秋の虹 1      200句

秋の虹ほのくらく樹をはなれけり  飯田蛇笏  読本・歳時記

 時雨虹 冬の虹 秋の虹 二重虹 虹の橋 虹の根 春の虹

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋の虹消えやすければ妻を呼び 渡辺よし生 風土 199907
秋虹の彩のあやふさ遠まなざし 宇都宮滴水 京鹿子 199910

 

消えたればふたたび立たず秋の虹

鷹羽狩行 199911

 柏翠先生本葬の朝ニセコに虹

秋の虹消えたるのちも仰がるる

山田弘子 円虹 199911
束の間に秋の虹立つ岩手山 大場燈児 風土 199911
母呼ぶに消えて仕舞いし秋の虹 大平保子 いろり 199911
国引と名の付く橋や秋の虹 藤本艶野 俳句通信 199912
新しき句会の舟山秋の虹 野昭人 遠嶺 200001
あざなえば吉凶ほどよき秋の虹 三宅やよい 玩具帳 200004
本葬の刻々秋の虹立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200009
旅人に朝のはじまる秋の虹 稲畑汀子 ホトトギス 200009
画眉鳥の秋の朝虹たたへ鳴く 阿部ひろし 酸漿 200009
霊園に仰ぎて秋の虹二タ重 神蔵器 風土 200010
秋虹の立ちて地球のイアリング 市川英一 遠嶺 200011
手を休め職場より見る秋の虹 高村洋子 遠嶺 200011
眼前に秋の虹立ち固唾のむ 大石喜美子 雨月 200012
自転車で駅まで五分秋の虹 田中矢水 遠嶺 200101
秋の虹映し枡形手水鉢 岡田透子 200108
秋の虹嵐が丘の小さき花 芳賀雅子 航跡 200108
入港の船足とらへ秋の虹 稲畑汀子 ホトトギス 200109
船窓に集めし視線秋の虹 稲畑汀子 ホトトギス 200109
自転車を壁際に寄せ秋の虹 須賀敏子 あを 200110
濤しぶきに生れては消ゆる秋の虹 木村恭子 円虹 200111
涛荒き遠流の島や秋の虹 刈米育子 200112
大鳥居眼下に淡き秋の虹 川澄祐勝 春耕 200201
海老のひげたちまち秋の虹たてり 植松美根子 200202
義経をおもへば遙か秋の虹 小澤克己 遠嶺 200211
秋の虹羈旅に乾けるものたたむ 中原道夫 銀化 200211
秋の虹螺旋階段宙に失せ 田中藤穂 あを 200211
空っぽの頭で見やる秋の虹 斉藤静枝 あを 200211
秋虹の幌かけ山雨去りにけり 岸田爾子 200212
淡墨の海のざわめき秋の虹 石山民谷 遠嶺 200212
女神像白く立ちたる秋の虹 吉村玲子 円虹 200212
秋の虹北斎館をひとまたぎ 戸田春月 火星 200212
秋の虹細きうなじを触診す 滝本香世 百鳥 200212
秋の虹近松の墓このあたり 天田千重 火星 200302
合掌の山に向へば秋の虹 丸山冬鳳 京鹿子 200302
おごそかに秋の虹立つ屏風岩 岩上とし子 200303
井田川を起点に秋の虹二重 朝妻力 雲の峰 200310
合歓の葉のあさき眠りや秋の虹 岡田和子 馬醉木 200311
夕近き松の明るし秋の虹 北吉裕子 雲の峰 200311
秋虹の二重たたへて夫婦たり 小澤克己 遠嶺 200311
町ふたつ繋いでをりぬ秋の虹 平田はつみ 馬醉木 200312
秋の虹水にいろをく汀かな 水野恒彦 200312
玲羊の横切りし山に秋の虹 竹内悦子 200401
軽井沢のどこからも見え秋の虹 渡辺美代 対岸 200401
鬼怒川の流彩る秋の虹 小浦遊月 酸漿 200401
秋の虹傘が一本残りたる 秋岡朝子 200402
女子大の塔を起点に秋の虹 辻井桂子 雲の峰 200410
ここに集ふもえにしなりけり秋の虹 水原春郎 馬醉木 200411
声立てば消えさう秋の虹仰ぐ 辻尚子 200411
高原の起伏何処まで秋の虹 石本百合子 馬醉木 200412
秋の虹有効期限ない二人 玉川梨恵 200412
大荷物残しゆく身や秋の虹 荒木伊左夫 200412
買物の帰りは消えて秋の虹 島すが子 200412
雲上に我影を置く秋の虹 伊藤いな栄 酸漿 200412
手を添へて小さき母の背秋の虹 竹中昭子 百鳥 200412
奥祖谷を渡りて秋の虹立てり 松崎鉄之介 200412
大声で呼ばれてをりし秋の虹 高倉恵美子 200501
仮の世の旅人として秋の虹 富沢敏子 200501
