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黒雲から黒鮮かに初燕  中村草田男  美田

作品
作者
掲載誌
掲載年月
釘抜きの先のV字に燕来る 甲州千草 201906
初燕公証人に逢ひにゆく 瀬戸薫 風土 201906
助産婦は大正生れ燕来る 渡部恭子 馬醉木 201906
山の絵図四方に天守や初燕 森田節子 風土 201907
巣燕や海峡の渦光り合ふ 和田照海 京鹿子 201907
うつらうつらと店番の母燕くる 曽根富久恵 201907
神父住む牧場の丘や燕くる 渡会昌広 馬醉木 201907
暗渠道に子供の声や初燕 湯本実 やぶれ傘 201908
燕来る爺さん婆さんだけの家 武藤節子 やぶれ傘 201908
行き先は六地蔵なり燕来る 竹内悦子 201908
入口は頭上注意や燕の巣 及川照子 末黒野 201908
反転の燕の自由試歩の我 千原叡子 ホトトギス 201908
どの家も巣燕のゐて夜の静か 光成敏子 201908
踏切を高めに過ぎる親燕 大島寛治 雨月 201909
雨上がり燕とくぐる寺の門 大山夏子 201909
蔵燕といふ自負あり巣立ちけり 能村研三 201909
太陽に真向かう道や燕来る 山田邦彦 201909
西陣の筬音に馴れ軒燕 佐津のぼる 六花 201909
土砂降りの電線二羽の燕かな 大内幸子 六花 201909
産土の泥愛ほしみ燕来る 植村蘇星 京鹿子 201909
母となる日の近づきて燕来る 仲里奈央 201909
十九人の島の学校燕来る 林未生 201910
燕の巣カモンベイビー我が軒へ いろは 201910
鞄屋の何んでも修理燕くる 澤田蔦恵 船団 201910
さつと影過ぎたる燕ひるがへる 稲畑汀子 ホトトギス 202003
燕来るおほかたのことなべて些事 辻美奈子 202004
ウイルスに負けじと来たり軒燕 七郎衛門吉保 あを 202006
燕の巣補修の泥の黒黒と 長尾タイ 末黒野 202006
寄り添ひて巣くふ燕や軒の影 石原健二 やぶれ傘 202007
燕の巣駅舎に古き時計台 浅嶋肇 やぶれ傘 202007
昨日より今日の大きな燕の巣 武藤節子 やぶれ傘 202007
さ緑の木の間飛び交ふ初燕 横路尚子 末黒野 202007
白浪を追ふ白波や初燕 加藤静江 末黒野 202007
敷島の空の明るさ燕くる 木村秋草子 春燈 202007
陽光の煌めく川面初燕 齋藤晴夫 春燈 202007
燕飛ぶ珈琲香る店の先 岡田史女 末黒野 202007
ポール撓る棒高跳や初燕 大坂正 末黒野 202007
薬屋のブリキ看板燕の巣 吉田幸恵 やぶれ傘 202007
躱しあふマスクとマスク初燕 内藤静 風土 202007
おほぞらに跳ね返さるる燕かな 六車佳奈 風土 202007
燕来る渓の青空浪立たせ 岡本尚子 風土 202007
雛五羽の大きく巣立つ燕かな 宮地静雄 末黒野 202008
初燕海へせり出すレストラン 森清信子 露の堂 202008
高速の燕は芦屋駅通過 大久保白村 ホトトギス 202008
コロナ禍の町に今年も燕来る 木村みどり 京鹿子 202008
燕の巣繕ふ土の黒黒と 長尾タイ 末黒野 202008
初燕水面掠むる瑠璃の泡 渡辺富士子 末黒野 202008
燕来るアンデルセンは麺麭屋の名で 安住敦 春燈 202009
通り抜け先には燕子らが鳴く 吉宇田麻衣 202011
湖に溶け入る落暉燕反る 石原孝人 京鹿子 202101
目の前をよぎりし影を燕とす 稲畑汀子 ホトトギス 202103
初燕ふり仰ぎたる尾骶骨 和田照海 京鹿子 202104
燕 →1      
御机の上の呼び鈴燕来る 矢口笑子 春燈 202105
躓いてよりの転舵や初燕 和田照海 京鹿子 202105
屋根の上に海を置く町燕来る 井原美鳥 202105
子燕の元気を鎮めたる瞬時 稲畑汀子 ホトトギス 202106
子燕にドッグファイトの如親が 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106
燕飛ぶ梁黒々と通り土間 吉村涼子 202106
辿り着く風は舟屋へ初燕 青木幹晴 202106
休耕田水を平らに燕くる 小林共代 風土 202106
燕来る淡海は空を開け放ち 岩木茂 風土 202106
初燕シャトルは雲に乗りたがる 中嶋陽子 風土 202106
足湯桶に注ぐ薬湯燕来る 中嶋陽子 風土 202106
古本屋の軒端暮れけり燕の子 沼田巴字 京鹿子 202106
一村をやり過ごしたる飛燕かな 藤生不二男 六花 202106
電線に揃ひ親待つ燕五羽 七郎衛門吉保 あを 202107
巣燕の残る一羽に親戻る 小嶋恵美 春燈 202107
