金 魚 1    99句

金魚飼いたし江戸の古地図をいま見たし    田沼文雄

金魚  金魚掬い  金魚玉  金魚鉢  金魚田

金魚売  出目金  蘭鋳   琉金

作品
作者
掲載誌
掲載年月
逐ひつめて得し一匹の出目金魚
岡部玄治
199807
金魚孵る微塵の命透きとほり
木下ふみ子
馬醉木
199809
器量良い金魚五匹選びけり
横倉由紀
船団
199811
鼻上げて金魚なきには世間見な
松山律子
船団
199902
千匹の金魚と泳ぐ夢の先
朝倉晴美
船団
199902
金魚にも仲間外れのある如く
稲畑汀子
ホトトギス
199907
恋人よ赤い金魚を下さいな
朝倉晴美
船団
199908
金魚には水の世界のわが書斎
山田六甲
六花
199908
金魚屋をのぞく西口アーケード
伊東みのり
遠嶺
199909
ぴちぴちと金魚のいのち重なれり
野口香葉
遠嶺
199909
海の日や療養所には金魚池
村越化石
199909
金魚屋の昼を濡らしに来たるかな
彌榮浩樹
銀化
199910
一匹の金魚大事に持ち帰る
内藤八重
俳句通信
199910
くれなゐの金魚まどろむ草の中
内藤八重
俳句通信
199910
大川も大湖も知らず金魚かな
向江醇子
ぐろっけ
199911
菱売の菱にかくれし金魚かな
中村七三郎
七三郎句集
200001
売れ残る金魚似たよな貌ばかり
川村紫陽
200002
金魚真赤どう泳いでも人の前
丘あさ如
200002
ふるさとに母と金魚と良寛と
深澤鱶
ヒッポ千番地
200004
あきらめのいいのが取り柄金魚飛ぶ
わたなべじゅんこ
鳥になる
200004
屑金魚とよばれいまだに生残り
能村登四郎
200006
ゆく年の金魚の口へ旅立ちぬ
小枝恵美子
船団
200007
落籍さるも鉢の金魚となる定め
武田菜美
銀化
200008
餌をもらひ金魚にもある人見知り
藤井圀彦
200009
散髪の鏡に映る金魚かな
山崎赤秋
春耕
200009
水槽を円く泳げる金魚かな
山崎赤秋
春耕
200009
金魚かな睫毛をさがす青葉かな
入江一月
船団
200009
水槽の金魚の見せるひとりごと
保坂加津夫
いろり
200009
福耳の女より買ふ金魚かな
保坂加津夫
いろり
200009
水替えの金魚は猫に盗られけり
林田加杜子
いろり
200009
迷子とも思へぬ子居て金魚釣り
桑垣信子
いろり
200009
金魚お前も畳の上で死ねなかった
山田六甲
六花
200009
晩酌や金魚の死にはかかはりなく
山田六甲
六花
200009
金魚には水葬といふわけにもいかず
山田六甲
六花
200009
埋めし金魚に木槿一輪開きけり
山田六甲
六花
200009
二匹目は冷凍しおく金魚の死
山田六甲
六花
200009
金魚田が暮れて弥富に闇迫る
中川濱子
ぐろっけ
200009
餌を乞ふ金魚じらせり日に三度
年森恭子
ぐろっけ
200009
ひらひらと金魚全身ひらひらす
小西緋紗女
海程
200011
藻に金魚泳ぎ疲れを癒しをる
二村蘭秋
雨月
200011
或る日仲良し赤い金魚と校長と
立岩利夫
海程
200012
いやなのさいやいやいやと出目金魚
武井康隆
船団
200102
金魚糶るさらさらと数流し込み
柚口満
春耕
200107
網ごしに狙ふ猫の目金魚池
稲畑汀子
ホトトギス
200107
子の興味失せて金魚はなほ育ち
稲畑廣太郎
ホトトギス
200107
これほどに金魚成長しやうとは
稲畑廣太郎
ホトトギス
200107
印籠の蒔絵の金魚いきいきす
小池槇女
火星
200107
金魚すくひ金魚苛めてばかりゐる
行方克巳
知音
200107
屑金魚ばかりすくひてうれしさう
行方克巳
知音
200107
金魚死す静かに水の光りゐて
田中康雄
200108
朱鷺いろの水さわだてて金魚糶る
高橋好温
