極 月 2     179句

極月の臍をかためし松葉蟹   長谷部朝子

数へ日 年惜しむ 年の内 年の暮 年用意

行年 極月 年歩む 年移る 年送る 年守る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
海原に出て極月の星無限 小澤克己 遠嶺 201004
極月の曼荼羅にある方と円 佐藤真隆 京鹿子 201101
極月の星々燦と夜明待つ 阿部ひろし 酸漿 201101
「山」と「川」極月半ばの合言葉 木村茂登子 あを柳 201101
極月の街を抜け来て通夜の席 鈴木セツ 201102
たうたうお眼に掛れず極月逝かしめし 鈴木榮子 春燈 201102
然もあらばあれ極月の赤き橋 大島翠木 201103
極月や人押し退くるクラクション 矢口笑子 春燈 201103
極月や鞄の底に黒手帳 鶴見遊太 201103
極月やドラグストアの痩せ薬 辻佳子 馬醉木 201103
極月の風重箱をつつくやう 木下もと子 201103
極月の抽出し開けしまま暮るる 田原陽子 201103
極月の托鉢僧の素足にて 島貫寿恵子 雨月 201103
極月の乾びし貌の鸚鵡かな 相良牧人 201103
極月の闇かきまはす救急車 松本三千夫 末黒野 201103
極月のひとつこひとりゐない浜 廣見知子 201103
極月の「はとバス」などを想ひをる 小形さとる 201103
括り上げたる極月の古雑誌 河村啓花 ろんど 201103
極月の転勤とふは慌し 高橋照子 雨月 201103
天窓の星よ極月の大オーラ 西田美ち ろんど 201103
極月のしつかり締めるビンの栓 鷺山珀眉 京鹿子 201104
極月の葬りの数に友はた師 野沢しの武 風土 201105
極月や吾の苦難をふり返る 佐藤健伍 201202
極月の馬身にも似てオートバイ 辻美奈子 201202
筑波より極月の富士大落暉 三輪慶子 ぐろっけ 201203
極月や日差し明るき八幡宮 赤羽陽子 春燈 201203
極月や着水の鳥しぶく波 海村禮@子 春燈 201203
極月や新式掃除道具買ふ 佐野つたえ 風土 201203
極月の暦一枚重しと想ふ 三浦澄江 ぐろっけ 201203
極月の切り揃へある布の彩 浜口高子 火星 201203
極月の手術を受くる破目となる 宮原悦子 雨月 201203
極月の至心発願火を渡る 延広禎一 201203
極月の街の大河を渡りけり 青木朋子 201203
極月の海渡り来しデイバッグ 大山文子 火星 201203
手術終へ極月の部屋明るうす 宮原悦子 雨月 201203
極月の川満ちて来し中の橋 高田令子 201203
極月や岬の湖ははがねの香 清海信子 末黒野 201204
極月や懇ろに生き風邪を引く 伊藤紀子 ろんど 201204
極月の立つて座つてひとりなる 浜口高子 火星 201204
極月の研師助っ人二人つれ 村田とくみ ぐろっけ 201204
極月といふ顔をしてその男 今井千鶴子 ホトトギス 201204
極月の予期せぬ事は先送り 倉橋千代子 末黒野 201204
極月やふはと仁王の土踏まず 土居通子 ろんど 201204
あるがままとて極月でありしかな 河野美奇 ホトトギス 201205
極月を驚かしたる訃音また 安原葉 ホトトギス 201205
家になき極月街にありにけり 今橋眞理子 ホトトギス 201205
極月の稿債減らしきれざりし 安原葉 ホトトギス 201205
月蝕の話題極月なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201212
極月の記事読み返し読み返し 稲畑汀子 ホトトギス 201212
極月の雑踏に居て孤独なり 塩千恵子 201301
極月の座す処なき粗大ごみ 松嶋一洋 201301
極月や投票率の低きこと 須賀敏子 あを 201302
極月や水車一つが村の芯 神蔵器 風土 201302
極月の屋上に立つ人の影 涼野海音 火星 201302
極月のときに肋間きしみをり 栗栖恵通子 201302
泰然自若極月の山河かな 高橋将夫 201303
極月や丹塗りの宮の千木ひかり 黒滝志麻子 末黒野 201303
極月やはぢらひながら喜捨少し 中山皓雪 201303
