太平洋       137句

大朝寝太平洋の上であり   今瀬剛一

日本海  海原  海底  深海  海光  海坂  海鳴り  太平洋  黒潮

作品
作者
掲載誌
掲載年月
避寒とて太平洋をひとつ飛び 山田弘子 春節 199503
蛤を足でまさぐる太平洋 安川寒蝉 199807
太平洋を炎につつむ大夕焼 牧野睦子 199810
地球儀の太平洋を蜘蛛歩む 荻野美佐子 船団 199902
太平洋にぽつと息吐く寒椿 安居正浩 200003
見参の太平洋の鯒の顔 早乙女健 200011
大根引き太平洋に波上げて 小澤克己 遠嶺 200102
立冬の太平洋の縁にゐる 杉浦典子 火星 200102
春の婚太平洋を祭壇に 高橋とも子 200107
太平洋より引つこ抜く初鰹 泉田秋硯 200108
太平洋飛び来て日本緑立つ 大島寛治 雨月 200108
蝸牛太平洋の音と寝る 八田春木 百鳥 200110
太平洋に船影のなし運動会 浜口高子 火星 200201
貝殻が灰皿太平洋の春 林翔 200203
初日いま太平洋を押して出る 嶋田一歩 ホトトギス 200206
鯨追ふ太平洋の真只中 加地芳女 雨月 200206
踏青の昼餉太平洋の見ゆ 八條凛子 銀化 200206
太平洋まで一鍬の春の畑 浜口高子 火星 200207
空蝉や太平洋の方に音 木下野生 200209
太平洋へ飛ばされさうな夏帽子 谷口佳世子 200209
太平洋見ゆる高さに鴉の巣 山田弘子 ホトトギス 200210
虹の橋太平洋の渡れさう 鈴木南子 ホトトギス 200211
雁来るや地図の余白の太平洋 小野恵美子 馬醉木 200212
月の夜の太平洋を家のまへ 木下野生 200301
明日葉に太平洋の波飛べり 大串章 百鳥 200304
鯉幟太平洋へ出でんとす 山本三樹夫 百鳥 200307
花びらの太平洋へ行くつもり 今瀬剛一 対岸 200406
揚雲雀太平洋の眩しかり 石平周蛙 対岸 200406
松の芯伸びきる太平洋の空 林翔 200407
サーファーのかくも細身に太平洋 林翔 200407
向日葵の太平洋に対ひ咲く 甲斐よしあき 百鳥 200409
仁右衛門島夕立太平洋夕立 原田暹 百鳥 200501
太平洋の風一望のかき氷 堀田こう 雨月 200501
太平洋見て来し卯浪荒るる日に 稲畑汀子 ホトトギス 200505
椎若葉抜けて太平洋の風 稲畑汀子 ホトトギス 200505
太平洋傾けサーファー立ち上がる 勝屋風奈美 200509
水着から太平洋のぽたぽたと 近藤喜子 200510
太平洋へ没せる古墳雁渡し 松崎鉄之介 200601
太平洋浮輪の中の一人かな 大森慶子 母衣 200602
月冴えて太平洋を航(ゆ)く孤愁 刈米育子 200603
太平洋ずつと手前の大根穴 大島翠木 200605
太平洋かげりて精霊とんぼかな 本多俊子 200612
波朧太平洋の夜明け来し 稲畑汀子 ホトトギス 200703
太平洋霞みて沖のなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 200703
寒雷の一閃太平洋を裂く 柴田久子 風土 200703
初地曳太平洋を引寄せて 菅原末野 風土 200704
太平洋引つ張り出づる初日かな 落合裕子 万象 200704
花ミモザ太平洋の藍深し 水原春郎 馬醉木 200705
太平洋の波と戯れ春日影 近藤きくえ 200706
霊場も太平洋も黄沙かな 近藤きくえ 200707
箱庭や太平洋の水の色 林友次郎 遠嶺 200709
背泳ぎや太平洋に寝ころびて 近藤公子 200710
新松子太平洋へ声を上ぐ 柴田久子 風土 200801
淑気満つ太平洋を指して水脈 工藤義夫 馬醉木 200803
通夜終へし太平洋と冬花火 栗栖恵通子 200803
太平洋望む龍馬の懐手 山中宏子 200804
蛤を掘る足裏に太平洋 齊藤實 200805
遠足の先頭太平洋に出る 大沢美智子 200807
あかつきや海霧のかくして太平洋 藤井圀彦 200809
海の日や晴れて賑はふ太平洋 佐藤健伍 200810
八月や風を孕める太平洋 荒木甫 200811
目の前に太平洋や蟹歩く 木村享史 ホトトギス 200812
襖入る太平洋の白波に 本多俊子 200901
銚子電鉄冬の太平洋どまり 遠藤真砂明 200901
初日の出燦々として太平洋 佐藤健伍 200903
石蕗の道これより先は太平洋 小林正史 200903
太平洋の霞に三千世界あり 本多俊子 200905
太平洋安房も上総も南風ぐもり 山野惣一郎 遠嶺 200909
早梅に太平洋の風荒し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201001
太平洋望む紀の国蜜柑山 細川コマヱ 雨月 201001
