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 通し鴨 夏鴨  夏の鴨

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ひとしきり騒ぎし鴨のまた静か 飛高隆夫 万象 201803
鴨の水脈池を大きく使ひけり 太田良一 末黒野 201803
鴨発ちぬ綺羅のしぶきをほどきつつ 森清堯 末黒野 201803
着水の光を散らし鴨数羽 黒滝志麻子 末黒野 201803
土手の鴨絵画のやうにうづくまる 升田ヤス子 六花 201803
四万十の河口まぢかに鴨群るる 藤生不二男 六花 201803
夕闇のなかで増えたり鴨の声 宮本加津代 万象 201803
弥生坂くだれば池に鴨群れて 大崎紀夫 やぶれ傘 201803
からつぽの波止は日溜鴨溜 古賀しぐれ ホトトギス 201803
手を上げて渡る信号鴨の陣 鈴木みのり 201803
夕日影池面を移る鴨の陣 堺昌子 末黒野 201804
日向鴨機嫌の尻を振りにけり 黒滝志麻子 末黒野 201804
岸の鴨やすらふ時も水に向く 松井志津子 201804
声上げて陣をたちゆく鴨一羽 堀田こう 雨月 201804
たゆたひて鴨のかじれる金閣寺 藤田美耶子 201804
先導もしんがりも居る鴨の群 久保夢女 201804
蒼天の鏡池なり鴨の水尾 廣畑育子 六花 201804
銃声に群れを離るる鴨一羽 藤生不二男 六花 201804
百合鴎鴨の撒餌を奪ひたる 永田万年青 六花 201804
舟べりに消えてゆきけり鴨の水尾 永田万年青 六花 201804
鴨の水尾ま昼けだるき沼を裂き 升田ヤス子 六花 201804
鴨の陣ひといき遅き一羽かな 山荘慶子 あを 201804
雪をゆく鴨のおぼつかなき歩み 四方由紀子 風土 201805
群れはづれ沖へ沖へと番鴨 林徹也 201806
鴨の陣浮寝の足は寝てをらず 角野良生 201806
嘴を先へ先へと鴨帰る 森清堯 末黒野 201806
初鴨を淋しがらせることならじ 後藤比奈夫 ホトトギス 201806
広やかな池なりし初鴨四五羽 後藤比奈夫 ホトトギス 201806
紀州徳川家の庭の鴨の池 後藤比奈夫 ホトトギス 201806
豊かなる水を残して鴨引けり 笹村政子 六花 201806
引鴨へ日和つづきの湖平ら 和田照海 京鹿子 201806
鴨帰る船の汽笛の谺して 谷村祐治 雨月 201806
鴨引くや酒のにほひの藏の上 中島陽華 201807
尾長鴨見惚れてをれば見返さる 青木朋子 201808
渡り来て命果てたる鴨一羽 青木朋子 201808
大琵琶に着きしばかりの鴨と見し 稲畑汀子 ホトトギス 201810
渡り来し鴨に寄り添ふひと日かな 稲畑汀子 ホトトギス 201810
人の踏む木の実を待てり居付鴨 黒坂紫陽子 馬醉木 201812
鴨渡り来て吃水を高くしぬ 和田照海 京鹿子 201812
初鴨を待ちし艇庫を真開きに 和田照海 京鹿子 201812
鴨の陣桜田濠に日比谷濠 篠田純子 あを 201901
四、五百羽鴨を浮かせて御堂霽れ 松本鷹根 京鹿子 201901
はぐれ鴨湖の光にとけこんで 谷田明日香 風土 201901
初鴨に流れ勢へり町の川 中根美保 風土 201901
心経橋殿橋や鴨来る 林いづみ 風土 201901
鴨来るきのふとちがふ今朝の河 谷田明日香 風土 201901
遠山と鴨の群れみて帰りけり 白石正躬 やぶれ傘 201901
鴨は群れ鷺は孤高を守り抜く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
哲学の道や沈思のはぐれ鴨 能村研三 201901
