎尚子 火星 201304  
緋鳥鴨後に靄る畝傍山 北村淳子 ろんど 201305  
首根まで泥に汚して番ひ鴨 坂場章子 201305  
柳川やみな泳ぎゐる朝の鴨 青木朋子 201305  
シベリアの冬を連れ来し鴨なりし 竹下陶子 ホトトギス 201305  
憩ふ鴨気付かぬほどの昼の月 松田泰子 末黒野 201305  
堅田浦万羽の鴨に明け渡す 古賀しぐれ ホトトギス 201305  
もう阿波を出づる気はなし鴨を見る 上崎暮潮 ホトトギス 201306  
帰り仕度の鴨鳴いてをり流離仏 岩木茂 風土 201306  
畝傍山背に鴨の嬥歌のたけなはに 北村淳子 ろんど 201306  
夜鴨啼く湖心と思ふ大闇に 竹下陶子 ホトトギス 201307  
放たれし子鴨青田に走り入る 八幡操 ぐろっけ 201310  
初風や鴨羽摶ける脇白し 浜口高子 火星 201311  
初鴨の小さきはばたき着水す 小澤菜美 201312  
人間に鴨のくらしを見せに来る 瀧春一 花石榴 201312  
初鴨やしぐれの黙の沼豊か 宮内とし子 201401  
水音の聞こえて鴨のこゑのして 大島英昭 やぶれ傘 201401  
大淀の岸のさざ波鴨待てる 山本耀子 火星 201401  
銅鐸を叩けば鴨の鳴きにけり 森高武 風土 201402  
白帝城の影を乱して鴨泳ぐ 大橋淳一 雨月 201402  
さざ波に戯る鴨の一羽かな 工藤はるみ 風土 201402  
初鴨を待つ名園の水面かな 橋本くに彦 ホトトギス 201402  
鏡なす水に鴨ゐて枳殻邸 熊岡俊子 雨月 201402  
荒草のこんなところに番鴨 井上淳子 火星 201402  
一水の光の中に鴨来る 河野美奇 ホトトギス 201403  
鋭角の水脈を重ねて鴨三羽 青木朋子 201403  
ひと眠りして古沼の鴨となる 田丸千種 ホトトギス 201403  
波に風に逆ひ行けるはぐれ鴨 丸尾和子 雨月 201403  
鴨と鷺離れたるままマンデラ逝く 石田きよし 201403  
鴨のみな向きを揃へて遠ざかる 宮平静子 雨月 201403  
初鴨の円を描いて着水す 湖東紀子 ホトトギス 201403  
初鴨の靄より気配ありにけり 河野美奇 ホトトギス 201403  
鴨を背になぞりても碑の読めきれず 山田六甲 六花 201403  
鴨見てる青年ふいに指鳴らす 片山煕子 京鹿子 201403  
鴨来るうてなの水を転ばせて 落合紺代 風土 201403  
丸々と鴨の帰心でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403  
金閣のほかは映さず戻り鴨 和田照海 京鹿子 201403  
空よりも暗き水面へ鴨戻る 青木朋子 201403  
張りつめし水面ざわめき鴨降り来 中島知恵子 雨月 201403  
鴨羽撃けり水の光をふりほどき 成田美代 201403  
引き支度整ふ鴨の羽艶かな 塩路隆子 201404  
一枚は魞一枚は鴨の窓 古賀しぐれ ホトトギス 201404  
頭を埋め毬となりたる杭の鴨 坂場章子 201404  
屯して眠れる鴨を月照らす 金森教子 雨月 201404  
麦二寸爆竹鳴らし鴨を追ふ 田村愛子 万象 201404  
浮鴨の飽くることなき暇潰し 田中貞雄 末黒野 201404  
万の鴨のせ淡海てふ大日向 古賀しぐれ ホトトギス 201404  
幾千の鴨の屯や波しづか 中川すみ子 201404  
鴨の音に醒め朝靄の城下町 乾有杏 201404  
鴨の池大鯉ふいに跳ねにけり 小山陽子 やぶれ傘 201404  
湖明けて飛白模様に鴨白鳥 松井志津子 201404  
殿をゆつくりあゆむ巴鴨 吉弘恭子 あを 201404  
逢ひに行く鴨との別れ近づきて 竹内悦子 201405  
鴨よりは白鳥所望添寢には 佐藤喜孝 あを 201405  
頸すぢに青のさばしる雄の鴨 竹内弘子 あを 201405  
人馴れの鴨の集まる河川敷 杉本裕子 末黒野 201406  
水に立ち水を飲みゐる番鴨 青木朋子 201406  
湖の神見守る鴨の潜り継ぐ 久保東海司 201406  
町なかの川へ残れる鴨静か 市川伊團次 六花 201407  
初鴨に空母のやうな余呉湖かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410  