おはやうと巣燕に声通学児 森清信子 末黒野 202107
暁闇に微光の溶けて燕飛ぶ 佐藤真哉 202107
開けつ放しの農家の戸口燕の子 沼田巴字 京鹿子 202107
燕来る空の十字路渡るごと 間島あきら 風土 202107
生きてたか元気でいたか初燕 高村令子 風土 202107
雨上がり頭上掠める初燕 小池一司 やぶれ傘 202108
我先に菱形の口燕の子 出利葉孝 202108
下町の九尺二間や燕の子 林紀夫 春燈 202108
子燕の声聞きながら入る納屋 善野行 六花 202108
雨含む城垣の今朝初燕 住田千代子 六花 202108
代々の巣に代々の燕来る 角野良生 202108
子燕を見し日の父の肩車 原友子 202108
閉ぢられし菓子舗の卯建初燕 池乗恵美子 末黒野 202108
燕や非核宣言したる町 岡井マスミ 末黒野 202108
ガレージの外の明るさ燕の子 小山よる やぶれ傘 202109
野燕の等身影が川を切る 丸井巴水 京鹿子 202109
電線に親待ちて鳴く燕の子 菅野日出子 末黒野 202109
東国の遅き梅雨入りや燕の子 浜福惠 風土 202109
燕より高く身を置き観覧車 菅原末野 風土 202110
燕巣立つ彼らに会ふ日ありやなし 中里よし子 春燈 202110
監視カメラの上に育ちて燕の子 栗原完爾 春燈 202111
ペンネーム巣の小燕に付けてやる 山中志津子 京鹿子 2021112023年5月10日 td> 篠田純子 202112
巣燕の総身口となりにけり 角野良生 202112
交番の軒下汚し去ぬ燕 森清堯 末黒野 202201
一村を豊穣にして燕去ぬ 石黒興平 末黒野 202201
きびきびと若きナースや初燕 上野静子 末黒野 202204
朝空を家郷のごとく飛ぶ燕 安立公彦 春燈 202205
剃りあとの顎のすべりや燕来る 森岡正作 202205
空つぽの厩舎へついと初燕 西川保子 春燈 202206
燕来る街円相にひろごれり 平沢恵子 春燈 202206
初燕あの世この世の落ち着かず 北川孝子 京鹿子 202206
初燕光こぼして翻る 森清信子 末黒野 202206
廃業のクリーニング店燕の巣 赤座典子 あを 202206
つばめの巣覗き燕に睨まるる 篠田純子 あを 202207
初燕触れんと草木丈伸ばす 岡本尚子 風土 202207
酒蔵の香の残りをり燕の巣 黒滝志麻子 やぶれ傘 202207
子の代の書肆や燕の来てをりぬ 滝沢いみ子 やぶれ傘 202207
戸車の渋りを直し燕の巣 大畑善昭 202207
翻り飛び交はしつつ初燕 笠井令子 202207
巣燕に軒を許して娶りまだ 水谷甚 春燈 202207
開放つ納戸は燕の通りみち 小山閑人 春燈 202207
ブティックの店主の笑くぼ燕来る 中村朋子 春燈 202207
ささら波の運河狭しと初燕 加藤静江 末黒野 202208
草の秀へ触れむばかりや初燕 加藤静江 末黒野 202208
じやんけんのちよきの後出し燕来る 長尾タイ 末黒野 202208
思ひきや芦野の里の岩燕 楠本和弘 202209
親燕のフェイント多し巣に戻る 高畑太朗 202209
燕来るや歯科検診の日の近し 北野節子 末黒野 202209
軒下の燕も昨日去ににけり 山田六甲 六花 202209
巣燕のとよもす市場糶休み 升田ヤス子 六花 202209
乾きゐる畑飛燕の影濃かり 広畑育子 六花 202209
「土食つて虫食つて渋ーい」銀座に燕鳴く 篠田純子 あを 202210
道に出て今年の燕迎へけり 戸栗末廣 202211
去年の巣を繕つてゐる燕かな 秋津令 202211
燕去り全き無人駅となる 菅原健一 202212
ヒッチコックの空あり燕の塒入り 塩貝朱千 京鹿子 202212
五重の塔選り好みして燕去ぬ 塩貝朱千 京鹿子 202301
戦場と反対に向き燕去ぬ 山中志津子 京鹿子 202301
秋燕忌一服の茶を熱うせよ 増成栗人 202301
低く飛ぶ燕は雨意を纏ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
乱舞して乱舞して初燕かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
燕来る主は永久に旅立てり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
窓すこし汚れて来たり初燕 甲州千草 202304

 

2023年5月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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