極月の俎板の水ふり切れり 都丸美陽子 春燈 201303
極月の繁昌亭の三味太鼓 史あかり ぐろっけ 201303
極月の速歩に影は追ひつけず 鶴巻誉白 ろんど 201303
極月の千手千眼観世音 中野京子 201303
極月の手帳売場は目立つ場所 横内かよこ ぐろっけ 201303
極月の空を狭しと鳶の舞 三枝邦光 ぐろっけ 201303
極月のネオン映して街の川 峰幸子 末黒野 201303
極月に愛を称ふるフラダンス 江島照美 201303
市抜けて極月の街雨催 三輪慶子 ぐろっけ 201303
極月のしつぽつかんでしまひけり 清水美子 春燈 201303
ブリリアンカット極月の高野槇 雨村敏子 201303
極月やルーベンスの絵をネロと見る 近藤紀子 201304
極月の時の止りし時計四つ 平居澪子 六花 201304
極月のまはる地球に犬を連れ 古井公代 ぐろっけ 201304
極月や自転車走る走る走る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
極月の路地てふ猫の居場所かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
極月やがらくた市の鉄の馬 小谷知里 京鹿子 201401
極月や先の先まで赤信号 塙誠一郎 201402
極月のダイエット表出来上る 前田美恵子 201402
電話ばかりして極月の湯治客 森岡正作 201402
極月を駈ける電光板の文字 熊川暁子 201403
極月や母似の妹の語り口 呉文宗 春燈 201403
極月の葉書転職簡潔に 平居澪子 六花 201403
極月の富士晴れきつて忌日かな 野畑さゆり 201403
極月の小路小路へ人こぼれ 辻水音 201403
持ち重りする極月の小買物 土屋実郎 末黒野 201403
極月の夫の介護に身の細り 久保晴子 雨月 201403
極月の力あまさず第九かな 神田恵琳 春燈 201403
極月といふに大きな頼みごと 今橋眞理子 ホトトギス 201405
啄みてついばみて極月の鳩 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
八方に美しき罠極月来る 堀内一郎 堀内一郎集 201412
極月や手放せぬもの増えすぎて 森下康子 201502
極月や文字はしり出す予定表 渡部良子 馬醉木 201502
極月の馴染みの顔のナースかな 折田京子 風土 201502
極月や歯医者に耳も診てもらふ 篠田純子 あを 201502
極月や空へトロ箱つみ土げて 笹村政子 六花 201503
極月や北に叡智の星集ひ 柴田佐知子 201503
極月の遠く瞬くものの増ゆ 三木千代 201503
極月の酒場に文弱たむろして 中島芳郎 201503
極月の水荒使ひするひと日 齊藤哲子 201503
極月は版画のやうな木木に来る 熊川暁子 201503
極月に入るや劇場型の日々 柳川晋 201503
極月や急ぎ仕立ての黒紋付 佐藤弘香 ろんど 201503
極月や古き酒屋の升漏斗 都築繁子 201504
極月や三日月雲を削りゆき 卓田謙一 万象 201602
極月や視野欠けし目で追ふ活字 平居澪子 六花 201602
極月の百合描く壺や友逝けり 須賀敏子 あを 201602
極月の壁に向かひて啜る蕎麦 林昭太郎 201603
極月や星占ひの指の先 中島昌子 201603
下馬とある極月の門くぐりけり 遠山みち子 201603
極月の靴音ひとつ無言館 雨宮桂子 風土 201603
極月の寺に震へる塔ひとつ 雨宮桂子 風土 201603
極月や箍きつちりと四斗樽 田中春江 末黒野 201603
極月や路地の奥より箔砧 石川倜子 馬醉木 201604
極月のせり出してくる食器棚 高木晶子 京鹿子 201604
極月や詰め込み一軒竣工す 奥田筆子 京鹿子 201604
極月の黒き川面を覗きゆく 松田泰子 末黒野 201604
極月や忍野八海人まばら 安斎久英 末黒野 201604
極月を忘れワイキキビーチかな 今井春生 201604
極月や漬物石を一つたす 井上和子 201606
極月の声ぶつかりて売れてゆく 本間羊山 風土 201701
極月の水の冥さに鯉の息 鈴鹿仁 京鹿子 201701