初鴨や叡山の忌を知りしかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410  
初鴨に水面緩んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
さざ波の 雲母 きらら に鴨の包まるる 山田六甲 六花 201411  
鴨の餌父と娘の分かち合ふ 山田六甲 六花 201411  
菅浦のすめらぎ慕ひ来し鴨ぞ 稲畑汀子 ホトトギス 201412  
初鴨やわが町の川ゆるやかに 西岡啓子 春燈 201412  
初鴨や寡婦として日々はじまるか 那須礼子 春燈 201412  
薄明の水に声あり鴨来る 石田きよし 201412  
雲重きゆえ首のべて鴨ゆくや 堀内一郎 堀内一郎集 201412  
月上る鴨の塒の潦 浜福恵 風土 201412  
鴨発つや昆沙門沼の蘆蹴つて 和田和子 馬醉木 201501  
鴨翔つや一瞬空の暗くなり 樋口英子 201501  
初鴨か二羽湖に着水す 大橋晄 雨月 201501  
初鴨やいつものやうに川へ来て 根橋宏次 やぶれ傘 201501  
水底を見てゐる時の鴨の足 井上静子 201502  
鴨の来て多情多恨の神田川 神蔵器 風土 201502  
ふるさとの川風暮れて鴨の声 飛高隆夫 万象 201502  
白鳥の湖暮れてより鴨の鍋 沢木欣一 万象 201502  
先乗りと見ゆる七羽の羽白鴨 菅野日出子 末黒野 201502  
鴨の来て湖の寒さを拡げたり 久保東海司 201502  
昆陽の鴨行基菩薩を慕ひ来し 堀井英子 雨月 201502  
丸まって鴨のまどろむ山の池 嶋崎豊子 雨月 201502  
初鴨の嗽ぐのみ神の池 相良牧人 201502  
蹼のてんやわんやを見せぬ鴨 石田きよし 201502  
水玉が包む帰りの近き鴨 山田六甲 六花 201502  
水玉に鴨の羽ばたきゐたりけり 山田六甲 六花 201502  
同じ地圖たづさえてをり鴨の池 佐藤喜孝 あを 201502  
鴨喰うて比良八荒の日なりけり 山田六甲 六花 201503  
飛来すや否や浮寝の鴨となり 足立典子 雨月 201503  
鴨を詠む虚子の句碑の辺鴨遊ぶ 江木紀子 雨月 201503  
漣は風のハミング鴨遊ぶ 江木紀子 雨月 201503  
新入りの鴨に日向を譲りけり 園部早智子 ろんど 201503  
折り返し地点のバスや鴨の声 たかはしすなお 201503  
初鴨や迫りくる目のおそろしき 小林愛子 万象 201503  
いつ見ても泣き貌ばかり巴鴨 柴田佐知子 201503  
水の面を剥がして百の鴨翔てり 西村操 雨月 201503  
堰に鴨北帰準備の身繕ひ 坂上香菜 201504  
大小の波を躱して鴨飛翔 坂根宏子 201504  
鴨去にし湖月に夜を明かしけり 山田六甲 六花 201504  
かまびすし鴨重なりて餌を漁り 秋川泉 あを 201504  
葭鴨は風格ありのナポレオン 秋川泉 あを 201504  
はぐれ鴨岸辺にぽつり動きなし 秋川泉 あを 201504  
葦の沼力たくはへ鴨眠る 秋川泉 あを 201504  
いま覚めしばかりの鴨のこゑであり 岩岡中正 ホトトギス 201505  
太陽をちりぢりにして鴨過ぎる 山本素竹 ホトトギス 201505  
霙るるや池に軽鴨滑るのみ 内藤惠子 万象 201505  
二十日正月鴨南蛮を喰ふもよし 田中貞雄 ろんど 201505  
帰る日の近きか濠の鴨の数 石垣幸子 雨月 201505  
鴨泳ぐ流れに首を入れながら 出口誠 六花 201505  
鴨三羽川面波立て泳ぎ居り 藤波松山 京鹿子 201505  
水鏡柳ゆうらり親子鴨 布川孝子 京鹿子 201505  
北帰行近き鴨とぞ打ち眺め 江木紀子 雨月 201506  
命懸けに酒呑む漢鴨の宿 赤松有馬守破天龍正義 六花 201506  
帰心かな先へ先へと鴨の首 生田恵美子 風土 201506  
番鴨こもごも潜く花明り 上谷昌憲 201506  
黒々と畑おこされての鴨の列 小林和子 風土 201507  
風向きに小鴨泳げり高瀬川 杉本薬王子 風土 201507  
水底に身を没しつつ鴨交る 安斎久英 末黒野 201507  
