月今宵          192句

月今宵松にかへたるやどりかな    蕪村

名月  明月 満月 月今宵 良夜 望月 小望月 雨月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
巡り来し忌日今宵の月仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 199909
術後よき人現はれぬ月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 199909
望郷の子がホルン吹く月今宵 岸のふ 馬醉木 199912
冷泉流披講にわが句月今宵 鷹羽狩行 199912
魚たちのやすけき眠り月今宵 関根洋子 風土 199912
母に息重ねし日々や月今宵 井上芙美子 円虹 199912
風景のどこか布めく月今宵 沼田巴字 京鹿子 200001
熱闘を包みしドーム月今宵 岡田章子 ぐろっけ 200001
月今宵石卓に椅子並べけり 杉本寛 200011
月今宵校倉暗し正倉院 中川濱子 ぐろっけ 200011
古代より脈々として月今宵 桑垣信子 いろり 200012
月今宵日本列島雨となる 稲畑汀子 ホトトギス 200109
裏木戸に栗鼠来て遊ぶ月今宵 和田和子 馬醉木 200112
月今宵浮光の散るやはた寄るや 竹市悠紗 京鹿子 200112
万燈のファンタスティック月今宵 永井一枝 200201
表裏なき一生なりし月今宵 滝青佳 ホトトギス 200202
鳴門吹き抜くる風音月今宵 上崎暮潮 ホトトギス 200206
雨雲の去来の中の月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 200210
鰭酒もありて今宵の月を待つ 増田久子 酸漿 200211
月今宵徳利は竹と竹の蓋 池田冨美 帆船 200212
舞楽奉じ今宵の月を讃へけむ 中島知恵子 雨月 200301
松越しに透け住吉の月今宵 中島知恵子 雨月 200301
月今宵糸瓜加持見て師と泊てぬ 中山砂光子 200311
ナプキンの白扇びらき月今宵 藤井明子 馬醉木 200311
金印の島を浮かせて月今宵 前田陽子 200312
月今宵母の寝息の穏やかに 金子慶子 遠嶺 200312
月今宵樫のざわめきゐたりけり 宮本道子 酸漿 200312
先触れの火星火のいろ月今宵 守屋井蛙 酸漿 200401
縄文の楽とはいかに月今宵 平野きぬ子 八千草 200403
月今宵明日上京の荷を纏め 稲畑汀子 ホトトギス 200409
月今宵一機は北へ向ひけり 齋藤宣子 帆船 200410
月今宵大日川を二度渡り 井村和子 万象 200411
ひとり酌む可盃も月今宵 祐森省造 雲の峰 200411
垣そとを人影遅々と月今宵 岡田和子 馬醉木 200412
身の揺れは櫓音まかせに月今宵 長沼冨久子 馬醉木 200412
月今宵高楼遺る門前町 三浦てる 風土 200412
月今宵携帯電話折りたたむ 玉川梨恵 200501
月今宵又造の絵を抜け出して 内田稔 遠嶺 200501
負け相撲にも褒美あり月今宵 沼口蓬風 河鹿 200501
窯出しも了へしと今宵月まつる 瀧春一 菜園 200509
月今宵固形石鹸泡立つる 伊藤白潮 200510
月今宵墨が磨りたくなりにけり 堀内一郎 あを 200510
月今宵源氏を語る琵琶の音 永井孔雀 200512
月今宵さやかにのぼる湯のけむり 松村越子 馬醉木 200512
文楽の篠笛透る月今宵 味村志津子 雨月 200512
玄海の怒涛の熄みて月今宵 前田陽子 200601
伶人のかざす衣手月今宵 田所洋子 雨月 200601
月今宵さうわが孫の名もりやうや 服部早苗 200602
俎板に軽き音たて月今宵 林八重子 馬醉木 200612
雲払ひつつ渡るらん月今宵 稲岡長 ホトトギス 200701
空けおきし翁の席や月今宵 環順子 遠嶺 200701
灯を消せる高階に在り月今宵 山下青坡 200702
打晴れし娘の誕生日月今宵 桑田青虎 ホトトギス 200702
東京の雨抜けて来し月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 200710
射的屋ではにわを得たる月今宵 飛鳥由紀 200712
月今宵まこと観月祭となむ 大橋晄 雨月 200712
庭草をなべて供華とし月今宵 佐藤淑子 雨月 200712
月今宵庭草に丈越されゐて 乗光雅子 雨月 200712
月今宵かなしき迄に澄みまさり 堀田こう 雨月 200712