秋の虹思はぬ難波みやげかな 中島陽華 200501
大内裏跡なり秋の虹二重 河合佳代子 栴檀 200501
窯変か有田の天へ秋の虹 伊藤希眸 京鹿子 200501
火の神の峰に生まれし秋の虹 西野通代子 築港 200501
秋虹や近くなりたるちちの国 栗栖恵通子 200511
畝立の紐引き合へり秋の虹 戸栗末廣 火星 200511
湖上祭終へし朝の秋の虹 三村武子 酸漿 200512
ふり向けば深き靴跡秋の虹 鳴海清美 六花 200512
四阿より見ゆる湖上の秋の虹 佐野静子 遠嶺 200601
消ゆるゆゑ次の待たるる秋の虹 高橋将夫 200601
秋の虹立ちたる砂嘴へ親子駈く 紺野とも子 200601
秋の虹有効期間ない二人 倉持梨恵 200601
うなさかの果て秋虹の屹立す 伊藤早苗 200601
秋の虹昨日と今日の継ぎ目なす 西川織子 馬醉木 200602
あざなへる吉凶いかに秋の虹 木多芙美子 春燈 200611
老人の忘れるちから秋の虹 芝尚子 あを 200611
虹を生む水の秋なり乙女滝 黒坂紫陽子 馬醉木 200612
手品師の消してしまひし秋の虹 高橋将夫 200612
黄泉に吾を待つは幾人秋の虹 荒井千佐代 200612
結びをり長き靴紐秋の虹 成田美代 200701
法会果つ雲間染めたる秋の虹 小島みつ代 200702
いのちみじかし秋の虹消えぬ間に 岩岡中正 ホトトギス 200704
秋の虹消えてたましひのこりたる 岩岡中正 ホトトギス 200704
直哉旧居出でて秋虹うすらぎつ 木上卓衛 200711
若き日の恋に似て消ゆ秋の虹 林翔 200711
秋の虹大志を抱くの前に 石岡祐子 200712
秋虹や時計まはりに子ら走る 竹中一花 200712
日の神の一筆書きの秋の虹 布川直幸 200712
秋虹の根より淡海の冷えを呼ぶ 能村研三 200712
遊心の窓はカンバス秋の虹 上田敬 遠嶺 200712
湖へとも空へともなく秋の虹 安居正浩 200801
唐崎の松越しの帆や秋の虹 吉田政江 200801
秋の虹カルスト台地をまたぎけり 新倉舒子 200801
旅始め幸先のよき秋の虹 石田嘉江 200801
天恵や秋の虹立つ野外劇 阪本哲弘 200802
新築の学舎五階の秋の虹 佐々木幸 200802
秋の虹オバタリアンの木をつなぐ 坪内稔典 稔典句集U 200804
色鉛筆削り揃へて秋の虹 勝原文夫 ペン皿 200811
晩学を励ます秋の虹立てり 木村幸 200812
秋虹の端より紫こぼれ落つ 小林正史 200812
太極拳の爪さき秋の虹に向く 河村泰子 ぐろっけ 200812
秋虹を寡黙の父に教へられ 河村泰子 ぐろっけ 200812
臨月の人を笑はす秋の虹 河村泰子 ぐろっけ 200812
秋虹をしばし留めむ奥琵琶に 河村泰子 ぐろっけ 200812
白波に虹ついてくる秋の航 中条さゆり 200812
上向きの蛇口ありけり秋の虹 栗栖恵通子 200901
大雨の置きて行きしは秋の虹 松原仲子 200901
高層の病舎に秋の虹近し 安部和子 雨月 200901
瀧壺に弥陀の光背秋の虹 石山雅之 遠嶺 200902
雨上る屋久島空港秋の虹 鈴木石花 風土 200911
礁噛む浪衰へず秋の虹 松本三千夫 末黒野 200911
秋の虹筑波にそぼろ雨のこり 和田満水 200911
独言のほどの色なり秋の虹 中田禎子 200912
秋の虹若草山の裏知らず 大山文子 火星 201001
目の眩む渓谷秋の虹たてり 野口光江 遠嶺 201002
くぐらんとして見失ふ秋の虹 高橋将夫 201002
若者に手を貸され見る秋の虹 神谷耕輔 201002
秋の虹えらびし供花のみな淡く 本多ちづ子 馬醉木 201011
白鳳の伽藍にかかる秋の虹 藤見佳楠子 201012
妻呼びて消ゆるまで見む秋の虹 阪本哲弘 201012
デジタルがアナログとなる秋の虹 高橋将夫 201012
会議終へ柔和なボスや秋の虹 伊吹之博 京鹿子 201012
秋の虹椀に溶きたる吉野葛 宮川みね子 風土 201012
短編のごとくかき消ゆ秋の虹 風間史子 201101
片脚を山襞に入れ秋の虹 濱谷和代 万象 201101
荒天を鎮め磐梯秋の虹 横田矩子 201102
ランドマークタワーを跨ぎ秋の虹 鈴木一三 末黒野 201112
秋の虹卓に二つのミルフィーユ 安居正浩 201112

