2023年5月10日

6   183句

黒雲から黒鮮かに初燕  中村草田男  美田

作品
作者
掲載誌
掲載年月
木偶舞ふや空切り返す初燕 山本康夫 201008
江戸町の軒ひるがえる初燕 和田照海 京鹿子 201008
数多の燕木々の間飛び交す 武智恭子 ぐろっけ 201008
物置の蛍光灯に燕の巣 長瀬節子 ぐろっけ 201008
若葉雨厩飛び出す燕あり 小林優子 酸漿 201008
巣燕や顔ぶれ揃ふ登山囗 岡久枝 酸漿 201008
川べりは飛燕の空となりにけり 白石正躬 やぶれ傘 201008
背後より受けしは一番燕なり 高木智 京鹿子 201009
川よりも早き燕河を越ゆ 高木智 京鹿子 201009
街いくつ失せたる地平燕来る 柳生千枝子 火星 201009
子育ての最中なりけり駅燕 長谷川たか子 酸漿 201009
雨あしを掻い潜るかに親燕 岡本淳子 201010
パンの絵の大看板や燕 瀬島洒望 やぶれ傘 201010
燕来る刎木二本の渓の空 間島あきら 風土 201011
病棟の軒端に巣立つ燕かな 宮原悦子 雨月 201101
メテオラの絶巓に消ゆる雨燕 大西まりゑ 酸漿 201102
雪嶺のそそる湖畔や雨燕 田中きよ子 酸漿 201103
三塔を掠め一羽の初燕 近藤幸三郎 風土 201105
美しき蛾を啄まむわれ燕なら 山田六甲 六花 201105
喜びの声掛け合うて燕来る 坂上香菜 201106
燕来る出雲に高き築地松 来海雅子 201106
とりあへず無事の報せや初燕 矢口笑子 春燈 201106
燕の巣徒歩で買物できる街 田中眞由美 ぐろっけ 201106
川の面に触れむばかりや初燕 難波篤直 201107
親燕人を恐れぬ飛翔かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
いまも呼ぶ古き町の名燕来る 柴田志津子 201107
晴れ渡るそら颯爽と燕来る 坂上香菜 201107
新しくおろす野良着や燕来る 藤野力 馬醉木 201107
門川の水のかがやき初燕 高瀬史 馬醉木 201107
巣燕にエンゲル係数なかりけり 柴田歌子 201107
いつになく耳なつかしき燕かな 篠原幸子 春燈 201107
故郷へ続く空なり初燕 小山繁子 春燈 201107
燕来て重症の街縫ひあはす 工藤節朗 201107
日本の子供が好きで燕来る 樋口英子 201107
身を絞りアルペンルート燕翔く 樋口英子 201107
燕飛ぶ少し波ある船溜 大石誠 201107
燕来るオルゴール館の赤煉瓦 林いづみ 風土 201107
夢殿へ一直線に初燕 竪山道助 風土 201107
頂にレーダードーム初燕 大崎紀夫 やぶれ傘 201107
ヨーデルの声ののんどり初燕 小幡喜世子 ろんど 201107
空の青海の青乗せ燕来る 石田かし子 ろんど 201107
燕の巣門構へなる百姓家 田中春子 雨月 201107
藁銜へ燕巣造りはじまれる 加藤正子 酸漿 201107
よろこびの命ふりまき初燕 早崎泰江 あを 201107
燕飛ぶ住宅街を分つ川 久世孝雄 やぶれ傘 201108
燕の巣もろともに家解かれけり 木下慈子 馬醉木 201108
震災や空縦横に初燕 吉村摂護 201108
燕来る老舗の奥に長者番付け 角谷美恵子 ぐろっけ 201108
人増えて燕の減りし街となり 古井公代 ぐろっけ 201108
駅前に更地また増え燕飛ぶ 荻野充子 万象 201108
燕来る無住の家の増えにけり 松下八重美 201108
子燕の親のむほどの口をあけ 川崎良平 雨月 201108
川筋は裏窓ばかり初燕 城戸緑 末黒野 201108
夕燕鮨詰電車通過せる 田中藤穂 あを 201108
餌を待つ子燕口の裂けるかに 桂敦子 201109
もて余す物を貰ふや雛燕 成田なな女 春燈 201109
子燕の人に見られて親の陰 濱上こういち 201109
スーパーの軒下燕のカルテット 高橋泰子 201109
看板は獣医子燕育つ軒 磯野しをり 雨月 201109
子燕の明日に大空ひろごれる 小原登志春 雨月 201109
カレッジの表廟に燕の巣 吉本淳 ぐろっけ 201109
豆腐屋は昼でおしまひ燕来る 苑実耶 201110
