冬の虹 1    242句

あはれこの瓦礫の都冬の虹   富澤赤黄男   蛇の笛

 時雨虹 冬の虹 秋の虹 二重虹 虹の橋 虹の根 春の虹

作品
作者
掲載誌
掲載年月
閉經をよろこんでゐる冬の虹 中原道夫 銀化 199812
冬虹は馬のまなこに掛かりけり 梅田津 銀化 199903
冬の虹円かにかかる祝意かな 千原叡子 円虹 200001
なつとくのことと思へば冬の虹 鈴鹿百合子 京鹿子 200001
暖昧なところに松が冬の虹 山田六甲 六花 200002
冬虹のかけらを残す雑木山 岡本まち子 馬醉木 200002
海坂の雲を染め顕つ冬の虹 中村翠湖 馬醉木 200003
冬の虹信号待ちに生れたる 松本恭昂 火星 200004
冬虹の愛しさに負け体ひやす 沼田巴字 京鹿子 200004
現世へ亡夫来るといふ冬の虹 小島とよ子 新樹光 200007
冬の虹皆打ち明ける五十肩 中原幸子 遠くの山 200010
この町の箒の音と冬の虹 中林明美 ヒッポ千番地 200010
這ふ母のあと吾も這ふ冬の虹 高尾豊子 火星 200103
冬の虹サーカス見たき思ひかな 和田あきを 風土 200104
冬虹を背に漁の舟一つ 小山徳夫 遠嶺 200104
大いなる冬虹にして黄勝ちなる 岡本眸 200105
朗々と冬虹崖に黒牛たち 小林一枝 海程 200106
冬の虹水を汚して鍬洗う 齋藤一湖 海程 200107
常念佛とは湖の冬の虹 岡井省二 200109
冬の虹指の尖より昏れてをり 木村真魚奈 京鹿子 200111
団欒のなべに跨がる冬の虹 堀川夏子 銀化 200201
冬の虹名残狂言なりしなり 瀬川公馨 200202
冬の虹島の紅葉を跨ぎたり 松田欽吾 雨月 200202
ピエロにもなれず歳とる冬の虹 松山律子 六花 200202
冬の虹浅間の山に懸け渡り 渡邊仁 いろり 200202
天明の噴火の跡に冬の虹 渡邊仁 いろり 200202
冬の虹人の後ろに立つ勿れ 田村はじめ 銀化 200203
車窓にす富士より伊豆へ冬の虹 和田一 雨月 200203
ガラス屋をガラス出て行く冬の虹 田中武彦 六花 200204
冬虹に近づき過ぎしとき失せぬ 山田弘子 円虹 200204
見とれけり後ろ髪引く冬の虹 高木智 京鹿子 200205
比叡截つて病棟へ架く冬の虹 荻野千枝 京鹿子 200205
冬の虹まだ吾に運あるらしき 鶴目鯛遊子 六花合同句集 200205
誰彼に急ぎ知らせる冬の虹 北畠明子 ぐろっけ 200205
冬虹の裏なる能登へ旅つづけ 岩垣子鹿 ホトトギス 200205
冬虹の橋逝く人を誘ふや 荻野千枝 京鹿子 200205
冬虹や抜け出せさうな白い窓 荻野千枝 京鹿子 200205
ゆく舟や堅田へ架かる冬の虹 廣畑忠明 火星 200302
冬の虹車中の渇き濃くなりぬ 朱間繭生 銀化 200302
白糸の滝のしぶきに冬の虹 阿部ひろし 酸漿 200302
かの日夫攫はれゆきし冬の虹 岸田爾子 200303
長靴の葬りの布令や冬の虹 城孝子 火星 200303
ハーブティ少し残して冬の虹 山田六甲 六花 200303
白糸の滝はなやげり冬の虹 大塚洋子 酸漿 200303
白糸を束ねし滝の冬の虹 夏目満子 酸漿 200303
白糸の滝冬虹の綾なせり 渋谷ひろ子 酸漿 200303
冬の虹縄文人は行つたきり 富沢敏子 200305
薬草の確な効き目冬の虹 城石美津子 京鹿子 200305
あわあわと羽咋あたりに冬の虹 原田喜久子 八千草 200306
冬虹やアトリエにあるデスマスク 水野恒彦 200312
人間のものさしで見る冬の虹 丸山佳子 京鹿子 200402
束の間の空のキャンバス冬の虹 宮川秀穂 200403
衣掛山(きぬかけ)の先の先なる冬の虹 小林成子 火星 200403
