望月(望の月 望の夜 望下り)1         202

名月  明月 満月 月今宵 良夜 望月 小望月 雨月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
望の夜の波引く際の砂光る 安原ときこ 遠嶺 199812  
丸鏡磨いてをるや望の潮 竹内悦子 199812  
望の夜のきゆきゆと砂鳴る大砂丘 川島真砂夫 199911  
望月のころの瓢箪鯰かな 高橋将夫 199912  
望の潮そのふくらみに犬のゐる 宇都宮滴水 京鹿子 200011  
いつもそこに寝ている犬に望の月 金子兜太 海程 200101  
刈草の匂ひただよひ望の夜 久保東海司 200110  
藤蔓の切目に仰ぐ望の月 寺崎美江女 春耕 200111  
水行の経あぐ望の真別処 南光翠峰 馬醉木 200112  
はたらいてはたらいて逝き望の月 野澤あき 火星 200112 弟は
望の夜や高幡の塔抜きんづる 大竹節二 春耕 200112  
すめらぎの三后冊立望の月 林日圓 京鹿子 200201  
望月を湖の大盃浮かべたり 松村冨子 200201  
望の夜の月の白さを妻が言ふ 山田天 雨月 200201  
島を出る若者に鳴る望の潮 藤野智弘 200201  
掌をこぼる浮世のあられや望の月 浜麻衣子 六花 200201  
望月や人のたてたる水の音 天野きく江 200201  
屋根なべて鈍色返す望の月 勝野薫 ぐろっけ 200201  
高窓へ逃がす湯けむり望の夜 太田寛郎 200209  
樫の木を百歩退ざれば望の月 山田六甲 六花 200210  
駅前の人待ち車望の月 山田六甲 六花 200210  
望の月一片の雲寄せつけず 蔵本博美 ぐろっけ 200210  
望の月海で叱りて風呂でゆるす 望月周 百鳥 200212  
子の作文くり返し聴く望の月 佐野幸子 百鳥 200212  
望の夜の琵琶歌平家落つくだり 内山芳子 雨月 200212  
望の夜に猪二十まり捕へしと 大坪景章 万象 200212  
望の夜の真只中の近火見に 中村恭子 200301  
人質櫓より垣間見る望の月 木戸渥子 京鹿子 200302  
望月の静かなりけり空の青 北島美都里 200302  
望の月酒呑童子の住む岩屋 清水喜造 帆船 200309  
庭石に腰掛け仰ぐ望の月 小笠原扶美女 築港 200311  
望の月話しゐる間に雲がくれ 庄野房女 築港 200311  
川前の渦に上れり望の月 三宅句生 馬醉木 200311  
砂にしるす網あと望の九十九里 秋葉稚治 200311  
古墳より破鏡の出づる望下り 升田ヤス子 200312  
望の潮声明高く低く和す 岩下芳子 200312  
望月や膝に曾孫の重みあり 水田清子 200312  
望の夜や母を撫でゆく風のあり 高倉和子 200312  
じや踊の喇叭高鳴る望の月 築城百々平 馬醉木 200402  
望の夜の弥山に潮のさして来し 雨村敏子 200402  
望の夜の裾丈さはに着付けたる 中村房江 六花 200409  
望の夜の灯を細め聴くハーモニカ 神宮きよい 馬醉木 200412  
望の潮さすタマちやんのゐたボート 戸田和子 200412  
古伊万里の蔵に眠れる望の月 橋添やよひ 風土 200412  
望の夜のベランダに置く竹の椅子 平田紀美子 風土 200412  
望の夜の野菜選びに指濡らす 岡本眸 200412  
川砂の乾き葦まで望の月 荒井千佐代 200501  
一文字に寄せてひろごる望の汐 内山芳子 雨月 200501  
望月を揚げ海ゆかば海詠ひ 伊藤希眸 京鹿子 200502  
椎を洩るひかりは望の照りいでし 瀧春一 菜園 200509  
大海を渡るがごとし望の月 渡辺輝子 200511  
窓のぞき早や窓離る望の月 小林美恵子 築港 200511  
望の月五十余年の句業終ふ 庄中健吉 200512  
望の夜や燭鏤めて斜面都市 築城百々平 馬醉木 200512  
若沖の虎嘯促す望の月 松波とよ子 春燈 200512  
望月夜いつしか髪は磁気を帯ぶ 近藤喜子 200512  
望の夜を一人酌む酒ほろ苦し 谷寿枝 酸漿 200512  
望月の車窓離れず朱をぼかし 舩越美喜 京鹿子 200512  
フエリー発つ最終便や望の月 下山田美江 風土 200512  
宮尾本源平ドラマ望の月 河合佳代子 栴檀 200512  
『今生』の句集待たるる望の月 今井松子 遠嶺 200601  
トマトの皮指にはりつく望の月 浜口高子 火星 200601  
望の夜の山越え阿弥陀赤々と 中沢文次郎 200601  
心平の蛙合唱望の月 河内桜人 京鹿子 200601  
望月をほつたらかして人逝きぬ 蔦三郎 ホトトギス 200602  
ダビデの像頭上はるかに望の月 神田惣介 京鹿子 200602  