燕生れ巣より頭の見え隠れ 福島松子 ぐろっけ 201110
留守番をまかされし子に燕来る 高倉和子 夜のプール 201203
燕来て動態視力試さるる 小野辰三 末黒野句集 201203
初燕煉瓦倉庫の風を切る 塚越弥栄子 末黒野句集 201203
燕来る峡の一戸の深廂 大川暉美 末黒野 201204
橋を吊る太き鋼索燕くる 細野恵久 ぐろっけ 201204
空を切り軒で胸張る初燕 青木英林 かさね 201205
身の丈の餌も運び来る燕かな 亀井紀子 201205
泥を食ふ二羽の燕のやゝ離れ 細野恵久 ぐろっけ 201205
巣燕へ湯気の上りし中華街 大西八洲雄 万象 201205
初燕卯建の屋根を掠め飛び 塩路五郎 201206
拝観を請へる土間にも燕の巣 坂上香菜 201206
門柱に止まりし燕美山村 坂上香菜 201206
天領の町真つ直ぐに燕来る 柴田志津子 201206
買出しの母待ちし日や燕の巣 小張昭一 春燈 201206
無量寿といふ蕎麦のあり燕来る 竹内悦子 201206
青空は大きな砥石燕来る 細川洋子 201206
燕の子とは口開けるのが仕事 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
原發の力餘りし燕 佐藤喜孝 あを 201206
自転車は流線形に燕飛ぶ 大日向幸江 あを 201206
せんとくんが迎ふる宿や燕の子 鈴木照子 201207
海に沿ふ町の明るき初燕 村上絢子 馬醉木 201207
燕来る十三代目和菓子屋に 涌羅由美 ホトトギス 201207
初燕鉄砲狭間をよぎりたり 田中佐知子 風土 201207
メビウスの帯のごとくに初燕 松本周二 かさね 201207
燕来る被災の地にも行きたもれ 坂上じゅん かさね 201207
普段着の紺に燕の来りけり 柴田佐知子 201207
抛りたる魚箱の山燕くる だいじみどり 201207
燕来る造酒屋の梲かな 鈴木鳳来 春燈 201207
天気予報士燕の低う飛ぶをいふ 松本峰春 春燈 201207
初燕水面あかるき淡海かな 海村禮子 春燈 201207
墨壺の糸引くやうに燕来る 齋藤晴夫 春燈 201207
山家なる婆の萬屋初燕 福田かよ子 ぐろっけ 201207
ついに来ぬ燕の古巣駅舎えきに欠け 古井公代 ぐろっけ 201207
ダンディーと言へば燕の方が上 安居正浩 201207
燕来る紙飛行機のよくとんで 菅谷たけし 201207
燕来よ足腰きたへ待つてをり 河村啓花 ろんど 201207
降りさうな空より燕来たりけり 大島英昭 やぶれ傘 201207
子育ての燕にエール鄙の駅 和田森早苗 201208
浅草に土地感少し燕飛ぶ 大畑善昭 201208 林昭太郎 201208
神事ある村に人来る燕来る 古賀しぐれ ホトトギス 201208
子燕に遠まなざしの夕べあり 南うみを 風土 201208
燕の子はや漆黒の艶をもち 浅田光代 風土 201208
青春の尻尾咥へて燕来る 高橋和女 春燈 201208
代々の村のよろづ屋燕の子 吉田きみえ 末黒野 201208
少年の道草誘ひ燕の巣 上月智子 末黒野 201208
万屋に黄ばむ看板親燕 福島松子 ぐろっけ 201208
風音に口あけてゐし燕の子 田中文治 火星 201208
ヨードチンキ塗つてやらうか燕の子 米澤光子 火星 201208
燕の子梲の空をよろこびぬ 蘭定かず子 火星 201208
月の夜を目覚めてゐたる親燕 川端俊雄 火星 201208
地震どんと子燕糞を落としけり 大坪景章 万象 201208
くるぶしを掠めて朝の燕かな 大湾宗弘 万象 201208
燕の子わが足音にさわだてり 笹村政子 六花 201208
ガレージの軒へ真直ぐに親燕 杉本綾 201209
燕の子親を呼ぶ声揃へけり 松村光典 やぶれ傘 201209
夕焼けのドナウに燕ひるがへる 松村光典 やぶれ傘 201209
仏飯を供へてをれば初燕 上林富子 やぶれ傘 201209
燕来る白波見ゆる無人駅 田岡千章 201209
農具庫を奥まで開き初燕 神崎ひでこ 京鹿子 201209
燕来て暖簾替へをり銘木店 北崎展江 くりから 201209
旅なかば木の芽峠に飛燕草 北崎展江 くりから 201209
