行く年 1(行年・ゆく年・年ゆく・年行く・逝く年・年逝く)     200句

行く年の後ろに就いて行きにけり    相生垣瓜人

数へ日 年惜しむ 年の内 年の暮 年用意 

極月 年歩む 年移る 年送る 年守る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ゆく年を惜しみついのち守りをり 鈴木郁 風土 199902
ゆく年の飽かず見てゐるひとつ鳰 樋口英子 朝桜 199904
年逝かす思ひに路地をひとめぐり 服部幸 199904
垂直のひかりをまとひ今年行 鷹羽狩行 199907
橋なかばにて逝く年と思ひけり 能村登四郎 芒種 199911
行年や難関越えて成る館 稲岡長 円虹 200002
行く年の水ひろがりて空映す 宮津昭彦 200002
灯が飾る塔年行くと立てりけり 宮津昭彦 200002
行く年の背中の消えしところかな 川名将義 銀化 200003
行く年の力や西へ月運ぶ 宮津昭彦 200003
行く年の光陰の矢に打たれけり 府中谷幸枝 馬醉木 200004
ゆく年の金魚の口へ旅立ちぬ 小枝恵美子 船団 200007
ゆく年や山にこもりて山の酒 三好達治 京鹿子 200011
逝く年や父の墓石に母触れて 盛良孝 200101
年逝くや二人に剰る灯を点し 真保喜代子 200101
ゆく年や低きバッハの受難曲 大矢和歌子 200103
二十世紀行く年惜む明治者 安陪青人 雨月 200103
行く年や点晴と為す大欠伸 亀田愚風 銀化 200103
行年や海さへ色をさしかへる 對馬埜泉 銀化 200103
行く年や凡句並べて句帳古る 木内美保子 六花 200103
行年や蕪流るる鞍馬川 岡井省二 200104
行く年の倭まほろば湯の中に 佐藤海史 船団 200105
茫々と潮汲んでまた年ゆくか 木曽岳風子 六花 200109
逝く年を惜しむ船笛沖からも 小川匠太郎 200201
逝く年の茜を映すにはたずみ 斎藤道子 馬醉木 200202
逝く年を母と並びて送りけり 鎌倉喜久恵 あを 200202
生涯の大節となる年逝かす 能村研三 200202
行く年のタンゴの黒きドレスかな 石川不憫 百鳥 200203
ゆく年の納豆の糸長く引く 藏本博美 ぐろっけ 200204
航跡のごとく尾を引き年逝けり 天岡宇津彦 200205
ゆく年の時計許りがコチコチと 宮原みさを 花月亭 200208
逝く年の川の流れを見て飽きず 宮原みさを 花月亭 200208
行年をひたすら生くるてふことを 高浜年尾 円虹 200212
行く年の雲ゆつくりと流れけり 大川陽子 雲の峰 200302
ゆく年の思ひめぐらす柚子湯かな 小泉豊流 酸漿 200302
人はみな思ひ出に年逝かしむる 大橋敦子 雨月 200302
逝く年が夫を遠くへ引き離す 揚原れい子 築港 200303
逝く年のせつなきものに夜汽車の音 片山タケ子 200303
投錨に決まる年逝く船の位置 新田巣鳩 馬醉木 200303
逝く年に深追ひすなとお香煙 丸山佳子 京鹿子 200401
鶴の檻五重の塔と年ゆくや 堀内一郎 あを 200402
月下美人に六たび会ひて年逝かす 松崎鉄之介 200402
ゆく年の富士に灯ともす小屋ひとつ 山本喜朗 雨月 200403
ゆく年の富士や星座を従ふる 山本喜朗 雨月 200403
行く年の大河滔々たるを越ゆ 溝内健乃 雨月 200403
行く年の大股で過ぐ音もなし 塩川雄三 築港 200403
よきことの多かりし年行きにけり 加納花子 築港 200403
柳葉を残し年逝く柳橋 田中きよ子 酸漿 200403
千杜札貼つて三門年逝けり 清水正司 草の花 200403
行く年や忘るることも生きること 高橋瑛子 河鹿 200404
ゆく年の鳰ひろびろと沖に浮く 市場基巳 200404
行く年の橋より見えて大河の背 真塩実 200405
行く年を茹でて手打の饂飩透く 朝妻力 雲の峰 200501
年行くや別々にラジオ深夜便 竹内弘子 あを 200501
行く年やテロと自爆と自衛隊 鎌倉喜久恵 あを 200502
ゆく年の人のぶつかる曲り角 高橋将夫 200503
行く年や句屑捨てたり拾つたり 木内美保子 六花 200503
逝く年の星みだれなし波の上 小林碧郎 馬醉木 200503
憂ひ年逝かしむる鐘撞きいづる 小林碧郎 馬醉木 200503
年逝くや猫驚かすマッチの火 芝尚子 あを 200503
災害の多き年逝く除夜の鐘 沼口蓬風 河鹿 200503
行年やなくした恋を惜しみつつ 渡辺素子 帆船 200504
行く年の川を見てゐる橋の上 大橋麻沙子 雨月 200504
行く年の心に刻む茜雲 片山茂子 遠嶺 200504
年逝くや室灯消して回送車 桑島啓司 200504
行く年の果樹園に積む枝の束 中村智恵子 200601
逝く年のヘッドライトの数へきれず 林翔 馬醉木 200601