弧を低く広野のはての冬の虹 辰巳陽子 雲の峰 200403
冬虹や旅のはじめのカフェテラス 矢野節子 草の花 200403
支那海の雲の変幻冬の虹 白澤よし子 馬醉木 200404
眺めゐし冬の虹まだ眺めゐし 遠方靉 遠嶺 200404
冬の虹橋の向かうに見ゆるもの 阿部正枝 遠嶺 200406
今日ありてこその未来ぞ冬の虹 鷹羽狩行 200412
冬の虹鼻梁の高き神父来て 能村研三 200501
中程は空にすはせて冬の虹 山守拓治 対岸 200502
貧しくも青年笑顔冬の虹 山田六甲 六花 200502
冬の虹潜りしことも不確かに 山田六甲 六花 200502
出発の北ウイングへ冬の虹 山崎桂 帆船 200503
冬の虹生駒断層目覚むるか 近藤きくえ 200503
退院の母子を迎ふ冬の虹 白崎リユ子 築港 200503
喪の旅の車窓に全き冬の虹 高垣和恵 雨月 200503
里山を繋ぎ赤しや冬の虹 長村雄作 栴檀 200503
地震の地の嶺々にかかりし冬の虹 山田富朗 遠嶺 200503
冬の虹赤信号の待ち時間 石田きよし 200503
足跡に祝報の来る冬の虹 瀬下るか 200503
冬の虹昇仙峡より立ちにけり 花島みゆき 八千草 200505
冬の虹かつて栄えたる造船所 山田邦彦 200505
冬の虹旅路に即かず離れずに 稲畑汀子 ホトトギス 200601
冬虹やあてどなけれど波止場まで 山田六甲 六花 200601
冬の虹水平線にかつと立つ 河野美千代 200602
雨が生む陽が生む野辺の冬の虹 五ヶ瀬川流一 六花 200602
鈍色の海せりのぼる冬の虹 河崎尚子 火星 200603
大声の児の挨拶や冬の虹 斉藤阿津子 百鳥 200603
冬の虹百三歳を送りしと 野畑小百合 200603
身ごもりし娘は遠き国冬の虹 林芳子 四葩 200603
湖に冬虹かかり音消ゆる 奥村邦子 200603
うたかたや彼我といふとき冬の虹 小形さとる 200604
よき旅になるらし朝の冬の虹 斉藤阿津子 百鳥 200604
能登人の知る冬虹の鮮やかさ 辻恵美子 栴檀 200604
来し方や彼我といふとき冬の虹 小形さとる 200605
比良懸けて冬虹の脚湖に墜つ 松村富子 200605
冬虹の消えて踏み出す一歩かな 本多俊子 さくらの音 200605
夜明けつつビルの合間に冬の虹 渡辺立男 馬醉木 200702
橋立の空や溶けゆく冬の虹 柴野静 200703
撥さばきの遠き手ほどき冬の虹 宮脇ちづる 200703
故郷の山を抱きて冬の虹 大泉美千代 雨月 200703
古代史の謂れの小山冬の虹 大泉美千代 雨月 200703
冬虹の片脚消ゆる日本海 徳竹良子 万象 200703
冬虹や悪趣いよいよ盛んにて 小形さとる 200703
葬る日の冬虹へ飛ぶ白き鳩 竹中一花 200703
水切の飛んで補陀落冬の虹 延広禎一 200704
いさかひの後に大きな冬の虹 松下幸恵 六花 200705
手相見に危ふき冬の虹かかる 定梶じょう あを 200801
冬の虹耳に川音のこりをり 宮川みね子 風土 200802
冬の虹伊吹嶺(いぶき)をくらき雲覆ひ 宮津昭彦 200802
言ひ訳のやう半分の冬の虹 武田美雪 六花 200802
ほどほどのところで消えし冬の虹 高橋将夫 200803
まだ熱き骨挟みあふ冬の虹 栗栖恵通子 200803
けふひと日の応へとおもふ冬の虹 佐々木千代 200803
無愛想な山にかかりし冬の虹 佐々木千代 200803
野島崎から冬虹のたちにけり 山田六甲 六花 200803
まん中は天空に開き冬の虹 加藤みき 200804
阿寒岳と斜里岳つなぐ冬の虹 大塚初江 200804
掌中に魔法のランプ冬の虹 津田礼乃 遠嶺 200806
低屋根が街一杯の冬の虹 新関一杜 京鹿子 200901