おしなべて多摩の横山月今宵 中田たかし 酸漿 200712
時忘れたたずむことよ月今宵 永見嘉敏 酸漿 200712
月今宵旅の駱駝が目に浮かぶ 辰巳比呂史 200801
月今宵絵巻の輿の動き出す 津田礼乃 遠嶺 200801
海中の色めくけはひ月今宵 青森公子 200801
修祓の宮粛々の月今宵 本城布沙女 雨月 200805
歌神に百千の詩歌月今宵 本城布沙女 雨月 200805
月今宵山河正しく位に即きて 秋葉雅治 200811
月今宵人に日の性水の性 長谷英夫 馬醉木 200812
湖波に手を浸しをり月今宵 能村研三 200812
月今宵諸国筆頭安国寺 浜福恵 風土 200812
回り道ゆるり家路を月今宵 片野光子 ぐろっけ 200812
月今宵村を二分の魚野川 森山暁湖 万象 200901
引算の人生に入る月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 200909
月今宵仮に美人に生まれなば 篠田純子 あを 200911
月今宵輿を待ちゐるかぐや姫 藤見佳楠子 200912
月今宵知れる限りの童唄 塩見育代 200912
月今宵浄土の夫よ帰りませ 石岡祐子 200912
ゆくりなく大橋渡り月今宵 乗光雅子 雨月 200912
今宵名は寝待月とて寂とせり 飯田角子 酸漿 200912
月今宵わが誕生の日もかくや 清海信子 末黒野 201001
月今宵濡れてをりけり公示板 数長藤代 201001
付きくるは誰が足音月今宵 伊藤トキノ 201002
月今宵母の想ひ出ひろごりぬ 小島とよ子 遠嶺 201002
鳴くものも見上げをるらむ月今宵 今村征一 ホトトギス 201003
月今宵空と約せし如くにも 稲畑汀子 ホトトギス 201010
今宵咲く月下美人の吐息かな 鈴木一三 末黒野 201010
月今宵目鼻をもらふこけしたち 佐藤ちさと 馬醉木 201012
一の宮芭蕉を友に月今宵 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
原子炉を山の向かうに月今宵 浜福惠 風土 201012
ベランダの椅子に二人や月今宵 阿部すず枝 万象 201012
湖静か今宵の月の影浮かべ 福田房子 末黒野 201101
望郷の念捨てきれず月今宵 加藤八重子 末黒野 201101
墨の香の匂うてゐたる月今宵 井上静子 201102
月今宵端坐の父をまなうらに 水原春郎 馬醉木 201111
のびのびと長居する子等月今宵 赤座典子 あを 201110
瑕瑾なき今宵の月の別れとは 黒滝志麻子 末黒野 201112
縁に座し夫の遺影と月今宵 立野千鶴子 末黒野 201112
あの時のあのひと言や月今宵 大西よしき ろんど 201112
枕辺の手鏡を取り月今宵 ことり 六花 201112
浮雲の流れて現るる月今宵 服部珠子 雨月 201112
家中の灯を消したまへ月今宵 永井惠子 春燈 201201
身の内にある玉手箱月今宵 川上久美 ろんど 201201
望郷の念捨てきれず月今宵 加藤八重子 末黒野 201204
月今宵鈴の音かろき胡姫の舞 須賀充子 パミール越え 201206
嵌入の金めでたしや月今宵 山本町子 風土 201212
月今宵一人賞でつつ更けにけり 安藤虎酔 かさね 201207
癒えしとも思ふ外出や月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 201309
嵌入の金めでたしや月今宵 山本町子 風土 201212
月餅の餡のくさぐさ月今宵 塙誠一郎 201312
月今宵金剛力士緩びませ 中村ふく子 201312
月今宵いよよ清けき湖心かな 田嶋洋子 春燈 201312
瀬田川の瀬波耀ふ月今宵 田中珠生 馬醉木 201312
舫ひ舟寄り添ふ岸や月今宵 小山繁子 春燈 201312
手折り来し野の花壷に月今宵 大橋伊佐子 末黒野 201312
賜はりし姫の眠りや月今宵 和田森早苗 201312
賜はりし姫の眠りや月今宵 和田森早苗 201312
父坐さば縁に宴の月今宵 塩見英子 雨月 201312
浮世にも曇り無きもの月今宵 北尾章郎 201312
富士壺のみな顔出せり月今宵 兼久ちわき 馬醉木 201312
灯さざる船の影あり月今宵 川村亘子 末黒野 201312
永らへて帰らぬ人と月今宵 大松一枝 201312
月今宵孤舟湖心を離れざる 碇天牛 雨月 201401
神宮の句会に参ず月今宵 内藤庫江 末黒野 201401
幾たびも出でては愛づる月今宵 中野久雄 末黒野 201401
夫のなきことにもなれて月今宵 菅野日出子 末黒野 201401
