極 月 1      200句

極月の臍をかためし松葉蟹   長谷部朝子

数へ日 年惜しむ 年の内 年の暮 年用意

行年 極月 年歩む 年移る 年送る 年守る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
極月の牛背の毛梳けば顔寄せて
保坂加津夫
自在抄
199600
極月の船底にゐる正座かな
田畑幸子
火星
199903
極月の流れの眩暈もち帰る
竹貫示虹
京鹿子
199904
極月の地獄を少し見てしまふ
渡辺よし生
風土
199907
極月の暮れてなほ会重ねけり
稲畑汀子
ホトトギス
199912
極月の水の瞑さに鯉の息
鈴鹿仁
京鹿子
200001
極月の貌となりつつ群つくる
鈴鹿百合子
京鹿子
200001
極月の生八ツ橋の乾びかな
竹内悦子
200002
關節がふたつ極月跨ぐかな
中原道夫
銀化
200002
選り好みせぬ極月の七曜や
中原道夫
銀化
200002
極月の喪のネクタイを買ひいそぐ
田中藤穂
水瓶座
200002
針壊れゐる極月の花時計
田中藤穂
水瓶座
200002
極月や手仕事の指すぐ汚れ
田中藤穂
水瓶座
200002
極月のぶつかり歩く市場街
田所洋子
雨月
200003
極月の太陽眩し鳶の声
二瓶洋子
六花
200004
極月の胃腸科眼科外科皮膚科
貝森光大
六花
200004
くねくねの廊下違えて極月へ
三宅やよい
玩具帳
200004
極月や欠礼の書あまた受く
高木伸宜
ヒッポ千番地
200009
脈絡もなく極月の夕がらす
斉藤由美子
ぐろっけ
200012
ゴッホ展出て極月に吸ひこまる
島田和子
風土
200101
極月や手打ち蕎麦屋の一合酒
能村研三
200101
極月や露地行灯に導かる
村松美智子
あを
200101
極月の時計は少し進め置く
島田和子
風土
200102
極月の入日を力ぬいて見る
桶谷康子
200102
極月のまだ灯りをり保育園
石田邦子
遠嶺
200104
極月は実存主義でべらんめい
時枝武
船団
200105
乱切りて極月の土匂わしむ
佐渡美佐子
船団
200105
極月や誰も死なない映画観て
小澤克己
遠嶺
200105
極月の光量泌尿外科病棟
福原實
海程
200106
極月の水より重い新歳時記
丸山佳子
京鹿子
200112
罅のこし極月の神素通りす
荒川美邦
京鹿子
200201
極月の赤穂の塩を舐めてみむ
千田百里
200201
極月や齢とは云へぬ怠け癖
渡邉友七
あを
200201
極月の望や生れて内親王
黒坂紫陽子
馬醉木
200202
極月や句碑に立てある庭箒
木村てる代
雲の峰
200202
極月や徐福描きし絵馬を見に
春田淳子
雲の峰
200202
極月の那須野ヶ原に雪降れり
阿部ひろし
酸漿
200202
極月の日のうすうすと屋敷跡
金子つとむ
春耕
200202
極月や破調の旅の楽しかりき
長山あや
円虹
200203
極月の灯のほのぐらき古本屋
田中子
円虹
200203
極月の舌また噛んでしまひけり
元田千重
火星
200203
極月のこまかく地図を見てをりぬ
元田千重
火星
200203
極月の椀に花麩を浮かせたる
浜口高子
火星
200203
父知らぬ遺児極月に母葬る
服部菰舟
雨月
200203
極月のたまのを紡ぐ薬湯に
武政礼子
雨月
200203
極月や音なく動く掛時計
井口初江
酸漿
200203
極月の大病院の灯が点る
徳永真弓
百鳥
200203
夫逝きし極月はただおうおうと
西村咲子
六花
200203
極月の木片泛かぶ船溜
西郷利子
200203
身を細めつつ極月の花舗に入る
佐藤博美
200204
緊張にゐて極月の句座につく
安達風越
雨月
200204
極月の海見しのみに足らひけり
関洋子
200204
極月の富士を残して始発駅
吉川智子
200210
極月や妻の手癖の竹箒
神蔵器
風土
200302
極月の貝殻踏みぬ父の島
青木直子
200302
極月の駅降り人は地下へ地下へ
森田蝌蚪
200302
極月や風呂場のタイルひとつ欠け
岩崎皓子
雲の峰
200302
極月の海へ戻れぬ貝の殻
川瀬さとゑ
雲の峰
200302
極月の畑に来られし銀行員
山ロマサエ
雲の峰
200302
極月や花屋八百屋の移転せる
松村美智子
あを
200302
極月に入りしろがねの木立かな
田中聡子
遠嶺
200303
極月と別の時間のある茶房
佐保美千子
円虹
200303
極月の果樹園に充つ火の匂ひ
林裕子
風土
200303
極月の季語突き放す午前二時