望月は中天にあり掴まり見る 服部早苗 200602  
夕霧のそのまま望の月の影 瀧春一 常念 200606  
百薬の長とくとくと望の月 高橋将夫 200611  
伊勢にゐて眺むるならひ望の月 鷹羽狩行 200612  
新宿を突きはなしたる望の月 ほんだゆき 馬醉木 200612  
望の月むかし昔がかたりくる 藤井寿江子 馬醉木 200612  
望の夜を二度揚げ笠子にかぶりつく 江原博子 200612  
暁に白く残りし望の月 菊地惠子 酸漿 200612  
祀られし幹に湿りや望の夜 高倉和子 200612  
子に託すハンドル望の月の下 伊藤早苗 200701  
望月に振る古里の土鈴かな 環順子 遠嶺 200701  
望の潮蹴立つかに機の発進す 山田夏子 雨月 200701  
かの月の幾日の後か望の月 牧原佳代子 酸漿 200701  
望の夜の更けし光の部屋にあり 永見嘉敏 酸漿 200701  
峙てる雲より現れて望の月 中村襄介 ホトトギス 200702  
望の月酔つては笑ひ遅れけり 小林朱夏 200702  
修し来し面影偲び望の月 落合由季女 雨月 200702  
凪ぐ海を鏡となして望の月 大泉美干代 雨月 200702  
寝支度の母がうしろに望の月 百瀬七生子 海光 200705  
望の夜の飛天と見えて遊び雲 小林呼漢 200709  
望月をなぞらば指の切れぬべし ことり 六花 200710  
黙契の友となる日の望の月 大塚和子 遠嶺 200711  
望の月うつす礁の忘れ潮 秋葉雅治 200711  
包まれて湯の香に寝まる望の月 福地初江 200711  
望月夜あといくたびを賜はるや 横田初美 春燈 200712 誕生日
望の月探査衛星待つ如し 松崎鉄之介 200712  
望の夜のダンスレッスン身のかろし 二宮きみ枝 200712  
望の潮朝の聖鐘ひろがれり 戸田和子 200712  
祝宴の待たるる日々や望の月 青木久子 遠嶺 200801  
まだあをき空に今年の望の月 柿沼盟子 風土 200801  
気配して厨の窓に望の月 吉田陽代 200801  
望月に十日早しよ呱々の声 KOKIA 六花 200801  
大鍋をはみ出す炎望の夜 小泉三枝 春燈 200802  
盤の座の古松離るる望の月 本城布沙女 雨月 200805  
野ざらしに伏せられし舟望の月 山田六甲 六花 200810  
山の田の水音細く望の月 山田六甲 六花 200810  
望の夜を大宮びとになりすまし 井口淳子 200811  
禁煙の成行きまかせ望下り 宮津昭彦 200811  
伊根人の灯火低し望の潮 山尾玉藻 火星 200811  
吊橋の真ん中へ出て望の月 安西可絵 200812  
望の夜の洋酒の棚の陶の鈴 小山徳夫 遠嶺 200812  
しろがねの波自在なり望の潮 近藤きくえ 200812  
望の月衣擦れの音離りゆく 小山尚子 雨月 200812  
忌を修し仏の残す望の月 高村令子 風土 200812  
望の夜のマンタの腹の白さかな 小山徳夫 遠嶺 200901  
見せ消ちに定規を使ふ望くだり 風間史子 200901  
寂しさを拭へぬ望の月のいろ 柳生千枝子 火星 200903  
一笛に夜叉も見上げる望の月 林日圓 京鹿子 200909  
畳に手ついて眺むる望の月 ことり 六花 200909  
望月の中に筵を延べにけり 山田六甲 六花 200910  
望月を独り占めする夜長かな 駒井のぶ 200912  
望の月たちまち雲にまぎれけり 吉沢陽子 200912  
望の月ビル黒々と林立す 石脇みはる 200912  
猫ともども双脚伸ばす望の夜 小形さとる 200912  
猫の尾のよりしなやかに望の夜 稲垣眞弓 200912  
望月や癒ゆるきざしの子の腕 岡田史女 末黒野 201001  
あとを来る猫の小走り望の月 半澤正子 馬醉木 201001  
円周率復権なりて望の月 青柳雅子 春燈 201001  
鞆ノ津や島を配して望の月 和田照海 京鹿子 201001  
月待山の肩より上る望の月 久保田雪枝 雨月 201001  
旅行記を書き了へて酌む望の夜 小山徳夫 遠嶺 201001  
群青の大空わたる望の月 柿沼盟子 風土 201002  
望の月歓喜のシャンパンファイトかな 中島陽華 201002  
湯に浮きし赤子が眠る望の夜 柴田佐知子 201002  
立ち位置は佳景の角度望の夜 能村研三 201010  
びんぼふかづら曳いて望月揺らしけり 浜口高子 火星 201012  
子等去りてしばし戸に立ち望の月 小林成子 201012  
望の月舗装道路の冷めやらず 竹下昭子 ぐろっけ 201012  
望の夜や椅子に正座の母白寿 佐藤ちさと 馬醉木 201012  
望の夜のアンティークの椅子軋みけり 浜口高子 火星 201012  