子燕の塒今年も古駅舎 藤田かもめ ぐろっけ 201209
四角張る空に大き弧燕飛ぶ 松井洋子 ぐろっけ 201209
高速路渋滞の上燕飛ぶ 三浦澄江 ぐろっけ 201209
昼の雨未だ戻らぬ夕燕 松本文一郎 六花 201209
シャッターの開かずの店に燕の子 平居澪子 六花 201209
親燕のせはしき背をたたへけり 松井倫子 火星 201209
子燕の旋回風が裏返す 鈴木照子 201210
燕の子胸の綿毛を膨らます 物江康平 春燈 201210
考への眉間を蹴つて初燕 林昭太郎 あまねく 201210
子燕の犇めく軒や道の駅 菅野日出子 末黒野 201210
多佳子忌や朝の燕のひるがへる 島谷征良 風土 201210
燕去にわだちの泥の翡翠いろ 坂口夫佐子 火星 201210
店裏に並ぶ土蔵や初燕 瀬島洒望 やぶれ傘 201210
燕の子瀬釣の竿をかはし飛ぶ 米山のり子 馬醉木 201211
子燕の軒端に眠りバスを待つ 前川美智子 末黒野 201211
百日紅のきに空つぽ燕の巣 鈴木初音 201211
伝言板に伝言ひとつ燕去ぬ 浜口高子 火星 201211
燕去に築地の土のこぼれつぐ 河崎尚子 火星 201211
巣燕の顔出す二羽や奈良格子 北村淳子 ろんど 201211
燕去月友より電話つぎつぎと 古井公代 ぐろっけ 201212
燕去り山は背筋を伸ばしけり 高田好子 京鹿子 201212
一本の釘にかけたる燕の巣 瀧澤伊代次 自註句集 201212
迷ひなく高きを飛んで去ぬ燕 山田佳子 201301
癒されし刻の速さや去ぬ燕 松山潤子 京鹿子 201301
嘴開けて燕哭きゐる涅槃絵図 横山昭子 雨月 201301
一閃に燕と判る距離であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
燕飛ぶ高度三メートルの宙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
大空を狭庭のやうに燕飛ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
燕去に轍の泥の翡翠いろ 坂口夫佐子 火星 201303
ここは日本か燕の迷ふ津波あと 竹貫示虹 京鹿子 201303
燕来る口に含みて釘の艶 広渡敬雄 201303
口大きく開けて日本の燕の子 広渡敬雄 201303
初燕都会の空のあり余り 細野恵久 ぐろっけ 201303
燕来る橋のたもとの理髪店 瀬戸悠 風土 201304
変はりなきご近所さんや燕来る 柴田佐知子 201304
翻るときに燕の本音見ゆ 高橋将夫 201305
中華街はや鳴き交はす初燕 大西八洲雄 万象 201305
初燕そして何日君再来 井上石動 あを 201305
自転車で出てゆく巡査燕の巣 小林朱夏 201305
嬉しくてうれしくて燕宙返り 伊藤憲子 201306
燕来る洋燈小さき税関址 上柿照代 馬醉木 201306
初燕ようこそ線量かいくぐり 北川英子 201306
彼方まで燕の空となりにけり 山田暢子 風土 201306
仕舞屋を抜けて禅寺燕来る 江島照美 201306
初燕日矢吸はれゆく湖と空 鴨下昭 201306
舟小屋を繕うてをり燕来る 中村風信子 馬醉木 201307
裁ち台に在りし日の傷燕来る 福永みち子 馬醉木 201307
檣頭を躱しまぶしき初燕 佐々木みどり 馬醉木 201307
大仏の背に小窓や燕来る 藤井君江 馬醉木 201307
気兼ねなき土間の一角燕の巣 藤本秀機 201307
くつろげば窓一閃の初燕 大松一枝 201307
建築間近バトンリレーの燕組 大堀賢二 201307
山の手の抜け小路とう燕来る 佐藤喜仙 かさね 201307
降り立つや燕飛び来る駅の中 田中清秀 かさね 201307
突風に羽ばたく燕流されし 和田勝信 かさね 201307
点滴の窓に燕の宙返り 今井忍 ぐろっけ 201310
丸ポスト今もある街燕来る 坂本正史 ぐろっけ 201310
燕飛ぶ川へ釣竿鮠を追ふ 難波篤直 201404
燕 →7      

 

2021年5月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。