馬酔木
200108
遠く見ゆる金魚田の起伏かな
深澤鱶
火星
200108
豆咲いて金魚田ふくらみゐたりけり
城孝子
火星
200108
金魚田のみなひと色の暑さかな
城孝子
火星
200108
藤房をつついてゐたる金魚かな
城尾たか子
火星
200108
ワルツ流る金魚ゆらりとひるがへり
辻享子
シャガールの女
200108
寧日を住まひとしたる金魚かな
森谷彰
銀化
200108
人待つや金魚一尾は淋しからむ
渡邉友七
あを
200108
世辞言へず色濃き金魚選びたり
上條幸子
あを
200108
一匹となりて生きゐる鮒金魚
永野秀峰
ぐろっけ
200108
子等住める高階の窓金魚飼ふ
長尾康子
風土
200109
育てゐる金魚の中に三代目
平野きらら
百鳥
200109
一盛の土を均らして金魚の死
藤井みち子
200109
乖亂にあくがれ混じる金魚かな
中原道夫
銀化
200109
いちまいに熾されてゐる金魚かな
森麟
銀化
200109
水槽の金魚つつける石の音
木野本加寿江
火星
200110
金魚買ひ龍宮城も買ひにけり
赤井よしを
円虹
200110
水替えて踊りて泳ぐ金魚かな
相沢健造
いろり
200110
一掬の水を宇宙として金魚
村松紅花
ホトトギス
200111
ガラス器に宇宙遊泳して金魚
村松紅花
ホトトギス
200111
溝川に出て花びらとなる金魚
中本憲巳
200111
銭尽きし子らの囲みて金魚槽
柴田修作
200111
月蝕や金魚の忙しなき呼吸
萩原行博
遠嶺
200111
少年に金魚しきりに逆立す
中村美沙
百鳥
200111
ロボットの金魚の動く盆の昼
野澤あき
火星
200111
丼に金魚をもらふ後は後
墨谷ひろし
船団
200111
金魚居る事に家族の会話あり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200112
金魚の尾水を燃やしてをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200112
大和より金魚をはこぶ水の音
岡井省二
200112
売れぬまゝ秋の金魚とみどり亀
角田信子
六花
200112
水槽に金魚の道のありにけり
田中武彦
六花
200112
ひそひそとお庭のお池金魚かな
久森知子
船団
200112
ビニール傘金魚の貌して人を待つ
富沢秀雄
船団
200202
初糶や巴崩しに金魚群れ
真田清見
馬醉木
200203
本郷の金魚坂にも日脚伸ぶ
中村洋子
風土
200204
子が起きぬ間に埋葬の儀の金魚
三嶋隆英
馬醉木
200206
継ぎ足せる路はここ迄紙金魚
宇都宮滴水
京鹿子
200206
金魚攫ふ鴉言い訳などはせぬ
土肥屯蕪里
雲の峰
200206
金魚屋の一声に幕上りけり
須佐薫子
帆船
200207
金魚一匹溶けし水あり替へにけり
中原道夫
銀化
200207
切れ易く金魚の糞になりきれず
土井田晩聖
銀化
200207
尾の影のことににぎやか金魚市
沖祐里
200208
五月来る日のさざ波の金魚村
中村風信子
馬醉木
200208
揺さぶられ量で糶らるる屑金魚
谿昭哉
200208
裸電球金魚に浅き水やりぬ
暮岸江
銀化
200208
腹透けて針先ほどの苗金魚
内山芳子
雨月
200208
寸の金魚跳ねる力を掌
内山芳子
雨月
200208
皆同じ大きさ赤さ金魚群る
内山芳子
雨月
200208
金魚子に跳ねて魚臭のなき不思議
内山芳子
雨月
200208
金魚2→      

 

2021年5月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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