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紅き茸礼賛しては蹴る女   八木三日女   紅茸

 きのこ 松茸 舞茸 けむり茸   茸飯 茸汁 占地

作品
作者
掲載誌
掲載年月
村びとの行つたり来たり紅天狗茸べにてんぐ 瀬川公馨 201502
茸狩り山の男の出会い酒 中根千恵子 ろんど 201502
紅茸の小さきが生ひぬ去来庵 升田ヤス子 六花 201502
家苞にひら茸ばかり一袋 服部早苗 201503
うまさうに見えて手の出ぬ茸かな 山田佳乃 ホトトギス 201503
毒茸の色が蹴られてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
健やかに老いて茸の山に入る 柴田佐知子 201511
青茸とおぼしきものを見た目玉 池田澄子 船団 201512
細やかな心細ひや茸宿 田原陽子 201601
杣人の笹の覆ひの茸籠 奥井あき 201601
まつ直ぐに歩く者なし茸狩 高橋将夫 201601
ひつそりと朽木はなやぐ月夜茸 近藤喜子 201601
不意の客裏の茸でもてなせり 柴田志津子 201601
身欠き鰊誘はれ茸と佃煮に 高野昌代 201605
栗飯に茸の汁や地味ほのか 山田六甲 六花 201611
切株に鼠の耳の茸かな 山田六甲 六花 201611
決断の箸つけにけり茸汁 井上石動 あを 201611
雑茸火照る訛で売られをり 甲州千草 201612
金星や茸山より下りて来て 広渡敬雄 201612
たれかれの影の大きな茸狩 辻美奈子 201612
もさもさと茸炒めてゐる男 大川ゆかり 201612
精霊の話の似合ふ茸狩 大矢恒彦 201612
満天の星廻り出す茸山 雨村敏子 201612
教会の森に紅茸獣道 竹中一花 201612
謝ればどれだけ楽に月夜茸 コ田千鶴子 馬醉木 201612
宿坊の庫裏より茸飯の香が 有賀昌子 やぶれ傘 201612
茸番の今は昔の話かな 中川句寿夫 あを 201610
松籟にまざる人声茸山 中川句寿夫 あを 201612
茸汁住職むかし会社員 森なほ子 あを 201612
騒がしき夜の明け暮れや茸煮る 田中藤穂 あを 201612
茸いろいろフランス料理に祝ぎの句座 落合絹代 雨月 201701
師の在さば素通りはせじ猿茸 小林輝子 風土 201701
退院後の初の手料理茸飯 井上正子 童女 201701
茸山を守る一條縄砦 藤岡紫水 京鹿子 201701
笑ひ茸煎じてをれば可笑しくて 平野みち代 201701
温泉神社の土俵に生ふる大茸 内海保子 万象 201701
大足の踏み入つてゆく茸山 柴田佐知子 201701
一本の松茸分かち合ふも良し 井上静子 201702
火焔茸いやさかの笛引き寄せて 中島陽華 201703
ほまち雨苔に茸を生ぜしむ 川村みよき 万象 201703
かしがまし篳篥流れ火焔茸 中島陽華 201704
山荘の茸づくしや八ヶ岳 滝沢いみ子 末黒野 201704
茸山解かれ五重塔が見え 中川句寿夫 ここのもん 201705
松籟にまざる人声茸山 中川句寿夫 ここのもん 201705
茸→ 1      
吸ふて吐いてわが行末は煙茸 加茂達彌 201707
茸生る不眠の街を蝕めり 鈴鹿呂仁 京鹿子 201710
初ものや松茸を先づつまむ箸 稲畑汀子 ホトトギス 201710
毒茸ばかり目につく山路かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201711
日翳の林へ入りぬ茸狩 田中臥石 末黒野 201711
松茸はまつこと隠れ上手なり 高橋将夫 201711
隣家より松茸飯の馨りくる 秋葉雅治 201711
熊笹を分けて尾根道茸狩り 志藤章 末黒野 201712
紅茸や毒あるもののうつくしき 高橋将夫 201712
初茸や山の木霊の音すなり 本多俊子 201712
ドイツより帰国せし子に茸飯 井上正子 春燈 201712
詩の神のささやく闇の笑ひ茸 本多俊子 201712
ほんのりと松茸ごはんありがとう 大坪景章 万象 201712
罵声のみ浴びしか毒茸の朱は あさなが捷 201712
幻影か彼方に光る月夜茸 岩月優美子 201801
おほらかな山に毒茸安住す 有松洋子 201801