鴨の来て水嵩増せり湖中句碑 足立典子 雨月 201901
大琵琶を枕に鴨の浮寝かな 足立典子 雨月 201901
初鴨の声王陵の杜明くる 大石喜美子 雨月 201901
先陣の鴨の嘴より日のしづく 佐藤喬風 末黒野 201902
落合ひの疏水明りに鴨睦む 柴田近江 201902
水たたく鴨の羽ばたき若きかな 近藤喜子 201902
数へては数へ直して鴨の数 岡田正義 雨月 201902
尻上げてみな水中へ尾長鴨 佐藤やすこ 風土 201902
鴨来る確かに聞きし笑ひ声 奥田茶々 風土 201902
翔つ鴨の足は水面を滑りつつ 瀬戸薫 風土 201902
一舟もなく安らけし鴨の沼 黒滝志麻子 末黒野 201902
鴨の群数へて一羽増えにけり 善野行 六花 201902
みづうみのざつとかぞふる鴨の数 藤生不二男 六花 201902
背を向ける鴨らに大き波のくる 半谷洋子 201903
「ねむいね」「うん」「ねむいね」「うんうん」鴨の陣 おーた一えつこ 201903
外堀名残りぷかりぷかりと鴨の陣 おーた一えつこ 201903
鴨眠る沼の払暁霧動く 正谷民夫 末黒野 201903
鴨の水尾にほの水輪のうち混じり 南うみを 風土 201903
鴨の池鴨遠ざけて鷹棲める 森幸 雨月 201903
先陣の鴨に鴨池広きかな 森幸 雨月 201903
着水の声高々と鴨来る 堀井英子 雨月 201903
真つ直ぐに鴨二羽並び水尾を引く 長谷仁子 春燈 201903
監視カメラの死角地を歩く鴨 篠田純子 あを 201903
鴨引いて水面余白を広げゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
年の暮れ巣鴨地蔵を詣でけり 橋本美代 やぶれ傘 201904
鴨来る東雲の雲開きつつ 佐藤喬風 末黒野 201904
散策の乾通りも鴨の頃 石黒興平 末黒野 201904
隠沼の日を漁りをり番ひ鴨 松本三千夫 末黒野 201904
浮寝鴨昨日のかほで目覚めをり 岩岡中正 ホトトギス 201904
外濠の水口占むる鴨の陣 元和木恵美子 馬醉木 201904
間合よき鴨の番よかげろへり 佐藤あさ子 201905
沼べりを埋めつくすほど鴨の来て 坂入喜代枝 201905
渡り来し鴨の細身や心字池 若泉真樹 201905
つがひ鴨しづかに水脈を重ねけり 善野行 六花 201905
鴨帰る束の間の影水に置き 升田ヤス子 六花 201905
日輪の水影に鴨消えにけり 升田ヤス子 六花 201905
鴨の陣隙だらけなり平和なり 久保夢女 201905
鴨帰る三井の晩鐘こだまして 谷村祐治 雨月 201905
行く鴨の滑走の脚たたみけり 藤生不二男 六花 201906
護岸工事に抗議してゐる百の鴨 西村白杼 京鹿子 201906
鴨鳴くや人の噱の声を出し 園部蕗郷 春燈 201906
鴨帰る余呉湖に影を残しつつ 和田華凛 ホトトギス 201906
庭園の鴨の番の残るかな 大橋晄 雨月 201907
矢の刺さる鴨のあわれや初閻魔 酒井たかお 201907
鴨にやる餌掠め取る鴎かな 岩井京子 201907
初波の揺れもめでたく鴨来る 岩井京子 201907
すいすいと禁猟池の真鴨かな 吉田悦子 201909
鴨の陣とは氷川丸盾として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
幾群となき鴨の群一になりぬ 大橋櫻坡子 雨月 201912
近江八幡暮れ櫂の音と鴨の声 中内敏夫 202001
鴨の陣崩れてはまた鴨の陣 増成栗人 202001
鴨の来て鳰来て神の戻り来て 増成栗人 202001