願ひごと一つを胸に冬の虹 吉田とよ子 春燈 200902
一弟子に徹して渡る冬の虹 川口襄 遠嶺 200903
冬の虹トロイ遺蹟を包みけり 高木典子 雨月 200903
冬の虹エーゲ海より黒海へ 高木典子 雨月 200903
冬の虹町名由来かど角に 後藤とみ子 ぐろっけ 200903
冬の虹はかなげコインランドリー 中山純子 万象 200903
湯の町へ向ふ列車や冬の虹 青木政江 酸漿 200903
ころがして仏頭を彫る冬の虹 坪内稔典 船団 200903
じゆうぶんに冬虹またぐ横川かな 大島翠木 200903
高層のビルの余白を冬の虹 橋本正二 200904
ペンギンのはや無表情冬の虹 新井みゆき 炎環 200904
いつせいに鴎のくぐる冬の虹 大山春江 火星 200904
冬虹や一生ひとよを見たる思ひして 水野恒彦 200904
天使ミカエル冬の虹よりあらはるる 岩岡中正 ホトトギス 200905
傘寿の句遺せし俳友よ冬の虹 高木みさ女 炎環 200905
冬虹といふつつましきねがひあり 岩岡中正 ホトトギス 200905
献体の師を悲しめば冬の虹 平賀扶人 馬醉木 200911
昼下り淡きに浮かぶ冬の虹 石川かおり 201001
冬虹へ幼な子の手を離しやる 吉田政江 201002
冬の虹ぽつり額田王の歌碑 有本惠美子 ろんど 201002
冬の虹五山の上の大円盤 杉本薬王子 風土 201002
冬の虹存分に生き丹の骨に 加藤みき 201002
安達太良をまたぎて冬の虹二重 徳田千鶴子 馬醉木 201003
無敵なる赤子の笑顔冬の虹 國田欽也 201003
師の葬を八ヶ岳にて悼む冬の虹 望月晴美 201003
登校の一人が見つけ冬の虹 菅野蒔子 末黒野 201003
寿の百種の文字や冬の虹 水野あき子 遠嶺 201003
ためいきのやうな余呉湖や冬の虹 有本悪美子 ろんど 201003
岩礁の飛沫に立つる冬の虹 小林成子 火星 201003
起き臥しの窓に立ちたり冬の虹 恒川とも子 201003
モノクロの野末を飾り冬の虹 刈米育子 201004
省二思へば真空に冬の虹 高橋将夫 201004
特牛碑むつくと起きる冬の虹 品川鈴子 ぐろっけ 201011
地の果てに消ゆるいのちや冬の虹 秋場貞枝 春燈 201012
吊橋のダム湖を跨ぎ冬の虹 伊藤純子 201101
神々のあやとりの糸冬の虹 佐々木群 201101
告ぐること多き墓前や冬の虹 山本淑子 馬醉木 201102
片脚はまぼろしとなり冬の虹 市村健夫 馬醉木 201102
沈むとも浮くとも湖の冬の虹 荒木甫 201102
冬の虹かかりて父の忌の近し 細川洋子 201102
自画像の右眼が細し冬の虹 服部郁史 京鹿子 201102
両足でふんばる力冬の虹 葉山彰 ろんど 201102
わたつみの遙は円し冬の虹 山田六甲 六花 201102
冬の虹祖母の来てゐる水車小屋 田中藤穂 あを 201102
園児等のさよならの声冬の虹 筏愛子 201103
わびさびの粋を集めて冬の虹 高橋将夫 201103
冬虹の奥へ西国札所みち 浜福恵 風土 201103
冬の虹裏は真白でありにけり 高橋将夫 201104
冬の虹頭寄せ合ふビルの窓 山本正 京鹿子 201105
ピラニアは恋食ふ魚か冬の虹 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
冬の虹童顔のまま娘は逝けり 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
冬虹の紫勝ちは神在し 小澤菜美 201202
冬虹や海へはみ出る高速路 上谷昌憲 201202
スカーフの使ひ上手や冬の虹 河本由紀子 春燈 201202
太く濃きイスタンブールの冬の虹 史あかり ぐろっけ 201202