茸狩や祖父母の家にまづ寄りて 山田健太 風土 201801
断食死ありし山路へ茸狩 石田野武男 万象 201801
彼いはく嘘も方便けむり茸 三木享 201801
月夜茸紅天狗茸西鶴忌 雨村敏子 201801
茸飯よりも気に入り曲げ輪つぱ 原友子 201801
黒皮茸並べ干したる新聞紙 上辻蒼人 風土 201802
松茸と共に届きぬ熊野筆 住田千代子 六花 201803
椎茸の菌打つことの一途かな 笹村政子 六花 201803
大江山鬼の育てし月夜茸 成瀬櫻桃子 春燈 201804
小流れの音の消えさう幽霊茸 升田ヤス子 六花 201809
いうれい茸うなじにものの気配あり 山田六甲 六花 201810
茸取り獣道ある事を知る 大日向幸江 あを 201811
いかがですセシウム入りの茸汁 森なほ子 あを 201811
あけび籠下げて分け入る茸山 大日向幸江 あを 201811
目瞑れば茸雲あり原爆忌 大橋淳一 雨月 201811
茸取り人招きよす毒キノコ 大日向幸江 あを 201811
茸の名「くずれ」なれども光る味 七郎衛門吉保 あを 201812
朝靄の底よりぬっと火焔茸 秋川泉 あを 201812
茸汁「こはい」に漢字二つある 森なほ子 あを 201812
くれなゐに寂しさ隠す天狗茸 近藤喜子 201812
月夜茸一世ををどりつくさねば 井上菜摘子 京鹿子 201812
おめざめですか最上級の月夜茸 辻水音 201812
とつぷりと暮れて二つの茸籠 増成栗人 201901
朝まだき松茸たちの舞踏会 遠山悟史 京鹿子 201901
一人蹴りみんな蹴りだす煙茸 南うみを 風土 201901
彩尽くし全き容毒茸 内山照久 201901
とりどりの茸禁裏をほしいまま 嶋崎豊子 雨月 201901
茸いろいろ炒め煮る焼く夕餉かな 長崎桂子 あを 201901
ほとけと頒つ駅弁の茸飯 田代民子 201902
毒茸のすでに蹴られてまた蹴らる 坂口晴子 201902
幼子は踏んで泣き出す笑ひ茸 萩原久代 やぶれ傘 201902
松茸の香りや喜寿の祝ひ膳 内田梢 末黒野 201904
はぐれたる末に見つけぬ松茸狩 中島秀夫 王水 201909
焦げ目よき土釜に炊けし茸飯 能村研三 201911
仲直り初松茸の椀澄みし 武田未有 201911
よこしまな笑ひを誘ふわらひ茸 亀田虎童子 201911
山彦に踊らされてる茸狩 大日向幸江 あを 201912
半分はお山に託し茸狩 磯野青之里 六花 201912
初物の松茸光る良夜かな 市ヶ谷洋子 馬醉木 201912
縄張りのしてある松茸山通る 山田六甲 六花 201912
階段に来てゐる日暮茸飯 平沢恵子 春燈 201912
先のこと煩ふ無かれ月夜茸 知念哲庵 船団 201912
あたふたと生きて貪る松茸飯 亀田虎童子 201912
布袋さんと卒塔婆小町と笑茸 中田禎子 201912
靴先に弄ばれて煙茸 石谷淳子 雨月 201912
昼の月初茸ごはん炊き上がる 秋川泉 あを 202001
そくばくの小豆と茸干してあり 磯野しをり 雨月 202001
茸狩る昔の勘をとりもどし 谷村祐治 雨月 202001
煩悩を抱きて沈む月夜茸 寺田すず江 202001
松茸飯老のたつきをかがやかす 赤石梨花 風土 202001
青磁より白磁がよろし松茸飯 赤石梨花 風土 202001
剪定のごろりごろりと猿茸 浜福惠 風土 202001
畑茸よつてたかつて吐かさるる 南うみを 風土 202001
やますげをかき分け生ゆる茸かな 石川憲二 六花 202001
毒茸を濡らす山雨や獣径 鈴木鳳来 春燈 202001
家中を松茸飯の香が占むる 園部蕗郷 春燈 202001
誰ならん今朝の戸口に早松茸 園部蕗郷 春燈 202001
毒茸や口約束の脆きこと 近藤喜子 202001
裏道の色も艶めき毒茸 谷村祐治 雨月 202001
名を知らぬ茸が道の真ん中に 廣瀬雅男 やぶれ傘 202002
鹿茸の岐れはじめの瞳濡れ 宇都宮敦子 琴引鳥 202002
メキシコの松茸炙り独り酒 増田裕司 やぶれ傘 202002
天狗茸奥の祠はえんま堂 有賀昌子 やぶれ傘 202002
近江へとつづく山脈茸採り 隅田恵子 雨月 202002
触るる手の何とやはらか煙茸 住田千代子 六花 202003
おにぎりを配る役あり茸狩 山岡和子 船団 202003