胸中の悶へを溶かす望の月 松木ひろ ろんど 201101  
寒晴れの空皓皓と望の月 山田智子 201105  
門司駅のレトロを照らす望の月 竹内悦子 ちちろ虫 201108 門司
望の月窓の内より観たるのみ 大西八洲雄 万象 201111  
望の夜をかけ復興祈願の鐘 浜口高子 火星 201111  
送り火の余燼を望の月照らす 中島霞 ぐろっけ 201111  
屹立のビルの狭間の望の月 堀田清江 雨月 201111  
たはむれに書く恋文や望の月 小倉陶女 春燈 201112  
望月や座敷童の影法師 藤田かもめ ぐろっけ 201112  
望の夜の電話のベルは一度きり 林いづみ 風土 201112  
望月やひかりと翳のビルの黙 堺昌子 末黒野 201201  
望の月見つ禁煙を破る夫 上月智子 末黒野 201201  
潮騒に囃されのぼる望の月 平野みち代 201201  
残りたる一本の松望の月 間島あきら 風土 201201  
一幅に青磁香炉や望の月 下山田美江 風土 201201  
彼の死をやつと認めて望の月 藤井久仁子 ぐろっけ 201201  
望月の出づ刻々の光かな 竹下陶子 ホトトギス 201202  
用水の流れに望の月明かり 渡邊孝彦 やぶれ傘 201202  
初日の出西に望月傾きぬ 山口耕堂 万象選集 201205  
台風のみそぎ終へたる望の月 山田六甲 六花 201210  
畦道の溜りに映る望の月 丸山酔宵子 かさね 201211  
夜々に名を替へ来て今宵望の月 水原春郎 馬醉木 201211  
夜も更けて重き雲間の望の月 大橋晄 雨月 201212  
常になく荒ぶる欅望の月 熊切光子 末黒野 201301  
夫恋へば早や中天に望の月 横山昭子 雨月 201301  
山の端を出てこそよけれ望の月 梁瀬照恵 ぐろっけ 201302  
鶏小屋の奥の丸見え望の月 宮井知英 201311  
開け閉ての閉てずじまひや望の月 石坂比呂子 ろんど 201312  
お宝は何もないのよ望の月 森下康子 201312  
お宝はなにもないのよ望の月 森下康子 201312  
望月や美(うま)し妻あり虧くる無し 山崎青史 ろんど 201312  
望の夜潮のにほひの橋渡る 宮崎高根 201312  
望の月すがるものなき自動ドア 鴨下昭 201312  
黒猫の毛並を照らす望の月 坊野貴代美 ぐろっけ 201312  
望月の簀巻を解く新聞紙 柳本渓光 ろんど 201401  
望の月ときに同胞なつかしく 神山節子 201401  
望の夜や影Mの字に手をつなぐ 石川かおり 福袋 201404  
望の月泰山木を離れゆく 田中藤穂 あを 201409  
濤ごゑの遠流の島や望の月 コ永千鶴子 馬醉木 201410  
山峡の空を占めたり望の月 黒住康晴 201411  
峡住の縁側広し望の月 松岡和子 201412  
仰ぎ見る吾が誕日の望の月 横山昭子 雨月 201412  
望月の海鳴りヘシテ向きなほり 山田美恵子 火星 201412  
輝ける雲を翼に望の月 仙頭宗峰 万象 201501  
宵の雨降りつくしたる望の月 山内碧 201502  
望の月ノーベル賞の三銃士 辺田たか子 ろんど 201502  
熱気まだ覚遣らぬ夏の望月 長崎桂子 あを 201510  
百歳の母の爪切る望の月 杉田春雄 風土 201512  
赤き糸張り詰めしまま望の月 丸井巴水 京鹿子 201601  
望月のひかりに開く帆曳舟 金子浩子 馬醉木 201602  
キヤッチボールの望月と水飴と 瀬川公馨 201602  
三毳嶺をいまはなれむと望の月 加藤季代 万象 201602  
望月の芝に眠れる胡蝶かな 竹下陶子 ホトトギス 201603  
大輪の雲の真中に望の月 中村嚢介 ホトトギス 201603  
望の夜の水に影置く渡し舟 石川倜子 馬醉木 201601  
望の夜は疑ふことを忘れけり 今井春生 201602  
望の月義賊の墓の文字現るる 善野烺 六花 201701  
ふと覚めて諦めをりし望の月 河野美奇 ホトトギス 201702  
夜の雲の流れる隙に望の月 奥田温子 やぶれ傘 201712  
灯を消して窓にいざなふ望の月 木村ふく 馬醉木 201712  
職辞すやさうか今宵は望の月 上谷昌憲 201712  
望月の滲んでゐたる水の上 岩下芳子 201712  
望の月芙蓉の葉末揺るる上 森なほ子 あを 201712  
二胡の音に誘はれ上る望の月 三輪温子 雨月 201801  
望月に雲慎みて控へをり 亀井福恵 京鹿子 201802  
望月を眺め寒さを友とする 延川笙子 六花 201804 望月 →2

 

2020年9月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。