初鴨や遊覧船の水しぶき 大森三保子 馬醉木 202001
初鴨や夕日掻きよせ陣をなす 山本雅子 馬醉木 202001
晴れ晴れとさざなみ引けり尾長鴨 黒滝志麻子 末黒野 202002
初鴨や着水の美を競ひあひ 平居澪子 六花 202002
振袖の模様となりぬ鴨の陣 升田ヤス子 六花 202002
隊列のすこしあやふや鴨進む 浅田光代 風土 202002
みづうみの闇ひたひたと鴨雑炊 南うみを 風土 202002
瞑想の鴨ゐて群れに近寄らず 尾野奈津子 京鹿子 202002
釣竿と銃を見分ける湖の鴨 亀田虎童子 202002
鴨の数かぞへてをれば鯉がはね 山本久枝 やぶれ傘 202002
鴨の数陣を組むにはまだ足らぬ 半谷洋子 202002
引きどきの干潟に鴨の来るは来るは 増成栗人 202002
近づけば川に飛び込む鴨の群れ 白石正躬 やぶれ傘 202002
鴨一つ翔てば百翔つ川明り 西村白杼 京鹿子 202002
変なこと話しかけない鴨好きよ 林田麻裕 202003
鴨の陣たちまち鯉の餌に走る 田尻勝子 六花 202003
海光に収まりきらぬ鴨の群 笹村政子 六花 202003
籠沼の隅をひろびろ残鴨 山田六甲 六花 202003
群れゐるは風のなき日の浮寝鴨 立石まどか 202003
夕滲みの来てゐる浦の鴨の陣 山崎正子 202003
鴨万羽少彦名の裾曲かな 宮原悦子 雨月 202003
汐入の池泉に鴨の来りけり 宮原悦子 雨月 202003
牛ヶ首池つがひの鴨の離れざる 大橋晄 雨月 202003
殿の着きて整ふ鴨の陣 岡野里子 末黒野 202003
窓四角あんパンは丸さて鴨は 坪内稔典 船団 202003
一陣の鴨立ち去りし後の黙 荒川心星 202003
鳴きこゑの一つ一つや鴨の群れ 藤生不二男 六花 202003
発つ前のざわめいてゐる鴨の群 永田万年青 六花 202004
迷ひ鳥の一羽に崩れ鴨の陣 小原紀子 末黒野 202004
鴨鳴きて沼の静寂を戻しけり 森高武 風土 202004
捨て舟に夕日とどむる鴨の陣 石川倜子 馬醉木 202004
鴨五羽のONETEAMなり湖の朝 田中信行 202004
鴨の陣あまた置き琵琶湖の余裕 山ア貴子 ホトトギス 202004
鴨浮寝しても方向間違へず 山ア貴子 ホトトギス 202004
濠あれば川あれば池あれば鴨 山ア貴子 ホトトギス 202004
薄氷を胸で分けゆく鴨の二羽 佐藤喬風 末黒野 202005
逆光のさざめき鴨の群帰る 伊藤希眸 京鹿子 202005
水古き堀に初鴨混み合へる 戸栗末廣 202005
水に漬く木の枝の下の番ひ鴨 田尻勝子 六花 202005
王宮のこんな所に鴨のゐし 竹下陶子 ホトトギス 202005
先導は鴨でありけり城見舟 古賀しぐれ ホトトギス 202005
大川に北帰を前の鴨百羽 守屋吉郎 202006
初鴨のこゑに濁りのありにけり 戸栗末廣 202006
片側に移されしごと鴨群るる 高倉和子 202006
残りたる鴨の一羽の浮きしづむ 藤生不二男 六花 202007
褥には狭し都心の鴨浮寝 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
鴨浮寝人との距離を保ちつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
川岸を行けば鴨翔ち土鳩翔ち 大島英昭 やぶれ傘 202101
岸によれば鴨が飛び込む五羽六羽 白石正躬 やぶれ傘 202101
この池にうから待つのか渡り鴨 中山惠子 202101
鴨来る散歩楽しむ十五分 飯塚トシ子 202101
浄水の泡の向こうに鴨の陣 飯塚トシ子 202101