信長の頃の戦場茸山 山岡和子 船団 202003
親指ほどの松茸退院おめでたう 岸洋子 202005
在所守る叔母のふるまひ茸飯 佐俣まさを 春燈 202011
椎茸を焼いて独居の果思ふ 田尻勝子 六花 202011
ちよつと見てこんな所に毒茸 土井ゆう子 風土 202011
誉め言葉割り引いて聞く煙茸 能村研三 202012
舞茸を舞はせてもみむ厨なら 千田百里 202012
干茸の箱一杯の香を開く 頓所友枝 202012
退屈を混ぜ舞茸を天麩羅に 町山公孝 202012
けむり茸八十歳になるといふ 佐藤喜孝 あを 202012
派手好みなれど良き人卵茸 森なほ子 あを 202101
峠茶屋いぶりがつこに茸飯 延川五十昭 六花 202012
土嗅いで松茸さがす父の顔 延川五十昭 六花 202012
陽光を撥ね除け傾く毒茸 澤田英紀 202101
舞茸の天ぷらを乗せ駅の蕎麦 丑久保勲 やぶれ傘 202101
アトリエに松茸の香の残りをり 笹村政子 六花 202101
白銀に光る茸の神々し 志方章子 六花 202101
椎茸の榾より摘みし二三片 志方章子 六花 202101
深谷の風吹き上がる茸狩 升田ヤス子 六花 202101
榾を見てをれば椎茸呉れにけり 升田ヤス子 六花 202101
樹の幹に刺さりてをりし猿茸 永田万年青 六花 202101
木漏れ日の秋の香りの茸山 谷口一献 六花 202101
うな垂れて松茸狩の終りけり 谷口一献 六花 202101
猿茸淡い煙を吐きにけり 谷口一献 六花 202101
結界の松茸山を覗きけり 延川笙子 六花 202101
茸山熊に注意の立看板 延川笙子 六花 202101
それぞれの旨み引き立て茸汁 江口恵子 やぶれ傘 202101
焼く茸汁の茸と分けてゆく 三村純也 ホトトギス 202102
獣道ゆき舞茸にあたりけり 園部蕗郷 春燈 202102
毒茸を驚かしたる三井の鐘 藤田美耶子 202102
チャー飯に茸たっぷり日曜日 田中藤穂 あを 202102
赤いきのこ白いきのこ毒茸 角野良生 202104
花びら茸歯ごたへのよし名前よし 今井康子 202105
古民家の火のなきかまど茸飯 山田正子 202105
猿茸に腰掛け富士を眺めたし 窪みち子 202105
茸飯ひとりに炊くは流寓めく 中野あぐり 春燈 202110
毒茸婀娜めく夜の深さかな 金光浩彰 202111
一汁の茸「くずれ」に感嘆詞 七郎衛門吉保 あを 202111
茸狩分け入る森に丸太小屋 秋川泉 あを 202111
深き森そこここあそこ茸狩 秋川泉 あを 202111
猫を抱き茸に埋もれる少女かな 秋川泉 あを 202111
山盛りの茸の料理パンを焼く 秋川泉 あを 202111
フィンランド絵本の中の毒茸 秋川泉 あを 202111
手のひらほどの傘を広げて茸生ふ 辻泰子 春燈 202112
茸飯の焦げたるあたり旨かりき 津野桂子 末黒野 202112
今にして思へば月夜茸だつた 高橋将夫 202112
どれも皆毒の茸に見えてきし 高橋将夫 202112
ひと雨に万の茸が伸び上がる 柴田佐知子 202112
帰りには魚籠いつぱいの茸かな 森岡正作 202112
茸狩みんな少しく変り者 辻美奈子 202112
みそかごと交はし外山の月夜茸 片山博介 春燈 202201
古株に日に日に堅く猿茸 溝越教子 春燈 202201
毒茸を蹴るや憤怒の煙吐き 高木邦雄 末黒野 202201
煙茸けむり吐くまで突つかれて 大崎紀夫 やぶれ傘 202201
山小屋に灯りのともる月夜茸 天野美登里 やぶれ傘 202201
柔和な目もB面阿修羅月夜茸 西村白杼 京鹿子 202201
馬耳山麓を北へ分け入り猿茸 浜福惠 風土 202202
潮の香も焼いて椎茸浜で食う 渡辺節子 202202
友老いていつか茸の目利きなる 亀田虎童子 あを 202204
ペンションといふに一と夜を茸汁 中野陽路 薫風 202205
椎茸の菌打つ響き雪解かな 田中佐知子 風土 202205
どれもこれも毒あるやうな茸かな 坂口学 202205
ふかふかの山に置きたる茸籠 高倉和子 202206
茸 →1

2022年11月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。