遊橋惠美子
風土
200303
極月のストレス生物学聴講
遊橋惠美子
風土
200303
極月の裏側釘を打つてゐる
奥田筆子
京鹿子
200303
極月の穴といふ穴みなのぞく
平居澪子
六花
200303
極月の木喰の里温きかな
大塚洋子
酸漿
200303
極月の父亡き書斎拭きにけり
坂田曜梨
百鳥
200304
極月の言葉短く別れけり
平野静
京鹿子
200304
極月や墓の数だけ刃の字
直江裕子
京鹿子
200304
一歩出て極月の用何やかや
松野千代子
200304
極月や人のかたちに神佛
佐藤喜孝
青寫眞
200304
首洗ひ井に極月の首また首
金子野生
京鹿子
200305
極月や金のなる木の融けはじむ
金子野生
京鹿子
200305
極月や母の手紙の誤字脱字
水谷ひさ江
六花
200312
極月や一歩一歩の果ての鐘
十河波津
200312
極月や煤をこぼして梁暗し
青山悠
200312
極月や歳一つ殖ゆむかしごと
鈴鹿仁
京鹿子
200401
極月や美味しいものを食べたいね
山田六甲
六花
200401
有難や極月三十一日は
東亜未
あを
200402
極月の柱に当ててメモをとる
山田六甲
六花
200402
極月も事なく団子など食へり
村越化石
200402
極月の割木の匂ふ農具小屋
山口マサエ
雲の峰
200402
極月の奈良に阿修羅を見たるのみ
石脇みはる
200403
極月の一千人の第九かな
宇田喜美栄
200403
極月や三条よりの刃物研ぎ
池田加代子
風土
200403
極月を病む師の快癒弘法に
萩谷幸子
雨月
200403
極月の蓮田に渡す歩み板
木村てる代
雲の峰
200403
極月の蔓草こんなにも伸びて
大庭三千枝
200403
極月や女易者の列につき
長岡紀美子
草の花
200403
火を落す極月の闇確かめて
原田竜子
河鹿
200404
極月やレシート混じる道の塵
若林杜紀子
百鳥
200404
極月の余白をうめる柳生道
橘沙希
月の雫
200404
極月の身を固く出づ風の中
林翔
200501
極月や訃音いよいよ身に迫り
水原春郎
馬醉木
200502
極月の薄型テレビより怒声
田中忠子
帆船
200502
極月の日も夜も心弛むなし
大橋麻沙子
雨月
200502
極月を静かに暮るる遊女墓碑
谷野由紀子
雲の峰
200502
極月の入江に舫ふ屋形船
山口マサエ
雲の峰
200502
極月の太宰の墓に女佇つ
神蔵器
風土
200502
極月の大道芸人火を吹けり
川井政子
風土
200502
極月に極めるものの一つあり
能村研三
200502
極月や階段下りてたたら踏む
呉文宗
春燈
200502
極月のくぐりし小さき仁王門
大山文子
火星
200503
地下駅を出て極月の海の紺
鹿野伴子
200503
極月の星なり願ひかけてみる
武田美雪
六花
200503
極月の母におくるる子供かな
高梨美佐子
遠嶺
200503
極月の重さとなりし革手帳
いしだゆか
遠嶺
200503
極月や立ち居にかばふ膝がしら
淵脇護
河鹿
200503
極月の狐の嫁入り虹二重
田野力
万象
200504
極月や分縣地圖のうすみどり
川崎洋吉
遠嶺
200504
極月の星確かむるこころざし
村田文一
遠嶺
200504
極月や母訪ふ日どりまづ決めて
淵脇護
河鹿
200602
極月の眠りを引きて子は泣けり
太田佳代子
春潮
200602
極月や開閉繁き自動ドア
吉田明
200602
極月の心阿修羅の棲みつくか
大橋麻沙子
雨月
200602
極月のビルが吐き出す空調音
徳田正樹
河鹿
200603
極月の月をまどかに老の家
中山純子
万象
200603
極月の青き畳の匂ひかな
奥野初枝
万象
200603
極月の背負子に水を括りけり
村田美穂子
百鳥
200603
極月や波しろがねに大き月
西山美枝子
酸漿
200603
極月や元禄しのぶ義士の墓
大石よしはる
酸漿
200603
極月の金魚を捕りに来る狢
山崎祐子
栴檀
200603
生業を辞め極月の安穏と
谷村祐治
雨月
200603
極月の光陰とどむ術のなく
谷村祐治
雨月
200603
極月の街騒を逸れ古書漁る
西村しげ子
雨月
200603
窓越しに極月の月妻病める
廣瀬義一
雨月
200603
極月の加ふる寒波たたら踏む
溝内健乃
雨月
200603
極月の夫の恙に戸惑ふも
田所洋子
雨月
200603
極月や軒をまぶかに漁師町
柴田佐知子
200603
極月や二人で聴きしビバルディ
芳賀雅子
遠嶺
200604
極月や炎はみ出す登り窯
遠野萌