初鴨やはやつがひにて道の端 善野行 六花 202101
初鴨やさ揺らぐ池の舫ひ舟 岡野里子 末黒野 202102
初鴨の群れて池面の波の綾 高木邦雄 末黒野 202102
鴨の群れ潮満ちくれば数を増し 鈴木英雄 末黒野 202102
心字池にこころ許せり鴨の群 中貞子 202102
口中にのどあめ浮鴨にひなた 浅田光代 風土 202102
うなづきにうなづき返す番鴨 浅田光代 風土 202102
鴨眠る遅れし一羽加はりて 浅田光代 風土 202102
蘆鴨の暮れて混み合ふ翁の忌 浅田光代 風土 202102
先陣といふには多き鴨の群 藤生不二男 六花 202102
水脈広げ来るつややかな鴨の胸 善野行 六花 202103
鴨の水脈延ぶるや胸のすく思ひ 善野行 六花 202103
見晴らしの良き吉日に鴨来る 住田千代子 六花 202103
暮るる川に鴨ごろごろと石のごと 渡邊孝彦 やぶれ傘 202103
足元の岸に寄りくる鴨の水尾 湯本正友 やぶれ傘 202103
靄晴るる仮寝の鴨の波のしわ 本郷公子 京鹿子 202104
二人来て散らしてしまふ鴨五十 宮本幸子 ホトトギス 202104
吾等のみこの静けさの中の鴨 宮本幸子 ホトトギス 202104
己が曳く水尾足し鴨の鴨に蹤く 湯川雅 ホトトギス 202104
雪舟の松を遠目に鴨の群れ 浜福惠 風土 202104
鴨寄り来扇のごとき水輪曳き 河原敬子 202104
隠沼の心許なき鴨の数 松田明子 202104
残照にゆるみ始めし鴨の陣 永淵惠子 202104
日の照らふ池に団居の真鴨かな 森清信子 末黒野 202104
あかつきの空の一角初鴨来 大西乃子 202105
寄りわかれ鳴き交はしては鴨の群 岡田史女 末黒野 202105
フォーカスは鴨の群れへと息をつめ 池乗恵美子 末黒野 202105
撒かれたるパンに崩れぬ鴨の 小池桃代 末黒野 202105
こもごもに潜る速さや鴨の陣 小原紀子 末黒野 202105
連れ立ちてせせらぎを行く鴨の首 赤座典子 あを 202109
初鴨の漣といふ褥かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
鴨来る水の分子を掻き分けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
水尾歪むより初鴨となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
鴨来る水面に楽を奏でつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
風切りの青整へて鴨渡る 平松うさぎ 202111
羽ばたいて初鴨水に立ち上がる 森なほ子 あを 202111
晴れてゆく仔細余所目に鴨浮寝 稲畑廣太郎 ホトトギス 202112
初鴨の四五羽に広し林泉の池 岡野里子 末黒野 202112
初鴨とおぼしき声のかがよへり 笹村政子 六花 202112
木漏れ日静か鴨の一団浮き寝中 篠田純子 あを 202112
鴨浮き寝一羽号令めく高音 篠田純子 あを 202112
濠賑やか鴨鴨鵜鴨鵜鴨鷺 篠田純子 あを 202201
水際の鴨減りもせず増えもせず 小山繁子 春燈 202201
逆立ちのおぼつかなくて初鴨よ 南うみを 風土 202201
浮島を突く初鴨水カンナ 岡野塁子 末黒野 202201
鴨渡る雲を出づれば声をあげ 黒滝志麻子 末黒野 202201
水ひろびろと初鴨はまだ疎ら 半谷洋子 202201
鴨→ 11

 

2022年11月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。