ゆく年やむざと剥ぎたる烏賊の皮 久保田万太郎 春燈 200603
錻力屋の日々を出で行く年の暮 松崎鉄之介 200603
逝く年や言葉忘れし母と居て 徳田正樹 河鹿 200603
年逝きぬ一日けむりのやうにあり 市川勇人 四葩 200603
行く年の風に止まりし猫の耳 浜口高子 火星 200604
年行くや汽笛鳴り交ふ外人墓地 藤田佑美子 栴檀 200604
竹箒青々として年行くか 岩岡中正 ホトトギス 200605
疎開の子何も問ひ来ず年行きぬ 瀧春一 常念 200606
選句して作句して年逝かんとす 稲畑汀子 ホトトギス 200612
春燈六十周年の年逝くよ 鈴木榮子 春燈 200612
行く年のことと傾く鬼瓦 谷榮子 雨月 200702
花圃に翔つものみな光り年逝きつつ 岡本眸 200702
行く年の風に雨粒まじりけり 市場基巳 200703
ゆく年の尾灯の流れ歩道橋 芝宮須磨子 あを 200703
吾が命暮れゆく年と歩を合せ 瀧青佳 ホトトギス 200704
趣の鉢に年逝く冬蕨 金田秋紫 風土 200704
川巡り己をめぐり年逝かす 曷川克 遠嶺 200704
またひとつ年逝く白身魚かな 小形さとる 200704
年逝かす稿債ひとつひとつ返し 鈴木榮子 春燈 200712
捨てきれぬものを捨てずに年逝かす 武田巨子 春燈 200712
守備範囲やや広うして年逝かす 辻美奈子 200801
行く年の大いなる背に乗るごとし 辻美奈子 200802
賞杯の大きさ重さ年行かす 伊藤白潮 200802
冬の雲流る年逝くこと見えて 柳生千枝子 火星 200802
ゆく年の少し明るい空のいろ 松本桂子 200803
逝く年の孤独を癒やすバッハ曲 千坂美津恵 200803
逝く年の三日月日々に太りけり 堀池久世 200803
ゆく年のひつじ百匹寝返りす 本田ヒデ子 京鹿子 200804
行く年や万年筆の青い文字 倉持梨恵 200804
逝く年や酒の友には不義理して 中原吟子 雨月 200804
行く年の火の見に垂るる鉄梯子 若井新一 200805
行く年の名残の雨となりにけり KOKIA 六花 200805
行く年や夢声の名見ゆ弁士塚 勝原文夫 ペン皿 200811
ゆく年の地蔵並べる橋たもと 助口弘子 火星 200902
行く年の公園ゴスペルわきおこる 長崎桂子 あを 200902
行く年の停泊船に緩き波 高田令子 200903
行く年の残す雑多をかぞへもし 豊田都峰 京鹿子 200903
行く年の父の酔余の端唄かな 岡田満壽美 夢のごとしと 200904
人波に委ね揺れゆく年の暮 飯田角子 酸漿 200904
逝く年のはるかな音へ耳ふたつ 山田暢子 風土 200904
星のこゑ空に満たして年逝かす 山田暢子 風土 200904
鐘の音を耳に残して年ゆけり 有賀昌子 やぶれ傘 200905
行年やまだ現役といへる自負 竹下陶子 ホトトギス 201002
行く年の憂さの捨て場の転舵渦 田中貞雄 ろんど 201003
行く年や井上ひさし森澄雄 須賀敏子 あを 201102
行く年や「散華」の軸を賜はりぬ 東亜未 あを 201102
ゆく年や人の恩には倍返し 伊東和子 201103
逝く年の影くつきりと力士の碑 鈴木良戈 201103
行く年の苦楽を籠めし日記帳 乙坂きみ子 末黒野 201103
行く年やからくり神籤中の吉 西村雪園 風土 201103
行く年やゆつくりメリーゴーランド 永田圭子 ろんど 201103
逝く年や白布で拭ふ伊代次句碑 山内なつみ 万象 201104
ゆく年や南京街に豚吊られ 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
若者の街行年といふ静寂 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
逝く年や句をささやかな墓標とし 竹貫示虹 京鹿子 201112
行く年や目標遠く酒くらふ 松岡利秋 かさね 201202
逝く年や青きシートのままの屋根 成宮紀代子 201202
行く年や形見となりし古切手 野坂民子 馬醉木 201203
一日は長く年行く早さかな 鈴木庸子 風土 201203
逝く年に逝きし子に手を合はせけり 國保八江 やぶれ傘 201203
行く年の黒き大きな船泊つる 松田泰子 末黒野 201204
行く年の暦たやすく外れけり 中田のぶ子 ろんど 201204
行く年をしみじみと乗せ古賀状 布川直幸 201212
行く年と来る年に膝正しけり 山田六甲 六花 201301
葉牡丹の紫の渦年はゆく 大橋敦子 雨月 201301
ゆく年の果ては青かれ日の出前 西川織子 馬醉木 201302
行く年や十大ニュース語られて 菊地崇之 かさね 201303
行く年の円卓に編む句集かな 岡井マスミ 末黒野 201303