一ち日に三度も冬の虹に遇ふ 田村すゝむ 風土 201203
冬の虹女神のごとく村を守る 水野範子 ぐろっけ 201206
波間より虹立つ冬の親不知 北崎展江 くりから 201209
冬の虹煙突高くのこりけり 近昌夫 春燈 201212
夫の射る弓の的先冬の虹 西郷慶子 201302
冬の虹向うの街は知らざりし 石脇みはる 201302
竿頭の百尺さきの冬の虹 西村純太 201302
鎮守森まで冬虹の渡りけり 高田令子 201302
児ははしゃぎ母の手を引く冬の虹 長崎桂子 あを 201302
安らかな今日であるらし冬の虹 長崎桂子 あを 201302
立冬の湾大虹のまたがれる 本城布沙女 雨月 201302
冬の虹山に架かりて神々し 能勢栄子 201303
冬の虹木臼が椅子に仕立てられ 山田美恵子 火星 201303
退りては鋤振る人に冬の虹 西村節子 火星 201303
鉄橋の鳴りはじめけり冬の虹 西畑敦子 火星 201303
木の橋はすぐに乾きて冬の虹 佐々木紗知 京鹿子 201303
直会の御開きとなり冬の虹 中田禎子 201303
みづうみの空のはにかむ冬の虹 市村健夫 馬醉木 201304
締切のある世を生きて冬の虹 今井春生 201303
冬虹の消えし心にホ句の虹 竹下陶子 ホトトギス 201306
山寂しからんとかかる冬の虹 井上浩一郎 ホトトギス 201306
仰ぎけり小倉の峰の冬の虹 間島あきら 風土 201401
冬虹の向かうに子らの暮らしあり 田中佐知子 風土 201402
言ひかけしことばのみこむ冬の虹 宮川みね子 風土 201402
諦めの果の明るさ冬の虹 犬塚李里子 201402
良きことがあるかと望む冬の虹 中山静枝 201402
運転の夫には見えず冬の虹 小林成子 火星 201402
駅長の指呼の彼方に冬の虹 高村令子 風土 201403
三十の男痩せけり冬の虹 常田創 201403
箱マッチ抛ればゴッホ冬の虹 呉文宗 春燈 201403
地下街を出れば号外冬の虹 波戸辺のばら 201403
冬の虹男うなづき合ひにけり 小林成子 火星 201403
冬の虹二つ見し日を幸と記す 近藤紀子 201403
悲しみも生きてゐてこそ冬の虹 竹田ひろ子 ろんど 201403
遠ざかるものは追ふまじ冬の虹 犬塚李里子 201403
未完の句左脳に消えて冬の虹 佐々木紗知 京鹿子 201404
冬の虹ガラスの箱にしまひけり 中田禎子 201404
眠る子の絵本に宿る冬の虹 中村あいこ 船団 201406
冬の虹一期一会の交流会 伊吹之博 京鹿子 201406
片足をスカイツリーに冬の虹 村高卯 201405
冬の虹うすく採石場に発破 大崎紀夫 やぶれ傘 201501
モスク訪ふ人と遭ひけり冬の虹 佐用圭子 201502
冬の虹いま脱稿の八千字 大畑善昭 201502
大敷網 おおしき に片脚立ちの冬の虹 岩木茂 風土 201502
気を抜けば逝くかも知れぬ冬の虹 宮井知英 201502
冬の虹見しより魂のすき透る 犬塚李里子 201502
冬の虹空へ階段あるごとし 戸栗末廣 201503
美作に冬の虹立つ峠かな 生田作 風土 201503
海鳴はいつも心に冬の虹 渡部良子 馬醉木 201503
薬屋を出て厳冬の虹二重 時澤藍 201503
口腔を転がり落つる冬の虹 瀬川公馨 201503
後生車回せば立ちぬ冬の虹 杉本薬王子 風土 201504
国宝の塔より上る冬の虹 杉本薬王子 風土 201504
蒲生野をゆくやうっすら冬の虹 齋藤朋子 やぶれ傘 201504
紙袋などは地に置き冬の虹 藤井なお子 船団 201505
冬の虹→2      

 

2021年11月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。