2023年5月10日

7   200句

黒雲から黒鮮かに初燕  中村草田男  美田

作品
作者
掲載誌
掲載年月
燕来て被爆地の空広がれり 荒井千佐代 201405
味噌蔵の鏝絵の軒へ初燕 藤井美晴 やぶれ傘 201405
燕来る新市庁舎の設計図 塙誠一郎 201405
燕来る江戸世造りの浦会所 片岡久美子 201405
くるくると自動掃除機燕来る 甲州千草 201406
出入口汚す燕を待つてをり 小林朱夏 201406
燕来る風の高さの虫籠窓 浜福惠 風土 201406
燕来る道後温泉下駄の音 二宮一知 万象 201406
燕くる艇庫に太き南京錠 平野みち代 201406
燕くる思はぬ怪我の長びきて 中原吟子 雨月 201406
駅前は千代田区千代田燕来る 林昭太郎 201406
巣燕やフランスパンを抱き来て 池田光子 風土 201406
田の土も変はり燕も飛び来たり 鈴木阿久 201406
まとまらぬ会議の窓に燕くる 中原吟子 雨月 201406
地鳴きして燕来てゐる軒明かり 武藤嘉子 201407
羽衣の松の二世や燕来る 阿部月山子 万象 201407
初燕珈琲香るビルの間 辻井ミナミ 末黒野 201407
初燕田を掠めつつ土選るや 藤沢秀永 201407
初燕相寄る川の一つとなり 橋添やよひ 風土 201407
初燕見知らぬ人と声交はし 橘正義 春燈 201407
初燕橋の挟に人待てば 中村風信子 馬醉木 201407
煤けたる百年の梁燕来る 水谷文謝子 雨月 201407
出入良き郵便局や燕来る 長崎桂子 あを 201407
海境の潮目くつきり初燕 庵原敏典 末黒野 201407
初燕雑巾固く絞る時 上林富子 やぶれ傘 201407
初燕木にかけてある道しるべ 宮川みね子 風土 201407
産声の廊下に聞こゆ初燕 今井春生 201407
傘干してあそぶ風くる燕来る 河村啓花 ろんど 201407
雛流す川面をしきり燕とぶ 三輪温子 雨月 201407
遠汽笛近き汽笛や燕来る 堺昌子 末黒野 201407
燕来て「頭上注意」と駅にあり 柿沼盟子 風土 201407
燕飛ぶ自力と他力使ひ分け 高橋将夫 201407
麹屋の古き看板燕の巣 森脇貞子 雨月 201407
餌を与え取つて返すは親燕 久世孝雄 やぶれ傘 201407
ビル群と飛燕の空のはてしなき 安藤久美子 やぶれ傘 201407
御下がりの彼方への舵燕来る 柳本渓光 ろんど 201408
この村の水美しと燕くる 林典子 雨月 201408
巣造りの燕と話す子等五人 宮地静雄 末黒野 201408
巣に戻る夕日の中の親燕 笹村政子 六花 201408
喪の家に今年の燕来てゐたる 半田稜 ろんど 201408
水面掠め燕捉へしものや何 堀田こう 雨月 201408
燕二羽揃うて反る梅雨の隙 河崎尚子 火星 201408
燕来る昔旅籠の通し梁 佐藤雄二 万象 201408
山の上の電話ボックス燕来る 涼野海音 火星 201408
七年目燕がひゆうと戻りきぬ 浜福惠 風土 201408
燕来る佃永代清洲橋 木村ふく 馬醉木 201408
燕来るこれや自作の桑の杖 神蔵器 風土 201408
燕の巣田舎食堂大はやり 廣畑育子 六花 201408
燕すくなき空のさびしさ言ひあへり 中里よし子 春燈 201408
デルタの街飛燕の返す川明り 水田壽子 雨月 201408
ぎくしやくと燕巣立後水甘し 甲州千草 201409
初燕通りを右に折れて飛び 藤波松山 京鹿子 201409
せはしなく燕出で入る簗番屋 浅田光代 風土 201409
修道院塀の高みに燕の巣 横川良子 万象 201409
歩く影大きくなりて燕のむ 吉弘恭子 あを 201409
餌を運ぶ順を違へず親燕 堀田清江 雨月 201409
岩燕湖底に基地のあるごとし 村田岳洋 ろんど 201410
馬の尿棒の如しや燕来る 岡田一夫 201410
一閃の疾さ燕の一番子 加藤静江 末黒野 201410
みづうみの遊覧船に燕の巣 鳳蛮華 201410
吾を躱し木立を躱し夕燕 北村淳子 ろんど 201411
昼の鐘ひびく外海の雨燕 野上杳 201411
燕去ぬよびもどせなき日を置きて 豊田都峰 京鹿子 201411
みあれ祭済みて去にたる燕かな 坂上香菜 201412
去ぬ燕句会は三十一年へ 栗山恵子 雨月 201412
お母さん残る燕も眠るころ 前田貴美子 万象 201501
太き声宙より落し初飛燕 布川直幸 201503
燕の巣神代の風を受けながら 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