二度三度外に出で賞づる月今宵 橋場美篶 末黒野 201401
雲の湧く気配とてなき月今宵 今橋眞理子 ホトトギス 201402
嵯峨御所の松と待ちゐる月今宵 小林昌子 馬醉木 201410
人肌の燗こそよけれ月今宵 梅村すみを 201411
月今宵酒の五勺でこと足りぬ 手島南天 万象 201412
月今宵ひとりふたりと送り終へ 浜口高子 火星 201412
表札に歳月の色月今宵 浜福恵 風土 201412
月蝕の目の離されぬ月今宵 田部井幸枝 201501
月今宵無垢のこけしに目鼻つく 宮内とし子 201501
次々に雲ふれゆきて月今宵 今井肖子 ホトトギス 201510
シンバルは勝利の一打月今宵 宮内とし子 201511
黒といふ漆の艶や月今宵 小田嶋野笛 末黒野 201601
月今宵寝そべるうさぎ遅るるな 熊川暁子 201601
得たりやな瀬戸の島々月今宵 楠本和弘 201603
月今宵語り出すやう杜甫季白 田川美根子 201611
月今宵一会にて成る人の縁 藤岡紫水 京鹿子 201611
月今宵濃尾平野の限りなし 桜井知恵子 雨月 201612
雲払ひ払ひ天心月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 201709
龍神を祀る巌根ぞ月今宵 布施政子 馬醉木 201712
月今宵悪友先に逝きにけり 石田きよし 201712
省略の年ごとに増え月今宵 藤原照子 201712
歌神の祀られし宮月今宵 大橋晄 雨月 201801
これもまた読み止しとなる月今宵 安藤久美子 やぶれ傘 201710
月今宵ひとは宇宙に散骨す 塩貝朱千 京鹿子 201801
見る積りしてゐて忘れ月今宵 稲畑汀子 ホトトギス 201810
病室の窓明けて待つ月今宵 佐津のぼる 六花 201812
月今宵スカイツリーは輪投げの棒 栗原公子 201812
琵琶の音の胸に沁み入る月今宵 堀田こう 雨月 201901
おほらかな壺はかげらず月今宵 村田あを衣 京鹿子 201901
月今宵生野の湖のしろがねも 山田六甲 六花 201909
月今宵酒の合口よかりけり 能村研三 201911
月今宵ピアノ揺れれば人は溶け 辻響子 201912
生くもよし死もまた辞せず月今宵 藤岡紫水 京鹿子 201912
来年は知らず蔵王の月今宵 佐川三枝子 201912
月今宵生くる支への一行詩 馬場節子 春燈 201912
大川の俤浮かぶ月今宵 酒井たかお 201912
盃を共に重ねむ月今宵 佐藤千恵 京鹿子 202001
形変へ光を変へて月今宵 湖東紀子 ホトトギス 202002
琵琶の音の胸にしみ入る月今宵 堀田こう 雨月 202003
月今宵商都のビルを統べてをり 本郷桂子 ホトトギス 202003
月今宵礁に波の踊りけり 宮元陽子 末黒野 202004
月今宵余命ありせば月旅行 沼田巴字 京鹿子 202009
来年は知らず蔵王の月今宵 佐川三枝子 201911
枝をゆく髪切虫に月今宵 森なほ子 あを 202012
月今宵あまねく明り戴けり 長崎桂子 あを 202012
愛猫の薬を忘る月今宵 川本順美 京鹿子 202101
人老いて地球も老いて月今宵 志方章子 六花 202101
一合を妻と酌み交ふ月今宵 梅田武 末黒野 202102
父の年十四年超え月今宵 稲畑廣太郎 ホトトギス 202109
透明に暮れてゆくなり月今宵 稲畑廣太郎 ホトトギス 202110
獣肉を卓に並べよ月今宵 篠田大佳 あを 202111
恙無く終はる仏事や月今宵 豊谷青峰 春燈 202112
月今宵竹馬の友よ今何処 東小薗美千代 末黒野 202112
月今宵おほかた減りぬ白ワイン 林いづみ 風土 202112
月今宵思はず出づる童歌 菅野日出子 末黒野 202201
コンビニに寄りて家路や月今宵 瀬戸美文 202202
月今宵竹馬の友よ今何処 東小薗美千代 末黒野 202204
揺らぎつつ鴇色失せる月今宵 赤座典子 あを 202211
少年は能の火守りに月今宵 須賀ゆかり 202212
篝火やシテの早舞月今宵 久間早苗 202212
折鶴の二羽を翔たせむ月今宵 塩貝朱千 京鹿子 202212
病室の孤独の窓や月今宵 安田優歌 京鹿子 202212
崖上の影濃き松や月今宵 森清堯 末黒野 202301
月今宵磨いておきぬ母の窓 村田あを衣 京鹿子 202301
稜線の凛と正して月今宵 山下美典 ホトトギス 202302

 

2023年9月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。