金 魚 3     102句

末の子の今の悲しみ金魚の死    上野泰

金魚  金魚掬い  金魚玉  金魚鉢  金魚田

金魚売  出目金  蘭鋳   琉金

作品
作者
掲載誌
掲載年月
赤は雌黒は雄とし金魚買ふ
中田みなみ
200606
槐庵の日の先分かつ金魚かな
栗栖恵通子
200606
庭池の金魚小さきは鳥の餌に
奥村鷹尾
京鹿子
200607
たいくつを知らず金魚の泳ぎをり
あさなが捷
200607
些事の山笑ふほかなき金魚かな
苑実耶
200607
病んでゐる金魚へ朝の風送る
松村多美
四葩
200607
マチスの画観てより空に金魚飼ふ
大久保恵美子
遠嶺
200608
内視鏡金魚のやうに口開けて
中村邦彦
200608
金魚死す水槽の藻のゆれてゐる
早崎泰江
あを
200608
金魚沈む集中豪雨来たりけり
渡邉友七
あを
200608
水槽も大きな宇宙金魚ども
山田尚美
四葩
200609
水騒ぐ金魚問屋の昼下り
小林侃
四葩
200609
水の中金魚の世界閑かなり
横澤田佳子
四葩
200609
長生きの金魚に水をあふれさす
木下もと子
200609
妻入院さてと金魚の水替へる
廣畑忠明
火星
200610
金魚売り水もやさしく掬ひけり
田口登代
遠嶺
200610
稚魚群れて未だ金魚の朱を持たず
岸本久栄
雨月
200610
水陰(かげ)や赤き金魚のひれたゆむ
ことり
六花
200610
平穏な一尾となりし金魚かな
早崎泰江
あを
200610
白黒のテレビを消して金魚の夜
坊城俊樹
ホトトギス
200611
深爪が金魚の数を数へけり
高橋芳子
火星
200611
西方へ向いて呼吸吐く屑金魚
市場基巳
200611
ランタンに金魚大きく飛んでをり
あさなが捷
200702
群るるとき金魚の鰭のよく動く
百瀬七生子
海光
200705
天水の金魚は羽化を待ちゐたり
百瀬七生子
海光
200705
水面にぶらさがりゐる金魚かな 
百瀬七生子
海光
200705
歯朶垂れて金魚の池の古りにけり
瀧春一
200706
生きのびし金魚一匹だけの池
稲畑汀子
ホトトギス
200707
生きのびし金魚やうやく馴染む池
稲畑汀子
ホトトギス
200707
餌を撒きて金魚の元気確かむる
稲畑汀子
ホトトギス
200707
繰返すことなかりけり金魚の死
稲畑汀子
ホトトギス
200707
水槽の広々とせり金魚老ゆ
早崎泰江
あを
200707
日向水金魚のおもちや裏返る
大城戸みさ子
火星
200708
ひらりとて金魚の午後の沙汰もなし
豊田都峰
京鹿子
200708
昭和生れ金魚におとすご飯粒
中山純子
万象
200709
猫死なせ猫の名つけて金魚飼ふ
森下賢一
春燈
200709
単身の間借り暮しに金魚飼ふ
木場田秀俊
200710
執刀医金魚の水を替へてをり
戸栗末廣
火星
200710
直立に金魚餌を食ぶ盆の昼
奥田順子
火星
200710
金魚の糞長持ち夫婦の秘訣かも
貝森光洋
六花
200710
帰り来る子らの手に手に屑金魚
松原三枝子
万象
200711
生き残りゐるはおまけの金魚のみ
佐藤山人
200711
灯の入りし金魚ねぶたを曳きゆくよ
岡有志
ぐろっけ
200711
船宿の留守を金魚にあづけをり
内山花葉
200711
きんととと呼ばれて金魚ひるがへり
渡井佳代子
200801
金魚の尾冷たく燃えてをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
猫の手を逃れ金魚の成長す
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
見る子皆金魚の口になつてをり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
金魚ゆらゆらと吾子の目きらきらと
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
微熱なか金魚の顔の大写し
伊藤白潮