燕の巣駅長忙しくなりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
商店街抜けて燕の巣は駅に 柿沼盟子 風土 201505
九頭竜湖の水面すれすれ燕 堀田清江 雨月 201506
味噌米屋薬屋の辻夕燕 碇天牛 雨月 201506
カルデラの空蘇る初燕 碇天牛 雨月 201506
またしても体調くづし燕来る 大内幸子 六花 201506
二の鳥居三の鳥居や燕来る 奥田茶々 風土 201506
電車来る事なき駅に燕来る 松嶋一洋 201506
朝戸繰れば青き光や初燕 齋藤晴夫 春燈 201506
見慣れし野燕来たりて見紛ふ程 長崎桂子 あを 201506
駅構内飛来し始め燕 森理和 あを 201506
屋根裏を飛び交ひ鳴くや親燕 王岩 あを 201506
一羽のみ残つてゐたる燕の巣 小林朱夏 201506
大空や燕の後を風が追ふ 有松洋子 201507
噴煙のうするる日なり初燕 石川倜子 馬醉木 201507
燕の巣見守る日々や夕灯 吉村さよ子 春燈 201507
回船問屋黒島地区や燕来る 根岸善行 風土 201507
太宰府の鳥居はいくつ燕くる 杉本薬王子 風土 201507
店員の出てきて見上げ燕の巣 きくちきみえ やぶれ傘 201507
燕来る千住大橋高架下 安藤久美子 やぶれ傘 201507
海鳴りの地の明るさよ燕来る 田中臥石 末黒野 201507
初燕軒を掠めて旋回す 鈴木礼子 末黒野 201507
燕巣を営む神饌田の土集め 鎌田篤 雨月 201507
山里の小さき茶房燕来る 大島寛治 雨月 201507
木造の駅舎に幾つ燕の巣 大石よし子 雨月 201507
ニコライ堂よぎりてゆけり初燕 島野ひさ 万象 201507
雨燕逆巻く浪を掠め飛ぶ 王岩 あを 201507
燕身にあまりたるもの銜え 佐藤恭子 あを 201507
区役所の役の字下燕の巣 武田紀久 やぶれ傘 201508
やつと見たり雨中飛交ふ初燕 橘正義 春燈 201508
初燕海からの風軽くなり 井上春子 春燈 201508
病院の救急口に燕の巣 来海雅子 201508
休みなき電気メーター親燕 甲州千草 201508
音曲の花街が好き燕来る 佐津のぼる 六花 201508
渡御告ぐる太鼓に燕とび出しぬ 山田春生 万象 201508
万象 201508
燕低く飛ぶ日和なり物集女道 近藤紀子 201508
おふくろの日本の空へ初燕 竹下陶子 ホトトギス 201509
春の田の空は燕に所有権 八木健 八木健俳句集 201509
飛ぶ燕地に条痕をつけにけり 八木健 八木健俳句集 201509
飛び交ひて頭上真近の燕の巣 久保晴子 雨月 201509
頂にレーダードーム初燕 大崎紀夫 虻の昼 201510
熔岩原のむかうの空へ初燕 大崎紀夫 虻の昼 201510
風の旧の湾より燕きたりけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
街に出て街の燕となりて飛ぶ きくちえみこ 港の鴉 201510
燕来る北条早雲館跡 吉永すみれ 風土 201511
今頃は一路南進燕の巣 神田惣介 京鹿子 201512
屁理屈の付きたる一句燕来る 布川直幸 201603
快速の停まる改札燕の巣 鈴鹿呂仁 京鹿子 201604
電線に物見の一羽燕来る 阿部重夫 末黒野 201604
燕来て書き込み多き農暦 神蔵器 風土 201604
燕来る木臼作りの足鉋 神蔵器 風土 201605
宿題は母の近くで燕来る 小林朱夏 201605
指さして村びと迎ふ初燕 小野寿子 201606
シギリアの岩壁掠め初燕 杉本光祥 201606
約束をひとつ守るや初燕 齋藤厚子 201606
新駅に早くも燕出入りせる 青山正生 201606
古民家の提灯箱や燕の巣 鶴岡紀代 春燈 201606
風のごとカフェテラスを飛ぶ燕 那須禮子 春燈 201606
河口よりほぐるろ風や初燕 森清堯 末黒野 201606
濁流の波の切つ先燕来る 田部明子 馬醉木 201607
変貌の街を忘れず初燕 成宮紀代子 201607
燕来る河口のひかりひるがへし 多田ユリ子 201607
交番の不在多しよ燕め巣 小木曽文明 雨月 201607
初燕只今古民家改装中 杉本薬王子 風土 201607
ふくらみて堰越す水や初燕 生田作 風土 201607
燕来る北国街道柳町 鈴木庸子 風土 201607
一葉の使ひし井戸や初燕 服部早苗 201607
時止まりしやうな時計屋燕来る 山内碧 201607
燕の巣ずらりと並ぶ道の駅 森理和 あを 201607