 悼 田原憲治様

秋の虹消えて思ひ出残りたる

稲畑汀子 ホトトギス 201209
秋の虹屏風祭の町の中 北崎展江 くりから 201209
雨上がりカーブを切れば秋の虹 丸山酔宵子 かさね 201211
明日という未知にかかりし秋の虹 栗原公子 201211
夫の忌の合掌とけば秋の虹 岡野ひろ子 201211
通夜へ行く歩みを止めて秋の虹 森理和 あを 201211
秋の虹消えをり沖の蜃気楼 田中臥石 末黒野 201211
秋の虹消えたる後も見ゆるかな 十川たかし 201211
秋の虹トランペットが胸で鳴る 長久保郁子 かさね 201212
果樹園を包みて秋の虹二重 笠井敦子 201212
秋の虹渡りて家路退院す 森さち子 201212
五湖の空ひとまたぎして秋の虹 山本みゆき 万象 201212
秋の虹子熊といえど撃つ構え 松川悠乃 ろんど 201212
秋の虹町は昭和の色となり すずき巴里 ろんど 201212
秋の虹独りで紅茶飲めるとき 能勢栄子 201301
木曽三川のなかだちをして秋の虹 寺田すず江 201301
鮮やかに里山またぐ秋の虹 渡辺安酔 201301
暫は水仕休めよ秋の虹 田岡千章 201301
筑波嶺の雲より現るる秋の虹 山田春生 万象 201312
つやつやの若者の肌秋の虹 柳田皓一 かさね 201312
きわだちて彩あざやかや秋の虹 柳田皓一 かさね 201312
老人の思ひ出となり秋の虹 柳田皓一 かさね 201312
秋の虹谷二つ越え橋わたす 吉田光子 ぐろっけ 201312
秋の虹妻に見せたしみな仰ぐ 柳田皓一 かさね 201312
雑踏に少年の指す秋の虹 小柳千美子 かさね 201312
左のみ半分立てる秋の虹 柳田皓一 かさね 201312
天球をなぞるとばかり秋の虹 高橋道子 201401
観覧車より見る小さき秋の虹 箕輪カオル 201401
秋の虹ハープ弾く音のどこよりぞ 本田和子 201401
片脚を海に入れたり秋の虹 石黒興平 末黒野 201401
幾たびも秋の虹立つ峠越え 駒形祐右子 万象 201402
ひとをはくビルに挟まる秋の虹 丸井巴水 京鹿子 201402
終りあるゆゑの華やぎ秋の虹 竹貫示虹 京鹿子 201410
母の世へ消えてゆきたる秋の虹 高倉和子 201411
いつの世も人は塔組む秋の虹 近藤喜子 201412
秋の虹夢つなぎゆき朝なる 岡崎柴田靖子 201412
鴎とぶ港や秋の虹二重 寺沢千都子 万象 201412
秋の虹はかなき色を重ねたり 武生喜玖乃 雨月 201412
秋の虹童女の涙すぐ乾き 白神知恵子 春燈 201501
野良衣干す空明るみて秋の虹 生田作 風土 201501
願はくは秋の虹立つ樹木葬 鳥居美智子 ろんど 201501
回廊に弁当ふたつ秋の虹 中島陽華 201502
慟哭の津波跡なる秋の虹 大木さつき ホトトギス 201503
松島の旅路語らん秋の虹 稲畑汀子 ホトトギス 201509
ビルの街大きく包み秋の虹 斉木永久 馬醉木 201511
武蔵野をどつしり踏まへ秋の虹 上原重一 201511
指切は反故(ほうご)のひとつ秋の虹 鈴鹿呂仁 京鹿子 201511
変声期の子が教えくれ秋の虹 種田果歩 201512
虹の夢秋かどうかはわからない 林田麻裕 201512
傘たたむ狐日和の秋の虹 井上静子 201601
二度とかへらぬ一瞬を秋の虹 柴田靖子 201601
山一つ円く抱きて秋の虹 森田節子 風土 201602
少年の遠目差しや秋の虹 島玲子 風土 201611
振り返る城壁高し秋の虹 島玲子 風土 201611
地の色の一つをつかひ秋の虹 沼田巴字 京鹿子 201611
秋の虹人形はみな前を向く 今井春生 201611
残生のシナリオ描けず秋の虹 神田恵琳 春燈 201611
秋の虹大きな希望標しけり 茂木なつ 春燈 201611
黒猫がひっかかってる秋の虹 たかはしすなお 201612
そちらにもみえてゐますか秋の虹 はしもと風里 201612
田の神を送つてゐたる秋の虹 加藤みき 201701
秋の虹富士の裾野を包み込み 山口登 末黒野 201704
秋の虹隣家の人の告げくれし 沼田巴字 京鹿子 201709
秋の虹→2      

 

2021年9月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。