ゆく年の大きな堰が白光す 川崎かずえ ろんど 201303
欠席の返書重ねて年逝けり 中村房子 馬醉木 201303
逝く年の家それぞれの灯をともし 田原陽子 201303
行年の第九地球をつつみたる 竹下陶子 ホトトギス 201305
行年の母の名を消す住所録 三村純也 ホトトギス 201305
逝く年を洗うて雨の晦日かな 布川直幸 201312
年逝くやひとりの生活慣れもせで 出口貴美子 雨月 201402
行く年の戸棚の奥に亡夫の碗 久保久子 湖心 201402
ゆく年や小手をかざして送りける 桑原逸子 201403
偶然をかさね行く年万華鏡 中野京子 201403
行く年の三日月に添ふ星ひとつ 田原陽子 201403
行く年の七色灯す観覧車 大山文子 火星 201403
行く年や気休めに置く本の数 岩月優美子 201403
行く年や十七音に魔物すむ 村田岳洋 ろんど 201403
行く年や小康の身に足らふなり 呉文宗 春燈 201403
思ひ出のつまる重さの年行く夜 中野京子 201403
年逝くや奥歯かみしめしこと幾夜 服部早苗 201403
行年や日ざし溜めたる雑木山 成瀬櫻桃子 春燈 201404
ゆく年の水平らかに鳥のこゑ 岩岡中正 ホトトギス 201405
行年の愛して小さき旅鞄 岩岡中正 ホトトギス 201406
ゆく年や悔なき看取りなどあらず 西川織子 馬醉木 201502
行く年や己が齢に手を焼きて 相良牧人 201503
風音か年逝く音か羽根枕 西村梛子 馬醉木 201503
行く年の行方を誰も問はぬかな 飛高隆夫 万象 201503
行く年の行きつつ身には積りつつ 飛山隆夫 万象 201504
年逝くやどこにも合はぬ鍵一つ 吉永すみれ 風土 201511
行く年の夕日に映ゆる野球場 臼井珊瑚 201602
行く年や句と遊ぶメモ枕元 七郎衛門吉保 あを 201602
年逝くや見なれし山に入る夕陽 藤岡紫水 京鹿子 201603
行く年や天上界へ原節子 須藤美智子 風土 201603
逝く年の幕下ろすかに大落暉 三輪温子 雨月 201604
行年の第九はフルトヴェングラー 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
行年やそろそろ余生てふ二文字 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
行年や還暦重く受け止めて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
行く年の墓地の下より電車の音 中田みなみ 桜鯛 201701
行く年や神丘鎮む日矢明り 鈴鹿仁 京鹿子 201702
子に先を越され年逝く老二人 穐好樹菟男 馬醉木 201702
行く年のバス待つ何も考へず 田原陽子 201703
年逝くや服喪の便り相次ぎて 佐藤哲 万象 201703
行く年を惜しみゆつくり髭を剃る 久世孝雄 やぶれ傘 201703
逝く年の斯くも巨星の相次ぎて 佐々木新 春燈 201704
行く年の思ひそれぞれ風の中 藤波松山 京鹿子 201704
行年のもんどり打つて奔る水 岩岡中正 ホトトギス 201705
ゆく年のうしろ姿のやうなもの 岩岡中正 ホトトギス 201706
遥かにも眠る筑波や年は逝く 安立公彦 春燈 201802
行く年や大河蛇行をくり返し 市村健夫 馬醉木 201803
ゆく年の更けて狸と出会ひけり 鈴木直充 春燈 201804
行く年の白き沖かな澪じるし 廣畑育子 六花 201804
行く年のふはりと交す握手かな 志方章子 六花 201804
行く年や四方に借りある心地して 児玉充代 201806
行く年や減るも増ゆるも無き身内 辻前冨美枝 201902
平成の鐘声清に年は逝く 安立公彦 春燈 201903
捨て舟に行く年の垢置いてゆく 金森教子 雨月 201903
行く年や掉尾を飾る浅草寺 山下健治 春燈 201903
行く年の今日のひと日の重さかな 山崎刀水 春燈 201903
がうがうと風音か年逝く音か 佐川三枝子 201903
行く年の一夜の夢かシラーの詩 三木亨 201903
行く年のトランペツトの響きかな 日高みち子 やぶれ傘 201904
ゆく年の醤油のにほふ佃島 野口希代志 やぶれ傘 201904
行く年や船首に残る紙テープ 利國春美 馬醉木 201904
行く年の闇のかなでる波の音 山田邦彦 201907
行く年や世を幻として眺め 沼田巴字 京鹿子 201912
行く年の草かたまつて流れゆく 瀬戸薫 風土 202002
行く年や病む娘の月日わが月日 笹村政子 六花 202003
行く年の積載多すぎはせぬか 辻美奈子 202003
行く年 →2      

 

2022年12月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。