燕来て防衛省へ突つ込みぬ 大久保白村 ホトトギス 201608
当然のやうに巣燕糞落す 田村園子 201608
川音を弾き燕の頻りなる 高田令子 201608
表札を覚えてゐしか燕来る 三木千代 201608
人拒む切り立つ淵を燕 森理和 あを 201608
頭の上や燕巣作る駅の梁 田中臥石 末黒野 201608
宙返る燕や雨の上がるらし 森清堯 末黒野 201608
その昔鉄道官舎燕来る 細島孝子 末黒野 201608
国籍はいづこ軒端に燕の子 伊藤希眸 京鹿子 201608
大空や燕の後を風が追ふ 有松洋子 201608
目印はびわの玄関燕来る 中島陽華 201608
親燕虚空自在に操りぬ 岩下芳子 201609
巣燕に真一文字の嘴ありぬ 升田ヤス子 六花 201609
親燕巣にもどりてはすぐ発てる 佐津のぼる 六花 201609
飛び方のやはり燕でありにけり 今橋眞理子 ホトトギス 201610
店主敬白そろそろ燕孵ります 井上菜摘子 京鹿子 201610
ギヤマンの神門かすめ初燕 原田しずえ 万象 201610
狩に出た親待つ燕泣きもせず 神田惣介 京鹿子 201611
空を切る燕一瞬水を蹴る 浜野桃華 万象 201612
後の月ちんまりとある燕の巣 佐藤喜孝 あを 201612
医者になる孫との逢瀬初燕 井上正子 童女 201701
どこまでも空駈けあがれ初燕 塚越弥栄子 末黒野 201704
路地裏に地蔵のいくつ燕来る 田彰子 船団 201802
騒ぎ立つ烏落せる燕かな 田尻勝子 六花 201804
燕くる木材店の檜の香 宮元陽子 末黒野 201804
風に問ふ日に問ふ歩幅燕来る 甲州千草 201805
朝よりの旋回幾度初燕 安部和子 雨月 201806
花園は己が手中へ燕反る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201806
赤門は青春の門燕来る 林昭太郎 201806
親燕翻る時餌も揺れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
燕来る山河の晴を讃へつつ 黒滝志麻子 末黒野 201806
消防士戻り見上ぐる燕の巣 柴田志津子 201806
急転な日蹴散らし蒼天初燕 長崎桂子 あを 201806
村々を巡る谷水燕来る 竹中一花 201807
燕のすがたなき空仰ぐいくたびも 中里よし子 春燈 201807
巣燕や納屋壊さるる噂あり 藤生不二男 六花 201807
ぬかるみを行つたり来たりして燕 赤松赤彦 六花 201807
電線に尾羽根ふりつつ初燕 大内幸子 六花 201807
お休みのパスタ屋さんに燕来る 藤井美晴 やぶれ傘 201807
アルミ板下に据ゑられ燕の巣 渡邉孝彦 やぶれ傘 201807
燕飛ぶせせらぎやさし昼下がり 長崎桂子 あを 201807
電線に揃ふはをかし燕の向き 定梶じょう あを 201807
暮れかぬる時の鐘撞く初燕 高野昌代 201808
海臨む白壁の路地初燕 田中信行 201808
濁流を飲み込む古民家燕の巣 平野多聞 201808
初燕手の切れさうな言葉欲る 山中志津子 京鹿子 201808
燕二羽足元掠め雨上り 滝口洋子 末黒野 201808
軒の巣に燕来ぬまま四月行く 小川玉泉 末黒野 201808
初燕商店街は賑はひて 小池一司 やぶれ傘 201808
波立てるびわ湖燕は低く-飛ぴ 齋藤朋子 やぶれ傘 201808
ガレージの高き天井燕の巣 佑藤稲子 やぶれ傘 201808
住吉の御田の空へ初燕 谷村祐治 雨月 201809
高々とシェフの帽子や初燕 角野良生 201809
街中を直角にゆく燕かな 亀井紀子 201809
朝々の賑はひ燕巣立つまで 中里よし子 春燈 201809
みづみづし燕一閃湾を切る 佐久間由子 201810
足繁く通ふコンビニ親燕 荒井ハルエ 春燈 201810
また会へしこの嬉しさよ初燕 浜崎素粒子 ホトトギス 201811
朝日子の中より燕来たりけり 小原芙美子 風土 201811
幸せを運ぶ燕の旅立ちぬ 大日向幸江 あを 201811
峠田の土の荒息燕来る 布施政子 馬醉木 201812
寺壊さる燕何度も戻り来て 吉宇田麻衣 201902
昭和の日みめうるはしき燕見し 佐藤恭子 あを 201904
巣繕ふ燕旧家の深庇 小川玉泉 末黒野 201905
燕来とからすのゑんどう立ち上がる 南うみを 風土 201906
立て掛けて雫する櫂初燕 多田ユリ子 201906
燕 →8

2021年5月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。