雨 月          96句

金屏を打ち廻したる雨月かな   池上浩山人

名月  明月 満月 月今宵 良夜 望月 小望月 雨月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黒繻子の雨月の帯の音なりき 栗栖恵通子 199901
雨を乞ふ人もありたる雨月かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
今年父雨月の逢瀬なりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
ふたりして雨月の空を支へけり 宇都宮滴水 京鹿子 199911
机辺すこし片づけ待てば雨月かな 和田敏子 雨月 199912
人の足確と見えいて雨月なり 金子兜太 海程 200004
束の間のむらさき明りして雨月 柏井幸子 円虹 200008
雨月いま渋き声張る海女太夫 中村房子 馬醉木 200012
空一点ほんのり明かき雨月かな 西村咲子 六花 200012
雨月なる上芳我邸の闇に風 板倉勉 六花 200101
娘の恋に気づかぬ振りの雨月かな 板倉勉 六花 200101
東海の豪雨会津の雨月かな 二瓶洋子 六花 200101
全線の乱れに乱れ雨月かな 桑垣信子 いろり 200101
病人の眠り雨月と思ひけり 田中藤穂 あを 200111
雨月一夜童貞侍らす京マチ子 時枝武 船団 200111
巫の眼鏡のうるむ雨月かな 鈴木節子 200112
雨月かなささやかな宴盛り上り 石渡芳枝 200112
外燈のあまり明るき雨月かな 田中としを 雨月 200112
無人駅雨月の芒誰が活けし 田中としを 雨月 200112
真夜仰ぐ空やもとより雨月なる 藤原たかを 馬醉木 200112
雨月かなひとりの夕餉湯気立てて 田辺レイ 200112
雨月なり蝙蝠傘の中の顔 小山森生 200112
餅搗いて雨月の茶店賑はへり 久保田美代子 酸漿 200112
筆置けば雨月の窓の細格子 小澤克己 遠嶺 200112
ほの暗く佛の在す雨月かな 長沼紫紅 200202
酒徒そろふ雨月承知の佃船 秋葉雅治 200211
蟹の目は眼窩にしまふ雨月かな 中原道夫 銀化 200211
月餅を妻と分け合ふ雨月かな 大橋克巳 雲の峰 200211
菓子買うて戻る雨月の道光り 加古みちよ 冬菜畑 200301
ひと寝入りしたる雨月の霽れてをり 河野美奇 ホトトギス 200302
鍵重く握り雨月の外に出づる 宇都宮滴水 京鹿子 200310
竜頭船雨月の池を巡りけり 阿波谷和子 雲の峰 200311
篝火に揺るる雨月の池面かな 前阪洋子 雲の峰 200311
やまくらげコリコリと噛み雨月かな 鎌倉喜久恵 あを 200311
時雨月雲に滲むと言ふのみぞ 滝青佳 ホトトギス 200403
見えぬまま酒盛り続く雨月かな 大塚孝一 帆船 200407
旅宿に雨月の顔の揃ひたる 稲畑汀子 ホトトギス 200409
はるばるときて雨月なり貝の蓋 八田木枯 夜さり 200409
恋文の書き出し迷ふ雨月かな 菅原健一 200411
酌み交はす雨月嘆きのかぐや姫 竹内悦子 200501
灯台に灯の入る鳥羽の雨月かな 大山文子 火星 200501
窓の灯の一つともれる雨月かな 里中章子 200502
見舞子は雨月の傘を忘れけり 諸戸せつ子 春燈 200511
軒端より雨月を愛づる尉と姥 半谷弘子 遠嶺 200601
皆白き職場の茶碗雨月夜 瀧春一 瓦礫 200606
雲明るばかりの雨月祭りけり 阿部ひろし 酸漿 200611
到来の芋あり雨月祀りけり 阿部ひろし 酸漿 200611
雨月かな開けて蓋裏金蒔絵 北川英子 200611
笙ひちりき堂に響きて雨月かな 水原春郎 馬醉木 200612
所在なき卓や雨月の月見蕎麦 水原春郎 馬醉木 200612
雨月なりけり三山も八海も 小澤克己 遠嶺 200612
窓近く餅供へたる雨月かな 本間勇 酸漿 200612
歌舞伎座の明りの外へ雨月かな 芝尚子 あを 200612
森更けぬいま無月とも雨月とも 有働亨 馬醉木 200701
雨月なれど友と逢ふべく合羽着る 笠原ひろむ 200701
快眠の足のつぼ押す雨月かな 山仲英子 200709
雨月とて逢はねばならぬ人のあり 岡野イネ子 春燈 200711
ネックレスを総点検し雨月なり 高橋道子 200801
傘立に傘が一本雨月かな 白数康弘 火星 200809
打ち揃ひ雨月の鱸膾かな 谷村幸子 200812
逝かれしと雨月の傘をたたみけり 前田貴美子 万象 200812
アップルパイでコーヒー啜る雨月かな 丑久保勲 やぶれ傘 200901
くぐもれる声に鳥啼く雨月かな 藤井美晴 やぶれ傘 200901
大声で呼ぶもいとほし雨月の灯 宇都宮滴水 京鹿子 200903
暮れて着く雨月の山路迷はずに 稲畑汀子 ホトトギス 200909
長き旅終へて雨月の家路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200909
名月も無月雨月も半世紀 島谷征良 風土 200911
喪籠りの雨月に長湯使ひけり 石崎浄 風土 201012
ソウルタワー雨月の街を灯しけり 高村和子 春燈 201101
シネマ出て誰かに押さる雨月かな 辻前冨美枝 201211
住吉の祭事流れし雨月なり 大橋晄 雨月 201212
ともがらの遺墨親しむ雨月かな 米尾芳子 馬醉木 201301
突風の雨戸を叩く雨月かな 久世孝雄 やぶれ傘 201302
小夜時雨月命日の妣話題 植田雅代 ぐろっけ 201303
笑ひつつ老見つめあふ雨月かな 神戸京子 ろんど 201412
子の辞書を無断でつかふ雨月かな 原田達夫 201412
煙草火を煙草の受くる雨月かな 河崎尚子 火星 201412
軋ませて雨月の重き戸を繰りぬ 岡野里子 末黒野 201501
燈火親し古き雨月を読み耽り 大橋晄 雨月 201501
盃に灯りの揺るる雨月かな 佐渡谷秀一 対座 201505
串団子並べ雨月の射会かな 石崎和夫 201510
古伊万里の壺に雨月の蛇の目傘 たかはしすなお 201512
天麩羅の具材輪切りにせる雨月 吉武美子 201612
雨月夜ひとりひとりの隠しごと 元橋孝之 京鹿子 201612
透き通る雨月の傘にネオンの灯 大久保白村 ホトトギス 201802
頬杖をついて雨月の机かな 三村純也 ホトトギス 201802
最終便雨月の雲を突き抜けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
癒ゆる日をただ待つばかりなる雨月 稲畑汀子 ホトトギス 201809
雨月かな禁を犯すはこんな夜 有松洋子 201812
高潮の第二国道雨月かな 延川笙子 六花 201812
句読点打ち違ひして雨月かな 菊池和子 京鹿子 201901
屋根叩く音に雨月と気づくまで 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
竹筒に筆の林立雨月かな 能村研三 202010
濡れ縁のすこし濡れたる雨月かな 本多遊方 春燈 202112
通さるる雨月の宿に香を聞く 大橋松枝 202210
濡れ縁のすこし濡れたる雨月かな 本多遊方 春燈 202212

 

2023年9月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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