200605
極月の晴を喜び主婦同士
鹿野佳子
200605
極月の香煙に身を漂はす
木内憲子
200605
海坂を見て極月の忌を修す
環順子
夢帽子
200608
極月の夜の電飾に紛れけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200612
極月や銀座に夜の蝶舞へり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200612
極月の灘押し戻る大漁旗
柴田佐知子
200612
大鷺の翔つ極月の川冥み
滝川あい子
雨月
200702
眠りては極月の日の離れゆく
神蔵器
風土
200702
極月や騙され笑ふ太郎冠者
芝尚子
あを
200702
極月の粟餅汁粉高瀬川
中野京子
200703
診断を待つ極月のベンチかな
生田作
風土
200703
極月の今なら片手空いてゐる
井尻妙子
京鹿子
200703
浜に舟寄せ極月の旅終ふる
小澤克己
遠嶺
200703
極月の講座こころにひびきけり
今井松子
遠嶺
200703
極月の人みな吾を追ひ越して
平川倫子
ぐろっけ
200703
極月の朝日さし込む簪屋
西本才子
万象句集
200703
極月や白粥に塩すこし振り
荒井千佐代
200703
極月の熱気ロボットコンテスト
湯浅夏以
遠嶺
200704
極月の川底ゑぐる鉄の爪
品川鈴子
200708
極月や海も閼伽井もぬくとかり
加藤みき
200802
極月や家計簿隅へ走り書き
高橋邦夫
風土
200803
極月の切羽詰まりし誕生日
及川澄江
風土
200803
泰山鳴動極月の海牛
雨村敏子
200803
極月の右往左往す海馬かな
近藤紀子
200803
極月の真竹とりわけ艶めきて
谷村幸子
200803
極月の手帳に書きぬ家族の名
竹下昌子
200803
極月のシャンソン喫茶古燐寸
三沢蘭
遠嶺
200803
極月の子規碑の前の竹箒
坂口夫佐子
火星
200803
極月の「呉春」の裏の香りけり
野澤あき
火星
200803
極月の日に出されある赤電話
緒方佳子
火星
200803
極月の粉をふく竹の青さかな
野口みどり
酸漿
200803
極月や自分の為の紙おむつ
宮崎高根
200804
極月の夜空を染むる観覧車
東良子
首座星
200804
極月のうすき瞼を持ち歩く
栗栖恵通子
200902
極月や声のぶつかる築地市場
米山喜久子
200902
極月の風駆けまはる台場跡
長谷川翠
馬醉木
200902
極月の山の秘仏に鐘一打
渡辺数子
火星
200902
極月の監視カメラの三十度
高木嘉久
200902
極月の馴染の箸屋にぎはへり
田中浅子
200903
極月の切り岸に立ち竹とんぼ
中野京子
200903
極月の鳶のひと声鳴きて止む
石寒太
炎環
200903
極月のこころを映す菩薩像
増田明美
炎環
200903
極月の女人の消ゆる懺悔室
林いづみ
風土
200903
極月の消すこと多き人名簿
川崎良平
雨月
200903
極月の時計の針も走りをり
河本由紀子
春燈
200903
極月の口開けて立つ紙袋
浜口高子
火星
200903
極月や壁の向うをヒール過ぐ
野澤あき
火星
200903
極月の芝居を囃す木遣唄
北川孝子
京鹿子
200903
極月の終ひの不動閑かなり
上田玲子
200903
極月や自画像に筆入れ直し
熊谷尚
200904
極月のドボンを引いてしまひけり
栗栖恵通子
201001
電車にも乗る極月の竹箒
渡辺輝子
201002
極月の鉢のとらの尾巻いてをる
栗栖恵通子
201002
極月の浜に倒れしままの船
内藤順子
酸奬
201002
極月の苔まみどりに不動尊
溝内健乃
雨月
201003
失ひしもの極月の沖をみる
戸村よねこ
遠嶺
201003
極月の男はどこか所在なし
永田圭子
ろんど
201003
極月の靴屋に皮の匂ひあり
瀬戸悠
風土
201003
極月の財布に探す一円玉
浜口高子
火星
201003
極月や小雨そぼ降る義士の墓
中村春宵子
春燈
201003
極月の磯に細波刻む時
浅野恵美子
酸漿
201003
海原に出て極月の星無限
小澤克己
遠嶺
201004
極月の和光のケーキ届きけり
今井松子
遠嶺
201004
極月やゆるやかにゆく油槽船
吉岡昭子
201004
極月の川に雷魚の現はるる
大坪貞子
万象
201004
極月→2      

 

2020年12月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。