極月や母の世程の事もせず 磯野しをり 雨月 201702
極月のジエットタオルは音をたて きくちきみえ やぶれ傘 201701
経師屋に極月の部屋明け渡す 鎌田八重子 馬醉木 201703
極月やにはかに増ゆる夫の愚痴 江見悦子 万象 201703
極月の流離ごころや港の灯 松本三千夫 末黒野 201703
借り傘を返へし極月締めくくる 村田あを衣 京鹿子 201704
はつきりと妻極月の貌となる 金子正道 京鹿子 201704
極月や海馬騒ぎて発熱す 竹内悦子 201704
極月の京に変らぬ三味の音 手島伸子 雨月 201704
極月といふにもありぬ暇潰 湯川雅 ホトトギス 201705
納得に間が極月の訃の報らせ 湯橋喜美 201802
極月に待ち時間ありプルーストよむ 沼田巴字 京鹿子 201802
極月やわが誕辰の過ぎてをり 谷村祐治 雨月 201803
極月や醤のにほふ蔵構 上柿照代 馬醉木 201803
極月の屋根屋が替ふる鬼瓦 福島せいぎ 万象 201803
極月や鉄橋過ぐる貨車の列 佐俣まさを 春燈 201803
極月や鮮魚に値札貼り付きて 柴田佐知子 201803
極月の廃業告げて切る電話 三宅久美子 ホトトギス 201805
極月の水飴いやだいやだと云う 津波古江津 船団 201809
極月や永世七冠達成す 浦川哲子 201811
極月や左手使ふ不自由さ 長崎桂子 あを 201902
極月や死は日常と思はるる 江島照美 201903
極月の余命告知や瞑想す 山崎刀水 春燈 201903
父の忌の子と極月の靖国へ 秋友昌子 雨月 201903
極月や母に押されて仔牛立つ 四方由紀子 風土 201903
極月の音の乾ぶる筧かな 正谷民夫 末黒野 201903
もう既に極月の端踏んでゐる 直江裕子 京鹿子 201904
極月の火花ちらして刀鍛冶 佐藤千恵 京鹿子 202001
極月や鶏小屋の網新しく 宮内とし子 202002
極月の密かに狂ふ掛時計 新沢伸夫 202003
極月の坊の出入りの夥し 本田正子 雨月 202003
極月といふばかりなる何もせず 志方章子 六花 202004
雑踏を行く極月を縫ふ如く 須藤常央 ホトトギス 202007
アメ横の極月に呑み込まれゆく 須藤常央 ホトトギス 202007
打ち続けたる極月のキーボード 須藤常央 ホトトギス 202007
救ひ主てふ極月の贈物 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
極月の神の杜てふ騒きかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
極月や看板猫のまるまると 篠田大佳 あを 202101
極月の明滅早き消防車 今井肖子 ホトトギス 202101
極月や鉛筆の芯研ぎ澄ませ 近藤真啓 春燈 202102
極月や暮れゆくを見る越の海 西本花音 春燈 202102
極月やリュックサックに旅恋し 長崎桂子 あを 202102
不安解きたし極月の美術館 長崎桂子 あを 202102
極月や眼鏡に増ゆる掠り傷 木村傘休 春燈 202103
極月や壁に目を剥く閻魔像 栗原完爾 春燈 202103
極月や波ちぎれとぶ日本海 土江比露 春燈 202105
極月の空に秒針あるごとく 木暮陶句郎 ホトトギス 202107
極月のひと日ひと日ヘホッチキス 村田あを衣 京鹿子 202112
極月やジビエ料理に笑み揃ふ 長崎桂子 あを 202202
極月や突き当りには東山 森なほ子 あを 202202
極月や頁めくれば明日がある 遠山悟史 京鹿子 202203
極月や磨きあげたる自家用車 梅原ひろし 京鹿子 202203
極月や心の小箱整理して 森清信子 末黒野 202204
極月や万歩あゆめぬ万歩計 田中春江 末黒野 202204
極月や兄を捜せば居酒屋に 岡安紀元 ホトトギス 202205
極月や神樹に古りし力瘤 柴田佐知子 202205
極月や湯気立て洗ふ臼と杵 高倉和子 202205
極月や女松の幹のうろこ立ち 兒玉充代 202210
極月やなぜ生きるかを問はれをり 沼田巴字 京鹿子 202212
極月→ 1

 

2022年12月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。