薄もみぢ山峡遥か太平洋 荒木甫 201001
龍馬像太平洋の懐手 平尾圭太 ホトトギス 201002
大朝寝太平洋の上であり 今瀬剛一 201004
太平洋の潮路まぶしき磯遊び 黒澤登美枝 201005
菜の花に太平洋に日の昇る 西山美枝子 酸漿 201007
子の跣太平洋へまつしぐら 柴田久子 風土 201009
向日葵に太平洋の夕日かな 吉清和代 万象 201010
行く先は太平洋沖鰯雲 森下康子 201011
後の月太平洋に雫して 橋添やよひ 風土 201101
秋桜や太平洋と日本海 竹内悦子 201102
元日の陽の燦々と太平洋 佐藤健伍 201103
太平洋東シナ海暮春かな 赤座典子 あを 201106
枇杷熟るる太平洋の黒潮に 神蔵器 風土 201108
新盆の魂のただよひ太平洋 藤原照子 201110
涼新たつくづく太平洋まろし 大橋晄 雨月 201111
砂糖黍太平洋の方へ刈る 小林朱夏 201112
太平洋の水をしぼりて卒業す 安田優歌 京鹿子 201201
太平洋引つぱり出づる初日かな 落合裕子 万象選集 201205
煌めきや太平洋の春の潮 片岡久美子 201206
まんばうに春の太平洋日和 遠藤真砂明 201208
太平洋しかと祓いて海開 浅野吉弘 201210
まんばうに太平洋の旱凪 遠藤真砂明 201211
穂芒が触れて太平洋眩し 遠藤真砂明 201211
若布干す太平洋を友として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
元日の太平洋に凧一つ 神蔵器 風土 201302
初日の出太平洋へあふれだす 熊川暁子 210304
初日の出太平洋へあふれだす 熊川暁子 201304
大旱太平洋の夕日燃え 増田一代 201310
秋夜長太平洋越え子と電話 伊吹之博 京鹿子 201312
太平洋明けて根釣の一人立 遠藤真砂明 201312
宿を出て秋草抜けて太平洋 長島青山 かさね 201312
サーファーに太平洋といふ舞台 佐久間由子 201401
太平洋真二つにして初日出づ 神蔵器 風土 201402
天狼や太平洋に咳ひとつ 本多俊子 光のうつは 201404
竹馬に太平洋のひろがれり 戸栗末廣 201405
月見草砂丘の先に太平洋 小河原清江 201410
鳥渡る太平洋を傾けて 吉永すみれ 風土 201411
掛大根太平洋の乱反射 宮崎高根 201502
太平洋のぞむ春野をしるべとす 江澤弘子 201507
蘇鉄咲く島正面は太平洋 宮内とし子 201509
余花よりも高き黒潮太平洋 山本無蓋 201608
太平洋は雲湧くところ烏賊を干す 浅野吉弘 201611
鷹渡る太平洋の輝きに 室伏みどり 雨月 201611
夏遍路太平洋を右に見て 永淵惠子 201611
石蕗咲いて太平洋の紺たしか 佐久間由子 201701
太平洋の波音足下冬菜畑 七田文子 201803
踏青の終り太平洋に出づ 佐久間由子 201806
かたつむり環太平洋に角を出す 上谷昌憲 201807
潮干狩太平洋が後ずさる 齊藤實 201807
晴れわたる太平洋やみかん狩り 秋岡美津子 201904
太平洋剥がして鱚の釣り上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
鯖火燃ゆ太平洋を拡げつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
鰯雲太平洋を狭めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201911
星飛んで太平洋の闇深し 金森教子 雨月 202002
行く秋や太平洋の大落暉 松浦哲夫 末黒野 202002
飛魚に太平洋の狭過ぎる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
鰯雲太平洋を狭めつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
本鮪太平洋を知り尽し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
立泳ぎ太平洋に尿りしこと 天谷翔子 202101
潮目くつきり太平洋の四温晴 田所節子 202104
春送る太平洋の端を踏み 千田百里 202106
日出づる太平洋の霞みけり 田中臥石 末黒野 202107
太平洋を釣り上げてゐる鰹舟 山中志津子 京鹿子 202108
寒稽古太平洋を蹴り上ぐる 里村梨邨 202204

 

2022年4月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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