200808
少し酔ひ金魚さげたる夫帰る
府川房江
母の空
200808
水槽の金魚飛び出る水の音
池崎るり子
六花
200808
年寄りに倦みし金魚の死なりけり
亀田虎童子
200808
見下ろして甕の金魚をめでにけり
廣瀬雅男
やぶれ傘
200808
老の飼ふ金魚の肥満かなしめり
坂本俊子
200809
水槽に色を散らして金魚の子
綿谷美那
雨月
200809
目を合はせたくて金魚の廻るはう
関根誠子
炎環
200809
星の夜の金魚に聞かすひとりごと
田巻和子
遠嶺
200810
裸灯に返る夜店の金魚かな
助口弘子
火星
200810
ついてみむ金魚のあぶくほどの嘘
吉田明子
200810
襁褓して金魚のやうに芝駈ける
石田きよし
200810
時価総額に池の金魚も加へおく
宇都宮敦子
200810
天水の蒼帯ぶ水の金魚かな
廣瀬雅男
やぶれ傘
200810
金魚舞ふ喝采もなくひと日舞ふ
千坂美津恵
200811
お見合ひの席に鰭振る金魚かな
木場田秀俊
200811
紅い金魚白い金魚や金魚草
今井千鶴子
ホトトギス
200811
ふらふらと夏を越しけり金魚かな
久津見風牛
200811
あさなあさな金魚に餌撒く恙なし
天野みゆき
風土
200811
痩せ金魚喘ぎ十円玉沈む
瀧春一
深林
200901
尾を振りて鮒よりましな金魚群れ
瀧春一
深林
200901
金魚永眠株新聞に包まれし
篠原まどか
炎環
200907
渦巻ける夜店灯りの金魚かな
山田六甲
六花
200907
真夜帰り金魚が起きてゐてくれし
久染康子
200908
喪服解き金魚の傍に少し居り
甲州千草
200908
黙々と金魚を生計にますらをよ
木村美猫
ぐろっけ
200908
しんがりに値のつきにけり屑金魚
栗原完爾
春燈
200908
金魚の死その繚乱に泡ひとつ
田中芳夫
200909
絢爛の尾鰭胸鰭金魚死ぬ
田中芳夫
200909
点滴の袋の中の金魚かな
西村純太
200909
屑金魚洗面器ごと朝日なか
中山純子
万象
200909
餌をせがむ去年の夜店の屑金魚
久世孝雄
やぶれ傘
200909
父の日の夜更けの金魚灯しけり
戸栗末廣
火星
200909
緑雨して夢見心地の金魚かな
火箱游歩
船団
200909
金魚行く波紋の影に速さあり
斉藤裕子
あを
200909
縁日の帰り重たき金魚二尾
森理和
あを
200909
金魚下げ街角に妻童女めく
渡邉友七
あを
200909
中々にしぶときものに金魚の糞
貝森光洋
六花
200909
悩む気も失せて金魚と共に浮く
柴田佐知子
200909
十五万石の殿の遺愛の白い金魚
丹生をだまき
京鹿子
200909
ピチピチの若者働く金魚池
丹生をだまき
京鹿子
200909
真正面の金魚の真顔可笑しけれ
丹生をだまき
京鹿子
200909
くれがての金魚よこ顔ばかりなり
城孝子
火星
200910
理科室に目高金魚と飼ひ分けて
瀬戸悠
風土
200910
水槽の金魚の不意に向きを変ふ
近藤豊子
雨月
200910
糶声に金魚は箱の隅に寄る
水谷靖
雨月
200910
いづこへも行けぬ金魚となりにけり
石田きよし
200910
午後四時の同じ方むく金魚かな
小熊幸
炎環
200910
生涯をターンくり返す金魚かな
久津見風牛
200911
酔眼で金魚の機嫌うかがふ夜
小山徳夫
遠嶺
200911
老いの愚痴金魚ひらりと躱しけり
服部菰舟
雨月
200911
ビニールの袋に金魚夜の電車
丑久保勲
やぶれ傘
200911
一匹の金魚と暮らし母元気
藤本節子
万象
200912
永らへし七年おまけの金魚死す
荒川美邦
京鹿子
201001
金魚買ふ仰向きの死を想ひつつ
荒井千佐代
201002
白鷺に知られし池の金魚かな
稲畑汀子
ホトトギス
201004
中庭の古井戸金魚と真桑瓜
江見悦子
万象
201004
金魚→4      

 

2021年5月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。