浮島に昼寝うながす鴨に微風 佐藤恭子 あを 201509  
初鴨に江戸の庭園引き締る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510  
古都の空初鴨に引つ張られゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511  
初鴨に古都の空ほほゑんでゐる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511  
湖の神見守る鴨の潜りつぐ 久保東海司 風鈴 201512  
一羽二羽三羽初鴨小名木川 小張志げ 春燈 201512  
百の杭七つ八つ占め鴨来る 石田きよし 201512  
原子爐のうへを通ひて鴨來る 佐藤喜孝 あを 201512  
印南に八十九池鴨渡る 山田六甲 六花 201512  
初鴨の暮れゆく声をつなぎあふ 柴田久子 風土 201512  
鴨渡り来るを待たるる湖畔宿 宮原悦子 雨月 201512  
波光る水面につどふ鴨小鴨 門伝史会 風土 201512 琵琶湖堅田
月夜鴨羽搏ちて葦の折れにけり 石川倜子 馬醉木 201601  
鴨鳴くや水より暮るる里の池 岡野ひろ子 201601  
大池やさざなみひろげ鴨来たる 黒滝志麻子 末黒野 201601  
一陣の堅さに構へ見張鴨 高橋明 末黒野 201601  
初鴨のひと打賀茂川かもの波立てる 前田美恵子 201601  
沖に日矢鴨は入江の黙に浮く 松本鷹根 京鹿子 201602  
まだ癒えぬ膝なり鴨に会ひにゆく 岩井京子 201602  
古民家や放し飼ひなる鴨の列 有賀鈴乃 末黒野 201602  
夜畑に鴨のうごめきをりにけり 山田六甲 六花 201602  
媛陵に逃げてゆきたる番ひ鴨 廣畑育子 六花 201602  
池の松乱して鴨の番はや 佐藤恭子 あを 201602  
胸立てて羽搏てる鴨や朝の日矢 能勢俊子 馬醉木 201603  
かぎとなり飛来せる鴨着水す 桜井知恵子 雨月 201603  
先陣を離れし鴨の自在かな 寺田すず江 201603  
鴨啼いて近江の水のあたらしき 浅田光代 風土 201603  
深更まよなかの畑は鴨にうごめける 山田六甲 六花 201603  
鴨の夢破つて鳧め飛ぶ夜かな 山田六甲 六花 201603  
一水の曲りに集ふ鴨の群 笹村政子 六花 201603  
人影に鴨の百羽の水走り 松井志津子 201604  
逆さ富士乱して鴨の連なれる 竹内タカミ 201604  
湖のほどよき沖に二羽の鴨 有賀昌子 やぶれ傘 201604  
螺子捲きの柱時計や鴨の宿 森脇貞子 雨月 201604  
鴨の水尾拡ごる果の賤ヶ岳 森脇貞子 雨月 201604  
鴨冴えて孤影群影それぞれに 鈴木良戈 201605  
鴨黙し己のさむき影曳ける 鈴木良戈 201605  
それぞれの水輪に鴨の一羽づつ 鈴木良戈 201605  
鴨撃の百発百中とはいかず 園部蕗郷 春燈 201605  
水削りつがひの鴨の着水す 嶋崎豊子 雨月 201605  
初鴨に水は硬さを解きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611  
初鴨に人工池といふ気品 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611  
初鴨に水微笑んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611  
鴨の陣平和な距離を保ちつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611  
年取島の水際に鴨の一番手 浜福惠 風土 201611  
初鴨の眩しき水輪放ちけり 多田ユリ子 201612  
初鴨の万里飛び来し声を吐く 山田六甲 六花 201612  
湖中句碑鴨の寄るべとなりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201612  
阿蘇の水鴨に命を与へつぐ 稲畑汀子 ホトトギス 201612 鴨 →9

2019年11月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。